夜も開け切らぬ早い時間、伊勢が寝所から出てくる
提督はまだ夢の中のようだ・・・
伊勢はその寝顔を愛おしそうに見つめ、寝所のテントを離れ、身体を水で洗い流すために沐浴をした
伊勢の身体は昨夜提督と愛し合った匂いがしていた
その匂い1つ1つを名残惜しそうにしながらも水で流し、出撃に向けた準備、心構えをする
股下に指を入れた時に、提督の出した熱いものが指に絡みつく・・
水で洗い流すのが勿体無い・・そんな気分にすらなる
しかし、伊勢はその熱いものを綺麗に洗い流し、身を引き締めた
伊勢は身体を丁寧にふき、髪を結い、身だしなみを整え一点を見詰める
「よし!」
伊勢は襟を整え、気合を入れる
そして全ての準備が終えた頃、水平線から朝日が昇り始めた
暁の水平線・・いつ見ても心が洗われるわ・・
今日も1日、無事過ごせますように・・
昇り始めた朝日に願をかけ手を合わせる
この地に停泊して今日で7日目・・
予定通りなら、今日引き継ぎの伝令の使者が訪れ、翌日交代となり、いよいよこの任務も終了のはず
なんとか無事に終わりを向える事が出来そうだ・・・
本当、何も無くて良かった
伊勢は平穏無事に過ごせた事、終われる事に感謝をしていた。
「伊勢!」
朝日を臨む伊勢に声がかかる
「なぁに?日向・・」
振り向くと日向が立っていた
「ん?喉の調子が悪いのか?声が変だぞ・・」
「え・・?うそ・・そうかなぁ?」
自分ではいつもの通りの声質だと思っていたが、日向に指摘され気になる
しばらく、あー、あー、と喉の調子をみる為、声を出しつづける伊勢
「ちょっとまずったな…どうしよう」
どうやら昨夜ちょっと声を出しすぎたようだわ・・予定では今日は引き継ぎが有るのに・・と少し焦る
「伊勢、昨夜は張り切り過ぎだ」
突然の指摘に顔を赤らめる
「な、なななな・・・」
「でもまぁ、調子の悪いその声も悪くない」
日向が伊勢を見て、微笑む
確かに、昨夜はいつもよりちょこっとだけ・・
ちょこっとだけ、いつもより頑張ったちゃったし・・
いつもより激しく求められたから、思わず声も大きかったけどさ・・
でも、日向に面と向って言われると・・
「・・・・」
照れる伊勢は恥ずかしそうに、日向から赤く染まった顔をそらせた
「ま、夜の営みは伊勢に任せるさ・・私には向いてないから」
日向は少し自虐的な笑顔を見せて、伊勢の肩に手を置いた
「ふーん?」
伊勢が日向に意味有り気に流し目で見つめる
「な、なんだ・・」
少しドキマギする日向・・伊勢のその表情に悪い予感しかしない
「私には向いてない?どの口がそんな事を言うのかなぁ~と思ってさ・・w」
「な、なななにを・・」
「日向だって結構好きなくせに・・とくにお・く・ち・がw」
伊勢は自分よりむっつりスケベだと日向を攻める
「そ、それはだなぁ~・・・」
顔を赤らめ、体裁をつくろいつつ、伊勢の口撃に応戦をする日向
「あら・・喉の奥まで無理やり入れられた時なんかは、犯されてる気分になってキュンキュンするって・・意外と嫌いじゃないって・・・誰かさんいってなかったかなぁ~」
ニヤリと横目で日向を更に攻め立てる
「そ、それはだなぁ・・あれは・・・」
伊勢の口撃は的確に相手を射抜く・・・
そしてその精度の高さに、日向は応戦するのをあきらめ、観念をした(笑)
「ほ、ほら・・い、伊勢、提督が起きる頃だぞ!」
観念したと言えども口撃はまだまだ続き、分が悪いと判断した日向は伊勢を提督の寝所に行くように仕向け、逃げの一手を打つ
「あ、ちょっと・・日向ったら~」
テント内に押し込められる伊勢
