野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~ 作:XX(旧山川海のすけ)
「なんですか? サカザキさん?」
ケノはチィちゃんの言葉に、事務的な口調で返す。
視線は冷たい。
……見て分かった。
チィちゃんは怯んでいた。
一騎打ちでケノとぶつかれば、チィちゃんがおそらく勝つんだけどな。
そんな相手の視線に射貫かれて、怯む……
そこで悟った。
……多分彼女は。
自分の少女時代の行為が、今のこの事態を引き起こしたこと。
その事実を
その負い目が、ケノに対する怯えに繋がってるのかもしれない。
ばらされたら、自分は天上界での居場所を失ってしまう、みたいな。
……正直、俺はチィちゃんのその行動を、嘲り嗤ったり、見下すつもりは無かった。
こんなの、誰が予想すると言うんだ。
普通、捨てた犬が人間の女性と交尾して超能力を持った子供を8人も産ませ、自分の社会に対する反乱軍を形成するなんて考える訳が無い。
「サカザキさん?」
ケノの追撃。
チィちゃんの返答が無いから。
それで
「ほ……捕虜の解放の話がまだです!」
なんとか口に出す。
言葉を受けたケノは溜息を吐き
「……それは全てが終わればしますよ。心配なさらなくて結構ですよ」
何を言ってるんだ。こいつは。
そう言いたげな様子。
「まずは一般兵の解放を行います」
それは最初の天上界からのご支援がいただけた後、即座に。
ケノは淡々と捕虜解放について語った。
……ぶっちゃけ、一般兵の捕虜は水と食糧のコストが掛かるから、早く解放したいのはある。
だから解放時期も早めだ。
だけど……
「
チィちゃんの悲鳴に似た言葉。
……自分の同僚の解放時期か
「それはここを離れる時ですね。……早くて1年後でしょうか?」
ケノの返答は冷たい。
その言葉にチィちゃんは絶望的な表情を浮かべる。
「そんな……」
同僚の時間が、最低1年は吹っ飛ぶ。
人生が1年削られるのは、確かに問題ではあるんだけど……
その途端、ケノの目が険しくなった。
「不服ですか? じゃあ、あなたが身代わりになりますか?」
その言葉に、チィちゃんの顔が強張る。
さらにケノは厳しい声で
「何なら、私の兄たちの共有の花嫁にして差し上げても良いですよ?
こんなことを言った。
チィちゃんは……
真っ青になって、俯いた。
……ま、そりゃそうだよな。
普通の女性にはコレに「了解しました」なんて言う胆力は無いよな。
特にグレーターヒューマンはミラクルピースの300年で、ぬるま湯に浸かって生きて来たんだから。
そう、思っていたんだけど……
「……分かりました」
俺はえっ、と思った。
そして彼女は
「私が身代わりになります……だから早く仲間2人を返して下さい」
そう、ケノに身代わりを申し出たんだ……。
……チィちゃん。