※この作品はR-18です。

葵が笑う世界で ー王と提督は、ただ1人を守る為にー   作:戌威

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第37話 工廠の灯り、秘密会議

 

工廠の灯りは、夜でも落ちない。

 

金属を叩く音。

溶接の火花。

油と熱の匂い。

 

呉鎮守府が「呉」である理由が、ここにある。

 

その夜、工廠の奥――普段は立ち入りが少ない作業区画に、珍しく人が集まっていた。

 

明石が腰に手を当て、ぐるっと全員を見回す。

 

「はい、静かに! “内緒の会議”でーす!」

 

夕張が即座に突っ込む。

 

「明石さん、内緒なら大声出さないで」

 

「だってワクワクするじゃん!」

 

「ワクワクしてる場合じゃないよ」

 

明石がふくれっ面になる。

 

「夕張、最近ノリが悪い」

 

「状況が悪い」

 

端で腕を組んでいた長門が、低い声で言った。

 

「くだらんやり取りは後にしろ。時間がない」

 

明石が敬礼の真似をする。

 

「了解! 戦艦長門さん、厳し〜い!」

 

長門は眉をひそめる。

 

「褒めていない」

 

「知ってる!」

 

夕張が咳払いをして、集まっている面々に視線を配った。

 

ここにいるのは、いつもの駆逐艦たちだけじゃない。

 

戦艦――長門、陸奥。

空母――赤城、加賀、翔鶴、瑞鶴。

補給と厨房――間宮、鳳翔。

そして提督――白瀬提督。

 

曙と満潮、時雨、初霜、霞、吹雪もいる。

 

工廠の空気が、いつもより濃い。

 

「……みんな来たね」

 

明石が、少しだけ声のトーンを落とした。

 

「呼び出したのは明石。

でも“要請”したのは提督さん。

つまり、これからやるのは――」

 

夕張が続きを取る。

 

「“現場の備え”だよ。命令書に対抗するための」

 

赤城がふわりと微笑む。

 

「対抗、というより…守り、ですね」

 

加賀は静かに頷いた。

 

「守りを固める。今必要なのはそれです」

 

瑞鶴が腕を組んで、少し苛立ち混じりに言った。

 

「守るって言ってもさ、紙一枚で制限とか、ふざけてない?」

 

翔鶴が瑞鶴の肩を軽く叩く。

 

「瑞鶴、言い方」

 

「分かってるってば。でも腹立つじゃん」

 

陸奥が大人っぽく笑って、軽く息を吐いた。

 

「腹を立てるのはいいの。表に出すのが危ないだけ」

 

長門が低く言う。

 

「感情を刃にするな、だ」

 

曙がぼそっと言った。

 

「最近それ、流行ってるの?」

 

時雨が笑わないまま答える。

 

「流行りじゃない。必要になった」

 

曙は返せず、口を尖らせた。

 

⸻

 

白瀬提督は、机代わりの作業台に一枚の図面を置いた。

図面というにはまだ荒い。手書きの線。矢印。注意書き。

 

「目的はひとつ」

 

提督の声は落ち着いている。

落ち着いているのに、芯が硬い。

 

「“行動制限”が入っても、鎮守府が壊れないこと」

 

赤城が静かに言う。

 

「……彼を、守るため」

 

提督は頷いた。

 

「そう。ハヤトを“管理対象”として取り上げられる前に、ここで守れる形を増やす」

 

加賀が言葉を選ぶ。

 

「ただし、こちらが“武装強化”と取られれば、向こうの口実になります」

 

提督が即答する。

 

「だから“艤装”ではなく、“簡易”だ。防衛用、救助用、現場運用の補助」

 

夕張が頷く。

 

「“戦力増強”じゃなくて“事故防止”の名目にできる形」

 

明石がにやりとする。

 

「つまり、私たちの得意分野!」

 

曙が小さく言う。

 

「……明石ってそういう時だけ頼もしい」

 

明石が聞き逃さない。

 

