アイダ迷宮16階層
ここの魔物はハットバット。
「んじゃテテ、ナビお願い」
「はい、旦那様」
今日もみんな元気だね。
「ここから階層には最大5匹出るからね。組み合わせ、優先度等、気をつけて行こう」
「はい!」
「左100m3匹、不明1、蜂1、ケトル1」
「蜂優先だ。次に不明の、恐らくハットバットだ」
「ヨユーヨユー。楽勝だね。レナちゃん」
「ホントだね。じゃんじゃん行こう」
「まだまだ、今はこっちの方が多いから余裕が有るが、その内向こうの方が多くなる。その時、俺がサブタンクに入ったりするとフォーメーションとか、考え直さないといけなくなると思う。油断禁物だぞ」
「は~い」
俺達の装備も新調しないといけないかもな。
特にテテかな?
「なぁ、テテ。ちょっと剣と盾を見せてみて」
「はい、旦那様」
う~ん。やっぱりそろそろ限界かな?
剣は兎も角、盾はかなり傷んできてる。
それに・・・
「テテの装備は一新しようか?」
「まだまだ、いけます」
「次の装備を揃えるならミシフかな」
「あの、ホントに・・・」
「・・・一旦、家に戻ろう」
「え、まだそんなに?」
「いいから」
自宅。
「テテ、右手を見せてみろ」
「あの、」
「怒らないから」
「はい」
「よく見せて」
「あ・・・」
テテの右手は結構傷痕が残っていた。“手当て”で傷自体は治っているが、痕は残る。
今までよく隠していたが、左手と比べてみれば分かる。
明らかに右手でも敵の攻撃を受けている。
戦闘中も分からない様にしながらだ。
「何で言わないの?」
「申し訳ありません。旦那様にご負担をお掛けしたくなくて・・・」
「何度も言うけど、俺が迷宮に入るのは、皆と一緒に楽しく暮らす為だ。その為に強くなる必要がある。強くなって誰からも生活を脅かされない様にしたい。それなのに、みんなが怪我してたんじゃ本末転倒もいいとこだ。お願いだ。陰で泣く様な事は止めて欲しい」
「すみません。ありがとうございます」
泣き始めた。
ダメだって。そこで泣いたら俺まで・・・。
「俺の方こそゴメンね。気付いてあげられなくて」
「ああ、兄々も泣いてる~」
俺も堪えられなくなった。
「とんでもない。これからは一杯甘えさせて頂きます」
「グズッ、そこで本題だが、これを機会にテテ、武器を代えてみないか?」
「え?」
「兎に角、ミシフへ行ってみよう」
ミシフ武器屋。
以前、ミミのカトラスや皆の頭装備を買った店だ。
前と変わらず初老の翁が居る。
「こんにちは」
「オヤ、これはこないだの」
「はい、この前はありがとうございました。所で今日はまた、相談があるのですが・・・」
「今回はどの様な注文ですかな?」
「その、腕に装備出来て、攻撃も出来る様な盾とか無いですかね?」
「フム・・・それならアームガードですかな?」
「見せて頂く事は出来ますか?」
「生憎、うちには・・・確か皇都には置いてあった気がしますね」
「そうですか。行ってみます。ありがとうございました」
「いえいえ、またのお越しをお待ちしております」
あのオジサン、有能だなぁ~。
皇都、武器屋。
「すみません、こちらにアームガードって置いてますか?」
「ハイハイ、有りますよ。隣の防具屋に廻って頂けますか~」
皇都と言ってもそんなに数は無い。
「どうだ?」
アームガードってのはガントレットの拳、肩ぐらいまでの腕にシールドが付けられ、拳部分にはトゲトゲが付いてて、ここで殴って攻撃したりするモノだ。
戦闘時には両手を肘までくっつけてガードし、素手で殴る感じかな。
腕全体でガード出来るのでテテ向きなんじゃないかな?
ミミでも使えるかもね。
テテは色々と見ているが、どれもイマイチっぽい。
「これなんかは如何でしょうか?」
「う~ん。もひとつ状態が良くないなぁ」
「こっちは?」
「スキルスロットが無い」
確かにどれもイマイチだな。
「ん?こっちにも有るじゃないか」
「あ、そっちは」
「テテ、お前、また」
「す、すみません、そちらのはどれも高価なモノばかりでしたので、その」
「いいか、テテ。買う買わないは俺が決める。テテはそんな事気にせずイイモノをピックアップすれば良いんだよ」
「はい、すみません」
「すみません、じゃなくて、ありがとう。って言って欲しいな」
「はい、旦那様。・・・では、あれなんかは如何でしょうか?」
気にするなとは言ったが、確かに高いな。でもこれは確かにいいな。
ダマスカスのアームガード
(空き)(空き)(空き)
鋼鉄のモノより軽いし、動きやすそうだ。
「これ、幾らですか?あと、鎧も欲しいな」
「ハイハイ、そのアームガードは1万ナールになります。鎧はこちらにどうぞ」
ダマスカス製で1万ってもしかして安いのでは?あんまり売れないからか?
