※この作品はR-18です。

艦これ「古鷹の話」琥珀色の幸せ   作:ひびきん屋

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その16

外は日が暮れ始め、空が赤く夕空になりかけた頃

古鷹たちは居間に通され、お茶を出されていた。

 

 

 

 

上座には当主である提督が座り、向かいに提督の母親、大和が鎮座

古鷹たちは両脇に分かれて、囲むように座っていた

 

 

提督の母親と始めて対面する事に、緊張する娘たち・・

 

そして、それ以上に緊張する古鷹・・

顔も上げられないまま、汗だけが滴り落ちていた

 

「・・わかりました」

大和は閣下からの手紙を読み終えて顔を上げた

 

「私から後ほど閣下宛にお手紙を出します・・ご苦労さまでした」

手紙を読み終え、封筒に戻し、周りを見渡した大和は・・なんか重苦しい空気に「あれ?」と思った

 

 

「あらら、そんなに緊張したくてもいいのよ・・くつろいで頂戴ねv」

大和はニコニコしながら初々しい娘たちに声をかけた

 

 

「母さん・・それはムリだろ」

提督は少し呆れ顔で母親につげる

 

 

「あら?なんで・・・?」

不思議そうに大和は答えた

 

「・・・・」

 

目の前に自分達戦艦の最高峰・・泣く子も黙る大和がいるんだ・・それはムリ!と言いかけたがやめた・・

この問答を母親と始めると長くなりそうなので、提督はあきらめ割愛しようと心に決めた

 

しかしそれにしても、ちょいといきなり引き合わせるのは酷だったかなぁ・・と少し反省するのであった

 

 

「で、お付き合いしているのは、どの子?」

 

 

 

ぶーっ!

 

 

 

いきなりの先制攻撃にお茶を噴出す提督

 

「あら・・だってその為にみんな連れてきたんじゃないの?」

口元に人差し指をつけ、甘え口調で語りだす

 

「ここでいっきに他の子達にお知らせしてぇ~・・

 いっきにみらだな交際5股関係の清算をして~・・

 自分だけ幸せになろうと・・もめたら、私の46cm三連装砲で沈めてしまう・・

 そして無かった事にしてしまおう・・そんな邪まな思惑じゃないの?」

  

 

余りの虚言に口があんぐり開いてふさがらない提督

そして衝撃的発言を告げられ白目で青ざめた顔をする娘たち

 

 

「あれ?違うの?」

しれっと笑顔でいう大和

 

「てっきり母さんそうだと思っていたんだけど・・」

挙句にテヘっと舌を出す

 

 

 

大和のアウトレンジ攻撃発言に、震え上がる娘たち・・

 

 

「そ・・・そうなんですか・・」

普段段ならこの手の冗談を理解できて対処できる筈の夕張でさえ

今にもおしっこを漏らしそうな顔をして、青ざめていた

 

「て・・ていとく」

顔を真っ青にして他の娘たちも提督を見つめ、隣とお互いを抱きしめながらガクガクブルブルしていた

 

 

「な、なにを言い出すんです・・!」

提督が目の色を変えて全否定した

 

「な、なんでそうなるんですか、母さん!怒りますよ!」

本気で怒る提督に少し苦笑いの大和

 

「やぁ~ね・・冗談、冗談よ・・・大和ジョークw」

口元に手を当て、もう片方でヒラヒラと手をさせて微笑んでいた

 

 

「じょ・・・じょうだ・・・ん・・冗談ですか・・」

まだ震えが止まらない娘たち

 

「冗談で言って言い事と、悪い事があります!

 ほら、見なさい、うちの大事な娘達が怯えてるでしょ!

