野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~ 作:XX(旧山川海のすけ)
迎えの兵員輸送用車両の集団。
そこにから降りて来た天上界の人間たち。
それの応対をするケノとその他の兄弟たち。
……とうとうここまで来たか。
今更騙し討ちは無いとは思うけど、
取り敢えずは今日、一般兵を解放する。
俺は鉱山の外に出て、捕虜の解放と引き渡しの一部始終を眺めていた。
引き渡す捕虜は……100人とちょっと。
鉱山を堕とすとき、俺たちは当然だけどそれなりの数の警備兵を殺している。
だからまあ、ここの職員の中には、家族の下に帰れない人がいたはずだ。
……見ると、家族まで迎えに来てるな。
解放されて、家族を見つけ、抱き合ってる人がたくさんいるから。
職員の家族を一緒に連れてくることで、天上界側の、グレーターヒューマン側の敵意の無さを示す意図があるのか。
まあ、帰れて良かったな。
敵側に言われたくないだろうけど、俺は正直にそう思った。
だけど……
「ヒール! ヒールはどこ!?」
……突然。
女性の声がしたんだ。
それは老齢の年齢に差し掛かった女性だった。
服装はかなり上等で、上流階級の女性なのは見て分かった。
そんな女性が、ヒールの名を呼んでいる。
……もしや、なんて話じゃない。
一瞬で分かった。
ヒールの家族だ……!
顔に彼女と似た部分がある……!
女性は何処から入ったんだろうか?
見たところ、帰還できる人間の家族以外は呼ばれていないと思えたのに。
「テッコウさん、事前連絡した通り、娘さんは殉職されて……!」
「そんなはずありません! 娘はただの技術者です! 戦闘員じゃないんです!」
天上界側の役人に止められているけど、ヒールの母親と思しきその人は止まらない。
役人はなんとか引き下がらせようと
「そうは言っても、生存者リストに娘さんの名前が無いんです! 諦めて下さい! これは我々の油断が招いた悲劇なのです」
そう、何度も繰り返すけど
「そんなはずありません! 娘は戦闘員じゃないのに! 何で戦死するのよ!?」
言いながら、女性は泣いていた。
そして
「畜生! 人間のクズども! よくも私の大切な娘を殺したなッ! 私は命ある限り、お前たちを呪い続けてやる!」
最終的に発狂した。
金切り声をあげて、俺たちへの呪詛を口にしたんだ。
「くたばれ! 死に絶えろ! 薄汚い劣等人種がァ!」
そして天上界役人たちが「おい、連れていけ」「鎮静剤を用意しろ」って言葉を交わし。
狂乱状態に陥っているヒールの母はこの場から引きずり出されていった。
一瞬、凍り付いたこの場面。
だけど数分で、体裁を保つためか。
また元通りになった。
……だけど。
つくづく、思ったよ。
俺は次に死んだらおそらく、地獄に堕ちるなぁ……。