野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~ 作:XX(旧山川海のすけ)
「……
フセと呼ばれた少女は、俺を痛めつけていた男たちを叱責する。
男たちは
「し、しかしフセ様、この畜生には餌をいくつか与えて……」
「そ、そうだ! どうせ殺してしまっても、食べてしまうから別にいいでしょう!」
しどろもどろになりながら、言い訳をする。
フセと呼ばれたこの少女は、人間のクズの間ではかなりの発言力を持つ存在……
いや、支配階級なのか。
男たちの言葉を聞き、フセは
「黙りなさい! 例え殺して肉を得るためだけの動物でも、扱いに作法はあります!」
強い言葉で更に叱責する。
男たちは萎縮した。
そこに畳みかける。
「……その犬は私が没収します。良いですね?」
有無を言わせぬ言葉。
……逆らう者は存在しなかった。
「痛かったわね。辛かったわね」
助け出され、骨折のような重大な怪我の有無を確認され。
俺は解放された。
俺にとっては無理難題である猟犬の身分から。
フセが住んでいるのは特に大きなテントで。
獣の毛皮で造られた絨毯の上に、彼女は座っていた。
「お詫びと言ってはなんだけど、あなたは私の飼い犬にするわ。だから、彼らを許してあげてね」
彼らも毎日苦しいのよ、と。
俺を虐待した男たちの身の上を語ってくれる。
……俺は犬なんだけど。
本来なら理解はできない。
だからこれは、彼女の自己満足なはずだ。
自分たちの境遇を語り、俺に許してもらったテイを取るための。
彼女の話によると
曰く、彼女らレッサーヒューマン、通称・人間のクズは、上位人類を自称するグレーターヒューマンに苦しめられる存在で。
一方的に労働徴用され、働きが悪いと容赦なく殺される。
そして積極的に繁殖することが求められ、女子の場合、適齢期なのに妊娠していない状態で彼らグレーターヒューマンに出会ってしまった場合。
死を覚悟しないといけないらしいんだ。
人間のクズの分際で繁殖をサボってる、って言われれて。
そうすることで、妊娠しないと殺されるかもしれないという危機感を持たせたいらしい。
そのために、妊娠していない女子はお腹に詰め物をして出歩くのが習慣化しているそうで。
……そんな残虐で理不尽な真似が許されているのは……
彼らグレーターヒューマンが
そのせいで、レッサーヒューマンはグレーターヒューマンへの絶対服従を強いられている。
……俺の脳裏に、前の飼い主に捨てられる前にされたことが蘇った。
そっか……前の飼い主の技……
「フセ」
そのとき。
フセのテントに男が入って来た。
結構若い男だった。
お……?
オレンジの髪色の優男だった。
所謂ロンゲ。
印象としてはちょっとホストっぽかったけど。
「ヨースケ」
彼を目にした瞬間、フセの声が喜びに包まれる。
表情を見なくても分かった。
……ああ。
そっか。
この男、フセの恋人なんだな。
その後抱き合って、口づけを交わす姿を見て、俺はそれを確信した。
……俺はここまでの様子で、フセは善人であると思ったし
そのフセがここまで惚れてるんだから、多分このヨースケは良い男なんだろうな。