※この作品はR-18です。

万能者 R-18   作:篠白 春夏秋冬

1 / 1
アルゴIF

 SAOに於いて性犯罪系統の取り締まりはシステム的に非常に画一的かつ厳格と言っていい。

 

 例えば男性プレイヤーが女性プレイヤーに無遠慮に抱きつけば《倫理違反通報コード》が現れ、それを一押しするだけで抱きついた本人は監獄へと送られることになる。

 

 これらはパーティー内でも有効であり、気軽な間柄でも異性間では間を開けることはままある。

 

 それらの垣根を取り払うのが《倫理コード解除実行》である。あまり知られていないこの機能は、迂遠な手順でもって行われる。内容はあらゆる通報コードを無効化し、様々な行為を行うことだ。

 

 面倒な手順とはいえ、動きさえわかっていれば相手の手を取ってコードの実行は可能だ。以前横行した《睡眠PK》と同様の手口である。

 

 コードが実行され、自分の感覚がより深(・)く(・)なったように感じる。隣に眠る少年の手を動かしコードを実行すると、強く抱きしめた。

 

「んむぅ……」

 

 外部からの刺激に少年から声が漏れる。これが初めてであれば起こしてしまう事を危惧する場面かもしれないが、こうして少年を抱きしめるのは初めてではなかった。

 

「ゆーくん……」

 

 呟くように呼び、アルゴは身体を擦り寄せる。

 

 夜な夜なこうして、勝手に同衾するように―ともすれば少女にも見えるこの少年を強く意識するようになってどれほどになるだろうか。

 

 自覚する切っ掛けとなったのは四十層での救出劇だろう。

 

 奇跡的に生還したが、本当に生きているのか、朝になる頃には消えてはしないかと眠れぬ夜を同じ部屋で過ごし、数日は外にも出さずに閉じ込めていた。本人も不安があったのか大人しく従い、何度も確認を取るアルゴにも嫌な顔をせずに付き合っていた。

 

 自覚ということはそれより前より惹かれていたということだが、生憎とアルゴにはきっかけとなる事件は思い至らない。単純接触(ザイアンス)効果の結果という事実と、一般的に敬遠される彼の揺るぎない優先順位を知っていても、負の感情を抱けない自身に自嘲気味に苦笑したのは記憶に新しい。

 

 完全に惚れ込んでいるアルゴだが、不満がないわけではない。

 

 というのも、最近周囲に女の影が多いのである。

 

 基本的にべったりのピトフーイに時々ユーマが会いに行くシリカという少女。後者に関しては、ユーマがオレンジカーソルのプレイヤーに対する無慈悲な部分を見せて誤解されるのが面白くなく、事前に情報を売ったのが遠因ではあるが、だからといって納得できるものではないのだ。

 

 他にもそこまで頻度は多くないが低層階の女性プレイヤーと会っていることもあり、不満は募っていく。そういったストレスを発散するための方法がこの《倫理コード解除実行》をしての同衾である。

 

 基本的にオレンジカーソルで町には入れないピトフーイや会えるのが食事などの僅かな時間のシリカなどでは決して出来ない夜中の逢瀬。自分だけという優越感がアルゴのストレスを溶かしていた。

 

 普段であればユーマへの露見を防ぐためある程度で切り上げてコードをかけ直し部屋に戻るのだが、この日はいうなればたがが緩んでいた。

 

 三大欲求において、性欲はSAOでは感じづらい部類である。そもそもとしてプレイヤーの身体は実際の身体ではなくポリゴンの集合体である。興奮により息が上がる事はあっても身体の一部にが血が集まるようなことはない。

 

 性関係の話はあまりされないのは、基本的に下着は脱げず性感も感じないため自慰も出来ないという理由もある。

 

 だが、《倫理コード解除実行》を行うなら話は別だ。

 

 治安の悪化を防ぐために伏せられているコードの実行は下着の除装にとどまらず、性感なども解禁される。普段感じていないものを感じるようになるからこそ、アルゴは深くこの世界を感じているのだ。

 

