※この作品はR-18です。

ブリジットがわかっちゃう話   作:パワーワード大好きおじさん

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Hの後にIはあるのだ。


04. エピローグ

深い霧が窓の隙間から入り込み、小屋の空気が冷え切った頃。

ブリジットの指先が、ぴくりと力なく動いた。

 

「……ん、……ぁ……っ」

 

重い瞼を押し上げると、視界に入ってきたのは煤けた小屋の天井だった。

頭の中は、まるでひどい熱病にうなされた後のようにぼんやりとしていて、自分の名前さえ一瞬思い出せないほどの空白が広がっている。

 

「ウチ、……どうして、ここで……っ」

 

体を起こそうとして、ブリジットは息をのんだ。

腰から下、いや、全身の関節という関節が、経験したことのない重だるさと鈍い痛みに支配されている。

 

そして何より、股間のあたりに感じる、ぬるりとした、不快でいて、どこか恐ろしいほど官能的な感触。

 

「……っ!? なに、これ……っ」

 

震える手で毛布をめくったブリジットは、絶句した。

自分の細い脚の間には、乾きかけの白濁した液体がべっとりとこびり付き、そこからは見たこともないほど赤く腫れ上がり、だらしなく口を開けたままの「後ろ」が覗いている。

 

動くたびに、内側に溜まっていた熱い残滓が、重力に従ってドロリと溢れ出した。

 

「あ、ぁ……っ。うそ、……だれかに、……っ……」

 

断片的な記憶が、濁流のように脳内に流れ込んでくる。

霧の中で出会った、優しかったはずの男。

そして、自分を蹂躙した、あの巨大な岩のような黒い男。

 

ブリジットは自分の股間を、そして溢れ出す粘液を、汚いものを見るような、それでいて離れがたい執着を感じるような瞳で見つめた。

 

「ウチは、……男、……なのに……っ」

 

村のために、ずっと女の子として育てられてきた自分。

本当の性別を隠し、立派な賞金稼ぎになって、村の迷信を打破しようと旅を続けてきた。

自分は、男として認められるために、この衣装を纏っているはずだった。

 

けれど、今のこの体はどうだろうか。

黒人によって無理やり広げられ、別の男によって弄ばれ、快楽のあまり白目を剥いて、中まで白く汚されたこの姿。

 

(あんなに……お腹の奥が、熱くなって……っ。あんなに、気持ちよかったなんて……っ)

 

男性の象徴であるペニスを、まるで女のようにいじくられ、後ろの窄まりを本物の「器」のように扱われた記憶。

それが、ブリジットのプライドをズタズタに切り裂くと同時に、否定できない強烈な「女」としての自覚を、毒のように全身に回していく。

 

「ウチは、……男の子、なのに……っ、ぁ……っ、ん、ぅ……っ」

 

指で中のモノをかきだそうともがく。

黒人のこびりついた残滓は、ブリジットの中から出てくるのを拒んでいるように思えた。

汚れたシーツをぎゅっと握りしめ、体を丸めて震える。

溢れる涙は、悔しさからくるものなのか、それとも、去っていった男たちの熱が恋しくて流れるものなのか。ブリジット自身にも分からない。

 

ブリジットは震える脚でなんとか立ち上がると、散乱した自分の服を拾い集めた。

ロジャーを抱き寄せるが、その無機質なぬいぐるみの瞳さえ、今は自分を蔑んでいるように感じられて、顔を伏せる。

 

 

 ✳  ロジャーは確かに、霧の森に置き去りにされたハズ……

   しかしジッサイ彼はここにいるのだ!コワイ!

 

 

ブリジットは、自分が「男」として立派に生きていこうとした過去の自分に、もう戻れないことを悟っていた。

体の中に残された、黒人の男の種と、自分を貪り尽くした男の口内の感触。

 

「……また、……会わなきゃ……っ」

 

ふらつく足取りで小屋の扉を開けた。

外はまだ深い霧に包まれている。

ブリジットは、自分を壊した者たちの行方を追うように、重い腰を抱えながら、ゆっくりと、這いずるように霧の奥へと足を踏み出した。

 

今度は、拒絶するためではなく。

自分の「男としての尊厳」を完全に奪い去り、「雌」として完成させてしまったあの熱を、もう一度だけ確かめるために。

 

 

 数ヶ月の月日が流れ、あの日の霧深い森から遠く離れた活気ある街。

 

 

夕暮れ時の喧騒の中、その男は石畳の通りを歩いていた。

 

行き交う馬車の音や、露店の主たちの威勢の良い声。平和な日常の光景を切り裂くように、ふと、背筋を撫で上げるような「視線」に気づく。

 

路地裏の暗い影から、一人の人影が音もなく現れた。

 

「……やっと、見つけましたよ」

 

聞き覚えのある、けれど以前よりもどこか低く、湿り気を帯びた声。

そこに立っていたのは、あの日の修道服を纏ったブリジットだった。

 

一見すると、かつてと変わらぬ愛らしい姿だ。

しかし、近づいてきたブリジットの歩き方は、どこか腰を庇うように、わずかに足首を内側に入れて摺るような、ひどく艶めかしいものへと変わっていた。

 

帽子の下から覗く瞳は、かつての快活な輝きを失い、代わりに深い情欲の泥に沈んだような、とろりと潤んだ色を湛えている。

 

「あの時から、ずっと、ずっと探していたんです。あなたたちがウチの体に教え込んだ『熱』が、どうしても消えなくて……っ」

 

ブリジットは男の目の前まで来ると、躊躇うことなく自分の胸元を掴み、あなたにだけ見えるように衣装の襟を少しだけ広げました。

そこには、数ヶ月経ってもなお、誰かによって執拗に付けられたような赤黒い痕が、彼の白い肌を汚すように残っている。

 

「あれから、普通の男の子として生きようとしたんです。でも、ダメでした……。後ろが、……あなたが口で愛してくれたあそこが、うずいて、うずいて……っ。……今はもう、誰かに貫かれていないと、息をするのも苦しいんです」

 

ブリジットは震える指先で、男のコートの袖をぎゅっと掴んだ。

以前のような、助けを求める弱々しい掴み方ではない。

それは、自分を地獄へ引きずり込んだ張本人を、二度と逃さないという執着の力。

 

「責任、取ってくれますよね……? ウチを、あんな風に壊したんですから」

 

ブリジットは周囲の目を気にする様子もなく、男の顔を覗き込んだ。

その口角は歪に吊り上がり、恍惚とした凄絶な笑みを浮かべている。

その体からは、あの時、男の種を受け入れ続けたことで染み付いたような、甘く重い、発情した獣のような匂いが漂ってきていた。

 

そして、ブリジットは――

 




くぅ疲
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