野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~ 作:XX(旧山川海のすけ)
ケノに大体のことを報告し、ケノからの鉱山内の近況報告を受けた後。
このオリハルコン鉱山内に設けられた、フセの部屋に案内された。
フセ……もう2カ月近く会っていないけど。
どうしているだろうか。
天上界に2カ月近く潜伏し。
娘の報告を受けたり、テレビ番組で情報収集したり。
生活自体は余裕はあったけどさ。
やはり、大切な妻に会えないのは辛かった。
フセが居たから、俺は死なずに済んだ。
そして家族を得ることが出来たんだ。
切っ掛けは歪だったかもしれないけど、今はハッキリと言える。
俺はフセを愛しているし、フセが産んでくれた子供たちは全員が大切だ。
誰一人欠けることなく、この戦いを勝ち抜いていきたい。
それは、甘いことかもしれないけど。
そんなことを考えながら、俺は妻が待つ部屋に向かった。
銀色の髪で、高貴さを感じる姿の、最愛の女性の待つ部屋に。
すると
「あなた! ご苦労様でした!」
フセが駆け寄って……は来なかった。
俺がフセの生活している部屋に入っても。
彼女は、小さな犬耳の女の子を抱っこして、毛皮の敷物の上に座っていた。
女の子……
俺が興味の視線を向けたことに気づいたのか、フセは笑顔で
「喜んでください。この子はヒールが産んだ子のフェンリルです」
そう言って、3~4才くらいのその子を見せてくれた。
「フェンリル……この方があなたの父上よ。さぁ、ご挨拶なさい」
フセの腕から降りて、少し警戒しながら俺を見て、ぺこりと頭を下げる。
……ヒールによく似てるかな。
目が大きいあたりがヒールの産んだ子らしい。
「こ、こんにちはちちうえ」
おお……
ちゃんと喋れるんだ。
「は、ははうえー」
そして言い終えたら、怯えた顔でフセの方に逃げた。
そう。
フセの方に。
彼女を自分の母親として。
……正妻と側室の地位の問題。
正妻しか、家族の中で母を名乗れない。
産んだのはヒールだが、ヒールは産んだ人であって、母では無いんだ。
この辺についてはケノに命じて徹底させた。
絶対にアサとヒールには母の権利は与えるなと。
彼女ら2人は、フセの下の女であり、俺にとっては子供を産んでくれる家臣でしか無い。
……非情に思えるかもしれないけどさ。
俺の前世で、実際に側室が居た時代は、そういうものだったわけだからな。
それに倣った。
それで上手くいっていたんだから、そうするべきだ。
情を交えてはいけない。
俺とフセは、50音表で会話した。
離れていた間のことを。
そして、結構迷ったんだが……
俺は、言うことにしたんだ。
フセ、実は俺
ここから先を50音表で示して伝えるとき。
俺は迷いがあった。
迷ったけど……
天上界で……お前に拾われる前に、俺を飼っていた女と再会したんだ、と。