【R18】ヒロインをエロゲー化して悪戯する話【画像付き】 作:きりぼー
なんとか幸せになって欲しいもんだわ
翌朝。ライフが3に回復した俺は元気に起きた。
学校へ行く。エロい事は何もなく仕事熱心な恵と詩羽先輩によって肉付けされていくプロットを受け取った。だんだんと企画書の厚みがましていく。
美智留と出海ちゃんはまだエロ担当の自覚があるらしく、自分の回の内容を考えているようだが、そのうち駆り出されることだろう。
一度家に帰ってから英梨々の家に向かう。周りの苦労も知らずに英梨々は自分中心の企画に戻ったことを素直に喜んでいる。昔のような気負いもなくなったようだ。
メイドさんによって屋敷の応接室に案内されると、英梨々はソファーに座ってのんびりと雑誌を読んでいた。
【画像13 英梨々雑誌】
まったく危機感のない佇まい。
「あら倫也、ごきげんよう」
「ごきげんよう・・・」
「その顔は何を呑気に雑誌何て読んでいるだ?って顔ね」
「そうだよ」
俺は向かいのソファーに座った。しばらくしたらメイドさんがお茶とお菓子をもってきてくれることだろう。応接室とはそういう場所だ。プライベートなら英梨々は部屋に俺を呼ぶ。
「プロットなら読んだわよ」
「だいぶ詰まってきただろ?」
「そうかしら?順番と衣装とイベントぐらいじゃないの」
「何しろ肝心の骨子ができてないからな」
「そうね。でも、こう話しが進んだらあたしとエッチできるなんてナンセンスだと思うわよ」
「プロットってそういうもんだろ・・・」
「それはさておき、シチリアがいいと思うのよね」
「シチリア?あのイタリアの?」
「そう。地中海に浮かぶ歴史ある島シチリアよ」
「ゴットファーザーでも見たのか?」
「別にゴッドファーザーに影響受けたわけじゃないわよ」
そういって英梨々が雑誌を俺の前に置いた。
「これよ」
「地中海だな。旅行雑誌か?」
「バカね」
英梨々が雑誌の表紙をみせた。悪名高き結婚情報誌のセグシィだった。男性はこの雑誌がリビングに置かれたときに決断を迫られる。人生の大きな分岐点を知らせる雑誌だ。
英梨々がページを戻した。
「どうせなら海外がいいと思って」
「一応聞いておくが・・・何が?」
「はぁ?あんたバカなの?死ぬの?挙式に決まってるでしょーが」
「そうだろうとは思ったが、なんで今見ているんだ?」
「倫也がプロットに書いたんでしょーが」
「何を」
「ウエディングドレス」
「ああ、お約束だからな」
「しかもジューンブライドの6月」
「あれは欧州では気候が晴れやかであって、梅雨時の日本にはよくないぞ?」
「そんなこと知らないわよ」
英梨々がプンスカ怒っているような、楽しそうに話をしているような。
コンコンと部屋がノックされた。
メイドさんがお茶菓子とアイスカフェオレを持ってきてくれた。ミルクと珈琲が見事にセパレートされている。ペコリと頭を下げて部屋から静かに退出していく。後は呼ばない限りくることはない。
英梨々はストローでクルクルと躊躇なくかき混ぜて一口飲み、それからガムシロップを半分ほど入れた。用意されたクッキー缶を開けてどれにしようか迷っている。
俺は英梨々の残りの半分のガムシロップを自分のところに入れた。さらにもう一ついれて甘くする。英梨々が選んだ穴空きクッキーと同じものを選ぶ。どれを食べたかわからなくなるのを避けるためだ。
「あのウィエディングはだな、モデルの頼まれごととか、撮影とか、クジが当たった体験会とか、そういう理由で行われるもんだろ」
「あんたラブコメの見すぎじゃないの?一般人なんて結婚する時しか着ないわよ?」
「正論だな」
「何よ倫也、結婚する覚悟もないのにエッチなことだけしようと思っているわけ?」
「エロゲってそういうもんだろ」
「あたしはエロゲの話をしているつもりはないけど?」
「・・・」
「それであたしはジッとプロットとにらめっこしていたのよ。それであることに気が付いたわ」
「ほう、なんだ?」
「これって想定が学園の2年生から3年生って感じよね」
