※この作品はR-18です。

ワルキューレの迷宮騎行   作:葵翠

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056 熊猫脚

ノサヨ村ファリー宅

 

 

「だっだいま~」

 

 コスヤさんが居てくれてた。

 

「はい、皆さんお帰りなさい」

 

 ここでも発揮されるミミのコミュ力よ。

 

「おばちゃ~ん」

 

「はいはい、ミミちゃんは今日も元気ね?」

 ミミはコスヤさんにべったりだ。

 

「ファリー姉々は~?」

 

「元気ですよ?元気過ぎて困ってます。今も、体動かさないと~って言って畑に出てます」

 

 頭を抱える。

「あいつは・・・脳筋か?!」

 

「誰が脳筋よ。失礼な!」

 

「お前はホントに・・・何の為に俺達がこっちに来てると・・・」

 

「本当に少しは体を動かした方がいいのよ?」

 悪阻とか、しんどい時期じゃないのか?

 

「別にベッドで大人しく寝てろなんて、言ってないだろ?」

 

「力仕事ならお兄ちゃんやミミちゃんに、家事なら私やレナちゃんに任せて」

 

「さぁさ、ファリー姉様はキッチンへ。兄様、ミミちゃんは外の仕事を。コスヤさん?」

 

「丁度、いい所へ。こっち手伝って下さいます?」

 

「ミミ、手伝う~!」

 

 夕食をコスヤさん、ファリー、俺、フィナ、レナ、ミミと共に頂く。

 テテ、アイ、ゴメンね?

 

 う~ん。何かいい手はないものか?

 いっそ、しばらくはこっちに拠点を移してしまうか?

 

 銭湯の時間だけキザマ村に戻るとかすれば・・・。

 

 

 コスヤさんとダイニングで少し話した。

 ファリーは自室で寝かせてある。

 ミミ、フィナが一緒だ。何か有っても大丈夫だろう。

 ミミはファリーの寝室にあれば、ファリーにべったりだ。

 ファリーのベッドの横で、ピョンコピョンコ跳ねながら、

「姉々、ファリー姉々。あのねあのね・・・」

 とずっと話している。

 話題は俺の事、姉達の事、迷宮の事ばかり。

 後でフィナに聞いた事だ。ミミにはそれぐらいしか話す事が無いんだそうだ。

 村の事、コイケ夫人の事、街の事等、ほかにも有るだろうと思いもしたが、喋る事となると、そこぐらいしか無い。って事だ。可哀相になってくる。

 もっと色々楽しい事を体験させてあげたいな。

 

 

「コスヤさん、ファリーの状態は実際の所、どうなんでしょうか?」

 

「シンさん、そんな事を気にしてたんですか?あの方のおっしゃる通り、本当に順調なんですよ?勿論、油断していい訳ではありませんけどね?」

 

「そうでしたか。少しほっとしました」

 

「本当にファリーさんの事、気に掛けてらっしゃるのね?なんとなく、分かるけど、シンさんがお相手。という認識でいいのかしら?」

 

「そう・・・なりますね」

 

「・・・どうしてもっと早く来て下さらなかったの?」

 

「こっちに来て初めて知ったんですけど、言い訳ですかね?」

 

「まあ、そうだったの。それじゃ、逆にタイミングとしては良かったのかしら?もう少し早ければ気付かないまま、別れてたかも知れないのね。あの娘、自分からは言わないでしょうから」

 

「でも本当に助けて頂いて、ありがとうございます。今後、基本的に我々の内、誰か一人はここに居ますので、コスヤさん、自宅に戻って頂いても大丈夫だと思いますよ?」

 

「まあ、ありがとうございます。でもね、シンさん。私、今、一人だし、取り敢えずの荷物なんかはこちらに持って来てるの。だから心配御無用よ?」

 

「そうですか。頼もしい限りです。そこでどうでしょう?コスヤさんにお給金をお出ししたいのですが、受け取って頂けますか?」

 

「それは」

 

「それは勿論、コスヤさんのお気持ちを蔑ろにする積もりは毛頭、ありません。私の気持ちの問題です」

 