「ん? 曙、今褒めた?」

 

「褒めてない!」

 

満潮が即座に刺す。

 

「褒めてた」

 

「黙れ!」

 

瑞鶴が吹き出す。

 

「駆逐艦、元気だね」

 

翔鶴が苦笑する。

 

「こういう時ほど、その元気が助かります」

 

⸻

 

夕張がホワイトボードに大きく書いた。

 

喰種専用 簡易艤装(試作)

 

曙が眉を寄せる。

 

「……喰種“専用”って書いたら、もう特別扱いじゃない?」

 

加賀が静かに言う。

 

「呼び方は内部だけにしましょう。正式名称は別にするべきです」

 

赤城が続ける。

 

「“沿岸哨戒補助具”とか…」

 

明石が手を挙げる。

 

「“特殊体質者用 安全補助装備”!」

 

瑞鶴が即答。

 

「長い!」

 

翔鶴がやんわり言う。

 

「でも意図は分かりやすいですね」

 

陸奥が笑って言った。

 

「“安全”が入ると、上は反論しにくいのよ」

 

長門が頷く。

 

「言葉は盾だ」

 

曙がぼそっと言う。

 

「またそれ」

 

時雨が小さく笑う。

 

「必要なんだよ、今は」

 

⸻

 

夕張が図面を指で叩く。

 

「設計のポイントは三つ」

 

ホワイトボードに番号を書く。

1. 目立たない

2. 制限の中で使える

3. 暴発しない

 

吹雪が小声で言った。

 

「暴発…」

 

初霜が淡々と補足する。

 

「誤作動、想定外の干渉、負荷の集中による破損…などです」

 

明石が頷きながら言う。

 

「特に“干渉”が厄介。ハヤトさんの体質は普通の艤装と相性が分からない」

 

提督が言った。

 

「だから、葵に協力してもらう」

 

その名前が出た瞬間、空母組の空気が少しだけ変わった。

視線が揃う。緊張ではなく、覚悟の揃い方。

 

赤城が穏やかに言う。

 

「葵さんは今、提督室の件で気を張っているはずです。負担になりませんか」

 

提督は首を振る。

 

「負担を押しつけない形にする。彼女は“鍵”だが、“盾”にはしない」

 

加賀が静かに言う。

 

「なら、こちらが支えます」

 

翔鶴が頷く。

 

「ええ。鎮守府の中枢として、責任があります」

 

瑞鶴が腕を組む。

 

「今さら“関係ない”って顔はできないしね」

 

曙は、その言葉を聞いて胸の奥が少しだけ温かくなった。

 

(……中枢、ってこういうことか)

 

⸻

 

明石が机の上にいくつか部品を並べ始めた。

小型のバックル、薄い装甲板、柔らかい素材のパッド、固定具、ケーブル。

 

夕張が言う。

 

「第一案。“簡易拘束兼保護ハーネス”」

 

曙が目を細くする。

 

「拘束って言い方やめて」

 

夕張は即答。

 

「じゃあ“保持”」

 

明石がすかさず言う。

 

「“安全保持ハーネス”!」

 

加賀が頷く。

 

「それなら言葉としても妥当です」

 

瑞鶴が首を傾げる。

 

「ハーネスって、何に使うの?」

 

夕張が説明する。

 

「万が一、彼が暴れそうになった時に抑えるため…じゃないよ」

 

曙が鋭く言う。

 

「じゃあ何」

 

夕張は曙を見て、丁寧に言った。

 

「“彼が誰かを守るために無理する”のを抑える。

無理をすると、彼自身が壊れる可能性がある。

だから“負荷を逃がす”ためのハーネス」

 

時雨が小さく頷く。

 

「自分のブレーキを外しやすいタイプだもんね」

 

長門が低く言う。

 

「守るために無理をする者は、最も危うい」

 

陸奥が柔らかく笑う。

 

「分かるわ。そういう人、放っておけないのよね」

 

赤城が静かに言った。

 

