※この作品はR-18です。

ワルキューレの迷宮騎行   作:葵翠

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064 邪剣

ノサヨ村ファリー宅。

 

 

 今日はミミが、明日はテテが午後居残り。

 なので、その際にアイにそれぞれの武器強化をして貰おうか。

 

 今日、午前はフィナが居残り。

 

 18、20階層を廻る。

 

 タンクが安定するので、余り苦戦しない。

 早めに切り上げて、ミシフの探索者ギルドに、不要なドロップ品を売却に行った。

 

 その道すがら。

 俺、テテ、ミミで歩いている所、声を掛けられた。

 

「ねえ、君たち」

 

 少し歩こう、と言って、いつもより遠回りに歩いたのがいけなかった。

 

 典型的なナンパだ。

 

「俺達と遊ばないか?どこでもスキな所へ連れてってやるぜ?」

 いや、俺と一緒にいる所をナンパって、どういう積もりだよ?

 

 相手は5人。盗賊ではない様だったが、風体は良くない。精々、街のチンピラだ。

 歳は大体、二十歳は越えているだろう。

 ナンパするより、働けよ。

 

「何か御用ですか?」

 

「手前ぇはお呼びじゃねぇんだよ」

 

「そうは言っても、この娘達は俺の奴隷だ。関係なくは無いだろう?」

 

「何。奴隷だと?そんなっ!?」

 

 別の男が、

「い、いいから、その女をこちらへ渡すんだな。お前達もそんな男より、俺達の方が良い思いさせてやるぜ?」

 

 元居た世界であれば、ビビって逃げだしていたかも知れない。

 

 後ろでミミが、バーカバーカと煽っている。

 お行儀悪いよ?お嬢様。

 

「奴隷というのは主の所有物みたいなモノだろう?それを連れ去る。ってのは、泥棒になるんじゃないの?それをさせまい、とする行為は正当防衛が成立するよね?」

 

「なる、と思います」

 

 テテがフォローしてくれた。

 

「ごちゃごちゃうるせぇ!要は手前ぇを黙らせりゃいいんだろうが!」

 

 頭の悪い奴は嫌いダヨ?

 

 襲い掛かってきた。

 

 アイテムボックスから鋼鉄のカトラスを取り出し、1本ずつミミ、テテに渡した。

 

 俺は予備の鋼鉄の剣を取り出す。

 

 俺達が剣をどこからともなく取り出したのを、どこか納得いかない様に見ていたが、すぐに自分達も各々持っていた武器を構えた。

 

 レベルを鑑定するまでもない。

 

 こいつらは彼我の戦力差が分からない程、素人なんだろうか?

 

「旦那様、どうします?」

 

 奴らは何をどうするか聞いたのかすら、分からない様だった。

 

「手を出すな。適当に手足の二三本も落としてやれば、思い知るだろう」

 

「このやっ!舐めやがって!」

 

 よせばいいのに、剣を振りかぶって来た。

 

 ミミもテテも剣を構えたまま、退がった。

 俺がチンピラ5人に後れを取る事などあり得ない、と確信している。

 俺が二人を退がらせたのは、二人に万が一にも、人殺しをさせたく無いからだ。

 

 右足を引いて最初の一太刀をかわし、すれ違いざまに相手の右小手を落とす。

 間髪入れず、左の男に肉薄し、次の男の右足を突く。

 一旦、行き過ぎて振り返り、右廻りに廻りながら、必ず1対1の構図を作り、残り三人を一列に揃える。

 スキルを使うまでも無い。

 

 俺の様に高価な薬を買う金も無い、自分達の愚かさを後悔しながら、残りの人生を送るんだな。

 

 後の三人はまともに剣も振るえない。

 ろくに命のやり取りもした事がないのだろう。

 完全に恐慌状態に陥ってしまい、ほうほうの体で逃げ去って行った。

 

 俺達はポカーンと、奴らの後ろ姿を見送る事しか出来なかった。

 

 テテも訳が分からない、といった様子でカトラスを返しながら、

「何だったんでしょうか?」

 

「うん・・・本当にねぇ~。二人とも、ケガとか、無い?」

 

「はい、全く何もしていませんし・・・」

 

「兄々、大勝利ぃ~!」

 

 さっさと忘れて迷宮に集中しよう。

 

 昼食時も一応、皆に報告したが、その後、話題にもならなかった。

 

 昼からは21、22階層を周回した。

 

 

 

キザマ村自宅。

 

 

 家に帰ると、アイが、

「見て欲しい」

 と言う。

 

《鑑定》

邪剣 無銘 闇属性

 スキル 影縫(麻痺) 変移抜刀霞斬り(絶命)

 効果 MP減衰永続

 (レベル補正無視)(MP吸収)(空き)(空き)

 

 

 何コレ?ヤバいって。アイ、大丈夫か?

 

 ボーナス武器並みだよ!?

