野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~ 作:XX(旧山川海のすけ)
天上界からの使者たちが去って。
大体1週間くらい後だろうか。
また、使者が来て。
黒い木製の箱のようなものを渡されたんだ。
中を改めると
『レッサーヒューマンの天上界から外世界への移民を全面的に支援することを約束する。人類王ヨシザネ』
……約束通り、
これを出した以上、彼らが人間であるならば約束は順守される。
無論、最後の保険は掛けておく必要はあるけどね。
「確かに我々の王からの書状を渡しましたよ。我々の誇りに掛けて、この約束は守りますので」
捕虜の解放、確実に行っていただきますよ。
まぁ、使者は
たった2人だ。
ここに嘘が無いことの意思表示だろうな。
まぁ、嘘が無いのはソウスケの不運察知に何も反応が無いので知ってはいるんだが。
行動で誠意を示そうとしてることに、俺は好感を持った。
俺は、ね。
そして去り際。
万一の際のスプリスの護衛として付いて来たんだろう。
チィちゃんが俺たちを振り返り。
俺に視線を向けて来た。
……その視線が悲しそうで。
後悔を見た気がする。
多分だけど……
俺を捨てないで、無理にでも飼う方向で決断すればよかった。
そう思ってるんだろうな。
……殺しておけばよかったとは思ってないと思う。
確か
まあ、恨みたいなら恨んでね。こっちの都合で捨てるんだから。
彼女はこう言って、俺を捨てた。
そう言っておいて、あのとき殺しておけば良かった。
そう思う子では無いと思う。
再会して、ヤマモト氏の飼い犬の立ち位置で、彼女を見て来たことからの結論だけど。
そして様々な資料の引き渡し、移民用の船の手配、技術書、指導員。
約束の支援が来た。
それによると……
天上界では、一応外の世界の探検だけは何度かしてて。
向こう側に渡る技術は確保しているようだ。
やろうと思えばできると思うけど、やってない。
では無かったようだ。
……この天上界があるのは、ひとつの大きな島のようで。
外の世界には、別の大きな陸地があるのは分かってるそう。
そこには……
「原人が居る?」
「はい、そうですね。言葉も宗教も持たない、野蛮人の集団が存在しています」
ケノが資料を読み込む際、解説についてくれたグレーターヒューマンの指導員が、教えてくれた。
「その人たちと交流は持ってるんですか?」
「してませんよ。当たり前でしょう?」
ケノの質問に、しれっと返す指導員。
……多分、遭遇したら
レッサーヒューマンにこれまで、ああいう態度取ってたんだし。
レッサーヒューマンには言葉が通じるのに、だ。
言葉が通じない相手に気を遣うわけが無いわなぁ。
そして……
グレーターヒューマンから施された、移民のための準備が出揃ったとき。
とうとう、捕虜の解放が行われる日がやって来た……