野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~ 作:XX(旧山川海のすけ)
「身代わり? そんなものは君の一存では決められないな」
だけどそこにだ。
スプリスが口を挟んで来た。
焦ってる様子なんて無かったけど。
有無を言わせない響きがあった。
チィちゃんは
「スプリスさん! でも!」
「……他2人の
スプリスの声は冷静だ。
そこには仲間への気遣いもあったと思うけど……
グレーターヒューマン全体の失態を、自分1人のせいにして背負おうなどと思い上がりも甚だしい。
身の程を知りなさい。
そういう厳しさもある気がする。
「ですが!」
だけどチィちゃんは黙らなかった。
さらに、こう続けたんだ。
「彼らがチカラを得たのは、私が学生時代に犬を捨てたのが原因なんです!」
そんな、彼女にとって絶対に隠しておかなければならない事実を。
……言ってしまった。
どうするんだ、それを白状するなんて。
自分はどうなっても良い。
そう思ってるってことなのか……?
俺は動揺した。
そして……
ケノの目が見開かれていた。
まさか自分で言うとは思ってなかった。
そういう気持ちの表れか。
だけど
「……馬鹿馬鹿しい。子供時代に犬を捨てたことがどこをどうつながれば、ここに至ると言うんだ?」
スプリスが心底呆れた表情を浮かべた。
彼は続ける。
「仲間救いたさで、思い付きで嘘を発言するのは感心しないな。ただでさえ女性は低くみられるんだ。そういう言動は本当に感心しない。慎みなさい」
取り合う価値が無い。
彼はそう言ってチィちゃんを無視する。
「本当なんです! 信じて下さい!」
「いい加減にするんだ!」
一喝するスプリス。
……流石に分かった。
チィちゃんは気づいていないみたいだけど。
このスプリスって男、おそらく真実に気づいてる。
チィちゃんが今、告白したことが嘘では無いって分かってる。
分かったうえで、嘘と言い切り、申し出を門前払いにしてるんだ。
……まず誰にも予想しえないことだから、それを理由に責任を問うのは出来れば避けたいんだろうな。
それは同時に。
それぐらい、彼はチィちゃんを高く買ってるってことなのかもしれない。
「そういう、誰も得をしない、ただの自己満足に過ぎないくだらない自己犠牲精神を発揮するぐらいなら、君は今後の仕事で輝かしい結果を出して挽回し給え」
そう言い放ち。
彼は
「……2名の
ケノに向き直り。
こう提案して来た。
……
内容は、全捕虜返還と引き換えに、レッサーヒューマンの国外脱出を全面的に支援すること。
それを耳にし、ケノは
「……なるほど。つまり、あなたがたの国としての誇りを賭けて、支援を約束して下さると。そういうことなんですね?」
その意味合いを理解し。
それを了承したんだ。
……君主の署名と国璽の判が入った文書での決め事を違えることはできんよな。
それをやってしまったら、そいつらはもう人では無いよ。
猿以下だ。