自宅。
アイが探索メンバーに加わった。
色々考えないといけない。
アイの装備。
ミミの戦闘時の服。
アイの戦闘時のポジション、役割。
アイの村での仕事。
・アイの装備だが、
防具はテテレベルがいいだろう。他のメンバーよりは良いものになってしまうが、みんなの防具も更新しようと思っていたのだ。新しい物をミミあたりに渡して、ミミのお古をアイに渡してもいい。
武器は村長から貰った、脇差しの堀川国広か、俺の(ファリーの)宝槍フリッシュヒンメルを渡すか?出来れば二列目から詠唱中断に専念して慣れてきたら戦闘指揮を執って欲しかったりするが、武器との相性なんかも有るしな。アイ次第な所も有るか。
・ミミの戦闘時服は、
下着の様に防具製造で作れないかな?アイが防具製造も出来る様になったから、試してみて貰おうかな?
・アイのポジションは、
やっぱり武器との相性も有るから、武器次第かな?
戦闘フィールドを見渡せて、詠唱中断しながら各ポジションに指示出せると有難いんだよな。俺が出来れば良かったんだけど、それすると俺のDPSが落ちるんだよなぁ。
・アイの村での仕事は、
家での仕事もだけど、分担するしかないかな?
実はアイ、忙し過ぎるんだよなぁ。
家の掃除、洗濯、銭湯の予約調整、鍛冶、炊事、みんなの健康管理。
この上、戦闘?アイ、倒れるよっ!
あ、何か涙が出てきた。本当に何か報いてあげないとな・・・。
まずは鍛冶。
朝食時、聞いてみた。
「アイ、刀製造の方はどんな感じかな?」
「はい。刀匠になってから、何度か試してみたので、また見て頂けますか?」
「分かった。後で見よう。それから、昨日、ミミの戦闘用服がダメになってしまったんだ。まだ予備は有るんだけど、白虎化する度に破く訳にもいかない。この前買ったチャイナ服の様に防具製造で服、作れないかな?」
「出来るとは思いますが、いきなりは・・・。最初は防具、鎧なんかを作ってみてからでも宜しいでしょうか?」
「勿論だよ。全然、急がなくていいからね」
これでミミの服は一旦良し。としよう。
次に、アイの装備だが、選ぶ武器にも因るかな?武器は後でアイの刀を見る時に一緒に見て貰うか。ポジションも武器次第だな。
あとは、アイの仕事の再配置だが。
「なあみんな、今までアイがしてくれていた仕事を、みんなで手分けしようと思うんだけど、どうかな?」
「とってもいい事だと思います。兄様」
「はいはい。賛成~!」
「ミミもお手伝い、するよ~」
「みんな、ありがとう。それじゃみんなが出来る、炊事、掃除、洗濯は当番制にするとして、レナ・フィナの番、ミミ・テテの番に分けようか。忘れない様に、レナの日とフィナの日はレナ・フィナの当番、ミミの日とテテの日はミミ・テテの当番にするのがいいかな」
「で、アイの日、みんなの日は俺とアイの当番。休みの日はみんなで。この際だし、休みの日は迷宮探索も休みにしないか?どうかな?」
「あくまで当番ってだけだから、替わっても手伝ってもいいし」
「いいね。それでいこう!」
分かってますか?ミミさん?
