自宅。
今日は一日休みにしている。
さて、フィナの砕けたバスタードソード、どうしよう?
アイ、直せる?それとも俺の鋼鉄の剣、使う?
「直せなくは無いと思います。要は素材に戻ったモノを集めて、もう一度、作り直す様なモノですから。ただ、再び雷のバスタードソードが出来上がるかどうか・・・?」
「そうか・・・」
脇差し堀川国広、使う?
折角の魔法剣士、普通の剣を使うのは、何かちょっともったいないよね?
アレ?普通のバスタードソードに、雷属性のスキル結晶融合するのと何が違うの?
ン?なら、元のバスタードソードを使わなくても良くない?
アイとフィナと顔を突き合わせて色々あーだこーだ議論しているところにミミがやってきた。
「兄々、な~にしてんの~?」
ミミはもう、大丈夫。元気になってくれた。
「ん?フィナの折れた剣を、どうしようかって話してたんだ」
「アイ姉々、直せないの?」
「直せなくは無いと思うのだけれども、雷属性が前のまま、戻るかどうか判らないの」
「砕けた剣の破片、全部持って帰ったんでしょ?そのまま作り直したら元通りになんないの?」
「え?」
「え?」
いや、言いたい事は判らなくも無いが、“雷の”の部分が、スキル結晶融合なのか、何か別の技術体系に因るものなのかが判らないから、困ってるのに・・・って、そこが判らないならそのまま作り直しちゃえ、って事か。
ダメならどうせ自分達で直せないんだから、とっとと諦めろよ、と。
「確かにそれ、有りだな」
「まあここで考えていても進展有りませんしね」
え?アイがそゆ事、言う?
「ええ?」
一番軽そうなフィナが最も及び腰だ。
「フィナちゃんがいいなら、やってみましょうか?」
「いいけどさ。このままにしてても、しょうがないんだし」
「では」
「ちょっと待って」
「はい?」
「折角だからやってみて欲しいんだけど」
と言ってアイに話す。砕けた剣を見て、有るモノに結びついたんだ。
「使いこなすのが苦労しそうなんだよな・・・」
ミミの事があったばかりだし、無理させたくもないんだけど。
「使いこなして見せる!」
しまった、この娘はこういう娘だったんだ。
「あのな、フィナ?無理してつ・・・」
「絶対に使いこなす!」
そして、言ったら聞かない。
「実は・・・」
新しい武器の構成等を説明した。
「それでしたら、銀の糸なんかを使うのはどうでしょうか?冒険者ギルドにあればいいのですが・・・。無ければ、ホワイトキャタピラーのレアドロップ品を集めるか・・・」
「ホワイトキャタピラーか・・・回廊モンスターとして現れるのは40階層辺り?4階層ボス戦を周回するか・・・」
「4階層行く?」
フィナはもう行く気になっているが、
「銀の糸を入手するまではどうする?俺の鋼鉄の剣使う?アイの脇差しか?それとも何か他の剣がいいか?」
「お兄ちゃんの剣でいい」
ん?アレ?ホワイトキャタピラーのレアドロップ?4階層ボス?
「ん?ちょい待ち」
「な~に~?」
なぜミミが返事する?
「確かアイの詠唱中断の練習に4階層廻ったよな?」
「はい、そうですね。って、え?持っているんですか?!」
「ああ、ここに・・・」
「そんなに長く潜っていた訳じゃないのに。流石は主様!」
良かった。怒られるかと思った。優しいアイ好きだよ。
「ウチの兄々は凄いのデス」
ミミがドヤ顔である。
「それでは作りますね」
アイが壊れてバラバラになった剣の欠片と柄、銀の糸、ついでに鞘用にダマスカス鋼(こちらもボス、レムゴーレムのレアドロップ品)も合わせて持ち、武器製造のスペルを詠唱した。
アイの手元が眩しく光り、そこから剣が現出した。
魔剣
スキル 状態移行 雷撃剣(剣状態) 紫電一閃(鞭状態) 紫苑穿孔(弓状態)
効果 麻痺 捕縛(鞭状態) 貫通(弓状態)
(空き)(空き)
おお、なんか、凄くない?
なんしか、フィナの新武器が出来た。
「フィナ、ちょっと振ってみて?」
「うん。柄の部分は前と同じだから手に馴染むね。前より少しだけ重くなったみたいだけど、全然気にならないよ」
「じゃ雷神剣。前の雷付与と同じ要領だ」
「雷神剣。あ、前より簡単。慣れてるから?」
「次は状態遷移だが、俺が覚えているもので合ってるかな・・・」
「鞭形、シュランゲフォルム。」
「レヴァンティン。シュランゲフォルム!」
おお、蛇腹剣の鞭の様になった!
