050 剣将と勇者
アイダ迷宮24階層
グミスライム。
魔法に弱く、物理に強い。
俺達のパーティーに相性の悪い魔物だ。
スライムには魔法使いの俺と魔剣士のフィナ、氷属性のフリッシュヒンメルを使う三人で対応し、それ以外を他の三人があたる。
魔法を使う魔物が居る場合は、アイが下がって詠唱中断に専念する。
魔法属性のある武器が有ればそう怖くはない。
特にこれといった問題も無くボス待機部屋まで辿り着いた。
「ちょっと待ってくれ」
ジョブが増えていたのでキャラクター再設定をし直す。
剣将と勇者だ。恐らく、剣将は剣人の、勇者は英雄の上位職だろう。
剣将はともかく、勇者は効果が半端無いし、スキルのオーバードライブはオーバーホエルミングの上位スキルだろう。
ジョブを入れ替え、これでボスのゼリースライムに挑む。
お供含めて三匹をパンダで中央に集め、
12時にテテ。
7時にアイ、5時に俺。
10時にレナ、2時にいつもはフィナだが今回はミミ。
6時にフィナの配置に変更する。
俺、アイ、フィナの間が少し詰まるが、俺がいつもより開き気味に位置取る。
氷属性武器のアイ、雷属性武器のフィナがボスにバックアタックになる様に、レナ、ミミはサイドアタックで雑魚に攻撃する。俺は全体に魔法攻撃。
これでフォーメーションが固まれば、あとはフルぼっこ。
相手に合わせた攻撃を仕掛ければ、それほど苦戦する事もない。
さして時間も掛からずボスは煙となった。
少し早いが、昼前だ。食事の用意もあるので、一旦、帰宅する事にした。
キザマ村
今日の当番は俺とアイだ。
俺がどうにも炊事係として残念な子なので、皆に手伝って貰う事になってしまう。みんな、ありがとね。
銭湯も昼一件、夕方一件予約が入っている。
みんな、入れるものなら入りたいよね。
運営費は村から出ているので、ホント言うと、只じゃないんだけどね。
昼はお爺さんとお孫さんなので俺の送迎が必要だ。
孫坊やはまだ俺に馴れてないので、ミミについてきて貰った。
そしてお手々繋いでお決まりの。
「♪~おっふろ、おっふろ、うれしいな~。兄々と一緒でうれしいな~。爺々も一緒でうれしいな~♪」
孫坊やのカズ君も一緒に歌ってる。今、村チャート一位だろう。
「シンさんや。ちとお尋ねしたいのですが、宜しいかな?」
「はい、何でしょうか?」
お爺さんは俺とフィールドウォークなので、先に着いている。
別にお孫さんに聞かれたくないという訳ではないだろうが、二人になった時に聞かれた。
「今、ご承知の通り、うちの家は修復中なんだが、どうにも人手が足りなくてね」
皆まで言わせずに先回りして提案した。
「我々で良ければお手伝いしますよ?」
「本当ですか?村長にも言ってはいたんですが、人手が足りなくて中々予定も立たず」
「そうでしたか。所で材木なんかはもう手配出来ているんでしょうか?」
「いや、それもまだまだ足りていない状態で」
「なるほど。銭湯なんかより、こっちが先だったかも知れませんね」
「いやいや、温泉に入れれば希望も湧きます。まずはみんな、前を向く事が大事でしょう。温泉再建もありがたい事ですよ」
「そう言って頂けるとやって良かったと思います」
「兄々~着いた~」
「ご苦労さん。そのまま入って~。湯温は調整したけど熱い、ぬるいあったら言って~」
「は~い」
「しかし、最近、肌寒くなって来ましたから急がないと。でもこれは村全体の問題でもありますから、村長巻き込んで計画的に実行しなければなりませんね。少しお待ちくださいますか?早急に動きます」
「おお、やってくださいますか。やはり銭湯に来て良かった。孫も喜んでいるみたいですしね」
「はい、それでは湯に浸かりましょう」
先にミミ達は帰路につく。ミミが家に着く頃を見計らって俺達もフィールドウォークで家に戻った。
「バイバイ、お姉ちゃ~ん」
「カズ君、バイバ~イ」
祖父孫に別れを告げ、我が家に帰る途中、ミミに、
「あの子の家の屋根、壊れてるんだって。知ってた?」
聞いてみた。
「うん、さっき、聞いたよ。最近夜、寒くなって来たって」
「あそこだけじゃない。他にもそういう所有るんだって。村長に言ってみんなで直してあげようかって思うんだけど、どうかな?」
「それ、良いと思う。ミミも一生懸命手伝う!」
「そっか、ありがとな」
「エヘヘ~」
みんなにも聞いてみたが、
テテ、フィナは「それ、とってもいいと思います」
アイ、レナは「ありがとうございます」
反対意見など出る筈もなく。即決した。
そうと決まれば早い方が良い。
次の日、早朝、すぐ村長宅へ向かった。
「頼めるかの?」
爺さん、決断早いんだか、遅いんだか、どっちだよ?
