※この作品はR-18です。

ワルキューレの迷宮騎行   作:葵翠

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是非、最終回を読み終えてから、お読みください。


サービス回 おまけ

 輝く太陽、青い空、日の光を反対してキラキラ光る水面。白い砂浜。

 

 まだ冬の筈だが、ここは何故か暑い。

 ここに来るまでは、かなり長かった。

 

 いくつも山を越え、海を越え、ここに着いた。

 

 ここは暑い。

 波は穏やか。

 

 ビーチパラソル、ビーチチェア。サングラス。冷たい飲み物。

 南国の楽園の様だ。

 

 

 

1️⃣ーーーーーアイの場合ーーーーー

 私はメンバーの司令塔の様なポジションに居た。

 自己肯定感の低い私だが、それなりに役に立っている自負は有った。

 敵の魔法詠唱キャンセル、戦闘中、戦況に応じたフォーメーションの指示、鍛冶、主様の魔法や、迷宮についての情報収集、家事、銭湯予約の調整、主様の秘書業。やる事は多い。

 それは主様の信頼の証だ。

 

 私の名前はアイ。桧上藍衣(ひかみあい)。27歳。

 

 私の主様、桧上慎様の部下にして奴隷であり、妻、姉、娘、愛人、恋人である。

 

 鬼人(きじん)族の私はずっと刀鍛冶を目指して刀を打ち続けてきたが、刀鍛冶にはなれなかった。

 それを主様はいとも簡単に刀鍛冶にして下さった。レベルが足りなかっただけだと笑いながら、仰った。

 今では、天目一箇神(アメノマヒトツノカミ)だ。もはや、神話に登場する神様である。

 

 至宝槍フリッシュヒンメル。

 ファリーさんの元愛槍。

 勝手に強化してしまったが、主様もファリーさんも笑顔で許してくださった。

 この槍のお陰で戦闘がとても安定したって褒めて貰えた。

 

 感謝してもしきれない。

 でも主様は、愛してくれればそれで充分だと言う。

 私は、私の持つ全てを用いて主様にお返ししなければならない。

 それが私の愛だ。

 

 以前、主様の命に依り、準備していた水着を着ている。

 

 “水着”という服。

 

 デザインもさる事ながら、生地作成が難しい。

 ある程度、水を弾きつつ、濡れても極度に重くならず、破れない。肌にベタつき難く、透けない様に。との事だ。

 また、裏地も必要だ。表地と違い、肌に触れる生地だ。

 こちらの方が気を使う。

 そんな生地、有るのだろうかと悩んでいると、主様が皇都の高級服屋に連れて行って下さった。

 店員さんに相談すると、有る。という。

 というか、少し前に主様から作ってくれないか?と依頼されたそうで、つい最近、開発に成功したらしい。

 生地のレシピは簡単に教えて下さった。

 良い提案を貰ったから。だそうだ。

 

 それから主様の仰る色、デザインを元に防具製造を行い、完成した。

 

 “モンテカルロ”と言うらしい。

 

 初めて作った筈なのに、名前が付いている。

 

 何故水着に名前が付いているのか、聞いてみても、イメージし易いように。という事だが、さっぱり分からない。誰なら理解出来るのだろう。聞いても、分からないそうだ。忘れる事にした。

 

 “モンテカルロ”という水着は、黒色のワンピース。

 首の所で輪になり、前の方へ繋がる。後ろはぱっくり開いている。

 前はV字に割れ、お臍の下まで達する。首からお臍下の方までの切れ込み部分はレースのヒラヒラがあしらわれ、股の部分はV字の切れ込み、お尻もTバックに近い。

 

 恥ずかしいけど、他に誰も居ないし、主様のお望みだったから。

 

 主様曰く、私の為にデザインされた様なモノだそうだ。主様がデザインしたんじゃないの?

 

 

 

2️⃣ーーーーーテテの場合ーーーーー

 私は桧上啼帝(ひかみてて)。23歳。みんなはテテって呼ぶ。

 パーティーのタンク。一番重要なポジションだと旦那様は仰った。

 とは言っても、私は一番の役立たずだと思う。

 

 才能と可能性の塊、ミミ。

 最もDPSが高く、且つ回復も出来る、レナ。

 魔剣を操るトリックスター、フィナ。

 後方からの詠唱中断、パーティーの要にして、状況によって戦略を瞬時に操る司令塔、アイ。

 魔法、聖剣、暗黒剣を使い、高いDPSを誇る旦那様。

 私は強い武器、防具を与えて貰って、漸くタンクが務まる。

 神拳、グロッサーヴァーゲンなんて、名前負けしてない?

