救済の鎖 ―Property of Nao― ~レズの魔の手に堕ちる王子様~ 作:嫌われた勘のいいガキ
ベッドルームは、リビング以上に「舞台」としての完成度が高かった。 中央に鎮座するキングサイズのベッドは不自然なほど真っ白で、窓は厚手のカーテンで完全に遮光されている。
「それじゃあ凛ちゃん。まずはその服を脱いで、ベッドに横になってちょうだい」
静香の、あまりにも日常的で穏やかな声が室内に響く。
「え⋯⋯? あ、あの、いきなり全部⋯⋯ですか?」
「ええ。正確なレッスンのためには衣服という『壁』は邪魔なの。筋肉の強張りや肌の反応を直接見ないと適切なアドバイスができないわ。お医者様の検診と同じよ、分かるわね?」
「⋯⋯っ。は、はい」
凛は普段とは違う有無を言わさぬ圧力をまとった静香に気圧される。
二対の視線にじっと見据えられる中、凛は震える指先でネクタイを緩め――着てくるよう指定されていた制服のブラウスのボタンに手をかけた。
一つ外すごとに、奈緒以外の女性に肌を晒すという罪悪感が、泥のように胸に溜まっていく。だがなぜか指先が妙に熱く、頭の芯がふわふわとしていて論理的な思考がうまくまとまらない。ハーブティーの熱が、今さらになって胃の腑から全身へと溶け出しているようだった。
(これは修行⋯⋯。奈緒を幸せにするための⋯⋯)
自分に暗示をかけるように唱え凛はついにブラウスを脱ぎ捨てた。 白い肌が冷たい空気に触れ粟立つ。続いてスカートが足元に落ち最後に残った薄い下着姿になった時、凛の羞恥心は限界に達した。学校で多くの女子から憧憬の眼差しを向けられる凛々しい肩は、今や小刻みに震え、ゆるやか胸の膨らみが早鐘を打つ鼓動に合わせて頼りなく上下している。
「いいわ、凛ちゃん。そのままゆっくり仰向けに」
促されるままベッドに横たわるとシーツの柔らかな感触が、なぜか過剰に肌を刺激した。布地の一繊維一繊維が肌の上を這いずる虫のように鋭敏になった神経を執拗に逆撫でする。
「⋯⋯んっ」
不意に漏れた、甘く、それでいて情けない声。 それを聞き逃さず横で眺めていた麗奈が「くふっ」と低く笑った。その獲物を品定めするような視線が凛の太ももの内側や、下着の僅かな隙間から覗く肌を舐めるように動く。
「まだ指一本触れてないのに、もうそんな可愛い声出すんだ? 『王子様』のメッキ、剥がれるのが早すぎない?」
「そ、そんなんじゃ⋯⋯っ。ただ、シーツが、少し⋯⋯」
凛は顔を真っ赤に染め、腕で自身の身体を隠そうとするが、その隙だらけの仕草こそ彼女が「狩られる側」であることを雄弁に物語っていた。
「落ち着いて凛ちゃん、まずはリラックスして。今から私が貴女の身体を『点検』していくわ。どこに、どんな刺激を与えれば女の子がどう反応するのか。貴女自身の身体でその『基準』を覚えてもらうの」
静香がベッドの端に腰掛け、温かい手のひらを凛の細い足首に置いた。
「っ!」
「可哀想に、こんなに震えてしまって。怖いことは何もないわ。⋯⋯これは貴女が奈緒ちゃんにする『予行演習』なんだから」
静香の指先がゆっくりと、這うような動きでふくらはぎから膝裏へと上がってくる。それは愛撫というにはあまりにも事務的で、けれど確実に「女としての弱点」を突く、熟練した捕食者の動きだった。
凛は反射的に膝を閉じ、その侵入を拒もうと力を込めるが静香の指は関節の隙間を縫うようにして、いとも容易く防壁を無効化していく。
