※この作品はR-18です。

艦これ「古鷹の話」琥珀色の幸せ   作:ひびきん屋

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その6

日暮れ時の帝都に明かりがつき始める・・

 

帝都近郊の港に提督らを輸送してきた飛行艇は停泊していた。

到着早々、軍の用意しておいたバスに乗り込み、輝く帝都を駆け抜けいた・・

 

 

彼女らの目に映るもの、賑わう喧騒は新鮮で、見るもの全てが輝いて見える

 

 

「提督、提督・・・お出かけできるかなぁ?」

座席にちょこんと膝を乗せ、窓にへばりつき、外を食い入るように見続ける舞風

 

「あぁ・・どうだろうなぁ・・運が良ければ半日ぐらいは時間がもらえるかも知れんな・・」

外の景色を懐かしく思いみつめる提督

 

「だったら、だったら、わたし銀座!銀座へ行きたい!!」

目を輝かせ提督をみつめ舞風が楽しそうに語りだす

「銀座行って・・アイスクリーム食べて・・ダンスホールでおめかしして提督とダンスを~」

目を閉じてふふふ~と鼻歌を奏でながら妄想の世界にはいる舞風

 

「あ、俺も行きたい!銀座行きたい!」

舞風とは反対側に座る加古も、はいはいはい!と手を上げてアピールする

「俺は思いっきり洋食って言うの食べたいなぁ・・洋食・・洋食・・」

よだれが出掛かっている加古・・相変わらず食い気な子である(苦笑)

「洋食って旨いんだろ?なぁ提督」

 

加古の勢いに押され、加古の無邪気さに呆れ顔になりながらも笑顔で答える

「ん・・あぁ・・旨いぞ。とくにクリームコロッケって言うのは絶品だったな・・」

 

今まで聞いた事のない、初めて聞いた単語に目を輝かせ、

口元が緩みよだれが今にも滝のようにこぼれんばかりのだらしない顔になる加古

「なにそれ?クリームコロッケ?」

 

「あぁクリームコロッケだ・・昔母上に連れて行ってもらったが旨かった!」

にこやかにその旨さは抜群だと訴える提督に加古の食欲は絶頂になる

「俺、それ食いたい!」

 

「あとなオムライスも旨かったなぁ・・ケチャップで炒めたチキンライスに、卵の焼いたのがなぁ・・」

昔一度だけ連れて行ってもらった、銀座の洋食屋で食べたオムライスを思い出し、同時に母の事も思い出した

 

 

実家にも寄りたいな・・時間が取れれば・・

心でそう思い、加古の洋食旨いのか?質問の質問攻めに答える提督

 

「こらこら・・もうそれぐらいにしなさい。遊びに来てるんじゃないんだからね、軍務で来てるの―――」

事の流れを黙って聞いていた祥鳳が暴走し始めた加古達を制するために口を開く

「軍務が終われば、そのままトンボ返りよ。出かけてる暇なんてきっと無いわよ・・」

 

「え――!」

「いやだいやだぁ~!」

加古と舞風の悲鳴にも似た声が上がる

 

「もう聞き分けないわね・・古鷹、貴方からもなにか言って上げて下さい」

自分だけでは収拾がつかないと古鷹に助け舟を求める祥鳳

 

「え?あ・・はい。」

突然のフリに、え?と思いつつ収集に努める古鷹

「加古、舞風、わがまま言っちゃ駄目よ・・軍務なんだから」

 

「えぇ!古鷹ぁせっかく来たんだぜ!次ぎいつ来るかわかんないんだぜ!!」

「そうだ、そうだ、いつ来るかわかんないだぜ~」

加古、舞風連合艦隊の口撃に押され始める

 

「でも、ホントわかんないんだよ・・期待してて行けなくなるともっと悲しいよ」

「そうよ・・だから行く気満々で過ごしいて、いざと行こうって時にやっぱり行けませんでした・・なんて事も十分あるのよ。そいうなるとつらくなるわよ・・」

祥鳳、古鷹連合駆逐艦隊が応戦し始める

 

「うぅぅ祥鳳の意地悪・・」

「いやいやいや・・意地悪じゃなくて~」

 

 

提督は事の成り行きを呆れ顔で見ていた・・

今後の憂いを残さない為にも、ある程度お互いが腹に納めているのもを出させる必要があったからである。

 

 

 

・・・・が、しかし

あまりにも度が過ぎた発言が増え始め、

声もだんだん大きくなり見るに耐えない状況になり始めた・・提督の顔が険しくなり始める。

しかも運転席に座る運転手にもその声は届いているらしく、笑いをこらえ運転している

 

すこし具合がよくないなと判断した提督は事態の収拾をつけようと声をかける

 