「もう・・」
その騒ぎで提督が目を覚まし、寝ぼけ眼ですでに支度を整えている伊勢を見詰めていた
「あ、おはよう・・伊勢・・君、早いね・・」
「あ、いえ・・おはようございます・・今、沐浴用のお水お持ちしますので・・」
あぁ頼むよ、と言う提督を残しテントを出る伊勢、そこにはもう日向の姿は無かった
逃げられた・・・
「もう・・・追撃戦が出来ないじゃない」
悔しがりながらも伊勢は、提督の身体を洗う為の水を汲みに駆ける。
予定通りなら、今日の午前中にも、使者が我が部隊に送られてくる筈だから・・
それまでには、体裁は整えないと、提督に恥をかかせちゃうから・・
そう心に思い、伊勢はいつも以上に忙しく支度に駆け抜けるのであった。
同日、早朝時間帯
夜明け前の早い時間、帝都近郊の港に一機の零式水上偵察機が待機していた。
「では、頼んだぞ祥鳳!久住によろしく伝えてくれ!」
「はい、了解しました!一足お先に中継基地でお待ちしております、提督!」
水上偵察機のエンジンの爆音にかき消されないように大声を張り上げて見送る提督
祥鳳が髪を押さえながら提督と唇を交わす、提督の唇が昨夜の営みを思い起こさせ祥鳳を高揚させる
「ありがとうございます。これなら、正規空母にだって負けません!」
唇を交わした後、頬を染め嬉しそうにしながら敬礼をする祥鳳
その敬礼した右手の薬指には指輪が輝いていた
「何かあったら、すぐに連絡をしろ、無理をするな!お前の大事が一番だ!」
敬礼する祥鳳に返礼の敬礼をした後、祥鳳を抱きしめて耳元で告げる
「提督・・相変わらず、甘々ですね・・」
提督の胸に添えた右手から、昨夜耳をあてて聞いた心臓の音が伝わるのを感じながら、嬉しそうに祥鳳は微笑み、だから私は提督が好きなんです・・と提督の唇を再び奪う
いつもなら、こんな大胆ではない祥鳳の積極性に熱く唇を交わし舌を絡める
ほんの少しだけ、2人の時間がそこに有った・・
「お待たせ」
祥鳳は爆音をさせている零式水上偵察機に乗り込み、再び敬礼をして飛び立った
夜が開け切らぬ水平線の彼方へ・・・
「提督」
格納庫から駆け寄り、古鷹が寄り添う
「おはよう、古鷹・・早いな」
「祥鳳・・もう行っちゃいました?」
少し残念そうにする古鷹に提督がうなずく
「おにぎり作ったんだけど・・間に合わなかったぁ・・」
残念だなぁ・・と、しゅんとした古鷹の頭をクシャクシャ~と撫でる
「あ!」
「気にするな、アイツはちゃんと自分の飯は用意していたぞw」
笑顔でクシャクシャ~と撫でてボサボサになった髪の毛を、今度は整え始めた
「もう・・・」
いつもなら、怒りながら自分で整え直す古鷹、しかし今は提督がやさしく撫でてくれるので怒るのをやめた
そしてそれ以上に幸せを感じていた
・・と言うか、両手もふさがっているので直せないのが実情でもあった(苦笑)
「さて、祥鳳が伝令として先駆けし、我々の到着を待っている、準備急ぐぞ!」
頭を撫で終えると、笑顔で古鷹の頬へキスをして、ニカっと笑い1人歩き出す
朝から思わぬ行動に、きょとんとする古鷹・・
そして次第に顔を赤らめる
「もう!」
顔を真っ赤にして提督の後を追いかけ走る、おにぎりを包んだ包みを両手に抱えながら
「その握り飯、食っていいか?」
「駄目です!これはお昼です!」
プンスカ怒りながら古鷹は身体をひねり取られないようにする
「なんだよ・・・もう」
提督は抱え込んで身体をひねる古鷹の無防備なお尻をペロンとさわり残念がった
「きゃっ!」
古鷹が飛び跳ね、顔が更に赤くなる
そして頭から湯気を出しながら涙目で怒る
