※この作品はR-18です。

艦これ「古鷹の話」琥珀色の幸せ   作:ひびきん屋

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その32

季節はめぐり、生物が過ごすには過ごし易い良い季節になった

花は実をつけ、恵みを分け与える季節・・

 

 

 

広大な広さを持つ、西洋式庭園・・イングリッシュガーデン

 

その庭園に入り、薔薇の街道を抜けた先、庭園の奥に、チェルシー(シンボリック)ガーデンがある

そこには白色で統一された可愛らしいガゼボ(西洋風あずまや)がひっそり立っていた

 

 

少将となった提督は恩師である士官学校校長の計らいにより古鷹との式を挙げた

 

 

 

古鷹は西洋式の簡素ながら清潔感のある真っ白なドレスに袖を通し、頬を染め提督の恩師である士官学校校長にエスコートされガゼボで待つ提督の元へ向う

 

「閣下・・緊張しないで」

「わ、分かってるわ・・」

参列者に小声で励まされる校長閣下

 

閣下は着慣れないタキシードを身につけ、人一倍汗をかき、ぎこちない姿で古鷹を提督の元までエスコートをした

 

その姿に新郎の母である大和はクスクスと笑いをこらえて見ていた

 

 

 

「やまと・・・」

閣下は赤面して大和の仕草に「勘弁してくれ・・」と照れていた

 

 

 

 

閣下から古鷹を手渡され、提督は古鷹の手をとる・・

そして提督は周りには今までに見せた事の無い照れた笑顔で古鷹を見つめた

 

提督は古鷹と手を取り合い、ガゼボの中へ1歩1歩と登っていく・・・

 

 

2人の目の前には正装した鈴木とあかりが待ち構えていた

 

 

「お二人さんおめでとう・・いや、3人さんかな?」

鈴木はあかりと共に、ガゼボの中心で誓いの証書を手に持ち、2人を迎え入れた

 

「なに?3人だと?・・・おなかに・・居るのか?」

そんな話は聞いてないぞ!とあかりが驚く・・

鈴木は、あれ?教えてなかったっけ?と、とぼけた

 

 

あかりは古鷹の顔を見た

 

 

古鷹は幸せそうにおなかを大事にさすり、顔を染めて涙目で微笑んだ

 

 

「そうか・・古鷹・・おめでとう」

あかりは自分の事の様に涙で瞳が潤んだ

 

 

そんな感涙のあかりを促し、鈴木とあかりは2人に誓いの書にサインする様にペンを渡す

 

提督がサインをし、古鷹が続いてサインをする・・

そしてサインが終わると2人はお互いを見つめ合い、最高の笑顔を見せた

 

 

2人はサインが終わった証書を受け取り、祝福をしてくれる者達の方へ振り向き、読み上げた

 

 

 

 

本日、私達は 皆様の前で

結婚の誓いをいたします

 

私達は心をひとつにして

互いに思いやり、支えあい、

どんな困難にも力を合わせて

 

努力を惜しまず、愛する者を悲しませず

ずっと一緒に生きていく事を誓います

 

私達は、夫婦になる事をここに誓います

 

 

 

 

誓いの言葉が読み終わった途端、祝福の歓声と拍手が上がる

 

 

提督は古鷹の手をとり、指輪をはめた

それは改めて贈る結婚の証であった

 

 

それを嬉しそうに見つめる古鷹・・・

 

 

そして提督と古鷹は見つめ合い、口付けを交わす

 

 

 

「いや~やけちゃうv」

「おめでとう!」

「素敵、羨ましい~おめでとう!」

 

思い思いの祝福の声があがる

 

「ふるたか・・」

琥珀艦隊の面々も涙目になり、古鷹の幸せを祝福した

 

「古鷹ぁ~あたしゃ・・あたしゃ・・」

なかでも加古が琥珀艦隊の中で1番涙でグチョグチョになり、鼻を垂らしながら、祝福の拍手をしていた

 

 

参列者は身近な者だけとなったが、それでも2人にとっては充分すぎるぐらいの祝福であった

 

 

 

そして、古鷹はブーケを参列者の中に投げた

 

 

 

そのブーケは弧を描き、祝いの席に招かれた少女の胸元へスッポリと落ちた

 

 

 

「え?」

状況が読めない少女

 