「おい・・お前らいい加減にしろ」

提督は静かに聞こえるように言った・・

 

しかしヒートアップしている当人たちには

その声は届いていなかった・・・

 

「おい、お前ら・・・」

古鷹と祥鳳はその声に気付き、口戦をやめて提督をみた

夕張もこれはマズイと言う顔になり

「加古・・舞風・・あんたたち」と声をかける

 

しかし加古と舞風はとまらない、相手の口撃がやんだとばかりにまくし立てる

「行くったら行くの~~!」

 

「いい加減にしろ!お前ら!!」

 

バス中に響き渡る怒鳴り声、当人達だけではなく、運転手も思わずビクッとする

そのせいでバスも小刻みにブレーキがかかりスピードが落ちた・・

何事だ?とミラー越しにチラリとみつめ運転手は、大丈夫だと判断して再び本来のスピードに戻す

 

先程の怒鳴り声とは違い、淡々と鋭く重い口調で話し始める

「お前ら、分かっているのか・・遠足じゃないんだぞ?任務だ、任務。

 それ以前にここは公共の場、静かにしろ、静かに!」

大声でビクついた舞風が今にも泣きそうな顔をしている、それを夕張がサポートしていた。

加古はしゅんとして、自分がやりすぎた事を自覚していた・・そして祥鳳や古鷹もうなだれる様に提督を見ていた

 

「静かに座って居ろ」

そう言うと提督はばつが悪そうに外を眺めていた

・・ったく俺もこんな事は言いたくなかったのに・・そう思いながら

 

重苦しい空気の中、古鷹がいち早く提督の前にたち謝罪した

「申し訳ありません、私が秘書として至らないばかりに・・今後こういう事が無い様にみんなに・・・」

そう言いかけた瞬間にバスが大きく揺らぐ

 

「あっ」

 

車体が大きく揺らいだせいで、一瞬にして古鷹の身体がバランスを失い

古鷹は体制を整える事も出来ずにゆらぎ、崩れた・・そしてその先には座席の角が

 

「あ!」

 

悲鳴にもならない声が上がる・・

 

提督は彼女達が声を上げるよりも早く、座席と古鷹の頭のあいだに手を挟み込み古鷹を受け止めた

「くっ・・」

古鷹を受け止めたせいで左手の手の甲が座席の角が食い込み、冷や汗と共に顔がゆがむ

 

「ていとくぅ!」

いっせいに心配の声があがる。その声に気付きバスを停め、運転手も駆け寄ってくる

 

顔の殴打を覚悟していた古鷹は予想に反した痛みの無さに拍子抜けしながらも

床にたたきつけられた。

そしてその理由は親しみなれた暖かい手にあった事にに気付き、はっ!とした・・

 

目の前には手を殴打し苦痛にゆがむ提督の顔があった。

 

古鷹をかばう為に、手を出した提督はそのまま身体を持ってかれ、古鷹と共に床に打ち付けられていたのだ

 

それを理解するのに1秒もいらず、すぐに理解できた古鷹

倒れた提督の胸越しに見上げた顔には苦痛と共に冷や汗を流している提督の顔が見えた。

自分の大切な人のそんな顔を見たい人は誰も居ない・・一気に古鷹の顔が青ざめる

「提督!提督!」

 

目の前で起きている現実に青ざめ続ける古鷹、

そして自分たちが引き起こした事でおきた悲劇に青ざめる琥珀艦隊の面々

 

「提督・・提督・・ごめんなさい、ごめんなさい、わたし――わたし―-」

涙が溢れ出しとまらない古鷹、提督のほほに涙が雫となって落ち続ける

 

「ていとく、死んじゃやだ~~~」

舞風が大泣きを始める・・周りも事の重大さに気付き一緒に泣き出す・・

 

「ていとく、ていとく。ヤダよぉ~死んじゃヤダ・・エグエグ」

舞風が鼻水を流しながら人目もはばからず泣き出す

 

言葉を何も発する事も出来ず祥鳳は両手で口元を多い青ざめ、立ちすくんでいた

 

「提督・・提督・・しっかりして下さい、手を・・手を見せて下さい、提督」

夕張は駆け寄り提督の耳元で名前を呼び続けた・・しかし提督からは痛みをこらえるばかりで

返答も出来ず、手をかばったまま、うなる声しかきこえなかった・・・

 

「い、いま・・救急車を・・」

現状がヤバイと判断した運転手があわてて運転席に戻り無線で救助を呼ぼうと駆け出した

 

 

 

「だ・・大丈夫だ」

 

やっと声が出せるようになった提督は殴打していない方の腕で床に手を着き床に座った

「ていとくーー!」

 

