※この作品はR-18です。

ワルキューレの迷宮騎行   作:葵翠

6 / 69
006 盗賊その参

つい直前、二人を鑑定した。

 

 

玉井珠実(たまみ) 女 19歳

村人Lv3

装備 なし

 黒髪ショートカットで丸い面立ち。

 麻のワンピース、と、言うよりは奴隷のような一枚限りの服装。

 

ヌマー フィーア ♀ 17歳

村人Lv4

装備 サンダル

 銀髪ストレートロングの濃い碧眼。耳が細長く尖っている。顎がシュッと長く、大人びた美人だ。パッと見、玉井さんより年上に見える。

 こちらも麻のワンピース、虜囚の制服なのか?

 

 黒髪ショートは人間、銀髪ロングはダークエルフだ。

 顔の印象の差は種族個性か?

 

「今、君達の名前を《鑑定》したんだ」

 

 珠実さんがビクッとした。

 何となく、「鑑定」って所に反応した気がするが、それは後だ。

 

 言いつつ、《持久の靴》を脱ぐ。

 

「珠実さん、このブーツ履いて」

 

 ボーナス装備の効果なんだろうか、珠実さんの足にピッタリフィットした。

 

「さっ行くよ!」

 

 森の木陰をしばらく歩き、奴等が見えなくなった所で道へ出て走り始める。

 

 整備されていない道を裸足で走るのは結構キツイ。

 

 休み休みしながら必死で走った。

 真剣に走らなくなって何年になるかな?

 

 俺が良くても二人は良くない。珠実さんは《持久のブーツ》を履いているが、フィーアさんは只のサンダルだ。

 

 途中、最初に盗賊と戦闘した広場に着いた。

 ここで少し休憩する事にする。

 やはり馬車はもう居ない。出来るだけ遠くへ逃げていてくれる事を祈るばかりである。

 

 死体が転がっている。

 最初に殺した男の死体は精一杯馬車の外へ放り出したんだろう。

 

「少し休憩」

 

 そう言って馬車のあった場所のすぐ近くに転がっている革の靴を手に取った。

 それを端の木陰で休んでいるタマミさんに手渡し、

 

「この靴に履きかえて。今履いてるブーツはフィーアさんへ渡して」

 

 二人のブーツとサンダルを交換。

 自分は近くに転がっていた皮の靴を履く。

 

 おかしい。

 自分も含め、皆、靴のサイズが合っている。

 ボーナス装備だけではない。

 このゲーム世界の住人の全ての人の足のサイズが統一されているのだろうか?

 いや、盗賊と囚われの女性では明らかにサイズは違っていたと思う。

 それに、履いた時に収縮したような?

 ゲーム補正か?

 

「まだまだ回復してはいないと思うけど、出発しよう」

 

 疲れた体に鞭打ち、立ち上がる。

 

 ヘトヘトになりながらも漸く左右に分かれる丁字路まで来た。

 

********************

 

 紅(くれない)に馬車の手綱を渡した時に聞いていた。

 

「帰る村はどっち?」

 

 毛布にくるまりながら紅は右を指差した。

 

********************

 

 出来るだけ共倒れにならないように俺達は左に曲がった。

 

 左折してから大分走った所で遂に追い付かれた。

 

 迷宮を脱出してすぐに感付かれたのだろうか?

 馬を飛ばして急いで来たのだろうか?

 途中の広場で仲間が弊されているのを発見して少なからず調査に時間を掛けていた筈だ。

 

 しっかりと挟み撃ちに遭っている。前後でタイミングを合わせていたんだろう。

 迂闊だった。正面に回ったのは恐らく抜け道か何かが有ったんだ。

 見知らぬ土地とはいえ、油断していた。

 

 後ろから来た大柄な男が一歩前へ出た。

 

盗賊Lv45

装備 鋼鉄の剣 革の鎧 革の手甲 革のブーツ

 

 どうやらコイツが首魁のようだ。

 

「このやろう、ふざけた真似しやがって!楽に死ねると思うなよ!」

 

 

 お冠である。相当、お怒りである。

 まあ、そうだろう。酒宴のメインディッシュである綺麗どころを呼びに行かせても戻ってこない。様子を見に行かせてもなかなか帰ってこない。漸く帰ってきたと思ったら何か要領を得ない。

 しょうがないので自分で見に行くと、

 

 女たちが居ない。

 見張りも居ない。

 見張りの装備だけが床に散らばり、

 死体は無く、血痕のみが残されていたのだ。

 消えた見張りのインテリジェンスカードも落ちていたそうだ。

 

 後ろに控えていた出口の見張りを怒鳴りつけ、事情を質すも何も見てない、気付かなかった。しか言わない。

 

 マジギレして出口の見張り二人をボッコにして全盗賊に捜索の号令を掛ける。飲み潰れていた者も全て叩き起こされたそうだ。

 

 後から分かった事だそうだ。

 

 例の丁字路付近に差し掛かった時、4隊に分け、右ルート隊、左ルート隊、右先回り隊、左先回り隊。

 先回り隊は取り囲むだけなので三名ずつ、残りを各ルート隊に半分の七名ずつ。

 こちらに来ている奴等だけでも十人は居る。

 

 あの首魁を殺ればビビって逃げてくんないかな。

 とか考えていたら、後ろの手下三人を前に出させ、ヤレ。と一言。

 

 オマエがこぉへんのかい!

 と思わず声に出してツッコミかけた。

 

 何処からともなく出す振りをしながらデュランダルを出した。

 今からブーツを履きかえている暇は無い。

 

 しかし十人同時一斉に掛かってこないのは僥倖だ。各個撃破しやすい。

 前に出てきた三人に対峙する。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。