「そんな、鎧まで」
「タンクの装備を充実させるのは定石だからな。さっきのアームガードと併せて使い心地も見てくれるか?」
「はい、ありがとうございます」
鋼鉄の鎧 (空き)(空き)
いいな、これ。肩の防御部分はアームガードと合わせたら、ほぼ腕全域をカバー出来そうだ。
「重すぎたり、動き辛いとかは無いか?」
「はい、とてもいいです」
合わせて14000ナールだった。金額が大きくなると三割引きが凄く有難い。
アイダ迷宮16階層途中から
「ここでアームガードの使い勝手なんかを確認していこう。最初は敵の少ない所から頼めるか?」
「はい・・・正面奥、突き当たり右、ハットバット2です」
「2つともヘイト取れるか?」
「はい。いけます!」
「ヨシ、お前のタイミングで行くぞ」
「はい。ディフェンダー。ゴー!」
なるほど、右からくる攻撃はショートソードで受け流すより、鎧、シールドで受けてしまう方が安定するのね。
シールドがあれば被弾してもそれ程ダメージは入らない様だ。
鎧部分であれば”手当て”は必要だが、ほぼダメージは無いので、回数は少なくて済む。
ボスのパットバットもデカイだけだ。問題無く倒した。
アイダ迷宮17階層
この階層の魔物はビッチバタフライな様だ。
他のハットバットも同じく、風魔法が有効だった。
ボス、マダムバタフライ。
「こいつもいつも通りかな。風魔法、フラッシュ、パンダ、各スキルだ。ここで今日は終了にする。思いっきりスキル使っていいぞ」
「わ~い!」
「テテ!」
「はい。行きます。ディフェンダー。ゴー!」
テテが駆ける。続いてレナ、フィナ、ミミ。
最後に俺がブリーズストームを放ちつつ、突撃する。
「フラッシュ!」
「
テテはガードに集中。
レナは斬奸。
フィナは雷付与からのフルスラッシュ。
ミミはオーバーロードからのキルスラッシュ連撃。
俺はオーバーホエルミング+剣人の“
もう一回ブリーズストーム。
スキル2周する迄に倒しきった。
「テテ、アームガードの使い心地はどうだ?」
「はい。とてもいい感じです。こんな良い武器をありがとうございます」
「俺も気に入って貰って嬉しいよ。よし、スッキリ倒した所で帰ろう」
「「「「「はい」」」」」
「アイ、今日、銭湯の予約は?」
「2件です。私は夕飯の支度をしたいので、そちらはレナにお任せして宜しいでしょうか?」
「レナ?」
「畏まりです。テテさん、ミミちゃん、お手伝いお願いしますね」
「俺は送迎だな。フィナ、アイの手伝いお願いな」
「は~い」
脱衣所の外。
「レナ、待っている間、少し修行しよう」
「修行?ここでですか」
「そうだ。その椅子に座ってみて」
外の椅子に座ったレナの手を取り、膝の上で掌を上にし、親指を合わせて組ませる。
「目を瞑って」
「はい」
「何も考えないで、ただ意識を集中し、無になるんだ」
「え?考えずに意識を集中するんですか?」
「そうだ。無だ」
「ん~難しいですね」
「そんな簡単に出来るもんじゃ無い。焦らずリラックスして」
最初の客があがるまでには成功しなかった。
黙想しなれない人には難しいよね。
と思っていたら、次の客があがる頃、
「あ」
え?
「今、何か」
「嘘」
「何か白くも暗くも無い、遠くで近い所に煌めきが?」
椅子が駄目なのかと思い、下の簀で正座してやって貰ったのが良かったんだろうか?
計一時間以上黙想したからか、何か見えたらしい。
いや、戦乙女のレベルが30になったのもあるのかな。
「レナ。成功だ。戦巫女になったよ」
戦巫女Lv1
効果 MP中上昇 HP中上昇 知力小上昇 敏捷小上昇
スキル 手当て 全体手当て 斬奸改 漸次回復
「本当に?今は村でも戦巫女は居ない程なのに・・・」
「凄いね?漸次回復とか、斬奸も強化されてるみたいだよ」
「ああ、兄様。兄様!」
熱烈なキスをしてきたが、ここではマズイ。
「落ち着いて、レナ。家に帰ったら一杯褒めてあげるから」
ん?という事は・・・?
帰宅。
早速、アイの状態を見る。
刀匠Lv1
効果 腕力中上昇 器用中上昇 腕力小上昇 HP小上昇
スキル アイテムボックス操作(30) 武器製造 防具製造 スキル結晶融合
アイも刀匠を獲得していた。
アイの刀鍛冶もレベル30になっていたので、もしやと思ったら案の定だった。
「刀匠?伝説級のジョブですよ。冗談が過ぎますよ。主様」
「んじゃアイ。防具製造って唱えてみて?」
「流石に今度ばっかりは・・・キャッ」
「ね?」
「そんな、そんな?!」
「判った?俺のアイは優秀なんだぞ」エヘン
「こんな事って・・・」
「これで防具だって、スキル結晶融合だって出来るね」
「それでしたら、是非作ってみたい装備が有るんです」
「お、いいね。作ってみようよ」
「主様、糸、ありますか?」
「糸?確かグリーンキャタピラーのドロップアイテムだよね?有った物は全部売っちゃったけど、確か四層だったし、すぐ取って来れるけど、今から行ってこようか?」
「イエ、明日でも構いません。どの道、芋虫のスキル結晶も欲しいので」
「スキル結晶か・・・アイテムや武器なんかと融合するんだよね。手に入れるにはどうすればいいのかな?」
「スキル結晶は商人から買うか、オークションなんかで手に入れるのが一般的と言われています。」
「スキル結晶の入手方法はいずれ考えないといけないけど、取り敢えず、キャタピラーのドロップ目指して四層周回するか~」
料理人を付けて、アクセサリー四、強運の指輪を装備して回れば、少しは出易くなるかな・・・。