提督と古鷹は受付を済ますと中へ進んだ・・
入ってすぐのロビーにも多くの提督と同じ仕官が秘書を連れて談笑していた。
ある提督は戦艦をつれて歩き、またある提督は駆逐艦、ある提督は軽巡洋艦を連れて歩き、
格下格上無く、多様な秘書たちが混在していた・・思いっきり各提督の趣味丸出しのラインナップだ
これなら古鷹も気後れせずに済みそうだなぁ・・良かった。
ふと古鷹の事を思いやる提督
でもなぁ~~と少し気後れする
きっと、服装に関して制約がなかったらもっと破廉恥極まりない、趣味丸出しの目のやり場の無い
秘書艦自慢の低俗お披露目会になっていただろう・・
いくら息抜きが目的といえども流石に、上層部もそれは望んでないだろうし、
それでは示しがつかないと規律だけは保ったのだろう
・・・にしても、あまりこの手のパーティは好きじゃないな~
そんな事を思いつつ、忘れない内に給仕係に話を・・と思い、顔は真っ直ぐのまま
目をキョロキョロしながら進む提督
その後を同じようにキョロキョロして付いて歩くのは古鷹
「すごい・・あの人、赤城さんだ・・あの人は島風さん?・・あ、摩耶・・」
提督とは違い、ワクワクになりながら頭ごとキョロキョロするので
田舎娘が初めて上京したような光景である(苦笑)
そんな古鷹も、一応他人の目、周りは気になる・・
提督の後を付き従いばがらも、私はどんな風に見られてるんだろう・・そんな不安がよぎった
その瞬間だった・・
一度不安に陥ると急に周りの目が気になり始めた・・
先程までのワクワクはもうどこ見もない、ワクワクが胸騒ぎに変わった
その途端微かに聞こえてくる会話が全て自分へ向けられた誹謗中傷の様に感じる。
こちらを見る目は全て好奇の目で見られているような気になる・・顔を上げられない。
この顔のアザ・・提督に恥をかかせちゃう・・イヤ、わたし――-
思考が空回りを始めた・・
おもわず、提督の服のすそをちょこんと握りしめて歩きたい気分になっていた。
どうしよう・・どうしよう・・・
空回りをし始めたその時~
ドス!
「!?」
ものすごい音と共に古鷹の脳天に脳天から竹割りチョップが炸裂!
あまりの突然、あまりの痛さに涙目で叫んでしまう
「いった―-―い!」
一瞬何事か?と提督と古鷹をみんなが見る・・
しかし、すぐに何事も無かったかの様に再び先程の空気に戻る
「考えるな!」
チョップを繰り出した提督はそれだけを告げ、再び歩き出す・・それをあわてて追いかける古鷹
ものすごく痛くて、ものすごく恥ずかしくて、それだけで先程までの負の思考が飛んだ・・
「大丈夫・・お前はお前だ」
「ていとく・・・」
提督は私の事を気遣ってくれて・・・そう感謝をしようとした矢先
「お前は中の中、所謂平凡だ。平凡ゆえに美人じゃない・・
だから心配しなくてもお前なんかに最初から注目なんぞ、あびん!」
「?」
提督が何を言い出しているのか意味がわかんない古鷹・・
「故に俺が注目される様にしてやった!これでお前も今夜は有名人の仲間入りの資格を得たぞw」
「な・・そ、それでけで私の頭に~?・・・ひどい―――っ」
顔を赤くして涙ぐむ古鷹
「あはは、そう怒るな、これで俺もお前も今日の主役の1人に仲間入りだw」
能天気なひどい提督だ・・
そしていきなり表情が変わる
「古鷹、人間と言うのは面白い生き物でな・・
同じモノでも、おどおどしているとみんな気にし始めていじり始める
そしてそれを面白がり、仕舞いには面白いと言うだけでそいつの事を弄び壊してしまう・・」
提督は孫を連れて夕暮れを歩くじじぃの様な口調で語り続けた
「でもな、同じモノでも堂々と何が悪いと当たり前のようにふるまうと
最初は面白がるが、相手が動じないので面白くなくなり最後には飽きる・・
飽きたら、それが当たり前の存在となって、誰も気にしなくなる。
そしてそれを自然と受け入れて当たり前として扱ってくれる・・・」
「提督・・意味が分からないです・・・」
何を言っているのかホント意味分からない古鷹・・ときたまこうなるのよね提督って・・とあきらめていた(笑)
「ん?そうか?・・まぁ周りを気にするなって事だ」
「それなら、分かります・・気をつけます」
「うん、よろしい」
いつもの提督の口調に戻った・・ホント意味わかんない(笑)
そんな間抜けな会話をしていたら遠くの方から1人の提督と、
それを懸命に追いかけてくる秘書が2人の前に現れた
「よ―――!」
息を切らして片手を挙げ2人の前に立ちはだかる
「ん?・・・おぉぉ!」
提督も誰か分かったようで笑顔になりかけよった・・
古鷹は見たことの無い人物だかどうやら知り合いのようだ
ここはしっかり挨拶とちゃんとした振る舞いで提督に恥を欠かせない様にしなくちゃ・・
ひそかに燃える古鷹であった
「なんだ~まだお前少佐かよぉ~情けないなぁw」
提督の襟章を見てため息をする知り合いの士官
「うるさいよ・・お前は~・・・げっ!いつの間にか・・大佐殿ですか!