 母さん、謝って下さい・・ったく」

 

仁王立ちになり、大和をにらみ付け、プンスカ怒る提督の勢いに、シュンとして大和は頭を下げた

 

 

「・・ごめんなさーい」

 

 

母さんはいつまでたっても子供みたいな所が有るんだから・・

ホントに・・・・母さんは、大和なんだから・・

そんな大和に言われたら、みんなビビるだろ、勘弁してくれよ・・

 

 

提督は心の中でぼやいた(笑)

 

 

「大丈夫だからな、お前たち・・決してお前達にそんな事はさせない・・

 絶対、俺がさせない・・そんな事したら母さんとは絶縁するし、一緒に俺も死ぬ・・・」

 

懸命に動揺を抑えるように語りかける提督

 

「え?・・・ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」

死ぬ、絶縁発言に青ざめ、動揺し、指を突いてぺこぺこ頭を下げ続ける涙目大和

「死ぬなんていわないで~、母さんを捨てないで~・・

 お父さんに・・お父さんに会わせる顔が・・怒られる」

物凄い勢いで、頭を下げ続ける大和・・

 

「もう・・母さん死にはしませんから、やめて下さい」

提督が呆れ口調で言う

 

「グスン・・・ごめんね」

大事な独り息子に怒られ、再び反省して、シュンとする大和

 

 

「ほ、ほんとですか・・・」

怯えていた祥鳳が改めて提督に問う

 

「あぁ本当だ・・すまんな、母さん普段1人だから、冗談がきつくて・・すまん

 悪気はないんだ・・久しぶりにみんなと話出来て舞い上がっているだけだから・・」

 

弁明を続けた提督・・・大和も改めて頭を下げ反省をしていた

 

 

 

 

 

 

そんな努力も実を結び、先程の緊迫感も薄れ、少しずつだがやっと場が和んできた・・

 

 

 

 

 

 

おれ、ちゃんと報告出来るのかなぁ・・

心配になってきたよ父さん・・

 

 

 

 

 

提督が心の中でため息をつき、一息つこうとお茶を口にした

 

 

 

 

「・・・で結局だれよ・・お付き合いしている子は・・結婚報告に来たんじゃないの?」

涙目で提督を見つめ、問う大和

 

 

核心に迫られ、一息所ではなく、動揺してお茶を噴出し、挙句手からこぼす提督

 

 

近くに居た古鷹があわてて、自分のポケットからハンカチを出して提督をふく

 

「だ、大丈夫ですか・・火傷しませんでしたか・・」

「あぁ・・すまん古鷹,・・大丈夫だ」

「いいえ、気にしないで下さい・・それよりお召し物が・・」

「だ、大丈夫だ・・ありがとうな、古鷹」

 

けなげに尽くす古鷹、それを素直に受け止める提督

涙を吹き終えた大和はその光景を見てニコニコしていた

 

「あのね、母さん・・物事には順序が・・

 自分のペースで話しますから、少し黙ってて下さい」

 

 

顔を真っ赤にして母親に釘をさす提督、それにたいして「はいはい」とにこやかに答える大和

 

 

 

なんか調子が狂うなぁ・・と提督がぼやく

 

 

 

「・・ほんとにもう」

 

 

 

古鷹をはじめ他の娘たちも、いつもの提督らしくない仕草に驚きを隠せないでいた・・

そしてこんな光景を、初めて見た大和も、すこし驚きを隠せないでいた

 

 

「母さんに、今日はお話があります・・

 そして、みんなにも聞いてもらいたい事があるんだ・・」

提督が正座をして、改めて意を決して告げる

 

「古鷹・・こっちへおいで」

 

「え?あ・・はい」

 

突然事に驚きつつも、でもなんとなくこうなるとは思っていた

心を決めて提督の隣に座り直す古鷹

 

古鷹を自分の隣に呼び寄せ、正座をする古鷹の膝の上に置いある手を握り、意を決して告げる

 

その顔は真っ赤だった

 

「母さん、そしてみんな・・・聞いてくれ・・お、おれは・・・ふ、ふ、ふ、古鷹と~」

古鷹の手を、握る手が強くなる

「ふ、古鷹と・・結婚しようと思って・・・い、いや・・古鷹と結婚する」

 

うつむいた古鷹の顔が真っ赤になり、頭から湯気が出ている

 

 

 

 

 

「・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「えぇぇぇぇ!!!」

 

暫くの沈黙の後、古鷹以外の娘たちが突然の事に驚き、たじろぎ、慌てふためいた!

大和だけがニコニコしていたw

 

 

そ、それはいずれそうなるとは思っていたけど・・まさか、今ここで聞かされるとは・・

しかもこのタイミングでぇぇぇぇぇぇ!