 アルゴがユーマの部屋に侵入する際、一度行った後は期間を空けている。露見を防ぐという理由もあるが、頻繁に《倫理コード解除実行》を行うことを防ぐためである。

 

 再度になるが、アルゴは《倫理コード解除実行》により深くこの世界に繋がるような感覚を得ている。それを頻発することは現実への復帰を困難にするのではと危惧しているのだ。

 

 現に今のアルゴは連日ということもあって普段の同衾よりもユーマの存在を強く感じている。そして男の肌に触れることがアルゴを昂らせる。

 

「ん……あ……」

 

 ユーマの腕を抱き込み、股座を手の甲へとこすりつける。

 

 声が漏れるが、アルゴは構わず続行する。これまでの付き合いで敵意や悪意以外には反応が鈍いということはわかっていた。

 

 布越しの感覚ではもどかしく、ウィンドウを操作し下着を除装していく。体勢を変える必要もなく裸になると改めて自慰を始めた。

 

「はぁ……んんぅ♡」

 

 小指球で陰核を押しつぶし、乳首をいじる。

 

 精神が昂ぶるに連れ浅ましく腰が揺れるが、その不規則な動きが陰核への力のかかり具合を変え、アルゴの身体を絶頂へと近づけていく。

 

 もしユーマに露見すれば、失望され軽蔑の目を向けられるだろう。攻略が第一であるユーマが情報屋であるアルゴとの縁を切ることはないだろうが、少なくとも助手として動いてくれることはなくなるだろう。

 

 しかし、そんなことは既に頭の中にはない。理性を本能が凌駕し、周囲を気にする余裕もなくひたすら絶頂へと突き進んでいく。

 

「あっ♡ああぁ♡―ふぐっ♡」

 

 絶頂の寸前で手が曲げられ、陰裂へと深々と食い込んだ。

 

「ひあぁぁぁ♡♡!!」

 

 不意打ちでの刺激で絶頂し、視界が明滅する。

 

 絶頂が引いたことで力も抜け、昂ぶっていた精神が落ち着く。やってしまったことに対する自己嫌悪を感じながらもこの際開き直って頬にキスぐらいはしてやろうかと顔を上げ

 

 ユーマと目が合った。

 

 ゆっくりと顔を下ろすと、ものの見事に肌色である。

 

 羞恥と絶望に顔色を赤くしたり青くしたりしていると布団がかけられた。

 

「大丈夫、アルゴは頑張ってるよ。緊迫感のある日が続いてたから変な方向に爆発しちゃったんだよね。だから、大丈夫だから」

 

 落ち着かせるように頭を撫でながらユーマが言葉を紡ぐ。その優しい言葉が、アルゴに火を付けた。

 

「あ、アルゴ?」

 

 布団を跳ね除けユーマの腹に馬乗りになる。困惑するユーマの顔を抑え、そのまま口付けた。

 

「んんっ……ふ……」

 

「はむっ……んむぅ……」

 

 互いの口の端から息が漏れる。硬直したユーマの舌を絡め取り、無理矢理に吸い上げた。

 

 現実であれば窒息しそうなほどに長く続け、ようやく口を離した。

 

「ぷはぁ……はぁ……はぁ……」

 

 窒息の心配はないはずだが、感覚的にユーマは肩で息をする。ユーマの思考にモヤがかかっている間にアルゴは次の準備に移る。

 

 すでに《倫理コード解除実行》はされているのでズボンと下着はあっさりと脱がされ、屹立した男根が晒された。

 

「ちょ……アルゴ!?」

 

 下半身が冷えたことで思考が戻り、慌てて制止するがアルゴは止まらない。伸ばされた手を掴み、腰の位置を調整する。

 

「落ち着こう、アルゴ! こういうのはダメだって! 肉体的には影響はないとはいえ、こういうのはちゃんと幸せになれる相手を見定めてから―あぐぅ!?」

 

 アルゴはユーマの言葉に目を怒らせつつ、先端が入口を捕らえたのをいいことに一気に挿入する。

 

「ゆーくんが、わるいん、だからな」

 

「あ、あるご……」

 

 SAOにはペインアブソーバーにより痛覚がないため快感だけが身体を突き抜け、二人とも呂律が回らなくなり、身体をビクつかせる。

 

