何だここは?
町の英雄?を称えた銅像が広場中央に聳え立ち、町を睥睨している。
何処か見覚えが有る。
オーゾの町だ。
忌むべき町。俺のミミとテテを虐めた憎い民の棲む町だ。
こんな所に用は無い。間違っても訪れる事なんて無い。と思っていた。
いや、間違えた?ちゃんとワープする時、キザマ村ヘ。って唱えた・・・?
本当に唱えたか?MPの減少を感じたか?
何か違和感が有った。
ゲートの出現するタイミングがいつもと違っていた気がする。
既にゲートは閉じられている。
何より、自分の意思でゲートを閉じたか?
勝手にゲートが開かなかったか?
勝手にゲートが閉じなかったか?
俺達は謀られた。嵌められたんだ!
罠ならここに居るのはマズイ。兎に角、ここを離れるんだ。
何?魔力が結実しない!?
この世界にもそんなモノが有るのか!?
冗談じゃないぞ!
ワープもオーバードライブも使えないじゃないか!
「兄様!?」
隣に居るレナもこの異変に気付いた様だ。
「恐らく、ここはオーゾだ!スキルが使えない!気を付けろ!?」
「キャッ‼️」
「レナ!?」
レナが倒れた!
レナの頭に石が当たったのだ!
別方角から飛来した石礫に気を取られ、避け損なったんだ。
額、鬼人族の角の横の辺りから血が流れ出してきた。
くそっ、アイテムボックスも開かないから薬も取り出せないし、“手当て”も発動しない!!
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兄様の開いたワープゲートからキザマ村へ。
確か、兄様はキザマ村へ。と呟いた筈だ。
もう何処へも立ち寄る所は無いし、用事は全て済んだはず。
ここはどう見てもキザマ村ではない。
恐らくオーゾの町だ。
フィナちゃんが元居た、研究所?が有る、嫌な町だ。
こんな所、早く出たい。
町の中央、何かを称えた像が屹立する広場だ。
兄様自身、自分の意思とは違う所へ出た。ってお顔をされている。
何か違和感が有った。
ゲートの出現するタイミングがいつもと違っていた気がする。
既にゲートは閉じられている。
何より、兄様はご自分の意思でゲートを閉じた様に見えた?
勝手にゲートが開かなかった?
勝手にゲートが閉じなかった?
私達は謀られた。嵌められた?!
罠ならここに居るのはマズイ。兎に角、ここを離れないと。
なに?魔力が結実しない!?
全体手当ても漸次大回復も発動しない?
「兄様!?」
隣に居る兄様もこの異変に気付いた様ね。
兄様が、
「恐らく、ここはオーゾだ!スキルが使えない!気を付けろ!?」
「キャッ‼️」
兄様の方ばかり注意がいって、反対側から自分の額に石が当たった。
「レナ!?」
私はその場に倒れこんだ。
額、私の角の横の辺りから血が流れ出してきた。
ああ、武器は兄様のアイテムボックスだ。薬もだ。さっきと同じく“手当て”も発動しない!!
*********************
意識も朦朧としてきた。
ああ、私が兄様の盾となり、お守りすべきだと言うのに、何も出来ないなんて・・・。
出掛ける前にフィナちゃんからも気を付けてね?って言われたのに。
私はいつもそうだ。
愚図で愚鈍な馬鹿妹。
兄様の盾にすら、なれないなんて・・・。
テテさんなら、敵に接近すら、させないだろう。
ミミちゃんなら、兄様を小脇に抱えて逃げられるだろう。
フィナちゃんなら、常に剣を帯刀している。
アイ姉様なら、フィールドウォークの罠に気付いただろう。
私の愚かさが、兄様を窮地に追いやってしまったんだ。
私の兄様。
いつも優しく私を包み込んでくれる兄様。
私は何を間違えたんだろう?
常に兄様に感謝し、
常に兄様を目で追い、
常に兄様を感じていた筈なのに。
兄様はいつもカッコ良かった。
兄様はいつも私を、皆を見てくれていた。
兄様はいつも楽しかった。
兄様はいつも誠実だった。
そんな兄様が一度だけ私に、皆に、ウソを吐いた。
全員に身代わりのミサンガを渡すと言って、自分だけ後回しにしたのだ。
もし知っていたなら、あの事件は起きなかったかも知れない。
チョーカーの件は姉様と私は気付いていた。
でも、それは兄様がみんなを思っての事だった。
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レナの瞳が力無く、閉じられていく。
君を守ると誓ったのに。
誰にも、“死“にさえも渡さないと心に誓ったのに。
俺はいつもそうだ。
弱く、愚かで、何も分かってない。
テテなら、敵の接近に気付いただろう。
ミミなら、俺を放り投げてでも逃がすだろう。
フィナなら、常に剣を帯刀している。
アイなら、フィールドウォークの罠に気付いただろう。
レナなら、何者に襲われても負けないだろう。
俺の軟弱がレナをこんな目に合わせた。
俺のレナ。
いつも優しく俺の傍で、俺を支えてくれるレナ。
俺は何を間違えたんだろう?
常にレナに感謝し、
常にレナを目で追い、
常にレナを感じていた筈なのに。
レナはいつもカワイかった。
レナはいつも俺を見てくれていた。
レナはいつも微笑んでくれた。
レナは決してウソは吐かなかった。
そんなレナに、皆に、俺はウソを吐いた。
全員に身代わりのミサンガを渡すと言って、自分だけ後回しにしたのだ。
もし知っていたなら、あの事件は起きなかったかも知れない。
みんなを思って?
本当にそうだろうか?
単なる虚栄心、自己満足なんじゃないのか?
美しい恋人、愛らしい妹、綺麗な愛人に囲まれて、有頂天になっていたんじゃないのか?
何を勘違いしたらそうなるんだか、お笑い草だ。
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ほんの少し、走馬灯を追いかけただけで、俺の体をすり抜けてレナの体に槍が刺さる。無数の石が当たる。
レナを救う方法が見つからない。
もう、何も思い付かない。
ああ、何も出来ない。
もっとアイと腕を組んで歩きたかった。
もっとフィナと見つめ合いたかった。
もっとテテに膝枕して貰いたかった。
もっとミミと手を繋いで歩きたかった。
もっとレナとキスをしたかった。
でももう、良いだろう。
幸せな夢もここまでだ。
十分、楽しかったよ。
最後まで夢かゲームか分からなかったけど、俺には本物の人生、世界だったよ。
何にせよ、間違い無く、何者かの意思が介在していたと思うが、断じてこれだけは言える。
俺はここで生きていたし、彼女達も生きていた。
それで十分だ。
だが。
どうしても、これだけは捨て置けない。
この、醜い
こいつらだけは絶対に許さない!
残されるアイ、フィナ、ミミ、テテの為にも絶対道連れに連れて行く。
結局、人の敵は人間。と言う事か。
せめて、彼女達には・・・・・・。
ああ、遺言残して無かった。
あの娘たちもいずれ、亡くなってしまうんだっけ?
どこまでも間抜けだな、俺は。
そして、これも試した事無いから、成功するかどうか分からない。
フゥ。愚鈍の極みだ。
だが、可能性があるとしたら、もうこれぐらいだろうか?
キャラクター再設定の時に、始めにチェックを入れて以降、存在すら、忘れていた。
腕の中のレナは、呼吸すら感じられない。
俺は力強くレナを抱きしめて、外の全ての悪意から彼女を隔絶した。
最後に、レナに、呟いた。
「レナ。夢で逢おうな・・・」
そして俺たちは光に包まれた。