※この作品はR-18です。

艦これ「古鷹の話」琥珀色の幸せ   作:ひびきん屋

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その20

夜更けに寝ても、起床時間は変わる事は無い・・

それはいついかなる時でも変わる事の無い社会の掟

 

いつもの様に朝が訪れ、そして飯を食らう・・

 

 

故に、提督と娘5人、そして大和は朝飯を食べていた。

 

 

ふあ~~~~・・生あくびがもれる提督

大和はそれを面白そうに見ていた。

 

 

実はあの騒動の後、古鷹たちは提督に上申していた。

 

提督には内緒で5人で決めた事がある、その誓いと言っても良い決め事を提督にお願いしたいと・・

私たちはこれからも提督と共に生き、これからも順番で愛してもらう、そしてそれに対して不満は述べない・・

だから、私たちの事はそんな心配をせずに、今まで通り私たちを愛して欲しい、可愛がってほしい・・と

 

涙ながらに熱く、そしてすがる様な想いで提督に申し上げた・・・

 

 

提督は最初は戸惑っていたが、古鷹達の思いを汲み了承してくれて、この件・・

古鷹と提督の結婚絡みで起きた不安要素のひと悶着は解消される事となったのだ。

 

 

その為、寝不足で朝から目の下にクマを作り、のそりのそりと朝食を取る提督

古鷹も、夕張も、加古も、祥鳳も、舞風も、目をはらして半分寝ぼけながら、ぼけ~と食べていた

 

 

 

 

「おかわりはいい?」

 

 

 

 

大和が笑顔でおしゃもじを持って待機している

 

 

しかし、眠くて誰も返事をしない・・

 

 

 

 

 

 

・・・ムカッ

 

 

 

 

 

 

 

大和は無言でお櫃を抱えて、手に持ってボケ~としている提督達のお茶碗に

てんこもりにご飯をよそい、しれっとした顔で元に戻った

 

 

もちろん、ぼけーっとしていた提督達は知らぬ間に増えたご飯をみて、思考が止まる・・

 

 

 

あれ?

 

 

 

あれ・・いつの間にか増えてる気が!?・・食べていた筈なんだか・・あれ?

不思議がる提督達を面白そうに見ながら、しれっと大和はやんわりと嘘をつく

 

「あらやだ・・何寝ぼけていっるの?まだ1口程度しか食べてないじゃない

まだ一杯目よ、もう寝ぼけてないで早く食べなさい!さぁさぁ~」

 

そういうと口元に手を当ててニヤリと口角を上げた・・・してやったり!と悪い顔をしてる大和(笑)

 

 

提督達は、不思議に思いながらも、促されるままご飯を食べたのであった・・・

 

 

 

 

 

もう・・むり

 

 

 

 

みんなが食後、倒れるように寝転び、寝てしまう

 

 

それを見ながら大和はひとり片づけをした・・

自分の可愛い子供たちが幸せそうにして寝ている姿に、幸せを感じながらせっせ動いていた

 

 

「うふふ・・まだ時間があるから、もう少しだけ、寝かせてあげましょう」

 

 

大和は別れの時が近づく中、一人嬉しそうに世話を焼いた

 

 

 

 

お日様もすこし角度がつき始めた時間・・

大和は寝ていった提督達を起こした、そして改まって話があると仏間に呼ぶ

 

それぞれが仏様にご挨拶をし、各々座布団の上に着座した

 

 

「昨日は大変だったけど、もう大丈夫ですね・・」

大和は仏間で、仏様を背にして、昨夜の出来事を振り返りながら微笑んでいた

 

「昨夜はお騒がせしてすみませんでした・・」

夕張が昨夜の騒動を大和に詫びる、それに倣ってみんなが頭をさげる

 

 

うん、うん、と、その詫びる姿に微笑を持って受け入れた

 

 

そして大和は娘達に語りかけた

 

 

「今からは話す事は他言無用です。軍事機密に抵触する事を話します」

大和はいつになく真剣な顔をした

 