「・・・そうですか。それなら、最低賃金だけ頂けますか?あと、出産に関わる経費全てを出して下さらないかしら?これなら、私もシンさんも納得ではないですか?」

 

 

 俺は別室で休ませて貰った。

「お前達と一緒ならいいだろ?」

 って言っても、問答無用で追い出されてしまった。

 

 ミミはファリーの傍で、フィナとレナはファリー部屋の右隣の部屋で寝る。

 反対側左隣にコスヤさん。

 俺は少し離れた部屋だ。

 

 こうして、何事も無く、夜が明けた。

 何事も無く。って何だよ。人を色魔みたいに、ってホントに色魔か。

 いや、ジョブは付けて無いけど。

 あれ?今、色魔付けとけば、禁欲攻撃の威力、結構なモノになるのでわ?

 ちょっと英雄を外して色魔を付けてみた。しばらく様子を見てみよう。

 

 

 

朝。

 

 

 ノサヨ村でファリーたちと共に朝食を摂る。

 

 その後、テテ、アイを拾ってアイダ迷宮へ。

 

 

 

アイダ迷宮28階層

 

 

 敵はサイクロプス。

 

 ミミとテテの新必殺技を試してみたい。

 

「俺とフィナで敵を引き付ける。テテ、ミミ、新パンダ、試してみてくれるか?」

 

「あい!」「はい!」

 

 

 

 テテの誘導により、しばらく歩いて、接敵した。

「居ます。カメ、コイ、カエル、恐らくサイクロプス」

 

「やるぞ!」

「「「「「はい!」」」」」

 

「テテ、プロテクション頼む!」

 プロテクションはパーティー全員に、防御力アップするスキルである。

 

「はい!・・・プロテクション!」

 

 先陣を切る俺が号令を掛ける。

 

「ゴー!ブリーズストーム!」

 

「レヴァンティン!シュランゲフォルム!・・・捕縛!」

 

 フィナの鞭剣の捕縛により、敵四匹が中央に集められる。

 

 そこにミミ、テテの新必殺技。

 

「熊猫檄迅烈翔脚(ションマオスーパーキック)!」

 

 パンチの時の様に、二人の影が重なり、大きな影となって、白と黒の色を発する。

 

 パァン!

 その影の掌が大きな音と共に合わされる。

 ゴガッ!

 二つの掌は垂直に持ち上がり、組み上がり、真下に振り下ろされる。

 ここまではパンチと同じだ。

 止めのストレートは無く、パンダの影は大きく跳び上がる。

 着地地点に敵全てが揃い、パンダはそれらを踏みつける。

 何度も跳び上がっては踏みつける。

 足全体をグリグリと捻って磨り潰す。

 昔のアクション映画の様だ。

 

 しかし・・・。

「二人共、平気か?しんどくないか?」

「平気。ヨユーだよ?」

「大丈夫です。」

 

「よし、まだ殲滅してない!止めをさす!三剣豪を!」

 

「はい!」

「三剣豪(トライソードマスター)!」

 

 これで全滅した。

 

「うしっ、完勝。おつかれい!」

 

 ボス待機部屋まで来て、ここで撤収する。

 

 

 

キザマ村自宅。

 

 

「どうだろうか?」

 ファリーの居るノサヨ村に拠点を移さないか?という話だ。

 

「いいんじゃないでしょうか?」

「いいよ~」

 どこまでも軽いね。ミミは。

 

 では、こんな感じにする?

 

 朝、ノサヨ村にて起床。

 誰か一人残して迷宮へ。

 昼、一旦ノサヨ村に帰宅。

 朝とは別の人を残して迷宮。

 夕方、みんなでキザマ村ヘ。そこで銭湯。

 夜、全員ノサヨ村に帰宅。就寝。

 

 で、居残りは以下の通り、当番とする。

 俺は絶対迷宮には同行するので居残りはしない。俺が行かない時は全員行かない。

 

 [朝居残り] [昼居残り]

1️⃣ テテ      アイ

2️⃣ アイ      みんな(休み)

3️⃣ みんな(休み) みんな(休み)