「銭湯の予約調整、指揮も一緒でいいんじゃない?」
お、フィナさん、それ、いいね。
「あの、姉様と兄様の日は私が・・・」
「頼む事はあるだろうけど、一応、今はこれで行こう。手伝って貰う、は有りで。アイ、いいか?」
「はい。ありがとうございます」
「鍛冶と戦闘に関しては、アイに頼るしかない。勿論、相談には乗るから、何でも言ってね」
「はい。その際はよろしくお願いしますね」
うん、いいね。
「食べ終わったら刀、見ようか?」
「はい」
「ミミも見たい~」
自宅裏、試し切り場。
「如何でしょうか?」
不安げに見つめる。
「これが鍛冶スキルで作った刀か?」
「はい」
「凄いな!鍛冶場で作ったモノと遜色無いな。アイの努力プラス刀匠スキルの力か。これ、まずは村長に見て貰って、太鼓判が出たら売る?いや、オークションか?幾らで売れるかな?前に村の刀なら普通20万ナール位はするって言ってたよね?それ位で売れれば今年の税金は何とかなるんじゃないか?」
「アイ姉々、凄い~!」
ミミよ?いいけどさ。
村長宅
「確かに20万以下にはならんじゃろうのぅ」
村長の太鼓判も出た。
「でもこれ、どうやって売るか?ですよね」
「そうじゃな、懇意にしとる商人とかおらんのか?」
「それが全く」
「なんじゃ情けないのう。騎士団や貴族皇族なんかに直接売ったりしちゃイカンのか?」
「それこそ、そんな伝手ありませんよ」
「ああ、もう面倒臭いやっちゃのぅ。う~ん、昔の騎士団長なら、何とかしてくれんかの~」
「昔の?もしかして、エウノ・インシ氏の事でしょうか?」
「なんじゃ、知っとるんかい。あのお人に頼めば良かろうに」
「それが、エウノ氏はもう他界されていて・・・」
「そうか、そうじゃったか・・・」
「はい。ですので」
「コイケ夫人には会っとらんのか?」
「いえ、会いましたよ?」
「なら夫人に頼めばどうじゃ?誰か良い商人の一人や二人、紹介してくれるじゃろう」
「そんな事が?」
「今でもあの方なら、それくらい訳無いじゃろう」
「そうですか。ダメ元で行ってみようかな。フィナも会いたいだろうし」
「そうじゃな。年寄りは話し相手が欲しいモンじゃからな。いいんじゃないか?」
「今度はアポ取ってからにしないとなぁ」
「要らん要らん。そんな事しとったら面倒臭いわって怒られるぞ?」
「分かりました。出来るだけ、偶然、通りかかった様にして行きます」
「それがええ」
せっかくの休みだ。昼からでも行ってみるか。
「フィナ~?」
レナと一緒に昼御飯の準備をしていたフィナがやってきた。
「な~に~?お兄ちゃん」
「昼から皇都に行かないか?インシ夫人の所だ」
「誰?」
「誰って、槍貰った御婦人だよ」
「ああ、あのおば様んち?行く~」
「んじゃお昼御飯食べたらな」
「は~い」
「さて、アイの武器だけど、何か使いたいモノとか有るか?」
「特にこれと言っては有りませんが、お爺様に頂いた堀川国広だとばかり」
「あれはただ、村長に貰ったってだけだ。俺のフリッシュヒンメルも有るし、それ以外だって構わないよ?」
「脇差しも槍も少し使ってみた事は有るのですが、どちらかと言えば槍でしょうか?射程が有る方が・・・」
「脇差し、槍以外では?」
「打刀以外は使った事が有りませんし、この中ならやはり槍かと」
「じゃ、取り敢えず槍を渡すけど、他にいいのが有ったら言うんだぞ?はい、これ」
そう言ってフリッシュヒンメルを渡した。極自然に。
「え?いや、だからって、これは大事な!」
「大事だから渡すんじゃないか。お前なら絶対、大事に扱ってくれるからな」
「ありがとうございます。絶対大事に使わせて頂きます」
昼食後。
「フィナ、そろそろ行く?」
「わ~い、お兄ちゃんとデートだ~」
「ご用事で行くんだからな。いい子にしてないとダメなんだぞ?」
「わ~かってるよ~」
「本当かよ?アイ、こっちは頼むな~」
「はい。行ってらっしゃいませ」
エウノ邸。
玄関のドアノッカーを叩いてから、裏の庭へ廻った。
「こんにちは、コイケ夫人。宝槍フリッシュヒンメルをお預かりしました、シンとフィナです」
「まあまあ、いらっしゃい、シンさん。こんにちは、フィナさん」
「こんにちは、おば様」
「ようこそ、おいでくださいました。とても暇してましたのよ」
「すみません、未だファリーの行方も掴めておりません故、中々顔を出し辛く」
「そんな事、全然気にしなくても良かったのに」
「突然、押し掛けてしまいました非礼を・・・」
手を振って言葉を遮り、