「でも貴方達は知らなくてはいけない事だからお話します。・・・大きい声では言えないの、もっと近くに集まりなさい・・ほら貴方も」

 

 

娘だけではなく、提督も来いと促され、突然事に何を言い出すんだ?と母親の近くによる

 

 

 

「貴方にとっても重要な話だから・・」

提督を見つめ、いつもと違う表情をする大和

その顔に事の重大さがヒシヒシと伝わり、提督ははじめ娘達も緊張をした。

 

 

大和は話し始めた・・

 

 

「お父さんと私は、ある日戦闘海域からの帰還途中、嵐に襲われ、方位を失い漂着をしたの・・

 その嵐は今までに経験した事が無いほど凄かった、揉まれる内にあっという間に方位を見失ってしまったわ」

 

「そして嵐が過ぎた後、ある島に私たちは漂着したの・・・

 私も、お父さんも身体中痛くて、擦り傷だらけだったけど、命には別状なかったわ」

 

 

そして大和はその島に流れ着いたときの事を克明に話しはじめる

 

 

その島は当時、帝国海軍も知らない、海図上にも存在しない、未知の島だった・・

当時の自分達は、好奇心で島の探索に出向き、その島で発見した鉱石が後々自分達にとって最高の幸せをもたらすきっかけになった・・それは2人の運命を決定付ける出来事だった

 

 

・・・と丁寧に、提督達に語った

 

 

「幸せをもたらす・・?鉱石・・・?」

提督が口を挟み興味を持ち始める

 

「興味あるでしょ・・・今話すわね」

大和が微笑みながら提督を制した

 

 

「あたし達が偶然見つけた鉱石は、ある洞窟の中にあったの・・」

 

大和の話によると、その漂着をした島にはある鉱石が眠っていて、

その鉱脈のある洞窟の壁面から床に至るまで、全てに・・ありとあらゆる所に粉末状の粉がふいてたらしい

それを知らずにその鉱石の粉末を探索中に身体に浴びてしまっていたというのだ・・

そしてその粉は身体をほこりを落とす様にはたいても、布で身体をふいても、水で洗い流そうとしても、何をしようとしても暫くまったく取れなかったという・・

 

とにかく、何をしても、身体にこびり着いていたと、大和は当時を振り返りながら話を続けた

 

 

そしてその晩も、その粉末がこびり付き、身体に粉末を残したまま激しく求め合った・・

その時、全身に、特にお腹にいつもと違う熱いものを感じたという

 

 

「母さん・・」

提督が露骨に嫌がる・・・両親のロマンスなんて・・と

 

 

 

「違うの、違うから!ちゃんと話を聞いて・・」

大和が懸命に話を続ける

 

 

いつもと違う感覚を覚えた大和、そしてお父さんもいつもと違う感触を得たという

そして愛しあった後2人は眠りについた、そして2人は赤ちゃんの夢を見たという・・

 

 

 

「それって・・もしかして、提督が・・」

祥鳳が口を挟む

 

 

「そう・・この子を授かった瞬間なの」

嬉しそうに大和は提督を見、そして当時の事を思い出していた

 

「その不思議な感覚に気になったお父さんと私は、翌朝、出来る限りの鉱石と、その粉末を麻袋に詰め込み、その島を後にしたわ・・まさかと思いつつも、もしそうだったら、私たち艦娘も子供を宿す事が出来るかもしれないと・・・わずかな希望と願いを思って、帰港したの」

 

「後日、その発見した鉱石とその粉末を持ち込んだ研究所から軍に連絡があったの・・

 結果から言うと、その鉱石は、人類と私たちとを結びつける効能が有る事が報告されたわ・・」

 

「ただ、何がどう作用して、私達艦娘と人類とを結びつけてるのるか、どうやって異なる遺伝子の橋渡しをするのかは、未だに解明は出来てないみたいだけどね・・」

 

 

