夕方、やっとキザマの村に着いた。
ミシフの街に帰る頃にはすっかり夜になっているだろう。
来る途中、ウコムとキザマの中間辺りに迷宮が有る、と教えてくれた。特に何と呼ばれているか、決まってはいないらしい。勝手に、アイダの迷宮と呼ぶ事にした。少し回り道をして入口に入ってすぐ出た。後々、訪れる事が有るかも。とファリーが気を利かせてくれたのだった。
「着いたよ。ここがキザマの村だ」
村までの道程で坂を幾度か登ったので、少し高い場所なんだろう。
余所者を拒絶するかの様な雰囲気が漂う。
こちらも村長の屋敷らしき門の前で、人が手を挙げて待っていた。
こちらでは屋敷の中まで通してくれた。
待っていたのは女の人だった。
美人だ。
村人Lv14
装備 なし
なんだかな~。この世界の女性、美人多くないか?
額の両端、こめかみの少し上に二本角が生えている。
根元から少し上に曲がって伸びているけど、あまり、邪魔な感じでも無い。
まっすぐ横に長い目、長く高い鼻梁、艶やかで柔らかそうな小さい口。口角の少し横、向かって右、本人には左頬に小さく可愛いホクロ。女優のなんとかって人と同じようなホクロが彼女をより美しく見せる。
黒髪でショートヘア、紺の作務衣。体を動かしやすそうな格好だ。何をしている人なんだろうか。
「貴女は?」
深々と頭を下げ、
「紅の親代わりの碧と申します。この度は
「ご丁寧にありがとうございます。では少しばかり」
ファリーも馬車を降り、丁寧に返す。
馬を引きながら、奥へと入っていった。
中に入ると中々に驚いた。
襖に障子、畳である。障子紙は粗くはあるが、それでも結構、高価なものだろう。それにここの住人は全て着物だ。碧さん含めて老若男女、皆だ。ここはかなり昔の日本の田舎を想起させる。
ヤオオ ♂ 87歳
村長Lv1
装備 なし
「儂が村長のヤオオと言う。村の娘を助けてくれた事、村を代表して礼を言う。本当にありがとうのう」
村長は額中央に一本、角が生えている。
「いえ、恐らく救えなかった方もいると思います。私は
「騎士団としても初動の遅さ、申し訳無く。ミシフ騎士団副団長ファルステート・リヒテンフォルトです」
「それはお二方のせいでは無いでしょう。紅を助けて頂いただけで」
そう言って村長(
「せっかく来てくれたところ申し訳ないが、紅は帰ってからずっと部屋に籠って出てこんらしい。今日は一旦儂の家に泊まって明日朝また来てやってくれんかの?」
「こちらの御仁は構わないが、私は任務が有ります故、これにてお暇させて頂きます」
「そうか。それは残念じゃのう。ま、兎に角、紅は無事、戻ってきたし、一緒に帰ってきたもんも全て家に帰した。後は紅が元気になってくれるのを願うのみじゃ」
「そうですか、ではその様に報告させて頂きます」
ファリーは帰る準備をしている。
「それじゃあね」
「おい、勝手に。まあいいけどさ」
「何かあったらミシフの騎士団本部まで来て。ワープ出来るでしょう?」
「そうだけど・・・まあいいや。また顔を出すよ。この世界で生きていく拠点も決めてないし」
「でしょう?今、私の部屋なら家賃タダよ」
言って顔を赤らめている。
照れんな!かわいいなぁ。
「じゃ本当に。色々ありがとうな。また遊びに行くよ」
「・・・私にもあれ、して」
そう言って右小指を俺に突き出す。
「ハイハイ」
指切りすると同時にキスをされた。ちゅ。と軽いバードキスだ。
フレンチキスが誤用だという事ぐらいは知っている。
その時、碧が見ていたとは全く気付かなかった。