野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~ 作:XX(旧山川海のすけ)
ヤマモト氏の部屋は、ベランダが庭になってて。
ルーフガーデンだとかルーフバルコニーとかいうやつだよな。
大きな植木鉢に植えられた立派な樹が何本か。
部屋の主の几帳面さと有能さが伝わって来るなぁ。
……シノの奴、ちゃんと仕事出来てるのかなぁ?
あの子はしっかりしてて、決して馬鹿では無いけど、この部屋の主人はおそらく超エリートだぞ?
そしてその日はかつてのようにテレビを見たり、広めのベランダで日向ぼっこをして過ごした。
これは実に良い暮らしだ……
……帰って来たシノinヤマモトの顔は非常に疲れていた。
ああこれは……
心が疲れている顔だな。
労ってやりたかったので軽く吠える。
意図が伝わったのか
「ああ、父上。ありがとうございます」
微笑み返して。
座布団を用意し、俺の前に座って。
俺が座っている前に50音表を用意して話し始めた
「今日は現実に残りの
シノinヤマモトの話。
今日、
そこで残り3人の顔を見たんだとか。
おお。
噂の「竜神」「神獣」「聖亀」
この3人をか。
それでどうだった?
50音表でそう伝えると
「竜神サマリー・ガルシアは骨格の太い体格に優れた、真っ赤な髪の中年男性でした」
武人って印象を受けるな。
筋肉ゴツゴツの戦いのプロフェッショナルかな。
「神獣シュウ・ヴィリアスはカッコイイ男性でした。多分20代後半くらいですかね。青い髪の男性で」
なんか青髪イケメンを想像してしまうな。
ホストみたいな感じ?
「聖亀スプリス・ビルドは、痩せ型の眼鏡男性で、年齢は良く分からなかったです。年配にも見えるし、若くも見えるというか……」
たまにいるよな。そういう人。
……なるほど。
他の
まあ、グレーターヒューマンの社会は男性優位社会だとは聞いてはいるが……
予想から大きく離れない内容だったので、それはそれで納得し。
俺は次の話題に移った。
人類将たちの
この話。
シノは無理筋だと思ってたようだけど、俺はそうは思わなかった。
前も言ったが、
俺の前世の世界の神や妖怪の名前なんてここの人間は知らんからね。
だから名前に情報としての価値だとか、機密性が無いんだ。
バレてもそこから何も情報を引き出せないから。
だったら割と簡単に教えてくれるだろ。
……え?
だったら自分で調べればいいのでは?
機密性の無い情報なら、公開されてるでしょ?
……それは少し認識が甘いと思う。
だってさ……
能力名・ガルシア、能力名・ヴィリアス、能力名・アロパルパとか。
そんなもん公表されても
は? だろ。
ポカーン、だよ。
誰も欲しくない情報だし、公開する意味がない。
ガルシアだから何なんだ、ヴィリアスだから何なんだ、アロパルパだから何なんだ。
公表されても受け手はそうとしか思えんさ。
だから、知りたければ本人に聞くしかない。
「……なんとか神技の名前だけは2人までは訊けました。怪しまれない話題運びにだいぶ心が擦り減りましたけど……」
シノinヤマモトはそのときを思い出したのか、疲れ切った表情になった。
おお、2人まで聞けたのか。大収穫じゃないか。
俺は労う言葉を50音表で綴る。
すると我が娘は
「……3人全部は出来なかったんですが、それでよろしかったんですか?」
そんな戸惑いを含んだ声で言って来たので
満点以外は感謝や労いをする必要は無いってのは傲慢過ぎる考えだ。
他者から与えられたときは、得られたものに感謝する。お前にもそう教えて来ただろ。
そう、50音表で言ってやった。
言われた我が娘は
「……父上。ありがとうございます」
何だか涙で潤んだ目でそう返して来たので。
俺はちょっと、戸惑ってしまった。