※この作品はR-18です。

野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第88話 俺たちの要求

「サマリーですよ。サカザキ様……と言いたいところだけど、遊んでる場合じゃ無いから」

 

 突如、女の話し方になったので、チィちゃんの顔が蒼褪める。

 

 男性の身体で笑みを浮かべつつ、シノは続けた。

 

「私はシノ……フセの8人の子供の第一子。あなたの仲間2人はもうこっちのものだから。大人しくしなさいね」

 

 この言葉で、チィちゃんも何が起きたのか理解したらしい。

 

「……ひ、卑怯! 人質を取るなんて卑怯よ! 恥ずかしくないの!?」

 

「何が恥ずかしいのか分からない。闘争を挑んでるんだから、何でもありでしょ? どうせ、私たちの反乱に合わせて、奴隷労働をさせてる私たちの同胞を殺したり、傷つけたりして甚振って悦んでいたんでしょう?」

 

 その声は冷たかった。

 こっちとしてもそれは覚悟してたからな。

 

 レッサーヒューマン全体の勝利のために、救えない命は諦めたから。

 

 するとチィちゃんは

 

「公にはしてないわ! レッサーヒューマンは大事な労働力なの! むやみやたらに傷つけてどうするのよ!?」

 

 ……公ってのが闇深いな。

 後半の内容は説得力があるけども。

 確かに公に記録が残るような時代では、使役されている奴隷はそんなに酷い扱いは受けて無かったっていう話は聞いたけど。前世で。

 

 ……レッサーヒューマンは搾取される側だから、基本良いイメージなんてグレーターヒューマンに持って無いしな。

 そして集落の長老たちは逃亡奴隷だからな。

 扱いが悪いことが基本だろ。そう酷く無いなら、逃げ出すのは悪手になってくるわけだし。

 

「……嘘ばっかり。あなたたちは残虐な悪魔。私たちを犬よりくだらない生き物と見下している」

 

 だけどシノの言葉はとても冷たい。

 もう誤魔化す必要が無くなったから、止まらないものがあるのか

 

「あなたの話を聞くたびに、怒りが噴き出して困ったわ。自分たちばかりを愛して、他にその愛を向けようとしない悪魔の集団め」

 

 シノの話で、気づいたらしい。

 チィちゃんの視線が、気を失って倒れているヤマモト氏に向いた。

 

 その様子にシノはせせら笑った。

 

「そうよ……あなたがここ数カ月、恋愛感情を抱きつつあった男の中身は……この私よ!」

 

 その言葉に。

 チィちゃんの目に涙が浮かび。

 

 そして

 

 ボロボロと涙を溢した。

 

 シノの嘲笑は止まらない。

 

「へぇ、泣くんだ? 悪魔のくせに? なんて汚い涙……」

 

 さすがに少し酷過ぎる。

 やめさせたい、と俺は思ったけど。

 

「姉様」

 

 そこにケノが割って入った。

 

 シノがその目を向ける。

 ケノは言ったよ

 

「今は余計な話をしている場合じゃありません。生産性の無い会話はそこまでにしてください」

 

 そんな妹の言葉に。

 姉であるシノはスッと真顔になり

 

「そうね」

 

 そう言い、話すのを止めた。

 

 ここで、会話の主導権はケノに引き継がれた。

 

 ケノはチィちゃんに視線を向け

 

「ええと……人類将(アークヒューマン)のチフユさんでしたね。私たちがアナタたちに要求することはただひとつです」

 

 シノと違い、ケノの言葉には感情が籠っていない。

 事務的だった。

 

 チィちゃんの視線が向く。

 

 その視線を受け、ケノは

 

「私たちはここから出て行って、こことは別の国を創りますから、そのために要求される、あなたたちが保有している関連技術を要求します」

 

 俺たちの目的を、チィちゃんに述べたんだ。

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