野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~ 作:XX(旧山川海のすけ)
俺は……かつて、グレーターヒューマンの家庭で飼われていた。
そこで俺は、自分で餌を食べられるところまでは育てて貰えた。
そして転生直後に、この世界の概要を学ばさせて貰った。
一緒に、テレビを見せて貰うことで。
チィちゃん。
そう呼ばれていた飼い主の少女と一緒に。
名前を思い出したとき。
連鎖的に他の記憶も蘇って来る。
明るい少女だったとか。
両親と仲が良い子だったとか。
最終的に俺を捨てたけど。
そこまでは、俺の世話をしっかりしてくれたとか。
俺を捨てるときに申し訳なさそうにしてたとか。
……最終的に捨てたのだから、最低の飼い主だと言う人もいるかもしれないけど。
俺は飼われていたときの恩は忘れたくなかった。
ハッキリ言おう。
俺はチィちゃんを別に恨んで無いし、嫌ってもいない。
そんな子が、まさか
なんという……運命の悪戯というやつなんだ……!
「サカザキ様、間違いを犯さない人は居ないんですよ」
そこにシノinヤマモトがフォローする。
その口調は優しい。
だけどチィちゃん……チフユは
「ありがとう……でも、私はこの罪を一生背負うつもりよ」
そのフォローに礼は言っても、受け入れて自分を許そうとはしなかった。
彼女は自分に厳しいんだろうな。
「人間のクズ居住区に捨てられたあの子は……キチンと生き抜けたのかな……? あそこに住んでいるのは人間のクズ共だから、元気な犬を見つけてしまえば、殺して食べてしまうかもしれないのに……!」
彼女の本気の後悔。
「……どうして」
そこで。
ボソリ、と。
シノinヤマモトが呟く。
その呟きに
「……ヤマモトさん?」
チフユは顔を上げ、見つめる。
そこでシノinヤマモトは
「どうしてそんなに自分を責めるのですか?」
なんだか、少し白々しいくらい、芝居がかった返しをした。
「どうして、その犬に向ける優しさと責任感を、レッサーヒューマンに向けないんだと思ったら、言ってしまいました」
チフユが帰宅してその後。
俺があの不自然な受け答えは一体何だったんだと訊ねたら
返って来たその言葉に。
……無理も無いな。
そう思わざるを得なかった。
こういうの、歴史を紐解くとさ……
俺の前世でも、結構あったと思うんだ。
同じ人間よりも、犬や猫、馬を大切にする。
ただ、肌の色や宗教、風習が違うだけなのに、同じ人間を。
こういうの、本当になんなんだろうな?
俺はそんなことを、ヤマモトの身体で怒りに震えている娘シノを見つめながら考えた。