「だから、壊れない仕組みを作る」

 

曙は少しだけ視線を落とした。

 

(……みんな、同じ方向を見てる)

 

昨日までの“怖い”が、形を変えている。

 

⸻

 

明石が続けて第二案を出す。

 

「第二案! “簡易装甲プレート”!」

 

薄い板が二枚。

見た目は艤装というより防具。

普段の服の下にも仕込めそうなサイズ。

 

翔鶴が言う。

 

「目立たない。いいですね」

 

加賀が冷静に指摘する。

 

「ただし、耐久は?」

 

夕張が答える。

 

「直撃を受ける前提じゃない。

“殴打”や“拘束時の衝撃”を散らす程度」

 

その言葉に、曙の指先が冷えた。

 

(……殴打)

 

未来の話じゃない。

もう“その可能性がある”という前提になっている。

 

瑞鶴が眉を寄せる。

 

「そんな状況、来るの?」

 

長門が即答する。

 

「来る可能性がある。だから備える」

 

赤城が言葉を柔らかくする。

 

「備えること自体が、来ないようにする力にもなります」

 

曙が小さく呟く。

 

「……ほんとに?」

 

加賀が静かに言う。

 

「備えがある者は、余計な反応をしない。反応しない現場は、口実を与えない」

 

時雨が頷く。

 

「うん。全部繋がってる」

 

⸻

 

夕張が第三案を書いた。

 

「第三案。“通信・識別”」

 

吹雪が目を丸くする。

 

「識別?」

 

夕張が頷く。

 

「上が“管理”を口実にするなら、

現場側で“事故防止のための識別”を持つ。

例えば、葵さんの通信が優先で通るようにする、とか」

 

明石がノリよく言う。

 

「“緊急呼び出しタグ”みたいなやつ!」

 

曙が眉を寄せる。

 

「タグって…犬じゃないんだから」

 

明石が即答。

 

「犬じゃないよ! 人だよ! だから“人用”!」

 

「余計おかしい!」

 

満潮がぼそっと言う。

 

「曙、ツッコミ疲れてる」

 

「黙れ!」

 

翔鶴が苦笑しながらも真面目に言った。

 

「緊急通信は有効だと思います。

提督、もし“外部の立会い”が入った場合でも、鎮守府内の連携は守れますか」

 

提督が即答する。

 

「守る。だからこそ、連絡が途切れない仕組みが要る」

 

加賀が淡々と付け加える。

 

「切られるのは通信です。次に切られるのは自由」

 

空気が冷える。

 

瑞鶴が歯を噛む。

 

「……ムカつく」

 

赤城が瑞鶴を見て、柔らかく言う。

 

「瑞鶴。怒っていい。…でも表に出さない」

 

瑞鶴は一度息を吐いて、頷いた。

 

「分かってる」

 

曙はそのやり取りを見て、なぜか安心した。

 

(……空母の中枢って、こういう空気なんだ)

 

⸻

 

そこへ、工廠の入口から足音がした。

 

葵が入ってくる。

間宮と鳳翔が一緒だ。

 

葵は部屋の空気を一瞬で理解したみたいに、少し笑った。

 

「……集まってるね」

 

明石が両手を振る。

 

「葵さん、ようこそ! 工廠秘密会議へ!」

 

夕張が即座に言う。

 

「明石さん、秘密!」

 

「うっかり!」

 

曙がぼそっと言う。

 

「うっかりで済むのそれ」

 

満潮が即答。

 

「済ませる」

 

曙が睨む。

 

「黙れ!」

 

葵がみんなに会釈し、提督を見る。

 

提督は短く言った。

 

「君に話を聞きたい。無理はさせない」

 

葵は頷く。

 

「……うん。できる範囲で」

 

赤城が葵に向けて、丁寧に頭を下げた。

 

「赤城です。今さらですが…中枢として、あなたを守る側に立ちます」

 

加賀も静かに言う。

 

