※この作品はR-18です。

ワルキューレの迷宮騎行   作:葵翠

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020 デビュー

朝から村長宅へ向かった。

 

 

「待て待て、年寄りは皆、朝は早いが誰もがしゃんと起きとる訳ではない。ちったあ落ち着かんか」

 

 聞く耳持たん。

 

「フィーアのじい様の剣、あるか?」

 

「だから、少し待てと言うとろうに。

 お主が昨日、フィーア嬢を連れてきた時にこうなるとは、思っておったわ。物置の一番手前に出してある。勝手に持って行くが良い」

 

「ありがとうお爺様。大好き!」

 

 そう言って紅とフィーアは物置があるだろう方へ走っていった。

 

「但し、娘っ子を危険な目に合わすんじゃないぞ」

 

「私の命に代えましても」

 

「その言葉、決して忘れるでないぞ」

 

「はい!」

 

「ところで村長様、刀鍛冶と戦乙女について教えて頂けますか?」

 

 村長が珍しくびっくりしている。

 

「何でそれを。いや、お主、本当は何者じゃ?」

 

「私は只の剣士です。少し人とは違う力を持っているだけの。それに刀鍛冶と戦乙女はあの二人の才能です。私にはその力が見えるだけです」

 

「まあ、そういう事にしておいてやろう。で、そのジョブじゃがの、刀鍛冶は武器、それも刀或いはそれに類するもの、斧、槍、包丁等の作成が出来る。その他の武器や防具は作れん。あと、スキル結晶の融合なんかも出来ん。ドワーフの鍛冶師は万能過ぎるんじゃ。その上の刀匠にでもなれば或いは、の。あと、力が強い為、戦闘でも役に立つぞ」

 

 碧さんは目をキラキラさせながら聞いている。

 じい様は一息ついて茶をすすったあと、

 

「戦乙女/戦侍は戦闘特化型のジョブでの、別に刀鍛冶の残滓という訳ではない。完全に別系統なんじゃが、刀鍛冶を諦めた者が次に目指すものじゃから、そういうイメージが付いただけじゃ」

 

「特徴は?」

 

「まあ、そうじゃの。剣士と僧侶の合の子、と言うか、良いとこ取り、かの。手当て、斬奸は一対一のスキルで上のジョブの戦巫女/侍大将になれば一対多のスキルが使える様になる。といったところか」

 

「成る程な。ところでそれぞれ、上位ジョブになる為の条件なんかは?」

 

「刀鍛冶、戦乙女になるだけでも、恐ろしく大変なんじゃぞ!その上なんぞ知るか!全く、最近の若いもんはすぐ楽しようとしよる・・・」

 

(ち、知らねえんじゃねえか)

 

「何か言ったか?」

 

「いえ。(ヤバ地獄耳かよ)ありがとうございました。では、また来ます」

 

「待たんか、このせっかちめ。紅をもう一度ここへ呼べ」

 

「は?」

 

「いいから呼べ」

 

「私が呼んで参ります」

 

「お前さんも戻ってくるんじゃぞ」

 

「はい」

 

「・・・シンよ」

 

「は」

 

「二人の夢を叶えてくれて、ありがとうの。礼を言う」

 

「それは彼女達の努力があればこそです」

 

「当たり前じゃ。わしゃ、ずっと小っこい頃から見とったんじゃ。そのくらい!」

 

 そこで三人が戻ってきた。

 

「お爺様。此度は本当に・・・」

 

 と言いかけたところで、

 

「それはもう良い。それより紅よ。床の間の刀、持って行くが良い」

 

 村長様が後ろの床の間に掛けてある刀を指して言った。

 

 

霊剣 打刀 山姥切国広(やまんばきりくにひろ)

  (空き) (空き)

 

脇差 堀川国広

  (空き) (空き)

 

「え?だって、あれは村の」

 

「構わん。武器は使ってなんぼじゃ。せいぜい、碧に手入れして貰え」

 

「お爺様・・・大事に使わせて頂きます」

 

 紅も碧も涙ぐんでいる。

 

「村長様、ありがとうございました」

 

「いいか、わしゃ、この娘らを迷宮にやる事を認めた訳ではない。この娘らに何かあればわしゃ、許さんからの!」

 

「はい。心得ています」

 

「おお、刀は脇差し、刀掛けごと持って行け」

 

「お爺様、ありがとうございます!」

 

 

 遅い朝食。早い昼食か?