 

 可愛いミミ。白虎のミミは最もスタイルがいい。

 完璧プロポーションのレナ。非の打ち所が無い。

 胸が大きくて且つ、抜群のプロポーションを維持しているフィナ。

 モデルスタイル、憧れの女性、アイ。

 

 私は胸が大きくてもスタイルは良くない。

 体型を気にしてダイエットしようとすると、叱られる。

 今のままの君が素敵なんだって言って下さる。

 

 でも、やっぱり私だけが何の取り柄も無い。

 みんなより大きくて、魔物を引き付ける事しか出来ない私には、タンクぐらいしか出来ない。

 

 旦那様はこんな私を大事だと言って下さった。

 何故だろう?

 体が好み?胸が大きいから?

 ミミの手綱?

 分からない。

 私は本当に旦那様のお役に立っているの?

 私は本当に旦那様を満足させられているの?

 

 そんな私は熊人(ゆうじん)族。

 体が大きくて、鼻が効く。

 それが理由で嫌われる。

 珍しいだけで虐められる。

 

 でも旦那様はいつだって、こんな私に微笑みをくれる。

 それは愛?憐憫?同情?

 旦那様はいつも愛だ。って仰る?

 それは本当の愛?誰にでも言う、挨拶みたいなモノ?

 

 でも。

 でも、私は信じる。旦那様が認めて下さっているんだ。

 私はそれに報いなければならない。

 

 私は私を信じない。

 でも旦那様は信じている。

 だから、旦那様が信じる私を信じる。

 

 私が着ている水着は“スグリ“。

 

 アイさんが防具製造で作ってくださった水中装備らしい。

 水色のビキニ。下半身にはパレオと呼ばれる一枚布を巻いている。

 結び紐には白色のアクセント、トップスは背中に、ボトムスには腰に蝶々結び。

 お尻はほぼ丸出しのTバック。

 パレオが無ければ絶対、着ない。

 

 これ、旦那様がデザインしたんでしょ?

 ホントにエッチなんだから・・・。

 

 

 

3️⃣ーーーーーミミの場合ーーーーー

 ミミ。兄々(にいに)がくれた一番の宝物。

 それが名前。桧上深弥(ひかみみみ)。14歳。

 

 大好きな兄々と大好きな姉々(ねえね)と一緒に楽しく過ごす事。

 これだけが私の望み。

 それだけが私のたった一つの願い。

 

 兄々の優しい、いつも頭を優しく撫でてくれる掌。

 兄々の優しい、いつも優しく見つめてくれるお目目。

 兄々の優しい、いつも温かく抱きしめてくれる胸。

 兄々の優しい、いつも幸せ一杯にしてくれる○●。

 兄々の優しい、いつも私を庇ってくれる広い背中。

 兄々の優しい、いつも気持ちを良くしてくれる声。

 兄々の優しい、いつも一杯一杯幸せにしてくれる唇。

 兄々の優しい、いつも一緒の気持ちにしてくれる匂い。

 

 全部好き。

 兄々の全てが好きだった。

 いつまでも、どこまでも一緒だと思ってた。

 

 兄々はいつだって私を気遣ってくれる。

 いつも私を思って泣いてくれる。

 調子が悪いのに無理してケガとかしたら本気で怒る。泣きながら怒る。

 私が悪いのに、無理してるの気付かなくてゴメン。て言う。

 私の為に泣いてくれるのは嬉しいけど、兄々が泣くのは嫌だから、それはやらない。

 ミミは兄々を笑顔にするんだ!

 

 ミミは虎人(こじん)族。

 周りのみんなは、お前は猫人族だって言うから、自分もそう思っていた。

 だから、普通の猫人族とは少し違うみたい。

 それでよく虐められたよ。

 でも、そんなの関係無いんだって。

 兄々はミミが好きなんだって。

 虎人族が好きとか嫌いとかじゃないから、何も気にしなくていいんだよ。だって。

 ミミも兄々が好き。オーゾの人族は嫌い。それと同じなんだって。

 

 妖刀と邪剣。

 カッコイイでしょ?

 とっても危ないから本当は私に使わせたく無かったんだって。

 でも兄々を守る為なら、ちょっとぐらい無理してもいいよね?

 妖刀と邪剣と白虎に妖虎があれば、兄々一人守るぐらいヨユ~だよね?