「もう、えっち!もう私知らない!」
本気で怒りかけだす古鷹、あわてる提督
あわわわわわわ~
許してくれない古鷹に謝りながら古鷹を追いかける提督・・
ものすごいみっともない光景が朝から繰り広げられていた
朝から何してんだか・・あのバカ夫婦(笑)
そんな光景を、肘をつき、指輪のついた右手にあごを乗せ
格納庫の2階から加古が呆れながらもニヤニヤしていた
「加古・・どうしたの?」
舞風が加古に寝ぼけ眼で指輪がついた右手で目をこすりながら問う
「ん?なんでもな~いw それよか早くご飯食べようぜ」
また焼きもちを焼いたら舞風は面倒くさいからと、舞風を連れてその場を離れようとする加古
「ん・・・・・・」
「!!」
「あぁ~!ちょっと何してんのよあの2人!!」
朝から2人でいちゃついている姿を目撃し、いっきに目が覚めた舞風
舞風が激怒する(笑)
あちゃ~と手を顔にやり、めんどくせ~事になる・・と、嫌がる加古
「もう!許さないんだからね!」
舞風が先程までの眠気は何処へやら、つむじ風のごとき進軍であっという間にかけていった・・
「許さないも何も・・嫁は古鷹だって言うの・・」
舞風の相変わらずの提督LOVEに呆れつつも、舞風の気持ちも理解できる加古
「あたしも、あれぐらいしてみたいわ~w」
自虐的に笑い、舞風の後を追うように階段に向かい歩き出す
「すればいいじゃない?」
「!!」
その声にはっ!として赤面する
やばい・・1番聞かれたくなかった相手に聞かれてしまった~と後悔をする加古・・・
加古一生の不覚、電探を怠った・・これまた面倒くさい事になると少し涙目であった
「あの夜、誓い合ったじゃない・・もう古鷹に遠慮する事は無いのよ、加古あなたも提督にもっと自分の気持ちぶつければいいのよ」
夕張がウインクをする
「あぁ・・でもなぁ2人の事思うとさ~・・・」
腕を頭の後ろで組む加古が少し渋りながら夕張に答えた
「そんな事言ってると、今に後悔するわよぉ~w」
意地悪く、手をわしわしさせながらニヤリと加古に詰め寄る
「わわわわわ、こわい、こわいw 夕張ぃ~マジで怖いったらぁ~!」
笑顔で逃げ出す加古、それを面白がって見ている夕張
夕張はひとり、加古が去った後の格納庫2階から見える
水平線から上がり始める朝日を眺めながら微笑んだ
旅立つには最高の晴天!
文句なしの夜明けにワクワクする夕張
「私たちの新しい朝が始まるのね・・」
指輪のはまった右手薬指を朝日にかざし、
指輪の上でダイヤモンドの様に輝く光を、そして指輪を、嬉しそうに見つめる
提督・・奮発しちゃって・・もう・・
でも・・
提督嬉しかった・・ありがとうございます
そして、いつまでも一緒に入れる喜びをかみ締め、
新たな船出に希望を抱いたのであった
つづく
おまけ
「あなた・・美味しいですか?」
「あぁ・・うまいv」
「よかったぁ~古鷹嬉しいですv」
提督は嬉しそうに古鷹の握ったおにぎりを結局上手い事言い包めて(笑)食べていた
先程まで怒っていたのがウソの様に、古鷹も美味しそうに食べてくれる提督を頬を染めてみていた
その光景を加古は通りがけに見て呆れた
喧嘩してたんじゃないのかよ・・・これだから犬も食わねぇんだよなぁ(苦笑)
加古は内心呆れながらも、幸せそうにしている2人を見てほくそ笑んでいた
「あ、加古・・おにぎり食べる?」
古鷹は加古に気付いて呼び止める
加古の前に差し出されたおにぎりは、なんとも言いがたい大きさで、不恰好だった
「お、貰っていいのか?らっき~v」