 

「すみません、主様。実はミミちゃんのカトラスを強化しようとしたら、こんなになってしまって・・・」

 

「それよりアイ、お前は何とも無いのか?しんどくはないのか?どこか辛くはないか?」

 

「ありがとうございます。でも、大丈夫です」

 

「ウソ!午後からずっと、さっきまで辛そうでした!」

 

「アイ!!」

 

「レナ!言わないで。って・・・」

 

「だって・・・グスッ」

 

「アイ。ちゃんと説明して?」

 

「はい。その、朝から少し、調子が良くなかったんですけど、武器強化したら、こんな事に・・・すみません。でも、強化自体は成功したんです」

 

「武器の事を聞いてるんじゃない、お前の体の事を聞いているんだ!」

 

「すみません。少し休めばっ」

 

「バカ。ダメだ。明日、明後日は何もするな。お前は休息日だ。以降は様子を見て俺が判断する!」

 

「あ・・・はい、申し訳ありませんでした」

 

「何でこんな無茶するかな・・・無理して体壊して、俺が喜ぶとでも思ったの?」

 もう、涙が・・・。

 

「すみません。主様を泣かせない。って言ったのに・・・」

 

「レナ。明日、明後日、アイを見張っててくれないか?何もしない様に。何かあったら報告な。口止めも無しな?」

 

「お任せ下さい、兄様。家事もですか?」

 

「当然!」

 

 

「所でミミ、この無銘の剣、持ってみた?」

 

「うん、少し疲れるけど、威力はあるよ?」

 

「む~ん、MP減衰永続ってヤツか。MP減っていくから、吸収しながら闘えって事?・・・白虎との併用は、避けた方が良さそうだなあ」

 

「ミミ、これ、使いたい?」

 

「主様!?」

 あり得ない、といった表情で、俺を見た。

 

「うん!」

 ミミはそう言うと思った。

 

「これはかなり、扱いが難しいと思う。大丈夫か?」

 

「大丈夫!絶対に使いこなす!」

 

「分かった。ミミ、使ってみるといい。少しでも違和感を感じたらすぐに使うのをヤメるんだぞ?俺に嫌われるとか考えちゃダメなんだからな?」

 

「うん、分かった!」

 

「アイ。あの剣を見る度に思い出すんだよ?無理しちゃイケナイんだって。俺に怒られるんだって。あれは戒めな?」

 

「はい、もう絶対!」

 

「アイは俺のモンなんだぞ。勝手に傷つけたらダメなんだぞ?」

 

 そう言ってアイにキスをした。

 ミミも欲しそうにしてたので、ミミにもキスした。

 

 

 

翌日。

 

 

 今日は午前ミミが居残り、テテが午後居残り。

 の予定だったが、アイがずっと家に居るので、俺、フィナ、ミミ、テテの四人パーティーだ。

 

 ミミは残りのカトラス1本のみを常備し、もう1本の邪剣は後ろ腰に正面からは見えない様に差している。

 

 絶対に白虎と併用しない様、厳命してある。

 

 26階層に行ってみた。

 ボス、トータルタートルのソフトシェル狙いだ。柔化丸の元だ。

 

 ミミの様子見も兼ねてだ。

 硬いのでミミの邪剣の有用性も確認しておきたい。

 レベル補正無視とかね。

 勿論、体調優先だヨ?

 

 結果。

 

 使える。

 んが、条件付きね。普段は装備せず、カトラス1本のみで闘う。また、白虎と同時使用もしない。最後に、勝負が見えた時、トドメとしてのみ使用可ね。

 

 アイの謹慎2日間、29、30階層もクリアした。

 

 アイ復帰後は復調確認も含めて31階層へ上がる。

 

 問題無さそうだったので、しばらくは周回する事にする。

 ここだけで3日は周回した。

 麻黄、緑豆も沢山集める事が出来た。

 

 麻黄から万能丸、緑豆から万金丹も一杯作った。作れた。

 あれから薬草採取士のレベルも大分上がったしな。

 

 一杯作って、一杯売れた。

 

 

 気付けば新たにジョブをゲットしていた。

 

剣閃Lv1

 効果 HP大上昇 腕力大上昇 体力中上昇 敏捷中上昇 MP小上昇 知力小上昇 精神小上昇

 スキル 霞 登龍

 

キャラクター再設定で剣将から剣閃に変更した。

 

 

 

翌日。

 

 

 この勢いのまま、32階層マザーリザードを粉砕するぞ!

 

ボス待機部屋

 

 レナはクラウ・ソラス、俺は鋼鉄の剣だ。

 

「ここは6人全員で突破する。フォーメーションは基本型。

 12時テテ、2時ミミ、4時フィナ、6時アイ、8時俺、10時レナ。

 ミミはパンダ後にフィナと位置変更、

 俺とアイはやや後方に退がって、部屋全体を監視する。

 ここで、今日は終了にする。スキルの出し惜しみは無しだ。

 何か質問は?」

 

「御座いません!」

 

「よし、行くぞ。テテ!」

 

「はい。プロテクション。ゴー!」

 

「ダートストーム」

 

「ハニーフラッシュ」

 

「レヴァンティン。捕縛!」

 

「霞」

 

「熊猫檄迅烈翔脚(ションマオスーパーキック)!」

 

「三剣豪(トライソードマスター)!」

 

「登龍」

 

「フルスラッシュブースト」

 

「聖光剣」

 

 今回はちゃんと見えてる!

「フィナ!シザーリザードだ!お前の真後ろ!テテの所へ誘導頼む!」

 

「了解!捕縛!うりゃっ!」

 

 フィナ、シザーリザードを捕縛してテテの真ん前に放り投げる。

 荒っぽいが一番効率的だ。

 

「白狼(バイセンヴォルフ)!」

 

「白虎嵬変」

「オーバーロード!オーバーキル!猛虎硬山!」

 

「靠(こう)」

 

「全斬奸」

 

「あとはボスのみ!フィナ!」

 

「はい!罪人の響き(クリミナルシンフォニー)!」

 

「ミミ!トドメ!!」

 

「あい!変移抜刀霞斬り!!」

 

 マザーリザードは霧散した。

 今回はシザーリザードの対応も完璧だった。

 

「やった~!」

 

「よし、ドロップ品拾ったら33階層へ上がって帰ろう!」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

 これでもう、この階層に来る事は無いんじゃないかな?

 

 

 

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