 食べながら色々話した。

 

「みんな、何か、迷宮に入るの決定。みたいに思っている様だけど、俺もあまり乗り気では無い。出来ればずっと家に居て、俺の帰りを待っていてほしい。でも君たちの意志も尊重したい。本当なら、それぞれ思う通りにしてほしいのだが、それも同調圧力にもなる」

 

「なので提案だ。皆一人一人にどうしたいか個人的に聞いていく。その後、一緒に行きたい者に関しては、俺の判断で連れて行くかどうか、決めようと思う。決め方について意見は聞くが、決めた事に関しては一切、意見は聞かないし、反論も許さない。いいか?」

 

「「「はい」」」

 

 ふう。取り敢えず、こんな感じで良かっただろうか?

 一番嫌なのは、本当はイヤだけど、誰かが行くなら自分も行く。ってパターンだ。なので、最初に話を聞くのは碧から。かな。次いで、紅、フィーアか。

 さて、どうなるかな?

 

碧。

「あ、あの紅は何と?」

やっぱり。

「紅がどうでは無く、碧さんの気持ちを聞いています」

「私は・・・紅がどうしたいかによっては・・・」

「つまり、本心では戦いたくは無い、と?」

「あの、決してそうでは・・・はい」

「分かりました」

 

紅。

「あ、あの、フィーアちゃんは何と?」

こっちもか。

「フィーアがどうでは無く、紅の気持ちを聞いている」

「私は・・・色々怖いけど、兄様、フィーアちゃん、姉様が一緒なら・・・」

「出来れば戦いたくは無いけど、みんな一緒ならやぶさかでは無い。か?」

「はい」

「分かった」

 

フィーア。

「お兄ちゃんと一緒がいい」

こいつは・・・。

「だから、そうじゃなくて、自分がどうしたいのか、て事をだな・・・」

「ん?お兄ちゃんと一緒!」

「迷宮で戦う事も」

「お兄ちゃんと一緒!」

ああ、ハイハイ。

 

 

「みんな、本当にそれでいいんだな?」

「みんな一緒に迷宮で戦って貰う事になるが、いいんだな」

「「「はい」」」

「あ、でも今すぐじゃないからな。もう少しレベル上げてからな」

 

「すぐ迷宮に行きたい!」

 

 フィーア。お前はホントにもう・・・。

 分かるけどね。早く魔法剣士になっておきたいんだよな?

 迷宮に入るなら装備を揃えないと、なあ。

 買いに行くならミシフか、皇都、かな?

 そういや、皇都の高級服屋だっけか?

 いきなりファリーんとこに行っても勤務中だよね?

 みんな一緒に行ったら、ファリーもみんなもビミョーな雰囲気になる気がするし。後で怒られる案件だ。間違い無い。

 今回はファリーの所には寄らずに行こう。

 皇都はファリー、フィーアと馬車の旅をした時に経由しているので分かる。ワープで飛べる。一度皇都で場所を掴んでおいて、それからみんなで飛べばいいか。

 

「ちょっと皇都まで行ってくる。店のあたりをつけたらすぐ戻る」

 

「服や装備ならミシフやオーゾでも」

 

 碧はお金の事を気にしている様だが、

 

「1つ心当たりが有るんだ。まずはそこへ行ってからだ」

 

 無理矢理納得させ、ワープゲートを開いた。

 

「じゃ、行ってきます」

 

「行ってらっしゃいませ」

 

 

 行った事が有ると言っても、皇都の西の端を掠めたぐらいで、中心部は全く知らない。

 近くの店の店員さんにちょっと聞いてみた。

 

「お店の方ですか?」

 

「そうですが、何か?」

 

「聞いて来たのですが、皇都に女性用下着の舶来品を取り扱う店があるとか。是非、妻にプレゼントしたくて。ご存知ではありませんか?」

 

「ああ、それならあの店だろうね。スザク大路をまっすぐ北に上がって門に当たる前、左手に見える大きな店が多分、そうだと思うよ」

 

「ご親切にありがとうございました。因みにスザク大路へはどう行けば?」

 

「あっちだよ」

 

 丁寧に礼を言って直ぐに歩き始めた。

 何故だかすぐに場所をイメージ出来た。

 

 ここだな。三階建ての大きな店だ。小さな百貨店並みだ。正直、ちょっと気圧される。

 

 店員ぽい人に聞いてみた。

 

「こちらに美しい女性用下着を置いている。と聞いて来たのですが」

 

「もしや、桧上様でしょうか?」

 

「そうですが、何故?」

 

「リヒテンフォルト様に近々、お越しになるだろうと聞き及んでおりましたので」

 

 くおぉ、ファリーにしてやられた。これは朝昼晩フルコース確定だなぁ・・・。

 

 

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