「今、動いてるのは誰ですか?」
「温泉修理ん時のシュウジじゃ。今、再建計画中らしい。人手は召集掛けとる最中らしい」
爺さん投げっぱかよ。
「分かりました。シュウジさんは今どこに?」
「多分、三丁目の方じゃろう。」
「行ってみます」
村三丁目。
「シュウジさ~ん!」
「お~い、こっちだ~」
「今、何やってるんですか?」
「ああ、今、村中の家屋を調べて、修理の必要な所を洗い出し、優先度を付けていってる所だ」
「一人で?」
「ああ」
「他に手伝ってくれる人は?」
「おらん」
おらん。って、都市計画やってんじゃないんだから、急いで誰かの手借りないと。
「我々も手伝います。まだ調べて無い地区、調べる箇所、点数付ける観点を教えて下さい」
俺達は三班に別れる。
俺とテテ、レナとフィナ、アイとミミ。
簡単にチェック表作って、地区名、家族名、点数、備考欄を記入出来る様にする。
調査が完了してもしなくても昼前に一旦村長宅に戻って、報連相。
レナ班、アイ班には先発して貰い、少しシュウジさんと相談する。
「これから四班で調査するとして、シュウジさんと同じペースで調査すると、どの位で調査が完了するか、材木等の必要量の見積りにどれ位掛かるか、村の民にも手伝って貰えれば一件平均どの位の日数で修理出来るか等、教えて下さい」
「おいおい、そんな一辺に捲し立てるな!」
「逆ですよ、シュウジさん。こういう事は最初に計画を立てないと」
「そうなのか?」
「いつ、何が必要なのか判らないと、周りの者が応援に入れませんよ」
「なるほど」
「ホント言うと、シュウジさんは中央に居て、司令塔になって欲しいのですが、時間が無いので調査迄は一緒に動いて貰います。実作業に入ったら現場監督になって貰いますよ。口を出すのは技術的な事のみにして下さいね?」
「何!?」
「実作業に入れば、平行して何部隊かが動く事になります。これでも一番忙しいのはシュウジさんですよ?」
「そ、そうか、分かった」
「それでは我々も調査始めましょう。また昼前に、村長宅で」
「あ、ああ。頼む」
シュウジさんと、俺&テテ班が最後に村長宅に到着した。
早くに調査を終えていた、アイ班は昼食の準備をしてくれていた。
食事しながら話をする。
調査結果を元に優先度を付けるが、シュウジさんの訂正により優先度を入れ替えたりして、最終版をまとめあげた。
カズ君の家は三番目だ。
最初はまずは様子見なので全員で取り掛かる。
まだまだ材木等足りていないので、シュウジさんは専ら必要量の見積りだ。
ある程度、見通しが立った所で実作業、材木等手配に別れる。
俺、フィナ、ミミの比較的力の弱いメンバーは材木等手配や運搬、食事準備などの裏方を、鬼人族二人とテテは、村の応援部隊の方々の指導の元、実作業を行う。
今は実働二班だが、慣れれば三班にする事も可能かも知れない。
村再建計画は急ピッチで進められた。
お陰でアイの家の倉庫は、村収穫の野菜や山菜で溢れ返った。
お返しとばかりに、作業後の夕食に迷宮で獲れた、バラ肉、蛤、牡蠣、白身赤身等を振る舞った。
村のみんなは大変喜んでくれたが、こちらとしても、米、野菜、調味料が有るだけでも食べていけるので、大助かりである。