「⋯⋯あ、く⋯⋯っ」
凛は唇を噛み締め、声を殺す。だが静香の指が太ももの内側、指一本分だけ秘部に近い「柔らかな場所」に触れた瞬間、凛の背中が跳ねるようにしなった。
「いい反応ね。ここ、奈緒ちゃんも弱いはずよ。覚えておいて」
静香の声が耳元で呪文のように囁かれる。
「⋯⋯ふう、はぁ⋯⋯っ。あ、あの、静香さん⋯⋯これ、は⋯⋯」
「まだ始まったばかりよ。⋯⋯麗奈、準備はいい?」
静香が促すと麗奈がニヤリと笑い、凛の顔のすぐ横に膝をついた。
「ああ。この『王子様』が、どこまでタチでいられるか⋯⋯徹底的に暴いてやる」
麗奈の肉食獣のような手が凛の華奢な肩を掴んだ。「やめて」と叫びたい口内は、未知の恐怖と期待で乾ききり、ただ熱い吐息が漏れるのを防ぐのが精一杯だった。
「⋯⋯っ、は、ぁぁ⋯⋯っ! あ、は⋯⋯っ、ん、んんっ⋯⋯!」
――凛の視界は、すでに熱っぽく潤み、天井の照明が歪んで見えていた。 おかしい。静香の指が太ももの付け根を規則正しくなぞっているだけなのに、そこから全身へ向けて、耐え難いほどの熱が波紋のように広がっていく。
(⋯⋯なんで、こんな⋯⋯っ。指が触れてるだけなのに、身体が、勝手に⋯⋯っ)
身体の芯が鉛のように重だるく、それなのに肌の表面だけは、まるで薄皮を剥がされた神経そのものになったかのように過敏だ。シーツの冷たい感触さえもが今の凛には火傷するような刺激となって脳を激しく揺さぶる。静香の指が触れるたび、凛の理性が少しずつ、けれど確実に削り取られていく。
「ほら、凛ちゃん。息を止めないで。奈緒ちゃんだって貴女に触れられた時はこんなふうに熱くなって、声が出そうになるのよ? その気持ちを理解するのが『修行』だって言ったでしょう?」
静香の言葉はどこまでも優しく凛に「正論」という名の楔を打ち込んでくる。「奈緒のため」という動機づけは、今や凛を快楽から逃がさないための鎖へと変質していた。
「っ、あ、あぁ⋯⋯あ、ぁぁぁーーっ!!」
不意に、静香の指が凛の秘部の最深部を、下着越しに鋭く弾いた。 凛の身体が弓なりに跳ね、喉の奥から、自分でも聞いたことがないような、高く情けない声が長く尾を引いて漏れ出す。
「くふっ、いい声。⋯⋯おい『王子様』。そんな無様な声出して、よく奈緒ちゃんを気持ちよくしたいなんて言えるねぇ?」
麗奈が凛の顎を強引に掴み上向かせた。
「⋯⋯ぁ、は、っ⋯⋯麗奈、さん⋯⋯っ、や、め⋯⋯っ」
「やめて、じゃないだろ? アンタ、自分じゃタチのつもりかもしれないけど、身体はこんなに『もっと弄くり回して』って、メスの匂いを撒き散らしてるよ」
麗奈の自由な方の手が凛の首筋から胸元へと滑り落ち、そのままブラジャーの中に侵入すると、胸の突起を乱暴に、だが計算された力加減で捻り上げた。容赦ない蹂躙が、凛が必死に保っていた「王子様」としての輪郭を内側から激しく揺さぶる。
「ひ、あ、あぁぁぁぁぁぁ⋯⋯っ!!」
強烈な快楽と、それを凌駕する屈辱が凛を襲う。 これまで大切に積み上げてきた凛のアイデンティティが、麗奈の嘲笑と自分の身体から溢れ出す淫らな声によってズタズタに切り裂かれていく。
「いやだ」という拒絶の言葉を麗奈は唇を重ねる寸前の距離で嘲笑い、さらなる熱を凛に注ぎ込んだ。
(⋯⋯違う、僕は、タチ、なんだ⋯⋯っ。こんな、女の子みたいな声、出したくないのに⋯⋯っ!)
