ノサヨ村ファリー宅。
今日はミミが、明日はテテが午後居残り。
なので、その際にアイにそれぞれの武器強化をして貰おうか。
今日、午前はフィナが居残り。
18、20階層を廻る。
タンクが安定するので、余り苦戦しない。
早めに切り上げて、ミシフの探索者ギルドに、不要なドロップ品を売却に行った。
その道すがら。
俺、テテ、ミミで歩いている所、声を掛けられた。
「ねえ、君たち」
少し歩こう、と言って、いつもより遠回りに歩いたのがいけなかった。
典型的なナンパだ。
「俺達と遊ばないか?どこでもスキな所へ連れてってやるぜ?」
いや、俺と一緒にいる所をナンパって、どういう積もりだよ?
相手は5人。盗賊ではない様だったが、風体は良くない。精々、街のチンピラだ。
歳は大体、二十歳は越えているだろう。
ナンパするより、働けよ。
「何か御用ですか?」
「手前ぇはお呼びじゃねぇんだよ」
「そうは言っても、この娘達は俺の奴隷だ。関係なくは無いだろう?」
「何。奴隷だと?そんなっ!?」
別の男が、
「い、いいから、その女をこちらへ渡すんだな。お前達もそんな男より、俺達の方が良い思いさせてやるぜ?」
元居た世界であれば、ビビって逃げだしていたかも知れない。
後ろでミミが、バーカバーカと煽っている。
お行儀悪いよ?お嬢様。
「奴隷というのは主の所有物みたいなモノだろう?それを連れ去る。ってのは、泥棒になるんじゃないの?それをさせまい、とする行為は正当防衛が成立するよね?」
「なる、と思います」
テテがフォローしてくれた。
「ごちゃごちゃうるせぇ!要は手前ぇを黙らせりゃいいんだろうが!」
頭の悪い奴は嫌いダヨ?
襲い掛かってきた。
アイテムボックスから鋼鉄のカトラスを取り出し、1本ずつミミ、テテに渡した。
俺は予備の鋼鉄の剣を取り出す。
俺達が剣をどこからともなく取り出したのを、どこか納得いかない様に見ていたが、すぐに自分達も各々持っていた武器を構えた。
レベルを鑑定するまでもない。
こいつらは彼我の戦力差が分からない程、素人なんだろうか?
「旦那様、どうします?」
奴らは何をどうするか聞いたのかすら、分からない様だった。
「手を出すな。適当に手足の二三本も落としてやれば、思い知るだろう」
「このやっ!舐めやがって!」
よせばいいのに、剣を振りかぶって来た。
ミミもテテも剣を構えたまま、退がった。
俺がチンピラ5人に後れを取る事などあり得ない、と確信している。
俺が二人を退がらせたのは、二人に万が一にも、人殺しをさせたく無いからだ。
右足を引いて最初の一太刀をかわし、すれ違いざまに相手の右小手を落とす。
間髪入れず、左の男に肉薄し、次の男の右足を突く。
一旦、行き過ぎて振り返り、右廻りに廻りながら、必ず1対1の構図を作り、残り三人を一列に揃える。
スキルを使うまでも無い。
俺の様に高価な薬を買う金も無い、自分達の愚かさを後悔しながら、残りの人生を送るんだな。
後の三人はまともに剣も振るえない。
ろくに命のやり取りもした事がないのだろう。
完全に恐慌状態に陥ってしまい、ほうほうの体で逃げ去って行った。
俺達はポカーンと、奴らの後ろ姿を見送る事しか出来なかった。
テテも訳が分からない、といった様子でカトラスを返しながら、
「何だったんでしょうか?」
「うん・・・本当にねぇ~。二人とも、ケガとか、無い?」
「はい、全く何もしていませんし・・・」
「兄々、大勝利ぃ~!」
さっさと忘れて迷宮に集中しよう。
昼食時も一応、皆に報告したが、その後、話題にもならなかった。
昼からは21、22階層を周回した。
キザマ村自宅。
家に帰ると、アイが、
「見て欲しい」
と言う。
《鑑定》
邪剣 無銘 闇属性
スキル 影縫(麻痺) 変移抜刀霞斬り(絶命)
効果 MP減衰永続
(レベル補正無視)(MP吸収)(空き)(空き)
何コレ?ヤバいって。アイ、大丈夫か?
ボーナス武器並みだよ!?