 先に動けるようになったのはアルゴだった。

 

「ゆーくんが、私以外にも、愛想を、振りまくから、こうして、わからせなきゃ、いけないんだ!」

 

 快楽に途切れ途切れになりながらもアルゴは腰を止めずにユーマを貪っていく。ユーマは未体験の快感に翻弄され、されるがままだった。

 

「「ちゃんと幸せに」? ゆーくん以外を相手にそんなこと考えるか! 切っ掛けとかないも同然だけど、それでも「好き」には違いないないんだよ! ばーか!」

 

 感情のままに喚きながらアルゴの蹂躙は続く。振り回されるユーマが初めて感じる快楽にろくに逆らうことなどできるはずもなく、すぐに上り詰めていく。

 

「膨らんできた♡射精そうなんだろ♡射精せ♡射精せ♡脱童貞逆レイプで情けなく射精しろ♡」

 

「あぐっ……くっ……」

 

 余裕のないユーマをアルゴが煽る。ユーマは苛つきながらも我慢を試みるが、さほどの効果はなく爆発した。

 

「うああぁぁぁああぁ!?」

 

「きたぁ♡あっはああぁぁぁ♡」

 

 射精に合わせるようにアルゴも絶頂する。背を反らして、視線が天井を向く。腟内で男根が脈動し、温かい感覚が伝わってくるのに合わせて多幸感が広がっていく。

 

「はぁぁぁ♡」

 

 絶頂が収まり、つながったままで再びアルゴから唇を合わせ、軽く舌を絡めて離す。

 

「はふぅ♡」

 

 満足気に息を漏らすとそのまましなだれかかった。アルゴは酩酊感にも似た感覚とともに今後のことに思いを馳せる。

 

 しかし、まだ終わっていなかった。

 

「へ?」

 

 アルゴの視界が枕から天井へと変わる。先程と違い見下ろされる形となったアルゴが視線をむけると、ユーマは眉根を寄せていた。

 

「こっちは忍び込んでくるたびに、反応しないようにして、我慢して、発散の仕方もわからないものを持て余してきたっていうのに、一回で終われるわけがないよね?」

 

 情欲に茹で上がった目をしたユーマの怒張は未だ存在感を持ていた。夜半のストレス解消に気づかれていたことに対する羞恥と気付きながら受け止めていたユーマに対する感謝、興奮させていたことに対する誇らしさが混じりつつ、迎え入れるように手を広げた。

 

「しょうがないなぁ、ちゃんと満足させてくれよ?」

 

 既に満たされているが、アルゴは挑発的に言ってみせる。

 

 それを聞き、ユーマは目を細める。

 

「わかったよ。それと、僕は恭真だ」

 

「え?」

 

「恭真―僕の名前。こんなことするのにユーマのままなんて流石に不誠実が過ぎるかなって」

 

 現実での名を告げられたことを理解し、おそらくアスナ以外は触れられない部分を明かされたことに嬉しく思いつつも、なにやらむず痒いような気分になる。

 

 苗字を言わない理由がアスナであることを察して苦笑し、こんなときでも姉のことを考える恭真にやはり不満を抱けない自分の手遅れ具合を自覚しつつ、応える。

 

「朋―帆坂朋。それが、私の名前」

 

 ユーマはアルゴが名を明かしたことに目元を和らげ、手を取る。どちらともなく指を絡め、しっかりと握り込んだ。

 

「じゃあ、朋。続けるから」

 

「ん。いっぱいシテくれ♡」

 

 朋の返答を聞くが早いか恭真は腰を振り始める。

 

 テクニックも何も無い衝動に任せた強引な抽挿だが、痛みのないこの世界ではさほど負担にならず、ゆっくりと快感が膨らんでいく。

 

「んっ……くっ……ふぅ……」

 

「あ♡はぁ♡んはぁ♡」

 

 衝動に突き動かされ射精するためというような行為だが、それだけ朋に興奮しているのだと感じて微笑ましく感じる。一応は朋の満足を考えているのか我慢する恭真にささやきかける。

 