必死に抗おうとするが脳内は快感の濁流に飲み込まれ、まともな思考が保てない。
「いいわ、凛ちゃん。恥ずかしがることはないの。今、貴女が感じているその『屈辱的なまでの快感』こそが、女の子が本当に求めているものなのよ。奈緒ちゃんを満足させたいなら貴女もこの『深淵』を知らなきゃ」
静香の指がついに防波堤であった下着の縁を捉えた。 凛は両腿を閉じて最後の聖域を守ろうと力を込めるが、麗奈がその膝を強引に割りベッドに押し付けた。
「あ⋯⋯あ、静香さん、だめ⋯⋯っ、そこは、だめぇ⋯⋯」
「だめじゃないわ。⋯⋯さあ、奈緒ちゃんのために、もっと深く『ネコの真実』を学びましょうね」
凛の必死の懇願も虚しく、静香の細い指先が防波堤だった下着を強引に横へ退けた。 これまで奈緒にも、自分自身でさえ滅多に触れることのなかった凛の隠された「聖域」を容赦なく晒し出す。
「ひ、ひゃっ⋯⋯や、やめて⋯⋯っ!!!」
剥き出しにされた「聖域」は、ハーブティーの効果か、あるいは本能的な恐怖か、凛の意志に反して淫らな熱を放っていた。窄まりは細かく震え、静香の指を迎え入れるかのように、透明な粘液を蜜のように滴らせている。
その様子を覗き込んでいた麗奈が、鼻で笑い飛ばした。
「おうおうおう、王子様のマンコはちょっと触られただけでトロトロだとさ。教わる前からこんなにヒクついて汁まみれにして、タチを気取ってる奴の身体じゃないね。アンタは根っからのマゾネコ、指を待ちきれなくて欲情してる『淫乱なメス穴』そのものだよ」
「ち、ちがうっ⋯⋯! こんな、はずじゃ⋯⋯っ」
麗奈の容赦ない言葉が凛の耳を焼き汚染していく。自分の身体が奈緒以外の、初対面の女性の前で最も卑猥な形で歓待の意を示している。その事実が凛のプライドを内側からズタズタに引き裂いた。
「どうした王子様。そんなに顔を真っ赤にして。自分の穴がこんなに卑しく欲しがってるのが、そんなにショックか?」
麗奈はさらに顔を近づけ、凛の震える輪郭を指先でなぞった。
「認めろよ。アンタのここは、誰かにめちゃくちゃにされるために存在してるんだってさ。奈緒ちゃんを満足させるどころか、アンタ自身が、ひとの指なしじゃ生きていけない体になりに来たんだろ?」
「そ⋯⋯そんなことない⋯⋯っ! 僕は、奈緒のために⋯⋯っ!」
「ふふ、いいのよ凛ちゃん。その『奈緒のため』という想いが、この穴をこんなに熱くさせているんだから」
「ひ⋯⋯っ、あ、んあぁぁっ⋯⋯!」
静香の指が剥き出しにされていた熱い粘膜に直接触れ、電気を流されたような衝撃に凛の背中がベッドからしなる。
ひとの指が自分の最も秘められた場所に触れている。そのおぞましいほどの背徳感と指先から伝わる圧倒的な技巧。凛の脳は経験したことのない快楽の濁流に翻弄され、ただ熱い息を吐き出すことしかできない。
静香の慈愛に満ちた毒。麗奈の剥き出しの侮蔑。二人の視線に射抜かれ、凛は己のなかに潜んでいたどうしようもない「雌」としての本能を初めて逃げ場のない現実として突きつけられる。
「くふっ、いいじゃん王子様。指先一つでこんなにピクピク震えちゃって。おい凛、自分のマンコがこんなに発情して、蜜でぐちゃぐちゃに汚れてるの、分かってるよな」
無防備に開かれた股を閉じられないように抑え込まれ、強制的に顔を向けさせられる。凛の視界には、自分の秘部が静香の指に蹂躙され、卑しい音を立てて白濁した糸を引く光景が、残酷なまでに鮮明に映し出されていた。
