※この作品はR-18です。

野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第70話 チィちゃん

 俺は……かつて、グレーターヒューマンの家庭で飼われていた。

 そこで俺は、自分で餌を食べられるところまでは育てて貰えた。

 

 そして転生直後に、この世界の概要を学ばさせて貰った。

 一緒に、テレビを見せて貰うことで。

 

 チィちゃん。

 

 そう呼ばれていた飼い主の少女と一緒に。

 

 名前を思い出したとき。

 連鎖的に他の記憶も蘇って来る。

 

 明るい少女だったとか。

 両親と仲が良い子だったとか。

 

 最終的に俺を捨てたけど。

 そこまでは、俺の世話をしっかりしてくれたとか。

 

 俺を捨てるときに申し訳なさそうにしてたとか。

 

 ……最終的に捨てたのだから、最低の飼い主だと言う人もいるかもしれないけど。

 俺は飼われていたときの恩は忘れたくなかった。

 

 ハッキリ言おう。

 俺はチィちゃんを別に恨んで無いし、嫌ってもいない。

 

 そんな子が、まさか人類将(アークヒューマン)に出世して、俺の家族と敵対する関係になってしまうなんて。

 なんという……運命の悪戯というやつなんだ……!

 

「サカザキ様、間違いを犯さない人は居ないんですよ」

 

 そこにシノinヤマモトがフォローする。

 その口調は優しい。

 

 だけどチィちゃん……チフユは

 

「ありがとう……でも、私はこの罪を一生背負うつもりよ」

 

 そのフォローに礼は言っても、受け入れて自分を許そうとはしなかった。

 彼女は自分に厳しいんだろうな。

 

「人間のクズ居住区に捨てられたあの子は……キチンと生き抜けたのかな……? あそこに住んでいるのは人間のクズ共だから、元気な犬を見つけてしまえば、殺して食べてしまうかもしれないのに……!」

 

 彼女の本気の後悔。

 

「……どうして」

 

 そこで。

 ボソリ、と。

 

 シノinヤマモトが呟く。

 

 その呟きに

 

「……ヤマモトさん?」

 

 チフユは顔を上げ、見つめる。

 そこでシノinヤマモトは

 

「どうしてそんなに自分を責めるのですか?」

 

 なんだか、少し白々しいくらい、芝居がかった返しをした。

 

 

 

「どうして、その犬に向ける優しさと責任感を、レッサーヒューマンに向けないんだと思ったら、言ってしまいました」

 

 チフユが帰宅してその後。

 俺があの不自然な受け答えは一体何だったんだと訊ねたら

 

 返って来たその言葉に。

 

 ……無理も無いな。

 

 そう思わざるを得なかった。

 

 こういうの、歴史を紐解くとさ……

 俺の前世でも、結構あったと思うんだ。

 

 同じ人間よりも、犬や猫、馬を大切にする。

 

 ただ、肌の色や宗教、風習が違うだけなのに、同じ人間を。

 こういうの、本当になんなんだろうな?

 

 俺はそんなことを、ヤマモトの身体で怒りに震えている娘シノを見つめながら考えた。

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