仏壇の方をちらりと見つめ、愛おしそうに見つめる大和

 

 

そして、それを証明するかのように大和のお腹が日に日に大きくなっていったと、大和が嬉しそうに語る

 

 

「そう身篭ったの・・わたし」

 

今まで以上に頬を染めて高揚した大和・・お腹をさする様に当時を思い出していた。

 

 

古鷹たちも自分の事の様に、嬉しそうな表情をしながら話に聞き入っていた

 

 

「はじめは戸惑ったわ・・女である以上妊娠する可能性は有るといえども、その可能性はほぼゼロ、限りなくゼロに近いといわれていたから・・

 更に誰も私が妊娠するまで艦娘では、そんな事を経験した者は無いわ・・だから、嬉しい反面、私達はおっかなびっくりだったの・・

 でも、あの人は・・お父さんは初めて妊娠がわかった時に、嬉しそうに泣いてたわ・・私のお腹の上で」

 

「周りの目も気にせず、私を抱きしめて泣いてくれたお父さんを見て、私、お母さんになるんだと、嬉しかった」

大和が思い出し涙を眼に浮かばせた

 

「でもね・・喜びもつかの間、そう上手くは行かなかったの」

大和はその後の紆余曲折を語りだした

 

 

妊娠の喜びもつかの間、軍部による圧力で最初は実験体として徴収されそうになった事、

2人がその為引き離されてしまった事、そして大和が施設に収容されてしまった事

 

でも、そんな時に御近所の近衛家御当主、近衛あかり嬢のお父君と、

当時大臣をしていった、鈴木大佐のお父君、鈴木家の御当主に助けてもらった事

 

そのお陰でこの子も私も実験材料として、解体、解剖されることなく済んだ事、

その2人の御尽力で、またお父さんと無事一緒になる事ができ、そしてこの子を無事に産めた事を語った。

 

 

「そんな事が・・・」

自分の出生に纏わる出来事に驚きを隠せない提督・・

 

 

 

 

 

そしてここからが本題なの・・そう大和は告げて語り続ける

 

 

 

 

「ただ、産んだは良いが、多くの制約がついたわ・・」

 

 

 

大和の出産・・人と艦娘との子供・・・

 

それは人類を超えた人類の誕生に繋がる可能性を秘めていた・・

軍部は・・いや人類はその可能性に恐れを抱き、警戒した

 

 

研究機関は、生命の危険が及ばない範囲で、血液検査から始まり、細胞の搾取、抗体検査、レントゲン撮影・・

当時、考えられるありとあらゆる方法で徹底的に、生まれた子と私を調べ上げたわ

 

とにかく、ありとあらゆるデータを取られ続けたと、大和は語る。

 

 

その結果、あの子はハーフゆえに、艦娘である私の遺伝子も受け継いでいると判明、

その為、普通の人間よりも、数%ではあるが、艦娘を妊娠させる能力があると言う事も知らされた

 

 

本来ならゼロではないが、限りなくゼロに近い妊娠率だった筈の人間と艦娘とのおうせ・・

故にどこか片目をつむり、安心していた軍部もこれは焦ったらしい

 

なぜなら、数%とはいえ、今の状況より、何千倍以上もの確率で妊娠の可能性が出来てきたからである

 

 

数%もある固体が、同じ様にこの鉱石を手にした時、どうなるか・・そして、もしこのまま、交配が進み続けると、どうなるのか・・人類を越えた人類達の誕生が始まるのではないかと・・

 

更にこの鉱石の存在が知られ、同じ様なケースが発生し、数え切れないハーフが生まれたら・・・

もし、情報がもれ、敵国に奪われ利用された時、我々の国は・・・

 

 

 

そう、この鉱石の乱用で艦娘と人間のハイブリッド人間が沢山生まれたら、人類は、そして国は・・

 

 

 

そう懸念した軍部上層部が統制を取る為「ケッコン・カッコカリ」という慣わしをつくり、艦娘との結婚の制限を半ば強引に押し進めた・・

 