 

「え?え?え?・・・・え―――っ!オレかぁ!!」

赤面して慌てる

 

「あら、天龍さん・・やりましたねw」

隣りで式に参加していた名取がブーケをゲットした天龍を祝した

 

 

「いやいやいやいや!ないないない!これは・・」

天龍もこの意味は分かっていた・・故に困惑する

 

「自分は戦いに生きてこそ・・・女の幸せなんて・・・」

顔を真っ赤にして困り果てあわただしく落ち着きの無い姿を廻りにさらす(苦笑)

 

 

「貴方に貰って欲しいと思ったから」

古鷹が天龍に笑顔で語りかける

 

 

「な・・オ、オレじゃ無くても~」

全身から湯気を出し、自分より適任者は居ないかとオロオロする天龍

 

 

「だめだめ、あたし達は提督の女だから、必要ないんだ」

加古が琥珀艦隊の面々に抱きつき、意地悪く突き放す

 

 

顔を真っ赤にしたまま周りを見渡す天龍

 

 

鈴木は飛龍の腰を抱き寄せ、天龍のその姿を面白がってみている

あかりは金剛がべったりで・・・

名取は、だめだめだめ~受け取れない!と絶対拒否の姿勢を貫いていた

 

 

「諦めて男を見つけて幸せを掴め、天龍!」

提督は意地悪く天龍に引導を渡した

 

 

 

「ちくしょう・・・・」

天龍は物凄い辱めを受けた表情で観念した

 

 

「い、いつか・・必ず仕返しするからな」

 

「あぁ楽しみにしてるよ・・いつか旦那を連れてうちに遊びに来いよ!」

「手料理用意して皆で待っているからねv」

 

提督と古鷹は身体を寄せ合い天龍を笑顔で包み込んだ

 

 

 

 

ガゼボの周りには多くの笑顔と、多くの幸せがあった

いつまでもいつまでも終わる事の無い笑い声が、庭園の奥で響きあう

 

 

 

この日、2人は自分達が掴んだ幸せをかみ締めあった

 

 

 

 

 

 

 

「すまん、遅くなった・・」

 

式のあと、ガゼボ脇でテーブルを囲み食事をしている最中の古鷹達の下へ木曽が現れた

 

 

「今日はわざわざ有り難うな・・木曽」

「こちらこそ、祝いの席に遅れてしまい、申し訳ない・・」

木曽が深々と頭を下げた

 

「気にしないでくれ、俺達は来てくれただけでも嬉しいんだ・・」

提督はニカっと笑い、木曽を席に案内する

 

途中、木曽は名取と目が会い、口元を緩ませ微笑んだ

名取も木曽のその微笑に笑顔で応える

 

良い顔をするようになった・・

 

木曽は名取のその笑顔をみて自分の事の様に嬉しくなる

 

 

 

「き~そーっ!」

「天龍? お、お前酔ってるな・・」

木曽の姿を見つけ、絡む天龍・・いつもと様子が違う

 

「どうした?お前・・・悪い酔い方をしてないか?」

訳が分からないまま、絡んできた天龍をあしらい続ける木曽

 

「みんなが、俺を・・俺を・・いじめるんだよぉ~」

天龍は半ば強引に受け取らされたブーケを片手に、お前が居ない間、さんざんだったと木曽に絡み続けた

その光景にみんなが苦笑いをし、木曽は面倒くさいな、こいつ・・と、絡みつく天龍の話をはい、はい、わかった、わかったと軽くあしらい、聞き流し続けた

 

「だからさ~俺は要らんのだよ!俺は戦いの中で死ぬんだ!

 女の幸せなんて要らんっ!だから木曽!・・・だからお前にやる!」

ベロンベロンのヘロヘロで仁王立ちし、ブーケを木曽の前に突き出した

 

 

 

 

要らん!

 

 

 

一刀両断に切り捨てる木曽

 

 

「諦めて受け取れ!」

「な、な・・・」

 

「お前、処女だろ!良い機会だ、好きな男を見つけて抱いてもらえ」

「な、な、な、な、な、な・・・・・」

天龍が木曽の突然の暴露に顔を真っ赤に・・いや身体中を真っ赤にして湯気を出し慌てふためく

 

「お、お、お前だって・・お前だって・・処女」

「じゃない!」

 

 

 

ガーーーン!

