野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~ 作:XX(旧山川海のすけ)
第79話 犬同伴デート
ケノのメモに何が書いてあったんだ?
それが気になったので、俺が娘に訊ねると。
娘は、シノinヤマモトは
「
そう答えてくれた。
その表情は……闘志を燃やしてる表情だったよ。
数日後。
俺はリードをつけられて、ヤマモトにinした状態の娘と共に天上界の大型公園の池の前を目指して歩いていた。
今日は休日で。
これからチィちゃんとデートなんだよね……
我が娘……男の身体に入って、女相手にハニトラ掛けてるのな。
ええんか、と思わないでも無いんだが……
……うん。しょうがないわな。
レッサーヒューマンの未来のためだ。
娘が腕時計を見る。
待ち合わせは10時で。
娘は30分前に到着を目指してたんだが。
……待ち合わせ場所の池の前。
フクロウの石像の前に辿り着くと。
すでに彼女が居た。
「えっ、サカザキ様」
彼女はチェックのスカートに白いブラウス。
その上に黒いコートを羽織ってて。
全く普通の女の子に見えたよ。
「あっ、ヤマモトさん!」
こっちを見つけると、彼女は嬉しそうに手を振り
満面の笑みを浮かべた。
「サカザキ様、先に来てらしたなら、もっと早く出れば良かったですね」
娘がヤマモトの肉体ですまなさそうにそう言うと
「気にしないで。私、他人を待たせるの嫌いだし」
ニコニコしながら
「あと、サカザキ様は止めてくれる? ヤマモトさ……」
そう言いつつ、何か思うところがあったのか
「……いや、ヤマモトくん」
そう言い直した。
ちょっと勇気が要ってる感じだな。
そしてチィちゃんの言葉に従い、我が娘はチィちゃんをサカザキさんと呼び。
この公園内に設けられているドックランに2人で向かう。
「犬の散歩なんて久しぶりよ。実家に居たときは私の仕事でもあったんだけどね」
そうしみじみと言うチィちゃん。
……ああ、確かそうだったかな。
なんだか思い出して来たよ。
俺と、母犬と、兄妹犬。
その3匹で近所の道を走らされていた。
……思えば、当時はただの少女だったのに、異様に腕力が強かった思い出がある。
犬の馬力に負けて無かったというか。
散歩コースの決定権は常に彼女にあったような。
まあその理由は……
「今は飼ってらっしゃらないんですよね?」
娘のそんな質問に
「……ええ。そうよ」
少し遠い目をする彼女。
それは何故なのか……?
「
そこで、彼女の目が沈む。
「……あとはまぁ、新しく犬を迎え入れることに自分の資格が引っかかって、抵抗があったからかな」
ようは、俺を捨てたからか。
仕事に慣れて余裕が出来ても、だからといって犬を新たに迎え入れることに抵抗があったのか。
まるで犬をアクセサリーにしてるみたいな気がして。
……真面目だな。
俺が知ってるチィちゃんは、明るい陽気な少女だったんだが。
そんなことを隣で聞いていて、俺は思った。
俺の元飼い主には、そんな面もあったんだな。
そして娘は
「責任ですか」
そう一言言い
「……今頃ですけど」
答え辛い質問だからか。
気遣いの意味か。
チィちゃんの話にはそれ以上コメントを出さず。
話題を変えて、こんなことを言った。
「今日の服、非常に良くお似合いですよ。サカザキさん」
すると
チィちゃんは何も答えなかったが。
明らかに、嬉しそうだった。