ただし、その鉱石の濃度を薄めた物を使い、指輪を作る事は認めた

当時の上層部の一部には、自分達の管理化でハーフを育て、軍事利用をしたいという思惑が有ったからだと・・大和は語った。

 

 

故に、この鉱石のある島を軍部が直轄、厳重に管理している事、

 

また、大和のこの事態を秘密にすべく、表向きは南洋派遣されたまま現地に停泊し、南洋の防衛に勤めているとされているが、実際は外部との接触をさせない為、秘密保持の為、この家に幽閉され続け、今に至るという事を大和は告げた

 

 

「・・・・」

複雑な空気が流れる

 

 

そんな空気を一掃するかのように大和は笑顔で続けた

 

それが良いのか悪いのかは、私には分からないけど、少なくとも、お父さんと私との思い出の地には、あれからずっと今に至るまで、誰の手にも汚されず、ひっそりと残っていると思うと、なんだか嬉しいと惚気た・・

 

 

「そんな・・・ただ子供が欲しかっただけなのに・・・」

夕張がなげく

 

 

でも、辛い事ばかりでは無いと、夕張に微笑む

 

私がお腹の大きかった間は戦場に出向かず、あの人も予備役に廻された・・いつも一緒に居る事が出来て親子3人で暮らせた事が幸せと感じた、そして産んだ後もこの子が大きくなるまで、子育てに専念出来た事の方が幸せだったと、大和は笑顔で語った

 

 

 

そして、それを踏まえて、提督と古鷹に今後の事を語り始める大和

 

「貴方達の結婚はたぶん、形式上は認められると思うわ、勿論例の指輪も支給されるでしょ・・

 でも軍部には、あの鉱石を使った指輪は渡してもらえないはずよ・・きっと偽物を渡すわ」

 

 

 

大和の言葉に、なんで・・と険しい顔をする提督

 

 

 

「さっきも言ったでしょ・・・困ると」

大和が冷徹に述べた

 

 

 

あ、そうか!と、がてんがいったみんな・・・

 

 

そしてその事実に顔がくもる古鷹・・・

 

 

 

そんな・・・

 

 

 

「でもそれは、数%というだけで、何もそこまで・・」

提督も納得がいかない様子で、母親に食い下がる・・・

食いさがる相手が違うと分かっていても、そうしなければいられない気持ちだった

 

 

その息子の熱い思いに嬉しさを感じる大和は、懐からそっと差し出す・・

「だからこれをもっていきなさい・・」

 

 

大和の懐から出てきたのは小さな箱

 

 

その箱は、年月がたち、少し色あせた、でも大事に大事にされていた事が分かる品物だった・・

 

 

「母さん・・これは・・・」

提督が、もしかして・・と言う顔で大和を見つめる

 

「そう・・お父さんが私にくれた指輪よ」

「母さん・・それは大事な形見・・・」

 

受け取れないという表情の提督

 

 

「・・これはその時の鉱石の原石から削りだして作り出したもの・・

 お父さんが、鉱石を1つだけポケットに隠しておき、職人に頼み込んで、指輪として削りだしてもらった物なの・・」

 

 

そんな大事なもの、余計に受け取れないという表情になる

 

 

「勘違いしないで、私は貴方にあげるのではないのよ・・古鷹ちゃんにあげるの」

古鷹のほうをみて大和は嬉しそうに言う

 

 

「私が持っているよりも、新しく来てくれるお嫁さんが持っていた方が、それの方がこの家の為にもなるし、きっとお父さんも喜ぶわ・・」

 

提督の前に差し出す、貴方から渡しなさいと・・

 

「支給されるのもより遥かに純度は高いわ・・なにせ貴方を授けてくれた石そのものだから・・きっと貴方達が本気で望めば、必ず望みのままに、赤ちゃんを授けてくれるはずよ・・」

 

嬉しそうにする大和

 

 

