野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~ 作:XX(旧山川海のすけ)
「別の国を創る……? この国から出て行く……?」
チィちゃんは、全く予想をしていない言葉を言われたからか。
オウム返しでそう繰り返した。
ケノは頷き
「……あなた方と全面戦争しても勝てる保証は無いですから、外の世界に行くんです。あなたたちにとってもありがたい要求なはずですよ?」
……そう。
俺たちは別に、グレーターヒューマンを全滅させて、この土地を全部奪い取ろうとは思っていなかった。
ただ、外に自分たちの国を創りたい。
それが目的だったんだ。
でも、そのためには知識も技術も足りないから。
それを寄越せって言ってるんだよ。
「……そんな。そんなことが可能だと思っているの?」
チィちゃんはあまり腹芸の出来る子じゃ無いんだな。
今頃だけど、それが分かってしまった。
ここで出て来る言葉が、こっちの要求の実現性についてだなんて。
ケノは
「グレーターヒューマンは宗教上の理由で、外に行かないだけですよね? それが不可能であるという根拠はないはずですが?」
グレーターヒューマンの社会では、外の世界に行くことが禁止されている。
現在の居住地が神に与えられた自分たちの領域である。
許されているのはそれまで。それ以上を求めてはいけない。
そういう教えがあり、それを守り通しているんだ。
……何でなのかな。
最初、そう思ったんだが……
多分だけど……外に行った奴らが、グレーターヒューマンの別の国を創り、成長して里帰りとばかりに天上界に攻めて来る。
その構図を恐れたんでは無いのかな。
今は、そう思っている。
前世では徳川の治世は265年続いたし、黒船が来なければきっともっと続いただろう。
国には適当な大きさがあるはずなんだよ。
「……そんな! それは神様への反逆……!」
ケノの言葉を感情だけで否定してしまうチィちゃん。
ケノは取り合わない。
「そんなもの、我々は知ったことではありません。……手伝っていただけないのであれば、捕えた
冷徹に要求と、自分たちの要求が通らなかった場合のこちらの報復行為を述べる。
すると
「……鉱山内の人間たちはまだ生きているの!?」
チィちゃんの驚愕の声。
とっくに殺されていると思っていたのかな。
ケノは頷き
「全部終わったら解放します。全部終わればね……」
それだけ、強調。
それを聞いたチィちゃんは
俯き、黙り込み……
そして
「……分かったわ。あなたたちの要求を、上に伝えます」
そう、苦渋の決断を下したんだ。