「すみません、主様。実はミミちゃんのカトラスを強化しようとしたら、こんなになってしまって・・・」
「それよりアイ、お前は何とも無いのか?しんどくはないのか?どこか辛くはないか?」
「ありがとうございます。でも、大丈夫です」
「ウソ!午後からずっと、さっきまで辛そうでした!」
「アイ!!」
「レナ!言わないで。って・・・」
「だって・・・グスッ」
「アイ。ちゃんと説明して?」
「はい。その、朝から少し、調子が良くなかったんですけど、武器強化したら、こんな事に・・・すみません。でも、強化自体は成功したんです」
「武器の事を聞いてるんじゃない、お前の体の事を聞いているんだ!」
「すみません。少し休めばっ」
「バカ。ダメだ。明日、明後日は何もするな。お前は休息日だ。以降は様子を見て俺が判断する!」
「あ・・・はい、申し訳ありませんでした」
「何でこんな無茶するかな・・・無理して体壊して、俺が喜ぶとでも思ったの?」
もう、涙が・・・。
「すみません。主様を泣かせない。って言ったのに・・・」
「レナ。明日、明後日、アイを見張っててくれないか?何もしない様に。何かあったら報告な。口止めも無しな?」
「お任せ下さい、兄様。家事もですか?」
「当然!」
「所でミミ、この無銘の剣、持ってみた?」
「うん、少し疲れるけど、威力はあるよ?」
「む~ん、MP減衰永続ってヤツか。MP減っていくから、吸収しながら闘えって事?・・・白虎との併用は、避けた方が良さそうだなあ」
「ミミ、これ、使いたい?」
「主様!?」
あり得ない、といった表情で、俺を見た。
「うん!」
ミミはそう言うと思った。
「これはかなり、扱いが難しいと思う。大丈夫か?」
「大丈夫!絶対に使いこなす!」
「分かった。ミミ、使ってみるといい。少しでも違和感を感じたらすぐに使うのをヤメるんだぞ?俺に嫌われるとか考えちゃダメなんだからな?」
「うん、分かった!」
「アイ。あの剣を見る度に思い出すんだよ?無理しちゃイケナイんだって。俺に怒られるんだって。あれは戒めな?」
「はい、もう絶対!」
「アイは俺のモンなんだぞ。勝手に傷つけたらダメなんだぞ?」
そう言ってアイにキスをした。
ミミも欲しそうにしてたので、ミミにもキスした。
翌日。
今日は午前ミミが居残り、テテが午後居残り。
の予定だったが、アイがずっと家に居るので、俺、フィナ、ミミ、テテの四人パーティーだ。
ミミは残りのカトラス1本のみを常備し、もう1本の邪剣は後ろ腰に正面からは見えない様に差している。
絶対に白虎と併用しない様、厳命してある。
26階層に行ってみた。
ボス、トータルタートルのソフトシェル狙いだ。柔化丸の元だ。
ミミの様子見も兼ねてだ。
硬いのでミミの邪剣の有用性も確認しておきたい。
レベル補正無視とかね。
勿論、体調優先だヨ?
結果。
使える。
んが、条件付きね。普段は装備せず、カトラス1本のみで闘う。また、白虎と同時使用もしない。最後に、勝負が見えた時、トドメとしてのみ使用可ね。
アイの謹慎2日間、29、30階層もクリアした。
アイ復帰後は復調確認も含めて31階層へ上がる。
問題無さそうだったので、しばらくは周回する事にする。
ここだけで3日は周回した。
麻黄、緑豆も沢山集める事が出来た。
麻黄から万能丸、緑豆から万金丹も一杯作った。作れた。
あれから薬草採取士のレベルも大分上がったしな。
一杯作って、一杯売れた。
気付けば新たにジョブをゲットしていた。
剣閃Lv1
効果 HP大上昇 腕力大上昇 体力中上昇 敏捷中上昇 MP小上昇 知力小上昇 精神小上昇
スキル 霞 登龍
キャラクター再設定で剣将から剣閃に変更した。
翌日。
この勢いのまま、32階層マザーリザードを粉砕するぞ!
ボス待機部屋
レナはクラウ・ソラス、俺は鋼鉄の剣だ。
「ここは6人全員で突破する。フォーメーションは基本型。
12時テテ、2時ミミ、4時フィナ、6時アイ、8時俺、10時レナ。
ミミはパンダ後にフィナと位置変更、
俺とアイはやや後方に退がって、部屋全体を監視する。
ここで、今日は終了にする。スキルの出し惜しみは無しだ。
何か質問は?」
「御座いません!」
「よし、行くぞ。テテ!」
「はい。プロテクション。ゴー!」
「ダートストーム」
「ハニーフラッシュ」
「レヴァンティン。捕縛!」
「霞」
「
「
「登龍」
「フルスラッシュブースト」
「聖光剣」
今回はちゃんと見えてる!
「フィナ!シザーリザードだ!お前の真後ろ!テテの所へ誘導頼む!」
「了解!捕縛!うりゃっ!」
フィナ、シザーリザードを捕縛してテテの真ん前に放り投げる。
荒っぽいが一番効率的だ。
「
「白虎嵬変」
「オーバーロード!オーバーキル!猛虎硬山!」
「
「全斬奸」
「あとはボスのみ!フィナ!」
「はい!
「ミミ!トドメ!!」
「あい!変移抜刀霞斬り!!」
マザーリザードは霧散した。
今回はシザーリザードの対応も完璧だった。
「やった~!」
「よし、ドロップ品拾ったら33階層へ上がって帰ろう!」
「「「「「はい!」」」」」
これでもう、この階層に来る事は無いんじゃないかな?