「あぁ私は大丈夫だ・・すまんな。君、運転を・・仕事を続けてくれたまえ」

「しかし、見る限りでは大丈夫そうには・・やはり」

打ち所が悪かったらと心配そうにする運転手を運転席に戻る様にと、殴打した方の手をひらひらとさせた

 

「心配するな、宿舎に着いたら医者に見てもらう・・それの方が早い、急いでくれ」

 

運転手はその言葉を受け入れ、いぞぎ車を動かしに運転席に戻っていった。

 

 

泣き止まない娘たち・・・

 

「もう泣くな・・」

痛みを堪え、自分を見下ろしている娘たちの顔を見上げ引きつった笑顔でそう告げた。

 

「だって・・だって・・提督ヤダよ、死んじゃったらやだ・・グスグス」

全然泣き止まない舞風に恥ずかしそうに痛みを堪えながら

「あほ・・こんなんで死ぬか!死んでたまるか!」

声を張り上げる提督

 

「こんなんで死んだら恥だわ!・・・イテテテ」

そういうと舞風のケツをパチンとたたき、冷や汗を流しながらも笑顔でふるまう・・

 

「なっ!・・て、提督のエッチ!」

突然の事に舞風が泣き止む

 

 

 

泣き止んだのを良しとして周りを見渡す提督・・

 

 

 

「お前たちも大丈夫・・だな?」

加古、祥鳳、夕張がいっせいに半べそかいた声で大丈夫だと答える

 

そしてそのまま視線を古鷹に向けた・・

古鷹はあぐらをかいた提督の懐で顔をうずめて泣いていた

 

その泣きっ面の古鷹を見た提督は優しく語り掛ける

「お前は無事か・・・?古鷹」

「・・・・」

古鷹は一生懸命涙を堪えて答える

「はい・・」

 

 

「じゃあ顔を上げろ・・俺にお前の顔を見せてくれ」

古鷹の頭を撫で、自分に顔を見せるように促す提督・・

「でも・でも・・」

もうこれ以上泣き顔の不細工な顔を見られたくない古鷹・・

 

「大丈夫だ・・もうお前の不細工な泣き顔は見慣れてる・・安心して顔を上げろ、古鷹」

笑いながらの提督のぶさいく発言に、古鷹は顔を真っ赤しながら顔を上げる

「わ、わたし・・ぶさいくじゃありません!」

古鷹の顔が涙と鼻水で、ずびずば~状態(苦笑)

 

「うわー」

 

提督の悲鳴にも似た声が・・・

古鷹の鼻と股間の間に古鷹の鼻水が糸を引いて・・(笑)

 

 

それを見ていた皆がいっせいに笑いをこらえ始めた、そして堪えきれずに笑い出す

「あははは・・・・」

あれだけ泣いていたカラスがもう笑っていた。

 

古鷹だけは顔を赤くしながら笑いながら泣いていた

「ご、ごべんなざい・・・ズルズル」

鼻をすすりながら顔を上げる

 

「なんか・・股間から糸引いて・・いやらしなw」

「提督・・ここは公共の場ですよ・・」

外野席の加古達から、ちゃちゃが入る

 

「違うから!白濁じゃねーだろ、透明だろ、しかも鼻からだろ!」

赤面して全否定する提督・・その全否定する提督のあまりの可愛さに、また笑いが増していく

 

 

夕張から渡された、ちり紙で鼻をかみ目が脹れるほど泣いた古鷹の目に指をやり涙をぬぐう提督

「もう泣くな・・古鷹・・」

「だって・・だって・・提督が・・提督が・・、死んじゃう・・グスグス」

「おい、勝手に殺すな・・手を打ったぐらいで死ぬか

・・というか死んでたまるか、こんなんで死んだら末代までの恥だ・・」

 

「・・ったく、心配性だなお前は・・」

そういうと対面で座り込んでいる古鷹の頭に手をポンと乗せ、くしゃくしゃと髪の毛を掻き分ける

「て、提督・・ヤダ・・髪の毛がぐちゃぐちゃに・・・」

 

泣き顔から、一生懸命払い除けようとする古鷹

 

 

「いつもの古鷹に戻った・・」

提督は安心した顔で古鷹をみつめる、古鷹も泣きべそだけど、今は笑顔で提督をみつめる

 

「とりあえず、はやく宿舎につかねぇかな・・痛くなってきた」

苦笑いし、意識を失う提督

 

 

 

「ていとくーーーーー!」

 

 

 

 

バスは飛ばす・・ばすばす飛ばす、車をバスバス抜きながら、青ざめ気絶した提督乗せて。

 

 

 

 

つづく

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