 

誰もが予想外の出来事に、いきなり立ち上がる者、言葉を失った者、思考停止になったもの・・

とにかくその同様は激しかった

 

「あははは・・やっぱりでしたね(苦笑)」

ある程度予想していた夕張もいざ聞かされると、引きつる笑顔のまま硬直するしかなかった

 

「えぇ!いつ?いつそうなったの?」

驚きを隠せない加古が食いついた

 

「なんで、なんで、ね~なんで古鷹なの?」

舞風が突然の事に不服そうに詰め寄る

 

「提督・・わたし・・」

祥鳳がショックで血の気が引いていた

 

 

 

「やっぱり、五股じゃない・・女心のを弄んで・・」

顔を横を向いて唇をとがらせ、不服そうに、ぼそりとつぶやく大和

 

 

子供ふてくされたような顔をする母親に少しイラっとしながらも根気良く対応する提督

 

「違いますから!母さん!ちゃんと聞いてください!

 みんなもちゃんと聞いてくれ!頼むから・・」

 

 

 

提督はそれから一生懸命、誠意ある言葉を尽くして、今までの話をした・・・

娘たちも知っている話、古鷹との出会った時からの話も含めて、どうして古鷹なのかを、一生懸命話した・・

 

 

 

 

 

話し終ることには、外はもう真っ暗であった。

 

 

 

 

「そう・・」

大和は自分の息子の決意を素直に受け止め、受け入れた

 

「・・で、貴方達はどうなの?」

大和はうなだれて事実を受け留めかねている娘たちに話を振った

 

 

 

一番先に口を開いたのは加古だった・・

 

 

「あ、あたしは・・良いと思う・・古鷹が幸せなら

 それで良いと思うよ・・あたし」

 

 

「加古・・」

涙目に加古の想いを受け留める古鷹・・

 

 

「あたし・・知ってたんだからね・・提督の気持ち、古鷹の気持ち・・

 だから・・だから・・あたしは、あたしは・・嬉しい!」

涙が頬を伝わり、懸命に応援する加古・・

 

加古も提督が好きだった・・

でも大好きな提督は古鷹が好きで、古鷹も提督が好きで・・でも・・でも・・・

 

「おめでとうな!古鷹ぁ~v」

加古は古鷹の幸せを心から喜んだ、その目には涙があふれ止まらなかった

 

 

 

「わたしは少し残念です・・でも、提督のお決めになった事ですし・・」

祥鳳はまだ少しショックから立ち直れてないようだった

 

「提督が幸せになって頂けるなら、それで私は充分です・・それに・・

 御二人の間に・・私の入る隙はないようですしね・・・うふふ」

自虐的に笑みを浮かべる祥鳳

 

 

「祥鳳・・」

古鷹は後ろめたさを感じつつ、祥鳳の言葉を受け止めた

 

 

 

「私も残念だなぁ・・とは、思ってますけど・・・

 でもこればっかりは・・どうにもならないですし・・譲るわっ!

 古鷹、みんなの分も幸せになりなさいよ!」

 

「提督、古鷹絶対幸せにしてくださいよ!、幸せにしないと許しませんからね!」

 

潤んだ目でウインクをする夕張、そして泣きそうになるのをガマンして

泣きそうな気持ちを紛らわす為に話の矛先を提督に向けて同意させる

 

 

「ありがと・・・夕張」

古鷹がうつむき泣き始める

 

 

 

「わ、わたしは・・・わたしは・・・イヤだかね!

 わたし・・わたしぃ、提督あきらめないから!」

 

「舞風!」

加古が舞風の言葉を遮るように言葉を発する

 

 

「あきらめないから・・あきらめないから・・これからもこれからも

 一緒にいさせて・・貰うんだから・・お嫁さんじゃなくても良いから

 一緒に・・ずっと一緒に・・・」

 

わんわんと泣き出す舞風・・心からは祝福をしたいのに素直に言葉が出ない

祥鳳が舞風を柔らかく包み込み慰める

 

「舞風・・ごめんね」

古鷹が謝る

 

 

「さぁ舞風・・ちゃんとお祝いしてあげなくちゃね・・出来るでしょ?」

優しく包み込んだ祥鳳が舞風に促した

 

 

