※この作品はR-18です。

野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第90話 過去からの復讐

「そう。良かったわ」

 

 そのとき。

 シノとケノ、そしてチィちゃんの会話が行われている間に。

 俺の隣に来ていた俺の妻。

 俺の正妻フセが口を開いた。

 こっちの要求が天上界のグレーターヒューマンたちに通る目途が立った、と判断したからか。

 

「母様?」

 

 ケノがそれに気づく。

 フセは

 

「ご苦労だったわね。ケノ。ありがとう」

 

 ……チィちゃんは驚いていた。

 驚きで言葉が発せないみたいだった。

 

 ……フセは確か27才くらいのはずだ。

 大人の女ではあるが……

 

 シノやケノのような、大きな子供がいる年齢の女には見えない。

 

 そしてチィちゃんに近づくと。

 

「……今更ですがはじめまして。私はフセ。この反乱の中核を担った運命の子供たち8人の母です」

 

 そう、笑顔で名乗ったんだ。

 

 

 

「……あなたが……この人たちのお母さん……?」

 

「ええ。私と彼との間の大切な子供たちです……」

 

 困惑しているチィちゃんと、笑顔のフセ。

 チィちゃんは気づいていない。

 

 フセの言ってることの意味を。

 

「彼……?」

 

「ええ……」

 

 ここでフセは身を屈め、傍にいる俺に後ろから抱きつく。

 

「この、彼です」

 

 ……チィちゃんの表情が驚愕で……

 目が限界まで開かれ、青褪めていった。

 

 そして口を押えながら

 

「……あなた……犬とセックスしたの……!?」

 

 信じられない。

 狂ったものを見る目で。

 

「ええそうよ。彼と愛し合って、私は8回身籠って、8回彼の子供を産んだの」

 

 そしてチィちゃんにそう告白するフセの表情は……

 

 なんだか妖艶で……そして、勝ち誇るものがあったよ。

 

 そして俺の口に唇を寄せて。

 キスをする。

 フセが口を開いたので、彼女の夫としては応えるしかない。

 俺はフセの口腔内に舌を入れ、互いにピチャピチャと舐め合う。

 

 それを目撃したチィちゃんは

 

 ウゲエエエエエ!

 

 ショックのあまり、彼女は後ろを向いて嘔吐した。

 

 ……まぁ、そうなってもしょうがないかもしれない。

 

 さらに。

 その背中に

 

「……私はあなたに感謝しているんですよ? チフユさん……?」

 

 口づけを終え、フセが言葉を掛けたんだ。

 こんな……

 

「あなたが彼を……私の最愛の夫をレッサーヒューマン居住区に捨ててくださらなければ、子供たちは生まれず、今の状況も無いんですから」

 

 残酷な、真実を……

 

 

 

「え……?」

 

 その言葉は、チィちゃんの嘔吐を止めてしまったようだ。

 口を拭い、振り返り……

 

「それ……本当なの?」

 

 呆然としていた。

 本当なの、とは言ってるけど……

 

 彼女は半ば、信じてる。

 

 何故って……

 

 かつて自分が犬を捨てた過去があることをフセが知ってるのは変だからだ。

 

 これについては、子供たちも驚いていた。

 一斉に、自分たちの母親に目を向ける。

 

 そんな視線を浴びながら妻は

 

「ええ、そうよ。全てあなたのお陰です」

 

 微笑みながら頷き。

 

 妻は、子供たちに呼びかけた。

 

「子供たち! この人にお礼を言いなさい」

 

 勝ち誇った笑顔で

 

「この人が私たちにお父さんをくれたのよ!」

 

 それに応え。

 

「ありがとう!」

 

「ありがとうございます!」

 

 まずシノとケノが感謝をし

 

「感謝する!」

 

「お礼を言うよ!」

 

「ありがとう!」

 

「ありがとう!」

 

 ……男の子たちが口々に、感謝を口にした。

 

 無数の感謝を浴びて。

 真っ青になったチィちゃんは

 

 次の瞬間、両手で頭を抱えて。

 激しく涙を流しながら

 

「あああああああああああああ!!」

 

 叫び声を上げ、錯乱していた……

 

 

 

 チィちゃんは、自分の副官のヤマモト氏に肩を借りながら去っていく。

 目覚めたヤマモト氏は、気が付いたら時間が数か月経過しており、しかも自分の上司であるチィちゃんが発狂しているので。

 混乱したけど

 

 まず彼女を落ち着かせることに腐心し。

 

 そしてやや落ち着いた彼女に肩を貸しながら

 

「……サカザキ様の命を取らなかったことは感謝するが、それだけだ」

 

 そう、憎々し気に言い。

 俺たちのメッセージを預かって、去って行ったんだ。

 

 ……こうして。

 

 俺たちはこの戦いに結果を出す目途を手に入れた。

 最後まで気を抜かず、戦い抜こう。

 

 ……チィちゃんにあれだけのショックを与えたことだけは、さすがに罪悪感があったけど。

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