野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~ 作:XX(旧山川海のすけ)
新居は管理人つきのマンションだった。
入り口に、中年男性が居る部屋があり、ようはこの人が管理人らしい。
「ヤマモトさん、お早いお帰りですね」
「ええ。思いのほか早く仕事が片付きまして」
管理人の制服なのか。
赤色のシャツとスラックスみたいな服装の男性に会釈をするシノinヤマモト。
「……このマンションは、中級国民の家族が住むマンションらしいんですが、値段のわりに防犯がしっかりしてて、おまけにペット可。それで選んだようですよ」
清潔なエントランスに入って、エレベーターで自分の部屋がある7階の部屋に向かいながら。
シノinヤマモトが語ってくれる。
……なるほどなぁ。
多分、ヤマモトって男性はお金の使い方を解ってる人間だったんだろうな。
無駄に見栄を張るために高級住宅に住むよりも、防犯で安心できてかつ安い住居の方が良い。
……前世の俺が、好感を持っていたタイプ。
俺の友人の多くがそのタイプで、飲み会のときに
無駄に広い部屋に住むよりも、安心に快適に住める家の方が良い。
その分浮いた金は貯金や自己投資に回すべきだよなぁ。
そんなことを言って笑い合っていた。
……楽しかったな。
あのときの思い出に目を細めた。
そして、思う……
この男性の身体を捨てるときは、平和に行ってあげたいもんだ。
この人個人は本当に良い人で、素晴らしい人だと思うから。
欺瞞かもしれないけどさ。
最初に成り代わった底辺層の末路はまぁ、酷いもんだったからな……
あのときは情報を漏らすわけにはいかなかったし……
と、エレベーターを降りて歩いていると。
わりとすぐに部屋に辿り着く。
702号室……
ドアが立派だった。
他と違う気がする。
なんか、壁とマッチしてないんだよな。
……後で聞いたら、防犯を意識してドアだけ交換したんだそうだ。
泥棒が躊躇するタイプのドアに。
やっぱヤマモトという男性は、本当に大事なことが何か分かってるタイプっぽいな。
家の中に入ると、掃除の行き届いた綺麗な部屋で。
合計4部屋あった。
10畳以上の広さの洋風リビングと、他3部屋。
和室、洋室、洋室。
……おお。
一目で分かる、出来る男の住む部屋。
リビングの隅に、ガラスの大きな水槽があり。
そこに1匹のネズミが飼われていた。
一目でネズミって分かるんだけど、ちょっと見覚えが無い。
まず大きさが大きい。
手のひらと同じくらいの大きさの体躯がある。
で、尻尾が短くてさ……
色が茶色かった。
何じゃろ、これ……?
気になったので俺は急遽50音表を作って貰い。
それでシノinヤマモトにその辺を詳しく聞くと
「天上界にのみ棲みつく害獣のオオネズミです。本来は人慣れしない生き物なんですけどね」
元々、彼が人類軍の独身寮に居たときに罠で捕まえたらしいんだが、生け捕りにしたら情が湧いて飼うことにしたらしい。
「何だかこの身体の持ち主には警戒心を持たずに、すでに2年以上飼ってるようで」
……そんな答えが返ってきた。
ふーん。
エピソードだけ聞くと、ホント良い人っぽいし。
多分その通りなんだろうな。