※この作品はR-18です。

野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第98話 敗北の人類将

 そしてさらに数か月経過して。

 

 出発の準備が整った。

 

 例によって、鉱山の外だ。

 

 正門を開け、俺とフセとケノに連れられ竜神サマリー・ガルシアと神獣シュウ・ヴィリアスが出て来る。

 彼らの中には、シノとゲンパチが入っている。

 

 鉱山の外には、聖亀スプリスが待機しており。

 

 人類将(アークヒューマン)では、チィちゃんだけがいない。

 

「やぁ、久しぶりですねケノさん」

 

「お久しぶりです」

 

 表面上はにこやかに挨拶するふたり。

 

「出発はいよいよ来月ですね」

 

「ええ、ご協力感謝致します」

 

 そして挨拶を終えた後。

 

 いよいよ、最後の捕虜の解放がはじまった。

 

 

 

 カパッと、サマリーが大口を開く。

 そのサマリーの目は……

 

 白目を剥いている。

 

 異様な光景……

 

 スプリスが息を呑む。

 

 すると……

 

 にゅっ

 

 サマリーの喉奥から、這い出して来る人影。

 

 それはケノとよく似た顔の犬耳美女で……

 

 ここ数カ月、ずっとサマリーの体内に潜んでいた我が娘シノだった。

 

「よっ」

 

 ひらり。

 

 サマリーの身体から這い出して。

 飛び降りる。

 

 その最中に身体が拡大し。

 

 地面に着地するときには、元の大きさに戻っていた。

 

 グラリ、と傾くサマリーの身体を、スプリスが慌てて支えた。

 そのままサマリーを寝かせる。

 

 その後。

 

 続いてシュウの解放だ。

 

 シュウも大きく口を開き、その口から不定形の物体が飛び出して来る。

 不定形の物体は、地面に降り立ち人の形になり。

 

 次の瞬間、それは犬面の人影に変化。

 無言で立ち上がった。

 

 俺の3男・ゲンパチだ。

 

 ゲンパチが立ち上がる。

 

「……久々に生身で外界だね。姉さん」

 

 外に出てすぐ。

 さりげなくフセの影に隠れた姉をサポートするため、自分も移動するゲンパチ。

 

 スプリスはシュウも受け止め、そのまま地面にゆっくりと寝かせる。

 

 これにより……

 

「人類将(アークヒューマン)の捕虜2名の返還を終えましたよ」

 

 ケノの言葉。

 スプリスは

 

「ええ。確かに」

 

 内心はどうか知らないけど。

 彼は穏やかにそう返した。

 

 

 

「……むぅ」

 

 そして。

 最初にサマリーが。

 次にシュウが目を覚ました。

 

 ゆっくりと起き上がり、周囲を見回す。

 

 確か自分は、レッサーヒューマンと戦っていたはずなのに。

 

 そういう思いがあったかもしれないけど。

 

「サマリー殿、シュウ殿。残念ですが、オリハルコン鉱山奪還作戦は我々の敗北で終わりました。戦いは終了です」

 

 冷静なスプリスの言葉。

 それを耳にし

 

 驚愕する2人。

 そして

 

「……承知した」

 

「……分かったよ。すまない」

 

 2人の人類将(アークヒューマン)は全く暴発を起こさないで。

 大人しくスプリスの言葉に従ったんだ。

 

 ここで敗北を認めず、暴発すれば。

 それは人類王(ヒューマンロード)の名前を汚す。

 

 それがキッチリ分かってるんだな……。

 

 なんというか。

 敵の身でなんだけどさ……

 

 俺はこの人たち、嫌いじゃ無いわ。

 

 その後2人は終始暗い顔をして。

 帰って行く。

 

 言い訳じみた発言は一切しなかった。

 そして

 

「では、次は来月の出港の日に」

 

 お見送り致しますゆえ。

 そう言い残し。

 

 スプリスは仲間の解放を見届け、その2人と一緒に。

 天上界へと帰って行ったのだった。

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