※この作品はR-18です。

ワルキューレの迷宮騎行   作:葵翠

13 / 69
第二章 黄金
013 朝


「ねえ、玉井珠実(たまいたまみ)の事だけど・・・」

 

 

 布団の中、二人でイチャイチャしていると、突然ファリーが切り出した。

 

「彼女、プレイヤーだったんじゃないかしら?」

 

 あまり、考えないようにしていたけど、ま、気付くよね。

 

「貴方の事、全て信じたら、そこに行き着くわ」

 

「俺もそう思う。キャラクター再設定を外すか、最初から外していたんだろうね」

 

「そんな悲劇もあるのね。貴方はっ!」

 

「分かってる。外さないよ」

 

「うん、ヨシ!」

 

「そろそろ寝ましょう。明日も早いわ」

 

「ああ、明日は出勤?」

 

「ええ、貴方もよ」

 

「俺も?まだ解放して貰えないの?」

 

「もう牢から出てるじゃない。大丈夫よ。もう、嫌疑は掛かってないから」

 

「なら、なんで?」

 

「さ、早く寝て」

 

「もう、勝手だなあ」

 

 とは言ったが俺もすぐに眠りに就いた。

 

 

********************

 

翌朝。

 

 頬に何か感じた。少しして、今度は唇に甘く柔らかい感触。

 ファリーだ。

 

「おはよう、シン」

 

「おはよう。ファリー」

 

 ファリーはすっかり元気だ。

 

「今日はちょっと付き合って」

 

「ああ、構わないけど(する事無いしね)」

 

「じゃまずは騎士団本部ね。装備もここでして行って、荷物も全部持って」

 

「分かった(荷物は剣持ってリュック背負ったら全部ですけど何か?)」

 

 朝は逆だ。ファリーの方が時間が掛かる。

 ブラしてパンティ履いて、タイツ履き、ワンピース着てベルトを締め、ニーハイブーツを履き、ガントレットをリュックに背負い、漸く完成だ。

 

 振り返って近づく。

 

「出来た?もう、鎧の留め具、ちゃんとしまってないじゃない!ああもー」

 

 鎧の留め具他、色々点検してくれた。

 

「悪い。でも何だか新婚さんみたいだな」

 

 怒られた。

 

「ばかっ」

 

 めちゃくちゃ怒られた。

 

「さあほら、行くわよ」

 

「ほ~い」

 

 

 騎士団本部。

 

 本部受付には、デュランダルと持久のブーツを胸に押し抱いたフィーアと、周りの受付の女性と同じ制服を着た女性が待っていた。

 

「すまない。待たせた」

 

「いえ、そんな事は」

 

 女性は手に持っていた紙袋を前に出し、

 

「あ、あのこれ、隊長に」

 

 そう言って紙袋をファリーに渡した。

 彼女は何か言いたげだったが、ファリーは礼を言ってそれを受け取り、

 

「じゃ行こうか」

 

 そう言って裏の方へ歩き出した。

 

(多分、どこに行くのか分かっているのは貴女だけですよ~)

 

 裏には幌屋根の付いて無い、馬車が繋いであった。

 その馬車に乗るよう、促された。

 

 皆、軽装である。

 いや、荷物が少ないだけで装備は万全である。

 フィーアは本当に着の身着のままだ。ま、そりゃそうか。拐われて、身ぐるみ剥がされたんだから。

 けしからんのはファリーだ。

 どこに行くのか知らないが、昨日とおんなじやん。

 

「何処まで行くんだよ?」

 

「ウコム経由でキザマまで。ウコムでフィーアさんを降ろして、キザマは鬼人族のクレナイさんだっけ?の確認。ちゃんと帰れたかどうかね。貴方は、いきなり騎士が行って警戒させたらいけないから、助けた本人として。ね」

 

「へえ、一応、気を使ってるんだな」

 

「当然」

 

 ドヤ顔である。

 

「さあ、行くわよ?乗って乗って」

 

 ちゃんと馬車に乗るのは初めてだ。

 紅の馬車には乗れなかったし、ファリーに助けられた後は気を失っていたし。

 

 思っていた程、尻は痛くなかった。

 座布団のようなものを敷いていたし、一応、サスペンションらしきモノも装備されている。

 リーフスプリングってやつだ。

 木、または鉄の細長い板を数枚重ねて車体の下に敷き、車輪の上に配置する。たわむ板バネの力でショックを和らげる。というモノだ。構造が簡素な為、メンテナンスも難しくない。

 確か、車種によっては最近まで使われていた筈だよね?

