※この作品はR-18です。

ワルキューレの迷宮騎行   作:葵翠

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048 魔剣士

自宅。

 

 

 今日は一日休みにしている。

 さて、フィナの砕けたバスタードソード、どうしよう?

 

 アイ、直せる?それとも俺の鋼鉄の剣、使う?

 

「直せなくは無いと思います。要は素材に戻ったモノを集めて、もう一度、作り直す様なモノですから。ただ、再び雷のバスタードソードが出来上がるかどうか・・・?」

 

「そうか・・・」

 

 脇差し堀川国広、使う?

 

 折角の魔法剣士、普通の剣を使うのは、何かちょっともったいないよね?

 

 アレ?普通のバスタードソードに、雷属性のスキル結晶融合するのと何が違うの?

 ン?なら、元のバスタードソードを使わなくても良くない?

 

 アイとフィナと顔を突き合わせて色々あーだこーだ議論しているところにミミがやってきた。

 

「兄々、な~にしてんの~?」

 ミミはもう、大丈夫。元気になってくれた。

 

「ん?フィナの折れた剣を、どうしようかって話してたんだ」

 

「アイ姉々、直せないの?」

 

「直せなくは無いと思うのだけれども、雷属性が前のまま、戻るかどうか判らないの」

 

「砕けた剣の破片、全部持って帰ったんでしょ?そのまま作り直したら元通りになんないの?」

 

「え?」

 

「え?」

 

 いや、言いたい事は判らなくも無いが、“雷の”の部分が、スキル結晶融合なのか、何か別の技術体系に因るものなのかが判らないから、困ってるのに・・・って、そこが判らないならそのまま作り直しちゃえ、って事か。

 ダメならどうせ自分達で直せないんだから、とっとと諦めろよ、と。

 

「確かにそれ、有りだな」

 

「まあここで考えていても進展有りませんしね」

 え?アイがそゆ事、言う?

 

「ええ?」

 一番軽そうなフィナが最も及び腰だ。

 

「フィナちゃんがいいなら、やってみましょうか?」

 

「いいけどさ。このままにしてても、しょうがないんだし」

 

「では」

 

「ちょっと待って」

 

「はい?」

 

「折角だからやってみて欲しいんだけど」

 

 と言ってアイに話す。砕けた剣を見て、有るモノに結びついたんだ。

 

「使いこなすのが苦労しそうなんだよな・・・」

 ミミの事があったばかりだし、無理させたくもないんだけど。

 

「使いこなして見せる!」

 しまった、この娘はこういう娘だったんだ。

 

「あのな、フィナ?無理してつ・・・」

 

「絶対に使いこなす!」

 そして、言ったら聞かない。

 

「実は・・・」

 新しい武器の構成等を説明した。

「それでしたら、銀の糸なんかを使うのはどうでしょうか?冒険者ギルドにあればいいのですが・・・。無ければ、ホワイトキャタピラーのレアドロップ品を集めるか・・・」

 

「ホワイトキャタピラーか・・・回廊モンスターとして現れるのは40階層辺り?4階層ボス戦を周回するか・・・」

 

「4階層行く?」

 フィナはもう行く気になっているが、

 

「銀の糸を入手するまではどうする?俺の鋼鉄の剣使う?アイの脇差しか?それとも何か他の剣がいいか?」

 

「お兄ちゃんの剣でいい」

 

 ん?アレ?ホワイトキャタピラーのレアドロップ?4階層ボス?

 

「ん?ちょい待ち」

 

「な~に~?」

 なぜミミが返事する?

 

「確かアイの詠唱中断の練習に4階層廻ったよな?」

 

「はい、そうですね。って、え?持っているんですか?!」

 

「ああ、ここに・・・」

 

「そんなに長く潜っていた訳じゃないのに。流石は主様!」

 

 良かった。怒られるかと思った。優しいアイ好きだよ。

 

「ウチの兄々は凄いのデス」

 ミミがドヤ顔である。

 

「それでは作りますね」

 

 アイが壊れてバラバラになった剣の欠片と柄、銀の糸、ついでに鞘用にダマスカス鋼(こちらもボス、レムゴーレムのレアドロップ品)も合わせて持ち、武器製造のスペルを詠唱した。

 

 アイの手元が眩しく光り、そこから剣が現出した。

 

魔剣 雷神剣(レヴァンティン) 両手剣

 スキル 状態移行 雷撃剣(剣状態) 紫電一閃(鞭状態) 紫苑穿孔(弓状態)

 効果 麻痺 捕縛(鞭状態) 貫通(弓状態)

 (空き)(空き)

 

 おお、なんか、凄くない?

 なんしか、フィナの新武器が出来た。

 

「フィナ、ちょっと振ってみて?」

 

「うん。柄の部分は前と同じだから手に馴染むね。前より少しだけ重くなったみたいだけど、全然気にならないよ」

 

「じゃ雷神剣。前の雷付与と同じ要領だ」

 

「雷神剣。あ、前より簡単。慣れてるから?」

 

「次は状態遷移だが、俺が覚えているもので合ってるかな・・・」

 

「鞭形、シュランゲフォルム。」

 

「レヴァンティン。シュランゲフォルム!」

 おお、蛇腹剣の鞭の様になった!

