※この作品はR-18です。

野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第94話 仲間を返して!

「なんですか? サカザキさん?」

 

 ケノはチィちゃんの言葉に、事務的な口調で返す。

 視線は冷たい。

 

 ……見て分かった。

 チィちゃんは怯んでいた。

 

 一騎打ちでケノとぶつかれば、チィちゃんがおそらく勝つんだけどな。

 そんな相手の視線に射貫かれて、怯む……

 

 そこで悟った。

 

 ……多分彼女は。

 自分の少女時代の行為が、今のこの事態を引き起こしたこと。

 その事実を上層部(ウエ)に上げて無いんだな。

 

 その負い目が、ケノに対する怯えに繋がってるのかもしれない。

 

 ばらされたら、自分は天上界での居場所を失ってしまう、みたいな。

 

 ……正直、俺はチィちゃんのその行動を、嘲り嗤ったり、見下すつもりは無かった。

 こんなの、誰が予想すると言うんだ。

 

 普通、捨てた犬が人間の女性と交尾して超能力を持った子供を8人も産ませ、自分の社会に対する反乱軍を形成するなんて考える訳が無い。

 

「サカザキさん?」

 

 ケノの追撃。

 チィちゃんの返答が無いから。

 

 それで

 

「ほ……捕虜の解放の話がまだです!」

 

 なんとか口に出す。

 言葉を受けたケノは溜息を吐き

 

「……それは全てが終わればしますよ。心配なさらなくて結構ですよ」

 

 何を言ってるんだ。こいつは。

 そう言いたげな様子。

 

「まずは一般兵の解放を行います」

 

 それは最初の天上界からのご支援がいただけた後、即座に。

 ケノは淡々と捕虜解放について語った。

 

 ……ぶっちゃけ、一般兵の捕虜は水と食糧のコストが掛かるから、早く解放したいのはある。

 だから解放時期も早めだ。

 

 だけど……

 

「人類将(アークヒューマン)は?」

 

 チィちゃんの悲鳴に似た言葉。

 ……自分の同僚の解放時期か

 

「それはここを離れる時ですね。……早くて1年後でしょうか?」

 

 ケノの返答は冷たい。

 その言葉にチィちゃんは絶望的な表情を浮かべる。

 

「そんな……」

 

 同僚の時間が、最低1年は吹っ飛ぶ。

 人生が1年削られるのは、確かに問題ではあるんだけど……

 

 その途端、ケノの目が険しくなった。

 

「不服ですか? じゃあ、あなたが身代わりになりますか?」

 

 その言葉に、チィちゃんの顔が強張る。

 さらにケノは厳しい声で

 

「何なら、私の兄たちの共有の花嫁にして差し上げても良いですよ? 人類将(アークヒューマン)のあなたが、我々の仲間を産み落とせば、その子がある意味人質の役目を果たしてくれるかもしれませんしね?」

 

 こんなことを言った。

 チィちゃんは……

 

 真っ青になって、俯いた。

 ……ま、そりゃそうだよな。

 

 普通の女性にはコレに「了解しました」なんて言う胆力は無いよな。

 特にグレーターヒューマンはミラクルピースの300年で、ぬるま湯に浸かって生きて来たんだから。

 

 そう、思っていたんだけど……

 

「……分かりました」

 

 俺はえっ、と思った。

 そして彼女は

 

「私が身代わりになります……だから早く仲間2人を返して下さい」

 

 そう、ケノに身代わりを申し出たんだ……。

 

 ……チィちゃん。

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