野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~ 作:XX(旧山川海のすけ)
「父上、朗報です!」
ある日。
娘が帰宅していきなり話し掛けて来た。
なので早速50音表を用意して話を聞くと
チフユが眠気覚ましのコーヒーを飲んでいたという目撃証言で。
何でも、書類仕事が難航して、徹夜になって連勤という事態になったんだと。
そりゃチィちゃん大変だな。
……俺はそうとしか思えなかったんだが。
シノは興奮していた。
何でさ?
気になったので確認する。
すると
「分かりませんか? 父上……」
シノは教えてくれたよ。
それが何を意味するのか。
それは……
「神域には毒が効きます!」
……あっ!
そうか。
コーヒーが眠気覚ましになるのであれば、それは薬物が常人通りに通用するってことだ。
カフェインが通用するってことなんだから。
そっか……そういうことか。
経験則で「神域は病気にならない」ということを知っていたので、何だか思い込みで「だったら薬も効きそうにないな」って思い込んでいたんだけど。
ただの思い込みだったらしい。
まぁ、思えばさ……
ヤマタノオロチは酒で潰されているし、酒吞童子もそうだよな。
そこから考えたら、毒物は通用する可能性高いわ。
酒が効くってことは、毒が効くってことだし。
「なんとか
シノは興奮した様子で捲し立ててる。
うん、それは良い手だと思う……
だけど。
それだったら毒ガス兵器を使えば一発じゃ無いか?
そう思った。
だけど……聞いた覚えが無いんだよな。
毒ガス兵器。
だからひょっとしたら、この世界では毒ガス兵器が無いのかもしれない。
その理由だけど……
技術的な問題じゃ無いんじゃ無いかな?
発想としては普通に出るわけだし……
だって、天然で即死級の毒ガスって存在するわけでしょ?
そんなものを目にしたら、模倣するのが人間だ。
なのに、無い。
初代様とやらがこの世界に降臨してから、すでに2000年経過してるのに。
……ありえんの?
そこでちょっと考えた。
で、思ったんだけど……
そんなものを開発すると、神域を簡単に殺戮する武器を誕生させることになるから、敢えて開発をしなかったのかもしれない。
レッサーヒューマンに盗まれると事だしな。
「父上。グレーターヒューマンからの鉱山殲滅戦が2か月後に決まりました」
そしてまた別の日。
シノが俺に報告する。
その表情は緊張感が伴っていた。
2か月後か……長いな。
その理由を訊ねたら
第2オリハルコン鉱山内の食糧や薬品等の消耗品が底を尽いて、中の俺たちが疲弊したところを狙うつもりなんだと。
一応納得できる理由ではあるが……
こっちもそれぐらいは対策してんだよね……
舐めてもらっちゃあ、困る。
……もっともそれは、こっちにも言えることなんだけどな。
だから
シノ、父さん、1回鉱山に戻るわ。
次の休みに外に連れて行ってくれ。
ここで得た情報を、鉱山の方に持って帰らないと。