そう語る母親に促されるまま、指輪の入った箱を手に取り、そして箱を開く・・

父が愛した女性に渡した指輪・・母親に愛情と誠をもって、懸命な気持ちで渡した指輪を、感慨深そうに見ていた

 

 

 

父さん・・・

 

 

 

「私のサイズで作られているから、指のサイズは合わないかもしれないけど、その時が来たら、サイズのあう指にその指輪をはめときなさい・・きっとその指輪は貴方たちの見方になってくれるわ・・そして薬指にはめる指輪は、改めてこの子に買ってもらいなさい」

 

そう古鷹に語り、提督から古鷹に渡すように促す大和

 

 

促されるまま古鷹に指輪を手渡した

 

 

「うふふ、私は見た目は若い時と変わらないけど、中身は老朽艦よ・・もう子供を産むつもりも無いわ、仮に産めたとしても、あの人以外の子供を産むつもりも、自分の中に男の人を受け入れるつもりも無いわ・・・男の人はもう充分」

 

「だから良いの・・思い出は物ではないの・・・ここにあるから・・あの人に沢山貰った思い出が、ここにあるから・・それだけで充分だわ、あの人が愛してくれた記憶さえあれば、私は生きていけるから」

 

胸に手を置き、素敵な笑顔で大和が微笑む・・・

 

 

提督は、父さんがなぜ母さんを選んだのか、そして欲しいと思ったのか分かった気がした

 

 

 

「いつか私に孫を抱かせてね・・」

 

 

 

「お母様・・・」

 

 

 

古鷹の顔が指輪を持ったまま涙であふれていた

 

「ほらほら・・また泣く・・だめよ、笑って、おめでたい事なんだから、笑わなくっちゃ」

大和も涙目になる、そしてその場に居た者全てが泣き笑いをしていた

 

 

 

ひと通り泣き笑いをした後、大和は続けた

 

 

 

「古鷹ちゃん以外の・・加古ちゃん、祥鳳ちゃん、舞風ちゃん、そして夕張ちゃん」

みんなを見渡すように笑顔で見つめ、話を続けた

 

 

「この度は色々息子の事で大変な思いをさせてしまって御免なさい」

深々と三つ指をつき、頭を下げる大和

 

「そ、そんなこと・・お母さんお顔をあげて、あげてください・・(汗)」

大和の謝意に慌てる面々

 

「ホント、御免なさいね・・そしてこんな息子を好きになってくれてありがとうね」

涙を浮かべる大和は笑顔で続ける

 

「指輪はもう無いけど・・でもあの子の子供を授かる可能性は普通の子よりはあるわ・・

 だから・・だからもし、あの子の子を身篭って、産むのが嫌じゃなかったら、産んで欲しいの・・」

 

大和は子供が出来て、産みたいと思うのなら、産んで欲しいと・・

そしてその子は我が家の子として、育てると娘達に伝えのであった

 

「いいわよね・・」

提督と古鷹を見る大和

 

「はい・・私は嬉しいです」

いち早く古鷹が答える

 

「古鷹・・・」

提督が古鷹の決意の固さに感じ取る

 

「あぁ、みんな俺達の子だ、産んでくれ!そして母さん、我が家の子として頼む・・」

提督も古鷹の思い、母親の優しさに感謝して頭を下げた

 

 

「お母さん・・・」

夕張、祥鳳、加古、舞風がうれし泣きを始める

 

 

「あらあら・・何泣いてんの・・駄目でしょ、泣いちゃ・・産まれて来る子も、貴方達ももうみんなうちの子よ!」

泣き止まぬみんなを見て、笑顔を見せる、そして大和は涙をはらい、立ち上がり、笑顔でみんなに向かい言い放つ

 

 

 

 

 

「さぁ、出発の支度をしなさい!時間がないわよ、貴方達!」

 

 

「はい、お母さん!」

 

 

自分達にもお母さんが出来たと、そしてこんなに素晴らしい家族が出来たと嬉しくて、嬉しくて仕方ない・・

涙を流しながらもぐちゃぐちゃの笑顔で各々帰り支度の為に走り出す

 