4️⃣ みんな(休み) レナ

5️⃣ レナ      フィナ

6️⃣ フィナ     ミミ

7️⃣ ミミ      テテ

1️⃣’ テテ      アイ

 

3️⃣の日は銭湯も休み。一日休みの日とする。

 

 今日は1️⃣の日だ。昼からは、アイをノサヨ村に残して迷宮だ。

 

「会議中、ゴメンなさい。少しいいかしら?」

 ファリーが割って入った。

 

「キザマ迷宮の探索を遅らせる事になってしまうんだけど、迷宮ならこっちの迷宮に入らない?」

 

「こっちって、ノサヨ村にもあるのか?迷宮」

 

「ええ、割と最近出来たらしいんだけど、こちらには騎士団も無いし、冒険者も少ないから、余り探索が進んで無いそうなの」

 

「俺達が迷宮に入るのは迷宮討伐では無く、レベルアップだからな。どこでもいいんだが、みんなはどう?」

 

「いいよ~」

 ミミ、もう少し考えて話しなさい?

 

「いいと思います。兄様が行く所、どこまでも!」

 

「異議無し~」

 

 俺達の会議は極端に短い。

 

 無理に俺に合わせるとか、同調圧力とか、嫌なんだけどなぁ。

 

「うん、決定。いいけど、迷宮は今、どこまで進んでいるの?」

 

「今は、確か、12階層までだったかしら。12階層の入口までね」

 

「成る程ね。12階層の壁が越えられなかった、と」

 

「どなたか案内出来る探索者はおられますか?」

 

「一人、ヤツテ君が12階層、入口まで連れて行ってくれると思う」

 

「ヤツテ君は今どこに?案内頼める?」

 

「それならコスヤさんに。あの子はコスヤさんの甥なのよ」

 

 

「コスヤさん、ヤツテ君にノサヨ迷宮に案内を頼みたいのですが、可能でしょうか?」

 

「はい、勿論。今あの子、多分畑の方に居ると思うので、呼んできますね」

 

「いや、俺達が畑の方に行きます」

 

「そうね。その方が早いと思うわ」

 

「分かりました。ではこちらに」

 

 

 

ノサヨ村、ファリーの畑。

 

 

「ヤツテ~ちょっとお願い~」

 

「何?」

 明らかに敵意を感じる。

 コスヤさんから何を聞いているんだか、俺達を不審に思っている様だ。

 

「この方がシン様よ。迷宮12階層までご案内してくれるかしら?」

 

「この人が?大丈夫なの?叔母さん」

 

「いきなり無茶な階層には入らないでしょ?」

 

「そうですね、12階層なら平気でしょう」

 

「迷宮に入った事がないのか?舐めてると痛い目に遭うんだぞ!」

 

「そうだね。気を付けないとね」

 余計、怒ったみたいだ。

 

「大体、貴方達は」

 

「取り敢えず、パーティーに入ってくれますか?」

 

「あ、はい」

 

ヤツテ 男 15歳

探索者Lv9

装備 なし

 

 ま、案内するって言ったんだから探索者にはなっているか。

 

「あの、僕、装備も何も持っていないので、一度、家に戻ってもいいですか?」

 

「あ、いや、12階層まで連れて行ってくれればいいから」

 

 しばらく無言のまま、迷宮の入口まで来た。

 

「では入りますが、本当にいいんですか?」

 

「ああ、行って下さい」

 

「では、付いてきて下さい」

 

 

 

ノサヨ迷宮12階層

 

 

 さて、まずは様子見だけど、

「テテ、分かるか?」

 

「はい、左70に山羊2牛1、右50に羊1サラセニア1です」

 

「ボスの方角は分かるか?」

 

「でしたら、右ですね」

 

「俺達のアイダ迷宮での到達階層まではボス優先で頼む」

 

「畏まりました」

 

 勿論、ボスのネペンテスも瞬殺した。

 

 13階層の入口まで来た所で、一旦迷宮を出る。

 入口でヤツテ君に待ち伏せされるとマズイからね。

 

 ファリー宅に入ったあと、みんなでキザマ村に帰る。

 

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