 ただコイツの場合、ショックアブソーバーが付いてない。この世界にダンパーなんてものが有る筈も無いので、揺れる。

 減衰力調整したいな・・・。

 いや、シャックルの位置調整で多少柔らかく出来るんじゃなかったっけ?現実世界の物と同じ構造ならね。

 

「シン?行くわよ?いい?」

 

 元の世界の思い出に浸っていたところを強引に現実に引き戻された。

 

「ああ、やってくれ」

 

 フィーアが心配そうに俺の顔を覗き込んでいたので取り敢えず笑顔を返しておいた。

 

 馭者席に俺とファリー、荷台にフィーアが座る。手綱はファリーだ。

 

 馬車に乗る際、デュランダルと持久のブーツは返して貰った。

 

「ずっと持っててくれたんだね。ありがとう、フィーア」

 

 少し、名残惜しそうだったが、これはあげる訳にはいかない。

 丁寧に礼を言うと、笑顔で返してくれた。

 

 武器とブーツは今は不要なので、フィーアには見えないようにポイントに戻した。

 

 馬車に乗ると、俺とファリーは微妙にフィーアに聞こえないぐらいの音量で俺のポイント配分とかを相談した。

 

 探索者Lv10になったので、使えるボーナスポイント最大値は106だ。

 

 剣は普段は鋼鉄の剣でいいだろう。

 ボス戦でも当面はボーナス武器三(ポイント7)の聖剣クラウ・ソラス(攻撃力3倍、レベル補正無視、防御力無視)で充分だ。

 足装備もボーナス足装備一か、普通の革のブーツでいいだろう。

 その他も盗賊のお古でいいので、後は好きに使える。

 

 ジョブ数をフォース(ポイント7)→フィフス(ポイント15)に変更し、

 探索者Lv10

 英雄Lv6

 僧侶Lv4

 剣士Lv10

 戦士Lv10

 をセットして、村人Lv11、盗賊Lv10は外した。

 

「ちょっと待って。戦士、剣士はいいわ。理解出来る。だけど、僧侶って何?いつの間に?どうやったの?」

 

「え、徒手空拳で、とかじゃないの?ファリーも持ってるやん」

 

「は?何言ってんの?私は」

 

「今、僧侶にしたから、俺に向かって“手当て”って念じてみて?」

 

「何バカな事言って。ってわぁ。呪文が目の前に!」

 

「ね?」

 

「ね?じゃない!・・・もう、本当に貴方って人は」

 

 そう言って頭を抱えた。

 

「ごめん、ちゃんと戻したから」

 

「そうじゃない!」

 

 

 次に経験値系だけど、レベルアップ狙いの時はもちろん400倍にしたいが、ポイントが足りない。ポイント的には20×1より10×10の方が少ないが、今後、パーティーメンバーが増えた時、どうするかだよな。

 獲得経験値はメンバー全員に同じだけ配分されると思う。RPG的に。貴族子息はよく幼い頃からパーティーに入れておいて、迷宮には連れて行かずにレベル上げをするんだそうだ。

 ただ、必要経験値は果たしてメンバー全員に有効になるだろうか?もしこちらの効果が他のメンバーに影響を与えないのなら、10×10だと全体的には効率が悪いように思える。何かもったいない気がするのだ。

 仮に、獲得値に有効、必要値に無効とした場合、得られる経験値が個々に1の時、6人パーティーで10×10なら(10+10+10+10+10+100)= 150 が合計値となる。が、20×1なら(20+20+20+20+20+20) =120 の合計値。

 獲得値に有効、必要値に有効とした場合、10×10なら(100+100+100+100+100+100)=600 の合計値で、20×1なら、(20+20+20+20+20+20)= 120 となる。

 

 あれ?どのみち、10×10にしとけばいいんじゃね?

 10×10 にしておいて、自分とメンバーのレベルアップ速度を観察すれば正解も見えてくるだろう。よし決まり。

 

 今のポイントから、10×5でポイント46使用

 残りを結晶化促進に設定。これでいいか。

 

 結晶化促進はレベルアップとの優先順位次第か。

 

「ボーナスポイントはレベルが上がる度に増えるのよね。この辺は小まめに調整でいいんじゃない?」

 

 などと、色々話し込んでいたら、あの場所に近付いてきた。死にかけた場所だ。

 フィーアの気を逸らす為、声を掛けた。

 

「フィーアさん、こっちに来ないか?」

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。