「や、だ、見せないで⋯⋯っ、そんな、恥ずかしい、ところ⋯⋯っ、あ、あぁっ、んんぅ⋯⋯!」
「恥ずかしくないわよ、凛ちゃん。⋯⋯とっても、可愛らしい。しっかり感じて、自分を愛してくれる指をこんなに欲しがって締め付けてくる」
静香の指がさらに深く、吸い付くように内側を撫でた。 中学生の頃からずっと慕ってきた「恩人」の指。その柔らかな感触が自分の最奥を掻き回しているという絶望的な事実が、かえって凛の理性を甘く溶かし、さらなる蜜を溢れさせていく。
「あ、は⋯⋯っ、あ、んっ、あぁぁ⋯⋯っ、ん、んぅ、ぅあ⋯⋯っ」
凛は首を左右に振り瞳を潤ませながら、必死に奈緒の面影を追い求めた。だが脳裏に浮かぶ奈緒の笑顔は、今の自分の醜態をなじるように遠ざかっていく。
(ごめん、な、奈緒⋯⋯っ。僕、こんな、情けない声出して
「ほら、もっと腰を振ってみなよ。本当はもっと奥まで欲しくてたまらないんだろ? 『王子様』の誇りなんて、指一本で形無しさ」
麗奈が凛の胸を優しく、だが意地悪く揉みしだき感覚を煽る。 身体の芯に溜まった熱が静香の指の動きに合わせて凝縮され、逃げ場を失って爆発の瞬間を待っている。
「あ⋯⋯あ、んあぁっ! い、いく、いっちゃ⋯⋯だめ、あ、んぅぅぅっ⋯⋯!」
凛は自分の身体から漏れ出す声が、もはや制御できないことに絶望していた。 これまでは奈緒を「守る」側として常に凛々しくあろうとしてきた。しかし今、静香の指が内側の柔らかな粘膜を執拗に、かつ繊細に撫で上げるたびに積み上げてきた自尊心が内側から甘く溶け出していく。
「凛ちゃん。呼吸を整えて⋯⋯そう、上手よ。身体の力を抜けばもっとよく『勉強』できるわ」
静香の穏やかな声とは裏腹に、その指先は容赦なく凛の最も敏感な一点――クリトリスを捉えた。
「ひ⋯⋯あ、んっ、ぁ⋯⋯! あ、し、静香、さん⋯⋯そこ、は、ぁ⋯⋯っ!」
「そこが女の子が一番大切にされたい場所なのよ。⋯⋯ねえ、凛ちゃん。今、どんな気持ち? 自分の身体がこれほど淫らに疼いている自覚はある?」
「は、ぁ⋯⋯っ、ん、んぅ⋯⋯。わか、んない、です⋯⋯っ。あ、つくて、どろどろ、して⋯⋯っ」
凛は首を左右に振り、潤んだ瞳で必死に何かを堪えようとした。だが、静香が指先の動きをわずかに速め、逃げ場のない快感をピンポイントで与え始めると凛の小さな抵抗はあっけなく霧散する。思考能力は蒸発し、ただ「指」という快楽の支配者のみを認識する、反応するだけの肉の塊へと堕ちていく。
「⋯⋯っ、あ、あぁ⋯⋯っ。は、ん、んっ、あああぁ⋯⋯っ!」
喉の奥から震えた吐息がこぼれる。 激しい絶叫ではない。ただ自分の許容量を超えた快感に声が細く、高く、切実な色を帯びて漏れ出してしまう。 視界が熱い涙で滲み、あんなに大切に想っていた奈緒の姿も今は快感の白い靄の向こう側へと霞んでいった。
「いい子ね⋯⋯。そのまま全部、預けなさい」
最後の一押しのように、静香がその場所を優しく、だが確信を持って強く圧迫した。
「あ⋯⋯ん、ぁぁぁ⋯⋯っ、ん、んんぅっ⋯⋯!!」
凛の細い身体が弓なりにしなり、指先までピンと強張る。 頭の中が真っ白になり、考えることさえ拒絶されたような純粋な恍惚が、凛を飲み込む。それは王子様という偽りの殻が粉々に砕け散り、ただ快楽に喘ぐ一人の少女としての「真実」が剥き出しになった瞬間だった。
シーツを握りしめていた指から力が抜け、凛は波が引くような余韻の中でただ熱い息を吐きながら、涙に濡れた顔でベッドに沈み込んだ。