野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~ 作:XX(旧山川海のすけ)
「父様、お疲れ様です」
妻と、新しく生まれた我が子2人を見てきた後。
この鉱山を実質的に動かしている我が娘・ケノと話をした。
そして、シノが見つけた神域の弱点「毒有効」を伝えたんだ。
すると
「……姉様はとてつもなく大きな秘密を探り当てましたね」
ケノは少し興奮気味に。
シノが妹に認められる様には、嬉しいものがある。
シノは、妹のケノの頭の良さを口には出さないけど、引け目に感じているところがあったから。
ケノがこうして、自分の姉を賞賛するのは親として嬉しい。
「どうやって使いましょうか? ヒールさんの神技を使い、毒草から毒だけ抽出するとか……」
考え込んでいる我が娘。
……結構迷った。
迷ったが。
俺は、言うことにした。
ケノ、訊いて欲しいことがある、と。
「……父様は、アタシたちを救うために別世界から呼ばれた救世主なのかもしれませんね」
……俺は我が娘・ケノに俺の前世の話をしたんだ。
この子なら俺の言ってることを正しく理解してくれると踏んだからだ。
フセの事は最愛の女として愛してはいるけれど、これは言っていない。
前世の話だから。
今世とは関係無いから。
でも……
この子は、この鉱山でのブレインを担当している子だ。
俺と同じことを知っていてもらいたいんだ。
俺では辿り着かないところに辿り着いてくれるかもしれないから。
「父様、アタシをそこまで評価していただけて光栄です」
頭を下げるケノの顔には照れがあった。
それが少し可愛いと思ったよ。
「……でも」
ケノは遠い眼をした。
「どこの世界でも、差別や理不尽はあるんですね……。例え、生命体としての条件が同じであっても……」
俺はそのケノの様子に
だからと言って、今の戦いが無意味であるとは思わないでくれと言うと。
「ええ、分かってます……1度はじめてしまった戦いは、勝たないと全て失うんですよね」
頷きながら我が娘。
俺の勝手な予想だけどさ……
この戦いに勝って、レッサーヒューマンの自由と独立が得られたとしても。
今度はレッサーヒューマンの内部で差別と理不尽が起きると思うぞ。
悲しいことだけどな。
まぁ、それが。
今ほどの酷さではないことを願うばかりだ。
そしてしばらくして。
ケノは俺を見つめ
「それはそうと……毒ガス兵器……開発できるならしたいですね」
話を切り替えて来た。
そういう兵器が俺の前世で存在した話をしたんだよ。
俺は「1度開発してしまえば、きっと相手も開発して来るぞ。そうすると虐殺合戦だ」
これを言ったんだけど。
ケノは
「先に開発しないと、相手が開発してくるかもしれないじゃないですか」
そうすると、やられるのはこっちです。
そう、真顔で返して来た。
……正論なんだよな。
でも
俺が語ったことが、この世界での大虐殺に繋がらないことを願うよ。
本気で。