「加賀です。必要があれば、遠慮なく言ってください」

 

翔鶴が微笑む。

 

「翔鶴です。あなたの“息”が止まらないように、こちらも空気を整えます」

 

瑞鶴が腕を組んで言う。

 

「瑞鶴。…まあ、頼ってよ。できることはやる」

 

葵は少し驚いた顔をして、それから小さく笑った。

 

「……ありがとう。すごく、助かる」

 

その一言で、工廠の空気が少し柔らかくなる。

 

曙は目を逸らしながら、ぼそっと言った。

 

「……みんな、急に優しい」

 

満潮が小声で返す。

 

「曙もね」

 

「うるさい!」

 

⸻

 

夕張が葵に質問する。

 

「ハヤトの動きの癖、教えてほしい。

“無理をする瞬間”はどんな時?」

 

葵は少し考えた。

 

「……誰かが傷つくのが見えた時。

特に、私じゃなくても。

“弱い人”が目の前にいると、勝手に前に出る」

 

曙の胸がきゅっとした。

 

(……昨日の私みたい)

 

葵は続ける。

 

「あと、言葉が通じない相手の時。

話し合いじゃ止まらない、って判断した瞬間が一番危ない」

 

長門が低く言う。

 

「合理的だ」

 

曙が思わず言った。

 

「合理的でも、危ないでしょ」

 

長門は曙を見る。

 

「だから備える」

 

提督が言った。

 

「葵。ハヤトは“制限”を嫌うか?」

 

葵は少し迷って、頷いた。

 

「嫌う。…でも、意味がある制限なら守る」

 

加賀が静かに言った。

 

「意味がある。そこが鍵です」

 

赤城も頷く。

 

「“管理”ではなく“安全”。

彼にとっても納得できる形にする必要があります」

 

夕張がペンを走らせる。

 

「安全のため。本人のため。誰かのため。

その言葉なら、外にも説明できる」

 

明石がにやり。

 

「よーし、作ろ!」

 

⸻

 

試作が始まった。

 

明石が工具を手に取り、夕張が手早く計測を始める。

工廠の空気が、戦闘じゃない“戦い”の空気になる。

 

翔鶴が鳳翔に小声で言った。

 

「こういう時、工廠は頼もしいですね」

 

鳳翔が微笑む。

 

「ええ。料理と同じです。

必要な時に、温かいものを出せる場所は強い」

 

間宮が頷く。

 

「皆さん、ちゃんと食べてくださいね。

こういう時、体が先に折れますから」

 

瑞鶴が肩をすくめる。

 

「食べてるよ。…胃がキリキリするけど」

 

赤城がさらっと言った。

 

「では、甘いものを用意しましょう。糖分は正義です」

 

曙が思わず突っ込む。

 

「空母って糖分で動いてるの?」

 

赤城がにっこり。

 

「空母は、余裕で動きます」

 

加賀が真顔で補足する。

 

「赤城さんは糖分で動きます」

 

赤城が即座に反論。

 

「加賀、今のは誤解を招く」

 

瑞鶴が笑う。

 

「招かない招かない。いつもじゃん」

 

翔鶴が咳払い。

 

「瑞鶴」

 

「はいはい」

 

そのやり取りが、妙に救いだった。

“普段通り”が戻ってくる。

 

⸻

 

しばらくして、夕張が試作品の一部を持ち上げた。

 

「第一試作、できた。

“安全保持ハーネス”の骨組み」

 

見た目はシンプルだ。

目立たない黒いベルト。

留め具は小型で、引っかかりが少ない。

 

加賀が近づいて、冷静に見る。

 

「強度は?」

 

夕張が答える。

 

「引張強度は十分。

でも“瞬間的な衝撃”は分からない。実地で調整」

 

明石が手を挙げる。

 

「“動きを邪魔しない”も大事!