何たる事・・世も末じゃ~なんまいだなんまいだ・・」
あまりの事に拝みだす提督・・・もうすでに付いていけない古鷹
「おいおい、上官に向かってなんだその対応は・・よろしくないぞ、少佐!」
「はっこれは失礼ぶっこきました、大佐殿、以後気をつけますw」
そういうと敬礼をして舌をべーっと出す、そして笑い出す
「あははははー久しぶりだな本当に、鈴木、そっちの調子はどうでい?」
肩を組み合って笑いあう2人、古鷹も良くわからないけど、仲良しさんだと言う事だけは理解できた
「あぁ結構しんどいわ・・奴ら休み無く攻めてきやがる・・
こいつら沈めない様に逃げるので精一杯だわ・・・」
自分の秘書を親指でさしてウインクする鈴木大佐
「お前はぁ?」
「俺も同じさ。・・まぁお前の担当している海域に比べれば少佐レベルが担当する海域は
まだ楽と言えば楽なので、ムリさせずに済んでいて助かっているよ・・」
嬉しそうに語る提督達・・そして話はまだ続く
「あ~分かる分かる・・大変だもんなぁ・・弾も少ない、燃料も少ない・・なにせうちの鎮守府・・」
提督達の顔がキラーンとにやけてニカっと笑う
「貧乏だからな!」
2人の声が重なり、そのとたん笑い出す2人
こんな嬉しそうな提督を見るのも久しぶりだなぁと古鷹も嬉しくなった
嬉しくて古鷹がニコニコしていると突然古鷹の方を見る
「お!?この子がお前の秘書艦か?」
「おぉ、重巡洋艦古鷹だ」
「あ・・は、はじめまして古鷹と申します。いつもいつもうちの提督がお世話になっております」
突然の事にあわてながらもペッコリ90度でお辞儀をする古鷹
「おー!宜しくな!古鷹チャンv でもな、俺はこいつの世話は一度も焼いてないぞw」
ゲラゲラと笑いながら、からかう様に古鷹の言葉に答える
そして、自分の秘書艦にも自己紹介をするように促した
「こんばんわ、はじめまし航空母艦飛龍です、
うちのバカ提督がご迷惑をおかけしております、申し訳ありません」
深々と頭を下げる飛龍
「おいおいおいおい・・まるで俺駄目人間見たいじゃん、飛龍ちゃんよ~」
「もう充分駄目人間ですよ、古鷹さんに失礼じゃないですか・・初対面なのに!」
お説教が軽く入った飛龍
「・・・ちぇ、怒られちゃった」
少しすねる鈴木大佐・・えっと・・どっちがご主人?(苦笑)
「さぁ謝って下さい、提督・・」
「・・・ごめん・・さ・・い」
唇をとがらせてそっぽを向いて視線を合わせずに微妙な音量で・・・
しかも起こられた子供の様に腕を頭の後ろで組み、小石をけるしぐさで・・・
え?謝罪?
唖然とする古鷹(笑)
「すみません、うちの提督おこちゃまで・・・」
いつもの事のようにさりげなくひどい事を言ってのける飛龍
微妙にどうしたら良いのか分からない古鷹は提督の顔を見た
「古鷹・・こういう時は、うんうんそうですね、おこちゃまですねw」
って笑顔で見下したやるんだ・・
「こ・・こうですかぁ・・?」
見下そうとしても提督達のほうが遥かに背が高いので見下すというか
引きつった顔でキスをお願いしている様にしか見えない(笑)
「お前んトコの面白いな・・・」
ガーーーン!
青ざめる飛龍
「おいこら、提督!」
鈴木大佐の左足ももに華麗に飛龍のローキックが入った(笑)
なんかなんの集まりか、わからないまま世はふけっていくのであった・・・・
つづく