 

「次。剣形、シュベルトフォルム」

 

「レヴァンティン。シュベルトフォルム!」

 通常状態に戻った。

 

「スマン、弓状態への遷移スペルは覚えて無い」

 

「まずは、この剣に慣れる必要がありますから、しばらくはこれで行くのが良いと思います」

 

「はい!やた。新しい武器だ~ルン」

 

「フィナ姉々、カッコいい~」

 

「へっへぇ~ん。いいでしょう?」

 

 

 今日は俺とアイの当番の日だ。

 

「夕方に銭湯の客が有るんだっけ?」

 

「はい、主様。まだお昼前ですが、お爺様の所の掲示板を確認して来て貰えますか?」

 

「分かった。行って来る」

 

「ミミも行く~」

 

「あ~ハイハイ、一緒に行こうな」

 

「フィナも行く~」

 

「あ~もう、好きにしよし」

 

「「行って来ま~す!」」

 

「はい、行ってらっしゃい。お昼作って待ってますね~」

 

「わ~い」

 ミミはそれだけでニコニコ顔になる。

 

 敢えてフィールドウォークを使わず徒歩で行く。

 今はレナが居ないので、俺の左にミミがいる。

 当然、手を繋いであれである。

 

「♪お散歩、お散歩、うれしいな~。兄々と一緒でうれしいな~。姉々も一緒でうれしいな~♪」

 

 何にせよ、元気になってくれて俺も嬉しい。

 

 こっちにも。俺の右側にやはりニコニコのフィナがいる。

 余りにも嬉しそうなので、ちょっとだけ行ってみるか?と訊いたら、即答で、

 

「行く~」

 

 と返事が帰ってきた。

 

 1階層で兎と戯れたら、すぐに、

 

魔剣士 Lv1

効果 知力中上昇 腕力小上昇 HP小上昇 MP微上昇

スキル エレメント付与 フルスラッシュブースト

 

 ゲットしていた。魔剣を使って敵を倒す。が条件だったのだろうか?

 

「たっだいま~」

 

「やっぱり今日は夕方の客だけだったよ~」

 

 

夜。

 

 夜の予約は入っていなかったので、温泉に入った。

 

「あああ。いい湯だな~」

 

「ホントですね~」

 

「なんか、お肌がすべすべ~」

 

 幸せだ。

 もう、こうしてぼ~として暮らしていければ満足だ。

 みんなの食べ物を得る為にのみ迷宮に入り、税金はアイの刀で賄い、銭湯の管理費の代わりに頂く村野菜で日々の糧を得る。

 村の力仕事を手伝い、盗賊を排除し、みんなの子供を養えれば・・・。

 

 子供。自分の子供なんて、考えた事もなかった。

 自分の劣悪な遺伝子を遺すなんて、人類社会にとって犯罪以外の何モノでもないとかって思っていた。危険な思想だとか、言うと色んな人から怒られてしまうとか、面倒なので言わないだけだ。ま、そもそも、モテないやつの僻みだし。

 でも、みんなの子供なら・・・。かわいいだろうなぁ。

 !!子供。色魔の上級職で避妊無視とか、受胎・強制妊娠とかないかな?

 

 あ、その前に、改名だな。今は奴隷商人目指してるんだった。

 奴隷商人。どうやったら成れるのだろうか?

 貴族や家名持ちの婦女子が結婚した時なんかはどうするんだろう?

 まさか奴隷商人には頼まないよね?

 

 聖騎士か?!ファリー!

 改名についても聞いておくんだった~。

 奴隷商人でも駄目なら聖騎士目指すか?

 今、騎士レベルは4。まだまだ遠いな。

 

 あ、結局レベル上げする方向に向いてるやん。

 

 誰か教えてくれないかな~。

 コイケ夫人は?

 あ、夫人の所に行く約束!次はアポ取るって言ってたっけ?

 

「兄様?どうかなさいましたか」

 

「ん?ああ、幸せだな~って考えてたんだ」

 

「私もです。いつまでもこうしていたい」

 

「なぁみんな。近く、コイケ・エウノ夫人の邸宅に行かないか?」

 

「エウノ様?それはどの様なお方なのですか?」

 

「もしかして、私の刀を売る際の仲立ちとなって頂く?」

 

「あ、皇都のおば様ん家?」

 フィナ、そこはお前が最初に気付くべき所だぞ?

 

「みんな、行こ~。とっても優しいおば様だよ~」

 

「ミミもいいの?」

 

「もちろんだとも」

 

「やった~」

 

「良いのですか?私達の様な」

 

「次は皆連れてくると約束した。その様な事を気にする方ではないし、楽しみにしていると言って下さっているんだ」

 

「そうだったのですか、でしたら是非行かなければなりませんね!みんなの余所行きのお洋服、出して置かないと」

 

「落ち着け、アポ取ってからだ。三日後位か?」

 

「承知致しました。準備しておきますね。ミミちゃんの戦闘時服も用意しなきゃですね?」

 

 三日待つ間、迷宮で芋虫狩りをひたすら行った。

 お陰でスキル結晶2、銀の糸1、糸を大量にゲットしていた。

 4階層、最大3匹の魔物なので、アイは戦闘の全体把握しつつ、詠唱中断の練習、フィナはレヴァンティンの習熟、ミミは白虎変の持続(今度は疲れたらちゃんと言うんだぞ?)、レナも攻撃しながら全員のHP管理(全体手当て)、テテはヘイト管理と皆する事は一杯有る。

 時間が有る時、アイはミサンガ作りも行う。

 その内、いくつか空き有りのモノも出来ていた。

 

 またこの時、ミミの戦闘時服も作って貰った。

 

 

 

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