※この作品はR-18です。

野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第82話 自分の生家で

「お母さーん! ヤマモトさんを連れて来たよ!」

 

 チィちゃんが玄関にシノinヤマモトを迎え入れ。

 母親を呼ぶ。

 

 すると

 

「まぁまぁよくいらっしゃいました。ヤマモトさん」

 

 家の奥から高齢女性がやってきて。

 笑顔で家に上げてくれた。

 

 家に上がる際、俺の足が濡れ布巾で拭かれる。

 キチンとしてるなぁ。

 

 

 

「ヤマモトさんは何処の地域ご出身で?」

 

「北区ですね」

 

 ヤマモトの身体に入り込んだ我が娘が、向こうでテーブルについてお茶をいただきながら談笑している。

 チィちゃんの母親と。

 

 上々の印象を与えているように見える。

 

「北区……ということは、天上界競技場の近くね。天上五輪会を見に行ったとき、行ったことあるわよ」

 

 良いところよね、という調子でチィちゃん母親。

 楽しそうに。

 

 ウエルカム、って空気が出てるな。

 

 さて……

 

 俺は10年ぶりに戻って来た家を見回す。

 

 ああ、ここのリビング。

 覚えがある。

 

 玄関にある犬小屋……ここで寝るときは母犬と一緒に居たよな。

 あのリビングのテレビ……あそこでチィちゃんと一緒に番組を見たよな。

 

 なんだか懐かしくなり、俺はリビングに入り、テレビの前で鎮座する。

 

 テレビではドッキリ番組が放送されていた。

 

 芸人たちが仕掛け人たちにドッキリを仕掛けられて、それがお笑いになるタイプの。

 こっちの世界でもあるのかと思い、見入ってしまった。

 

 でさ。

 ……見てて気づいたんだけど。

 

 ドッキリを仕掛けられる人間は芸人だけじゃなくて。

 怪物マスクで脅かすような軽いタイプのドッキリなら、素人も混じってたんだけど……

 

 全員、右手首に入れ墨がある人間……レッサーヒューマンじゃ無かったんだな。

 グレーターヒューマンだったんだよ。

 

 こういう場合に、弱い立場の存在を甚振って愉しむような構図を嫌悪する倫理観はあるんよな。

 その辺は、薄々気づいてた。

 

 だから……どうしようもないもどかしさを感じる。

 

「ゲンパチ君、テレビにご執心よね」

 

 そこに

 

 チィちゃんが近づいてきて俺の隣に座り。

 俺の首の毛並みを撫でる。

 

 そして

 

「なんだか……ううん……まぁいいか」

 

 チィちゃんは少し遠い眼をして。

 その後その目に罪悪感を浮かべ。

 

 黙ってしまう。

 

 ……ひょっとして、俺が仔犬だった時代を覚えてくれているのかな……?

 当時から、情報収集のためにテレビには注目してたしな。

 

 俺の方も……

 なんだか感傷に近いものを感じた。

 

 もしあのまま俺が捨てられず、この家の飼い犬でいたら……

 

 フセに出会わず、レッサーヒューマンの惨状も知らず。

 ただの犬で一生を終えていたのか……

 

 それはそれで、きっと悪くなかったんだろうな。

 

 でも、今の俺の犬生は……

 俺は不幸だとは思わない。

 

 

 

 そして時間が過ぎ……

 エックスデーがやってきたんだ。

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