 

 

 

「俺には抱いてくれる男が居る、もうずっと前に処女なぞ、その男にくれてやったわ

 しかし抱かれても中出しはさせてないがな!俺は元帥閣下の艦娘だ、そこはわきまえている

 元帥閣下もその事に関しては了承済みだ・・問題ない」

しれっと自分の事を言い放ち、席に着き、テーブルに置かれている食事に口をつけ始めた

 

 

「な、な、な・・」

頭に血が上り、そして受け入れられない現実を突きつけられて何をどうしたら良いのか分からなくなった天龍

ただただ、顔を赤く染め、汗をかき仁王立ちのまま固まるしかなかった

 

「まぁ天龍、きっと遠くない未来にお前が欲しいという男が現れる!

 そういう男が現れるまでお前の処女は大事にしろ!」

鈴木が天龍の方にポンと手を置き、固まったままの天龍に酒の入ったグラスを持たせた

 

 

 

 

「それでは、天龍の処女にかんぱーい!」

「かんぱーい!」

 

 

「や、やめろ、バカ―――ぁ!」

 

面白がり、悪ノリする面々は、天龍の処女に、

そしてそれを奪ってくれる良い人が見つかる事を願って祝杯をあげた

 

 

 

その状況を面白がってみている提督と古鷹・・・

 

提督は、今日の主役が誰なのか分からなくなっちゃったなぁ~と、古鷹の顔を見て苦笑いをした

古鷹は楽しそうに、そうね、でも楽しい・・と、その声に笑顔で答えた

 

 

 

 

 

 

 

そんな感じで無事に全てが終わり、各々にお土産を持たせて三々五々解散となった

 

 

「どうする?うちで休んでいくか?」

提督が酔いつぶれた天龍を抱えている木曽に声をかけた

このあと、琥珀艦隊の面々と実家で泊まるから1人や2人増えても変わらんから・・と

 

木曽はその誘いを丁重に断り、天龍を担ぎ、途中バスに乗って帰るという

しかし・・と心配がる提督は、心配そうにうちで休めと念を押す

 

 

木曽はその心配性なまでのお人好しさに苦笑いしながら、大丈夫だと告げ天龍を担いで歩き出した

 

 

天龍は程よく酔いつぶれ、ムニャムニャと夢の中であった

 

 

「ふふふ・・お前にこんな可愛らしい面があったとはな・・」

木曽は天龍を担ぎながら少しはなれたバス停までとぼとぼ歩いていた

 

「なぁ・・木曽・・龍田は?」

突然天龍が寝言なのか、起きているのか判別がつかない状況で言葉にした

 

「あぁあいつは任務でこの地を離れている・・暫くは戻れん」

「そっか・・・」

天龍は担がれている気持ちよさも手伝って、気持ち良さそうな声を出した

 

 

こいつの幸せは戦いだけじゃないって、いつになったらこいつ自身が気付くのかな・・

気付いて、その幸せを手にした時に、本当の強さを知ると思うんだが・・

 

・・・・でも意外と子供だし、まだまだ先かな

 

天龍を担ぎながら、天龍の今後を楽しみに苦笑いをした

 

 

 

「おーい!木曽ーっ!」

 

 

後方から車の音と共に木曽の名を呼ぶ声がする

そしてその声に反応すると同時に、木曽の脇にタクシーが滑り込んできた

 

「これを使ってくれ」

提督はタクシーから降りると天龍を担ぎ、後部座席に座らせた

そして木曽に車に乗るように促した

 

「しかし・・タクシーなんて」

「気にするな」

 

戸惑う木曽をタクシーに押し込み、提督は有無を言わせず目的地を告げ走らせた

 

 

「お、おい!」

 

 

戸惑いながらも手を振り小さくなっていく提督の姿を見続けるしかなかった

 

「あいつ・・どこまで御人好しなんだ」

気持ち良さそうに寝散る天龍をチラリと横目で見た木曽は1人微笑んでいた

 

 

木曽達を乗せた車は軽やかに西洋式庭園をあとにする

 

 

 

 

 

 

 

「さて・・・戻るかw」

 

 

 

提督は先ほどタクシーが走って来た方向へ1人け駆け出すのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

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