「次。剣形、シュベルトフォルム」
「レヴァンティン。シュベルトフォルム!」
通常状態に戻った。
「スマン、弓状態への遷移スペルは覚えて無い」
「まずは、この剣に慣れる必要がありますから、しばらくはこれで行くのが良いと思います」
「はい!やた。新しい武器だ~ルン」
「フィナ姉々、カッコいい~」
「へっへぇ~ん。いいでしょう?」
今日は俺とアイの当番の日だ。
「夕方に銭湯の客が有るんだっけ?」
「はい、主様。まだお昼前ですが、お爺様の所の掲示板を確認して来て貰えますか?」
「分かった。行って来る」
「ミミも行く~」
「あ~ハイハイ、一緒に行こうな」
「フィナも行く~」
「あ~もう、好きにしよし」
「「行って来ま~す!」」
「はい、行ってらっしゃい。お昼作って待ってますね~」
「わ~い」
ミミはそれだけでニコニコ顔になる。
敢えてフィールドウォークを使わず徒歩で行く。
今はレナが居ないので、俺の左にミミがいる。
当然、手を繋いであれである。
「♪お散歩、お散歩、うれしいな~。兄々と一緒でうれしいな~。姉々も一緒でうれしいな~♪」
何にせよ、元気になってくれて俺も嬉しい。
こっちにも。俺の右側にやはりニコニコのフィナがいる。
余りにも嬉しそうなので、ちょっとだけ行ってみるか?と訊いたら、即答で、
「行く~」
と返事が帰ってきた。
1階層で兎と戯れたら、すぐに、
魔剣士 Lv1
効果 知力中上昇 腕力小上昇 HP小上昇 MP微上昇
スキル エレメント付与 フルスラッシュブースト
ゲットしていた。魔剣を使って敵を倒す。が条件だったのだろうか?
「たっだいま~」
「やっぱり今日は夕方の客だけだったよ~」
夜。
夜の予約は入っていなかったので、温泉に入った。
「あああ。いい湯だな~」
「ホントですね~」
「なんか、お肌がすべすべ~」
幸せだ。
もう、こうしてぼ~として暮らしていければ満足だ。
みんなの食べ物を得る為にのみ迷宮に入り、税金はアイの刀で賄い、銭湯の管理費の代わりに頂く村野菜で日々の糧を得る。
村の力仕事を手伝い、盗賊を排除し、みんなの子供を養えれば・・・。
子供。自分の子供なんて、考えた事もなかった。
自分の劣悪な遺伝子を遺すなんて、人類社会にとって犯罪以外の何モノでもないとかって思っていた。危険な思想だとか、言うと色んな人から怒られてしまうとか、面倒なので言わないだけだ。ま、そもそも、モテないやつの僻みだし。
でも、みんなの子供なら・・・。かわいいだろうなぁ。
!!子供。色魔の上級職で避妊無視とか、受胎・強制妊娠とかないかな?
あ、その前に、改名だな。今は奴隷商人目指してるんだった。
奴隷商人。どうやったら成れるのだろうか?
貴族や家名持ちの婦女子が結婚した時なんかはどうするんだろう?
まさか奴隷商人には頼まないよね?
聖騎士か?!ファリー!
改名についても聞いておくんだった~。
奴隷商人でも駄目なら聖騎士目指すか?
今、騎士レベルは4。まだまだ遠いな。
あ、結局レベル上げする方向に向いてるやん。
誰か教えてくれないかな~。
コイケ夫人は?
あ、夫人の所に行く約束!次はアポ取るって言ってたっけ?
「兄様?どうかなさいましたか」
「ん?ああ、幸せだな~って考えてたんだ」
「私もです。いつまでもこうしていたい」
「なぁみんな。近く、コイケ・エウノ夫人の邸宅に行かないか?」
「エウノ様?それはどの様なお方なのですか?」
「もしかして、私の刀を売る際の仲立ちとなって頂く?」
「あ、皇都のおば様ん家?」
フィナ、そこはお前が最初に気付くべき所だぞ?
「みんな、行こ~。とっても優しいおば様だよ~」
「ミミもいいの?」
「もちろんだとも」
「やった~」
「良いのですか?私達の様な」
「次は皆連れてくると約束した。その様な事を気にする方ではないし、楽しみにしていると言って下さっているんだ」
「そうだったのですか、でしたら是非行かなければなりませんね!みんなの余所行きのお洋服、出して置かないと」
「落ち着け、アポ取ってからだ。三日後位か?」
「承知致しました。準備しておきますね。ミミちゃんの戦闘時服も用意しなきゃですね?」
三日待つ間、迷宮で芋虫狩りをひたすら行った。
お陰でスキル結晶2、銀の糸1、糸を大量にゲットしていた。
4階層、最大3匹の魔物なので、アイは戦闘の全体把握しつつ、詠唱中断の練習、フィナはレヴァンティンの習熟、ミミは白虎変の持続(今度は疲れたらちゃんと言うんだぞ?)、レナも攻撃しながら全員のHP管理(全体手当て)、テテはヘイト管理と皆する事は一杯有る。
時間が有る時、アイはミサンガ作りも行う。
その内、いくつか空き有りのモノも出来ていた。
またこの時、ミミの戦闘時服も作って貰った。