※この作品はR-18です。

野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第97話 傷痕

 迎えの兵員輸送用車両の集団。

 

 そこにから降りて来た天上界の人間たち。

 

 それの応対をするケノとその他の兄弟たち。

 

 ……とうとうここまで来たか。

 今更騙し討ちは無いとは思うけど、人類将(アークヒューマン)2人の解放はもう少し後だ。

 

 取り敢えずは今日、一般兵を解放する。

 

 俺は鉱山の外に出て、捕虜の解放と引き渡しの一部始終を眺めていた。

 引き渡す捕虜は……100人とちょっと。

 

 鉱山を堕とすとき、俺たちは当然だけどそれなりの数の警備兵を殺している。

 だからまあ、ここの職員の中には、家族の下に帰れない人がいたはずだ。

 

 ……見ると、家族まで迎えに来てるな。

 

 解放されて、家族を見つけ、抱き合ってる人がたくさんいるから。

 職員の家族を一緒に連れてくることで、天上界側の、グレーターヒューマン側の敵意の無さを示す意図があるのか。

 

 まあ、帰れて良かったな。

 敵側に言われたくないだろうけど、俺は正直にそう思った。

 

 だけど……

 

「ヒール! ヒールはどこ!?」

 

 ……突然。

 女性の声がしたんだ。

 

 

 

 それは老齢の年齢に差し掛かった女性だった。

 服装はかなり上等で、上流階級の女性なのは見て分かった。

 

 そんな女性が、ヒールの名を呼んでいる。

 

 ……もしや、なんて話じゃない。

 一瞬で分かった。

 

 ヒールの家族だ……!

 顔に彼女と似た部分がある……!

 

 女性は何処から入ったんだろうか?

 

 見たところ、帰還できる人間の家族以外は呼ばれていないと思えたのに。

 

「テッコウさん、事前連絡した通り、娘さんは殉職されて……!」

 

「そんなはずありません! 娘はただの技術者です! 戦闘員じゃないんです!」

 

 天上界側の役人に止められているけど、ヒールの母親と思しきその人は止まらない。

 役人はなんとか引き下がらせようと

 

「そうは言っても、生存者リストに娘さんの名前が無いんです! 諦めて下さい! これは我々の油断が招いた悲劇なのです」

 

 そう、何度も繰り返すけど

 

「そんなはずありません! 娘は戦闘員じゃないのに! 何で戦死するのよ!?」

 

 言いながら、女性は泣いていた。

 そして

 

「畜生! 人間のクズども! よくも私の大切な娘を殺したなッ! 私は命ある限り、お前たちを呪い続けてやる!」

 

 最終的に発狂した。

 金切り声をあげて、俺たちへの呪詛を口にしたんだ。

 

「くたばれ! 死に絶えろ! 薄汚い劣等人種がァ!」

 

 そして天上界役人たちが「おい、連れていけ」「鎮静剤を用意しろ」って言葉を交わし。

 狂乱状態に陥っているヒールの母はこの場から引きずり出されていった。

 

 一瞬、凍り付いたこの場面。

 

 だけど数分で、体裁を保つためか。

 また元通りになった。

 

 ……だけど。

 

 つくづく、思ったよ。

 俺は次に死んだらおそらく、地獄に堕ちるなぁ……。

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