※この作品はR-18です。

野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第89話 受諾

「別の国を創る……? この国から出て行く……?」

 

 チィちゃんは、全く予想をしていない言葉を言われたからか。

 オウム返しでそう繰り返した。

 

 ケノは頷き

 

「……あなた方と全面戦争しても勝てる保証は無いですから、外の世界に行くんです。あなたたちにとってもありがたい要求なはずですよ?」

 

 ……そう。

 俺たちは別に、グレーターヒューマンを全滅させて、この土地を全部奪い取ろうとは思っていなかった。

 

 ただ、外に自分たちの国を創りたい。

 それが目的だったんだ。

 

 でも、そのためには知識も技術も足りないから。

 それを寄越せって言ってるんだよ。

 

「……そんな。そんなことが可能だと思っているの?」

 

 チィちゃんはあまり腹芸の出来る子じゃ無いんだな。

 今頃だけど、それが分かってしまった。

 

 ここで出て来る言葉が、こっちの要求の実現性についてだなんて。

 ケノは

 

「グレーターヒューマンは宗教上の理由で、外に行かないだけですよね? それが不可能であるという根拠はないはずですが?」

 

 グレーターヒューマンの社会では、外の世界に行くことが禁止されている。

 

 現在の居住地が神に与えられた自分たちの領域である。

 許されているのはそれまで。それ以上を求めてはいけない。

 

 そういう教えがあり、それを守り通しているんだ。

 

 ……何でなのかな。

 最初、そう思ったんだが……

 

 多分だけど……外に行った奴らが、グレーターヒューマンの別の国を創り、成長して里帰りとばかりに天上界に攻めて来る。

 その構図を恐れたんでは無いのかな。

 今は、そう思っている。

 

 前世では徳川の治世は265年続いたし、黒船が来なければきっともっと続いただろう。

 国には適当な大きさがあるはずなんだよ。

 

「……そんな! それは神様への反逆……!」

 

 ケノの言葉を感情だけで否定してしまうチィちゃん。

 ケノは取り合わない。

 

「そんなもの、我々は知ったことではありません。……手伝っていただけないのであれば、捕えた人類将(アークヒューマン)2名の命はありませんし、鉱山で拘束している、グレーターヒューマンの捕虜たちの命もありません」

 

 冷徹に要求と、自分たちの要求が通らなかった場合のこちらの報復行為を述べる。

 すると

 

「……鉱山内の人間たちはまだ生きているの!?」

 

 チィちゃんの驚愕の声。

 とっくに殺されていると思っていたのかな。

 

 ケノは頷き

 

「全部終わったら解放します。全部終わればね……」

 

 それだけ、強調。

 

 それを聞いたチィちゃんは

 

 俯き、黙り込み……

 

 そして

 

「……分かったわ。あなたたちの要求を、上に伝えます」

 

 そう、苦渋の決断を下したんだ。

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