「エグっエグっ・・・ふるだ・・か・・お、おめでとう・・おめで・・とう・・」

全てを言い切らないうちにまた祥鳳の胸の中でなき始めた

 

 

 

「舞風・・ありがとう・・」

 

 

古鷹も泣き始める

 

 

「もう・・泣くなよ・・せっかくめでたい席なのに・・なぁ・・ゆうば・・り・・」

加古が言い終わらない内に泣き出す・・大きな声で「うわん!うわん!」と泣き出す

それに釣られて夕張も、祥鳳も泣き出す・・

 

 

部屋中に乙女たちの泣き声が響き渡る

 

 

 

 

 

「本当にすまん・・」

 

 

提督は泣き出したみんなに頭を深々と下げ、謝り続けた

 

 

 

 

 

 

 

「さぁさぁ・・みんな」

 

 

 

 

 

大和が声をかける

 

 

「泣きつかれてお腹が減ったでしょv ご飯にしましょv」

「はいはい、もう泣かないの・・・祥鳳ちゃん、ご飯運ぶの手伝って」

手をパンパンと叩きながら祥鳳に笑顔でお手伝いを頼む大和

 

「夕張ちゃんと加古ちゃんと舞風ちゃん、テーブルを隣りから運んできて・・」

続けざまにドンドンお願いをする大和

 

「古鷹ちゃんも運ぶの手伝ってね・・」

古鷹の頭を撫でて、行きましょとうながす大和

 

 

 

さすがに女は・・母親は強い・・

 

 

 

「母さん俺は・・」

「あんたは、そこにドンと構えていなさい・・提督なんだから」

 

そういうと台所に消えていった

 

 

手持ち無沙汰な提督・・・

まるで休日に居場所がないお父さんのように、突っ立っていた

 

 

「どいてどいてどいて!」

「こら・・待ちなさい・・早いッたら早い・・ちょっとぉ~!」

加古と舞風がものすごい勢いでテーブルを担ぎ上げ、夕張が引きづられるかの様にして突進してくる(笑)

 

 

 

わわわわわ!

 

 

提督目掛けて突進してくる

 

 

 

 

 

わ―――――っ!

 

 

 

 

 

 

見事接触、物凄い音と共にテーブルの下敷きになった(笑)

 

 

 

「大丈夫ですか!提督!」

ひきづられて来た夕張が下敷きになった提督を心配する

 

「いてててて・・・おまえら・・・」

一番下の提督が痛がる

 

「いたたた・・いたいよ・・提督」

提督の上に覆いかぶさる様にしている加古がぼやく

 

「いたい、いたい・・あははは」

一番上で笑い出す舞風

 

痛がりながらもなぜか笑い始める3人、そしてそれを見て夕張も笑い出す

 

 

いつもの琥珀艦隊の光景がそこにはあった・・

 

 

「もう、何やってんのよ・・・まったく」

両手いっぱいに料理を抱えて呆れ顔で立つ大和・・

 

「さぁさっさとテーブル用意する!

 じゃないと~あんた達には、ご飯あげないわよ!」

 

 

わ――――っ

 

 

 

あわててテーブルを用意する加古達、そして食卓にはさまざまな料理が並ぶ

見た事のある料理から、見た事のない料理まで、そしてお袋の味までも・・

豪勢とは言えないけど、色取り取りの母親の思いが詰まった料理が並んだ

 

 

「今度教えてあげるわね・・」

 

 

 

すご~いと覗き込む娘たちにそう告げる大和

 

 

 

「さぁ・・召し上がれv」

 

 

 

大和の号令と共に、数ある料理に舌鼓を打ち続ける提督と娘たち

さっきまでの泣き顔は笑顔となり、そして幸せな時間が過ぎていった

 

家族水入らずで楽しい時は過ぎていった・・

 

 

 

大和はひとり、この光景を懐かしくも、嬉しく思っていた・・

 

そう、自分が好きだった人に捧げた想い・・

好きだった人と過ごした時を思い出して・・

 

 

 

 

 

その楽しい声は月夜の夜に、いつまでも、いつまでも響き渡るのであった・・

古鷹と提督・・そしてみんなの世界の中心が今ここにある

 

 

 

あったかい想いと共に・・

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

 

 

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