 

 

 

 

 

 

 

そして別れの時が来た

 

 

 

 

 

 

 

 

「母さん、お世話になりました!」

玄関にて提督が大和に向かい、敬礼をする

 

「お世話になりました!」

娘たちも提督に続き謝辞を述べ、頭を下げお辞儀する

 

 

「またいらっしゃいねv」

大和は笑顔で見送る・・その目じりには少し涙がにじんできた

 

 

大和は表に数台のタクシーを呼んでいた

普段幽閉されているが故に、何も出来ない自分が出来る事は、これぐらいだけだと・・そう思う母心であった

 

 

「母さん、タクシーなんて・・」

「良いのよ、これぐらいしか出来ないんだから私・・」

 

大和は息子の帽子の曲がりをただして軍服についたほこりをはらう・・笑顔で

 

 

照れくさそうにする提督

 

 

「・・・・じゃあ、今度はいつになるか分からないけど、またみんなと来るから

 それまで身体には気をつけて、病気なんかしないよう、お元気で」

 

母親に凛々しく敬礼をする提督

そして返礼の敬礼をする大和

 

 

「古鷹ちゃん・・そしてみんな息子を頼みます」

頭を深々と下げる大和

 

「こちらこそ、今まで以上に提督の為、尽くさせて頂きます、お母様」

同じ様に頭を下げる娘達

 

名残惜しそうに、1人1人と抱擁をし、別れの言葉を交わす・・・

 

 

 

 

タクシーに乗り込む提督達に、玄関先から手を振る大和

タクシーからは加古や舞風が大和に向かって、いってきまーす!と大きく手を振っていた

 

 

大事な息子とそして娘達を乗せたタクシーは走りだす

 

 

それを見えなくなるまで見送る大和・・

 

 

 

「みんな頑張ってね・・御武運をお祈りしてます」

涙を浮かべながら願いをこめて笑顔で見送った

 

 

 

 

 

 

タクシーは山手のお屋敷界隈を抜け、宿舎に向かい走り続けた

 

 

 

「素敵なお母様ですね・・・」

古鷹が提督に語りかける

 

「あぁ、日の本一の母さんさ・・」

提督は、車窓の外を眺めながら、どこが嬉しそうに答える

 

 

 

「私もあぁなれるかな・・」

古鷹が頬を染め、大和との思い出を思い返し口にした

 

 

「あぁなれるさ・・お前ならな」

提督は古鷹を包み込む様な笑顔で答えた

 

 

提督の言葉に満面の笑みで嬉しそうに頬を染める

 

 

「でも・・母親になる、その前に新婚初夜・・子作りを楽しまなきゃいかんがなw」

車窓の外を見ていた提督は、目だけを古鷹の方へ動かし、いつもの様にニカっと口角を上げる

 

いつもの、自分が大好きな提督の顔をしていた

 

 

古鷹は顔を真っ赤にして、すぐに意地悪を言うんだから・・と幸せそうな顔をした

その表情は以前とは少し違う、女としての喜びを含んだような顔だった

 

 

 

「・・・・・えっち」

 

 

 

「あはははは・・相変わらず良い女だ、古鷹・・可愛いぞv」

提督は笑う、そして古鷹の頭をクシャクシャ~と撫でる

 

 

「あ~もう・・折角整えた髪形がぁ~~~」

 

 

怒るしぐさの古鷹、でも幸せそうに笑う

そして古鷹は提督の腕をとり、愛おしく腕を組む・・

 

 

 

絶対離さない・・

 

 

 

あぁ離すものか・・

おまえと一緒に生きるんだから・・

 

 

 

幸せになろう

 

 

 

 

 

 

どんな事があっても、2人なら、そしてみんなとなら大丈夫、幸せになれると信じた

そう誓う2人を乗せてタクシーは青空の下、快適に走るのであった・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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