※この作品はR-18です。

野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第7話 神技《シンギ》

 フセの飼い犬になり。

 俺にはようやくの安定が来た気がした。

 

 朝は寝ているフセの傍で目覚め、生まれたままの姿でヨースケと同衾している飼い主を吠えて起こす。

 

 ……さすがに犬あるあるの「舐めて起こす」は出来なかった。

 それは変態行為のように思えたので。

 

「……あ、おはようエイト」

 

 俺の吠え声で、フセが寝床の中で微笑んでくれた。

 俺の名前を呼んで。

 

 エイト。

 それが俺の新しい名前。

 

 最初の飼い主のチフユが暫定的に何か名前を付けていた気がするが、新しい名前を貰ったとき忘れた。

 俺の名前はエイトだ。

 

 起きて食事等が終わった後。

(ちなみに俺も餌を貰える。残飯だけどな)

 

 フセは人目のない場所に移動し。

 その場に落ちている大岩を……

 

 

 ひょい、と持ち上げたんだ。

 

 えっ、と思った。

 

 一瞬、あの大岩は発泡スチロールで出来ているのかと思った。

 それぐらい、異常な光景。

 

 で、それを放り投げ、フセは空中にあるそれに拳を繰り出す。

 連打。無呼吸連打だ。

 その怒涛の拳。

 それで粉々に砕いていく。

 ……どうなってるの?

 

 思わず硬直してしまう。

 

 あんなの、女の子どころか、人類の範疇を超えている……

 

「……お前も気になるのかい?」

 

 俺がフセの行動をガン見して、固まっているのを感じ取ったのか。

 ここに一緒に付いて来たヨースケが、俺の隣に座って教えてくれた。

 

 まぁ、向こうは俺がガン見してるから、なんとなく語ってみたくなっただけなんだろうけどさ。

 犬相手にマジで話していたら、そりゃヤベェ奴だよ。

 

 けど……

 

 だからこそ、本当のことなんだろうな。

 だって、犬相手に嘘を吐いても意味がないだろ?

 

 

 ……どうも、フセも神技(シンギ)が使えるらしい。

 

 神技には名前があり、彼女の神技は「タケミナカタ」

 その内容は「剛力と頑健」

 常人の何倍ものパワーを持ち、スタミナ、骨格、生命力の強さもブーストされる。

 謂わば超人化する神技だ。

 

 彼女が7才のときに目覚めたそうで。

 

 ……でも

 

 フセの話では、神技が使えるのはグレーターヒューマンだけだったはず。

 なのにレッサーヒューマン……人間のクズであるフセが何故使えるのか……?

 

 そこに思い当たったけど。

 すぐになんとなく予想がついた。

 

 ……おそらくフセは、グレーターヒューマンに強姦された女性から生まれたんだろう。

 混血の場合なら、レッサーヒューマンでも神技に目覚めるのかもしれない。

 

 ……おそらく、かなり低確率で。

 

 何故なら、それが高確率なら強姦を行ったグレーターヒューマンはフセの母親を確実に殺害しているハズと思うから。

 

「フセは使命を背負っている。だから僕はフセを絶対に幸せにしてあげないといけないんだ……」

 

 ……ヨースケの言葉に。

 俺はなんとなく、この2人が何のために一緒に居るのかが分かってしまった。

 

 ……低確率でも、欲しいんだろうな。

 ここの環境で住んでいる人たちは。

 

 神技(シンギ)を持ったフセの子供を……特に男の子を。

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