だからベルトは柔らかい素材を混ぜた!」

 

長門が言った。

 

「動きを邪魔しない、だと? 危険では」

 

夕張が首を振る。

 

「邪魔しすぎると、逆に“外そう”とする。

彼が外そうとした時が一番危ない」

 

葵が小さく頷いた。

 

「……そう。無理に縛ると、反発する」

 

提督が短く言った。

 

「だから“縛る”ではない。“支える”だ」

 

曙がぼそっと言う。

 

「言葉ってほんと大事」

 

時雨が小さく笑う。

 

「曙、分かってきた」

 

「分かってない!」

 

満潮が即答。

 

「分かってる」

 

「黙れ!」

 

⸻

 

そこへ、誰かの足音が工廠の外で止まった。

 

一瞬、空気が固くなる。

 

――まさか、監察?

聞き取り?

外部の立会い?

 

翔鶴がさりげなく一歩前に出る。

加賀も静かに位置を変える。

長門は腕を組んだまま、視線だけ鋭くする。

 

“中枢”が、空気で守る。

 

扉が開いて入ってきたのは――

 

吹雪だった。

 

「す、すみません! 遅れました!」

 

曙が思わず叫ぶ。

 

「紛らわしい登場すんな!」

 

吹雪がしゅんとする。

 

「ご、ごめんなさい……」

 

赤城が優しく言った。

 

「吹雪さん、あなたも必要な人です」

 

吹雪が目を丸くする。

 

「えっ、わ、私も……?」

 

加賀が静かに頷く。

 

「あなたは現場の目。

現場の目が曇ると、誰かが危ない」

 

吹雪の背筋が伸びた。

 

「……はい!」

 

曙は小さく息を吐いた。

 

(……中枢って、言葉で人を立たせるんだ)

 

⸻

 

夕張が、試作品を机に並べながら言った。

 

「これ、完成までに数日。

でも“最低限の形”なら、明日には渡せる」

 

提督が頷く。

 

「それでいい。

完璧じゃなくていい。

“守る意思が形になる”ことが大事だ」

 

明石が明るく言う。

 

「形にして見せれば、心は折れにくい!」

 

瑞鶴が腕を組む。

 

「……でもさ。これ、誰に渡すの?

本人に見せたら、上が嗅ぎつけるかも」

 

加賀が即答。

 

「それでも渡すべきです。

彼が“何も知らない”状態が一番危険」

 

赤城が穏やかに言う。

 

「知らせ方が大切ですね。

押しつけにならないように」

 

葵が小さく言った。

 

「……私から話す。

“これを付けて”じゃなくて、“選べる”って伝える」

 

曙の胸が、少しだけ温かくなった。

 

(……選べる)

 

“まだ決められない”人のための言葉。

 

提督が静かに言った。

 

「ありがとう、葵。無理はするな」

 

葵は頷いた。

 

「うん。無理しない」

 

その返事は、昨日までより少しだけ強かった。

 

⸻

 

工廠の灯りが、夜更けまで揺れていた。

 

火花が散り、金属が熱を帯び、

ベルトが形を作り、

小さなプレートが磨かれた。

 

この鎮守府は、

紙で壊される場所じゃない。

 

壊されそうなら、

その前に“作る”。

 

曙は、試作品を見つめながら小さく呟いた。

 

「……作るのって、強いね」

 

満潮が横で言った。

 

「うん。壊すよりずっと強い」

 

曙が珍しく反論しないでいると、

瑞鶴がふっと笑った。

 

「駆逐艦、いいこと言うじゃん」

 

曙が睨む。

 

「言ってない」

 

翔鶴が微笑む。

 

「言っていましたよ」

 

加賀が静かに結論を言う。

 

「現場が作るものは、現場を守ります」

 

赤城が小さく頷いた。

 

「そして、守る人が増えれば…壊せる人は減ります」

 

提督は工廠の灯りを見て、短く言った。

 

「……次は、もっと露骨に来る」

 

誰も否定しない。

 

でも、誰も下を向かない。

 

工廠の灯りが消えない限り、

呉鎮守府はまだ折れない。

 

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