「学園コスプレがあるからそうだな」
「そこがおかしいのよ」
「どういうことだ?」
英梨々がカフェオレを一口飲み、クッキーをかじった。手元には印刷したプロットがないのでケータイの画面を表示させた。少し画面が小さい。
「そもそも冴えカノ同人っていうのは、この2~3年生の多世界よね」
「まぁそうだろうな。もしくは後日談とかな」
「原作だと年末のコミュケの締め切り騒動であたしが別荘に引き籠るわよね?そこで風邪を引いて倫也が迎えにきて」
「確かそんな話しだったな」
「そこであたしとの仲が急速に縮まって、恵が離脱するのよ」
「ふむ・・・読み解くとそうだろうな」
「なら、そのままくっつくのが英梨々ルートのあるべき姿よね」
「あのな・・・それは何度もやっているからな?」
「あの時はあの時でしょ。それに倫也があたしと恵の両方を幸せにする道を探したからややこしくなったんでしょ」
「そうだっけ?」
「そうよ」
・・・そんな気がしないでもない。何しろあの頃は駆け出しで何も考えてなかったからな。今も大して変わらないか。
「いいじゃない?他のヒロインルートもあったし、みんなともエッチもしたし、ハーレムものもやったし」
「・・・それで?」
「それでじゃないわよ。それはあんたの口から言うべきでしょ」
「そろそろガチな英梨々ルートを作れと?」
英梨々が顔を赤らめてカフェオレをまた飲んだ。クッキーは隣のものを選ぶ。俺も同じものを選ぶ。これが当分の間は喧嘩が怒らない食べ方だ。偏るのは諍いの元になる。
「倫也がそうしたいならそれでもいいけど~」
「英梨々ルートならエッチすると?」
「はぁ?なんでそれが先なのよ」
「まぁ落ち着け。英梨々の言い分はわかった。それとウエディングがどう関係あるんだ?」
「翌年から倫也とあたしの距離が縮まって、付き合い出すのが3年の夏頃」
「物語を一年間ずらすのか」
「そうよ」
3年の夏休みスタートから1年間だと大学生か浪人生か就職か。学園コスプレを前半に組み込めばぜんぜん可能だが・・・
「あんたね・・・学園コスプレなんて主題じゃないのよ?」
「重要だろ」
「重要なのはわかってるけど、メインじゃないでしょ」
「それはそうだが」
「一番大事なのはね。その一年間だと・・・」
「一年間だと・・・」
「ごにょごにょ」
「聴こえないぞ・・・」
「わかってるでしょ」
「まぁな」
18歳を迎える。晴れて英梨々もAVデビューじゃない、R18デビューができるわけだ。そういう問題か?
「だから6月には成人だから結婚できるのよ」
「飛躍しすぎじゃね・・・」
「あたしはね、綺麗な体のままちゃんとバージンロードを歩きたいのよ」
「・・・まじめかっ」
「ふん」
乙女だなと思いつつも、よくここまで我慢したものだと感心もする。何しろこのポンコツが誕生したのが5年以上前の2020年12月なのだ。
今や他のサブヒロイン4人はR18にも適応したし、原作でほとんど出番のないキャラクターまでエッチをしている。まさかこんなに続けるとは思わなかった。
「結婚式もなんどかしたような記憶が・・・」
「早すぎたのね」
「うーん」
負け犬ヒロインは育ったのだろうか?
「そういうわけだから倫也、合法的なエッチパートを増やしたかったら6月の挙式以降にずらしてちょうだい」
「言うは易しだな」
「バカね、作り始めてから気が付くより楽でしょ」
「そりゃそうだけど」
「学園パートを前倒しにして、バイトを後ろにすればいいのよ」
「ふむ」
「ちょうど3000文字だし、いい会議ができたわね」
「プロットは俺が作り直すんだな?」
「当たり前でしょ。あんたが作らずに誰が作るのよ」
「ふむ・・・」
主人公の丸投げもここまで開き直られると文句を言う気も起きない。
「あと倫也。こっちの方が大変なことなんだけど」
「何か他にあるのか?」
「次回は恵の回だけど、恵はハーレム系でやるつもりみたいよ」
「・・・」
来週の事は来週の俺に任せよう。
(了)