「そんなの良いから、あがっていって下さいな。時間はお有りになるんでしょう?」
「よろしいでしょうか?では、お言葉に甘えさせて頂きます」
紅茶とケーキを出して頂いた。
「ありがとうございます。フィナも。一緒に頂こう」
「ありがとうございます、おば様」
「お元気でしたの?」
「ええ、とても。お預かりした宝槍も有効に使わせて頂いております」
「お兄ちゃん、このケーキ、とっても美味しいよ」
「ホントだ。美味しいね、フィナ。宜しかったのでしょうか?こんなに良いものを頂いても?」
「いいんですよ。これ、頂きものなんですけど、置いておいても食べきれませんし、フィナさん達に食べて頂いた方が、よっぽど良かったんですよ」
「みんなにも食べさせたかったね?」
「まあ、他にも御家族様がいらっしゃるの?今度、是非一緒にいらして」
「いいんですか?皆、喜びます」
「勿論よ。何人いらっしゃるの?」
「私、フィナ含めて六人になります」
「まあ、六人も?じゃ皆さんで迷宮に?」
六人と聞けばパーティー組んでるって判るよね。
「じゃ、今度は六人皆さんでいらして。あと、出来れば事前に連絡下さいな?色々用意しないと」
「そんな、お気を・・・」
「何を仰っているの?一度に沢山のお友達がいらっしゃるのよ。一杯おもてなししなくっちゃ」
しまった。どんどん話しが大きくなってきたぞ。
「あ、そうそう、ケーキよね。多分、あそこだわ。後で地図を書きますので、お土産に買っていかれたら、どうかしら」
「それはありがとうございます。きっと喜びます」
「所で何かお話が有ったのでは有りませんか?」
「ハハ、忘れる所でした。実はキザマ村長のヤオオ氏に聞いて参ったのですが」
と言い掛けたところ、
「ヤオオさん?随分懐かしいお名前だこと」
「やはりご存知でしたか」
何か、そんな感じしてたんだよな。
「あら、ごめんなさい、ヤオオさんがどうされたのかしら?」
「実は今、私達は武器等を取り引きしてくれる商人を探しているんです」
「へえ。それで私の所へくれば、誰か紹介して貰えると?」
「はい」
「勿論、そういった方を何人か紹介するのは、吝かでは有りませんよ」
「では?」
「でもそれって私に何かメリットが有るのかしら?」
「一度の取り引き毎に一割。と言いたい所ですが、正直余りお金にお困りの様には見えません。ですので、取引毎に必ずこちらに参ります。と言うのは如何でしょうか?必ず、フィナと誰かを連れて」
「まあ、そんな約束をしてもいいのかしら?」
「少なくとも、今日ここに来る時も、フィナには何用か言わずに来ました。それでもフィナは二つ返事で喜んで付いてきてくれました。ウチの娘はみんなこんな娘達ばかりです。私にとっては損が有りません。あ、一割の話は本気ですよ?」
「嬉しい事、言って下さるのね。所で、どんなモノを商うお積もりなのかしら?」
話が先に進んだ。第一関門突破かな?
「夫人はキザマ村の刀をご存知でしょうか?」
そう言いつつ、アイテムボックスからアイが武器製造した刀を取り出した。
「キザマ刀?これが?見せて頂けますかしら?」
夫人は鞘から抜いてまじまじと眺める。
「キザマ刀は初めて見るけど、凄いのね。私は全くの素人だけど、これが凄いモノだと言う事だけは判るわ。これを一体どこで?ああ、ダメね。そういう事聞いちゃいけないのよね?」
「恐縮です。詳しくは申せませんが、つい先日、キザマ村に刀鍛冶が誕生しまして」
流石に刀匠とは言わなかった。
「シンさん。これは凄い事よ。私もだけど、この事は絶対、外に漏らしちゃ駄目よ」
「ご協力、宜しくお願いします」
深く腰を折った。
「これらの売り上げの一割だなんて、頂く訳にいかないわ。一分だって多すぎるわよ。商人も飛びっきり、良い方をご紹介させて頂きますわ」
「そんな、せめて一分は貰って頂かないと」
「あ、でもまず最初は紹介する商人の方に、現物を見て貰ってもいいかしら?」
「もちろんです。この刀は信頼の証として、ここに置いて行きます。じっくり御検分下さい」
「まあ、もうお帰りになるの?次はいつ来て下さるのかしら?」
「刀を見て頂いた感想も聞きたいですし、近いうちにまた来ます。何かありましたら、キザマ村長様留めでお手紙頂いてもいいですよ?」
「分かりました。皆さん来て頂くのをお待ちしています」
「ではまた」
「また来ます、おば様」
そう言ってフィナは夫人とハグして別れた。
さよならと言わなかったフィナ、偉いぞ。
夫人に教えて貰ったケーキ屋で五人分のケーキを買って帰った。
五人分?