野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~ 作:XX(旧山川海のすけ)
公園のドッグランにやって来た。
数多くの飼い犬たちが楽しそうに走り回っている。
俺もリードを外してもらい、解放。
普段部屋飼いで、散歩はリード付きのストレスがあるので。
わりと本気で大喜び。
わんわんわーん! って感じで走り回る。
やっぱ犬は走るものなんだな。
気持ちいいわ。
ああ……ストレスが消えていく……
「ふふ。ゲンパチ嬉しそう」
そんな俺を見て、チィちゃんのコメント。
その声音は慈愛に満ちていた。
複雑な気持ちになるよ……
考え込むと気持ちが沈むから嫌なんだけど
チィちゃんの隣で、ほぼ彼氏の立ち位置で見守る男に入り込んでいる娘の気持ちとか。
俺の告白に、グレーターヒューマンへの呪詛を吐き続けた妻のフセの様子とか。
俺自身の、グレーターヒューマン全体に対する気持ちとか。
……前も言ったけど、俺自身はグレーターヒューマンそのものを憎んではいない。
下層の奴らは大嫌いだけどな。
やることは決まってるし、考えても仕方ないんだけど……
頭の中で湧いてくるものはどうしようもない。
忘れるために、さらに大きく吠えながら走りまくる。
そんな俺を見守りながら、2人は話していた。
こんなことを。
「この間、風邪を引いたんで栄養剤とカッコントーを飲んだんですが、あれは効きますね。医者に掛からなくて済みました」
「あらそう。……私は病気になったことが無いから分かんないな」
まあ、知ってることだけどな。
経験則でそれは知ってたんだよ。
病気にならないのは。
俺の子供たちで、熱を出したり風邪を引いたのは
その他の子供で、病気になった子は1人も居なかったから。
まぁ……そこから先は知らなかったんだが。
シノinヤマモトは
「じゃあ、薬を飲んだこと無い感じですか? 羨ましいですね。苦いですし。薬」
そう爽やかに笑いつつ。
するとチィちゃんは唇に指先を当て
「んー、風邪薬は無いけど……睡眠導入剤は飲んだことあるわよ? ストレスが酷かったとき」
……重要な言葉!
やっぱり間違いは無かったんだッ!
思わず興奮した。
娘は動揺を装いつつ
「え……薬は効果あるんですか?
「当たり前でしょ。そうじゃなかったら腐ったものを食べてしまって食中毒になったらどうするのよ?」
娘のリアクションに、何言ってんのと苦笑を浮かべつつチィちゃん。
そんなチィちゃんに
声を潜め、娘。
「……あの」
「何?」
そして娘はチィちゃんに耳打ちした。
その顔が驚愕に見開かれる。
「なるほど……それはちょっと可能性としてはあるわね。相談してみるわ」
考え込み、そう口にするチィちゃんに
俺の娘
「……どなたに?」
その言葉に、チィちゃんは視線を向けて。
しばらく考え込んで。周囲を見回し。
人が居ないことを確認後、そっと我が娘を手招きし、囁いた。
その言葉が、偶然俺の耳に届いた。
それはこういうものだった。
「……あなたは副官だから、言うわ。絶対に他言しちゃだめよ?」
トップシークレットの機密情報……!
俺の耳の集中力が限界まで高まる。
なので、しっかり聞こえてしまった。
「聖亀スプリスさんの神技は『超頭脳』……恐ろしく頭が切れるようになる神技なのよ」
……やはり。
そういうことだったのか……!