 たとえ、その為に自分がどうなったって。

 でも、やっぱり兄々には泣いて欲しくない。

 

 ミミの水着は“キムリック”。

 

 可愛くて、ピッチリしたワンピース。

 “すくみず”って言うモノらしいけど、よく分かんない。

 これもアイ姉々が作ってくれたモノだから、白虎嵬変しても破れないんだって。

 凄いね。アイ姉々。

 これは首から脇の下にかけて布が背中まで流れ、

 足の付け根から腰、お尻を巡って反対側の付け根までヒラヒラのレースが二重にあしらわれている。

 濃い藍色の服で、首元に赤いリボン、胸から足の付け根まで、腰、背中からお尻まで、細いラインが入っている。

 

 でも、姉々はこれ着て白虎嵬変したらダメって言うの。

 兄々の何かが目覚めたらイケナイから、だって。よく分かんない。

 

 そんな事しなくても、全然恥ずかしくは無いのに、兄々がこの姿を見て、

「可愛いね」

 って、言ってくれると、なんだか顔が熱くなる。

 

 これが“愛“なんだって。姉々が言ってた。

 

 

 

4️⃣ーーーーーフィナの場合ーーーーー

桧上風稲(ひかみふぃな)。17歳。

 

 ダークエルフってだけで私は虐められた。同じエルフからは激しく罵られた。

 お兄ちゃんが好きだって言ってくれた、碧の瞳も、銀色の髪も、褐色の肌も、全て嫌われる要因だった。

 

 私の新しい名前。本当の名前。フィナ。

 お兄ちゃんがくれた、私の魂に刻まれた、誇り高い名前。

 

 ヌマー・フィーア。

 私はずっと、この名前が嫌いだった。

 その名はおぞましい記憶と共にある。

 何処か別の、異国の言葉で、ナンバーフォウ、四番目。という意味らしい。

 

 何かの研究所、名前も知らない、顔も覚えていない研究者。

 

 痛い、気持ち悪い、苦しい、怖い。

 まだ何かされる前だから、良かっただけなのかは分からないけど、盗賊に拐われた時、良かった、って思った程だ。

 

 でも、その盗賊から私を救ってくれたのが、お兄ちゃんだった。

 たった2歳しか違わないお兄ちゃんは、とてもカッコ良く、素敵に見えた。

 大人で、スマートで、ユーモアがあって、とっても強い。

 お兄ちゃんとファリーお姉ちゃんが、私の家族になってくれないかなって、ずっと願っていた。

 

 それでも、待っても、願っても二人は来てくれなかった。

 

 だったら、自分から会いに行けばいい。

 自分から妹になればいい。

 そう思ってウコムの町を飛び出した。

 お兄ちゃんは、筋を通すとか何とか言ってたけど、そんな事してたら絶対、連れ戻されてたに違いない。だから全然、後悔なんかしない。

 

 そして、名前を呉れた。

 便宜上付けただけの名前なんかじゃ無い。

 

 お兄ちゃんが、私の為に、私の為だけに、私の、愛の詰まった名前だ。

 

 今ではダークエルフってのも悪くない。

 魔人って言う、強力なジョブを得られたからだ。

 魔神剣レヴァンティンも有る。

 今後こそ、お兄ちゃんを守ってみせる。

 

 水着“ピースI”。

 

 金色の光沢の有る水着で、V字形をしている。

 それだけ。

 と言ってしまうと、お兄ちゃんが悲しむので、もう少し詳しく。

 

 両肩から肩紐が降りてきて、胸を隠し、さらに降りて下腹部で合流する。

 お尻は当然、ほぼ、何も隠す積もりが無く、まっすぐ肩まで伸びる。

 わざわざ、アイお姉ちゃんの防具製造で作る必要、有った?

 動いたり、泳いだりすれば、必ずずれて、色々見えちゃう。

 お兄ちゃんが見てくれるのは嬉しいけど、他の男共に見られるのは絶対嫌。

 だって私はお兄ちゃんのモノだもん。

 

 私のコト、見ていいのはお兄ちゃんだけ。

 

 

 

5️⃣ーーーーーレナの場合ーーーーー

桧上麗奈(ひかみれな)。17歳。

 

 私はずっと自分が嫌だった。

 

 鬼人(きじん)族なのに、何も出来ない。刀鍛冶にもなれなかった。

 姉様の様に、なれなくても、諦めずにずっと努力する事さえ、出来なかった。

 

 剣術はお爺様に一生懸命丁寧に、優しく厳しく教えて頂いたが、大してモノにはならなかった。

 それでも兄様のお陰で戦女神(ワルキューレ)になる事が出来た。

 霊零剣山姥切国広も有る。

 これでいつでも兄様を守れると思っていた。

 でも、そんなものは、ただの思い上がりでしかなかった。

 結局、私は何も出来ない。

 