加古が朝飯前の空腹に耐え切れず、その大きいおにぎりを口にする
「・・・・・」
「どう?」
「・・・・ん?」
「美味しい?」
「ん?・・・・あぁ美味し・・・い・・・・よぉ・・・・・かなぁ」
引きつった笑顔で冷や汗を流していた
古鷹・・あんた、これ本気ですか・・・
あまりの事に、白目をむきそうになる加古
「あら?おにぎり?私も1ついただ~」
更に通り掛った夕張がおにぎりを1つ口にする
加古が、あ!駄目と!と口にしようとするが、時すでに遅し・・
あちゃ~と手を顔にあてる加古
「・・・・」
「ゆうばり・・」
加古が恐る恐る声をかける
「・・・・・」
「おーい、夕張さ~ん・・」
夕張の返事がない・・・遠いどこかへ行ってしまったのか・・
「はっ!」
「ちょっ!古鷹、これ・・本気?」
遠い別次元まで行っていた夕張が、無事帰還した早々、余りの事に確かめる
「?」
「夕張、だめ・・」
加古が言葉を遮ろうとするが、夕張がいち早く言ってしまう
「古鷹!あなたこれ塩じゃなくて砂糖じゃない!」
「・・・・・」
「えぇぇぇぇぇ!!」
古鷹の顔が青ざめていく・・・
あわてて提督のおにぎりを取り上げて、自分も口にする・・・
そして涙し、うな垂れる・・・
口の中でご飯の甘さと、砂糖の甘さが絶妙にミスマッチで絶対無比な不協和音を奏であげた・・
わたし、最悪だ・・・・
涙を浮かべ、思いっきり落ち込む古鷹
「あなた、ごめんなさい・・」
「あ・・そうか?旨いと思うんだか・・」
マジか・・提督(汗)
夕張と加古が呆れ顔で驚く(笑)
「まぁ・・なんだ・・その、たまには良いんじゃないか」
ニカっと笑い古鷹の頭を撫でる
古鷹は明らかに自分は今提督に気遣われていると感じて更に落ち込む・・
馬鹿だ・・・こいつ馬鹿だ・・
加古が心の中でつぶやく
愛は盲目とは言うけど・・ここまでとは・・
夕張が呆れる
「次回ちゃんと握れれば良いさ・・なぁ夕張?」
「え?あ、はい・・そうですね」
突然のフリに慌てる夕張
「古鷹・・料理下手だからって気にするな、徐々に覚えていけばいい・・そうだろ?加古」
「え?あぁ・・そうそう!そうだぜ、古鷹ぁ!ドンマイな!」
口の中の絶妙な甘さの不協和音で引きつり笑顔のまま答える加古
「古鷹、今度私と祥鳳でちゃんと教えてあげるわ!もう二度とこんなもの作らせないから!」
夕張が、本当にもう・・と言う顔で古鷹を支援する事を約束する
「あ、ありがとう夕張・・私嬉しいv」
涙目笑顔でお礼を述べる古鷹
任せなさい!と胸を叩く夕張
そして手にしたおにぎりを元に戻し転進する
とにかく、これは提督に食べさせてしまおう・・・
「さぁ~とにかくこれは提督が全部食べるとして・・私たちは食堂にご飯食べに行くわよ、加古!」
「おぉ・・おー!・・って、お、お~い、置いてかないでくれよぉ!」
いつもは足の遅いはずの夕張が加古を引き離して高速艇並みの機動力で立ち去るという奇跡を見せた(笑)
「ごめんなさい」
「気にするな・・今度母さんにも教えてもらえばいいから・・」
肩を落とす古鷹を抱きしめて頭を撫でて慰める提督
一段と仲のよくなる2人であった・・
めでたし、めでたし・・
因みに加古たちが食堂で飯を食い終わった頃
「あれ?そういえば舞風は?」
さぁ・・・・
舞風が居ない事に気付く・・
余りの不味さに気を失っている舞風が格納庫の片隅から発見されたのは
出発5分前だった事は、今は誰も気付かない事実であった(笑)
舞風はこの後、思い出したくない過去ベスト5に入る事件だったと、当時を振り返り語るのである(苦笑)
あぁ合掌(笑)