「好きに射精していいよ♡まだ時間はあるし、今は自分のことだけ考えていいんだよ♡」

 

「んうぅ―あああぁぁぁああぁ!」

 

 朋が甘言を伝えながら下腹に力を込めるように意識すると、恭真は思わずといったように射精する。再び感じる脈動と温かな感覚に朋は充足感を得ていた。

 

「ふふっ♡射精ちゃったな♡でも、まだできそうだ♡」

 

「当たり前。煽ったのを後悔させてやる」

 

「できるといいな♡がんばれ♡がんばれ♡」

 

 朋の言うように、恭真の男根は未だ固く、恭真自身も余裕そうだ。据わった目で見下ろす恭真をさらに煽ったのを本当に後悔することになるのだった。

 

 

 

 朝になるころには、朋はされるがままになっていた。

 

 恭真の学習速度は凄まじく、あっという間に朋の弱点とその刺激の仕方を把握するとねちっこく責め続け、制止もできなくなった朋を衝動の赴くままに貪った。

 

「あ゙っ♡お゙っ♡お゙お゙っ♡お゙お゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙っ♡」

 

 一突きごとに細かく絶頂し、射精に合わせて朋は深く絶頂する。

 

 軽く息を吐くと恭真はふと外を見た。

 

「あれ、朝? うわぁ、ぶっ通しかぁ……ちょっと、やりすぎたかな」

 

 ぐったりとした朋を見下ろし、経過時間と回数を数え自嘲する。

 

「今日は、ゆっくりしてようか」

 

 倫理コードをかけ直し、刺激が途切れて気絶するように眠る朋の頭を撫でる。

 

 送られてくるメッセージに返事を打ちつつ朋を眺める恭真の目はとても優しいものだった。

 

 

 

 数日後。

 

「うん?」

 

「どうしタ?」

 

「ピトからだ。何かあったかな」

 

 報告を兼ねてお茶をしていたユーマとアルゴだったが、ユーマがメッセージを開いて読み始める。邪魔をされた気もしたが、圏内に入れないピトフーイからの接触方法はメッセージがメインなので気にしないことにした。

 

「まじか……」

 

 メッセージを読み終えウィンドウをいじっていたユーマが瞠目する。アルゴが目で理由を問うと、ユーマはシンプルな指輪を実体化させた。

 

「すごいのが手に入ったみたい。装備するだけで敏捷度が二十も上がる指輪だ。しかもデメリットなし」

 

「な!?」

 

 アルゴは思わず吹き出しそうになったのを堪え、指輪をまじまじと見る。とてもそうは見えないが、嘘をつく理由もない。先程ウィンドウをいじっていたのも装備フィギュアをいじっていたのだろう。

 

 自分の記憶にないアイテムの出現に興奮していたアルゴにユーマが指輪を差し出した。

 

「アルゴにあげるよ」

 

「え?」

 

「この指輪はアルゴにあげる。速度は生存力に直結するし、振り切ってる分をこれからいくらか筋力に回せるから、アルゴが持っていた方が良いよ」

 

 アルゴの顔が赤く染まる。理由はどうあれ好いた男から贈られる指輪だ。入手経路はどうあれ、嬉しいものは嬉しい。

 

 とここまで考えたところで、違和感に気づいた。

 

「ユーマ、指輪をピトフーイがどうやって送ってきたんだ?」

 

 そうこの場にピトフーイはいない。トレードもできないのにどうやってユーマの手の中に収まったのかが引っかかったのだ。

 

「システム上「結婚」してるからストレージ共有してるんだよ。圏内に入れないピトのアイテムの補充に便利だよ」

 

 疑似的とはいえ身体を重ねた相手に告げるとは思えない、あまりにもデリカシーのない言葉にアルゴは顔をうつむける。

 

「アルゴ?」

 

 本気で解ってなさそうな声音のユーマにアルゴの怒りはあっさりと臨界点を超えた。

 

「ユーくんのバカァァァァァァ!!!!」

 

 その後、報告を後回しにしてこんこんと説教を続け、なんやかんやしながらも指輪はアルゴの左手薬指に収まったのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。