 料理も姉様程では無い。

 洗濯も姉様程手際よく出来無い。

 戦闘に於いても、姉様は詠唱中断をしながら、各個への指示を的確に出している。

 私に出来るのは、力任せに剣を振るう事ぐらい。

 

 こんな私を兄様は救ってくれた。

 

 恐ろしい思いをして家に引き籠っていた私に、

 ずっと寄り添ってくださった。

 ずっと傍に居てくださった。

 何も言わずに。兄様自身、とても傷付いていた筈なのに。

 

 私が少し笑うと、とても喜んでくださった。

 

 私が一番だ。と言ってくださった。

 

 私に、ありがとう。素敵だね。可愛いよ。優しい。柔らかい。暖かい。気持ちいい。いい匂い。落ち着く。嬉しい。楽しい。

 一杯、沢山の良い言葉をくださった。

 

 兄様は気付いてらっしゃるだろうか?

 兄様がそう仰る時、私も同じだけ嬉しく感じていた事を。

 

 私が気付いている事、兄様は気付いてらっしゃるかしら?

 いつも兄様は私を最初にしてくださっている事。

 だから、私も、いつも兄様を一番に考える。

 

 兄様に幸せになって欲しい。私を幸せにしてくださった兄様に恩返しをしたい。

 兄様はそんな事、考えなくていい。って仰る。

 違う。私の幸せは兄様の幸せの隣に有るんだ。

 

 私は、私が幸せになる為に、兄様に幸せになって欲しいんだ。

 

 兄様はすぐ他の女の人にデレデレする。

 ファリーさんの事にしたってそうだ。

 いくら、命の恩人だからって、いくら、心細い時に親切にして貰ったからって、いくら、お腹に自分の子がいるからって、今は私の恋人なんだから。

 

 もうダメ。

 渡さない。

 

 私1人じゃ足りないかも知れないけれど、今は5人も居る。絶対負けない!

 1人じゃ足りなくても5人なら誰にも負けない。

 

 本当言うと、私1人の方がいいに決まってる。

 でも兄様は色魔なんですもの。

 5人までなら許してあげますけど、それ以上は駄目。

 待ってられない。

 

 私が寂しくて死んでしまう。

 

 私が頑張って兄様を誘惑し続けなきゃ。

 

 水着“うらかぜ”。

 

 白基調の水着。セパレート形でビキニって言うらしい。

 トップスの胸布は決して大きくはない。

 胸の谷間の所で朱の破線が通り、真ん中で朱い小さなリボン。

 肩紐は首の所で輪になっていて、後ろは脇から紐が回って結ばれている。

 ボトムス部分はもっと小さいが、ミニのスカートがそれを隠すので目立たない。

 パンティは白くて前も小さいが、後ろはもっと小さい。隠す気が無い。

 スカートは朱色。ブラとは逆に朱基調で白の破線。腰の部分に白い紐が蝶々結び。

 パンティの紐がスカートからはみ出し、腰の所でこれも蝶々結び。

 

 何かこれ、全体的に、巫女服って言うそうなの。

 私の戦巫女とは違って、兄様の邦の神殿に従事する女性が着用する服をイメージしているんだって。

 

 とっても恥ずかしいけれど、兄様が喜んでくれるので、良い事にしておく。

 兄様の前でなければ、絶対に着ない。

 

 こう言うと、それも兄様は喜ぶ。

 

 

 兄様は何故か、私達をこう表現する。

  アイ   Cute

  ミミ   Dynamite

  レナ   Excellent

  フィナ  Fantastic

  テテ   Great

  ミミ虎  Harem

 意味が分からない。最後のミミ虎、ハレムって何?

 

 私の名前はレナ。

 誇り高き兄様の一番奴隷だ。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 ここは南の島。

 

 皇都から遠く離れて数ヶ月。ファリーさんの所に置いてあった幌馬車の旅。

 兄様はファリーさんにも害が及ぶ事を懸念して、この邦を離れる事を決意された。

 私達にはノサヨ村に残ってもいい。と仰ったが、誰もそんな事は望まない。

 そんな事を考えるぐらいなら、最初からノサヨ村に行く時点で別れている。

 

 あの日、あの時、私達2人は死んだ。

 これは、あの時、私達2人が死ななかった世界。

 なんかじゃない。

 

 私達2人はあの時、死なずに生き延びている。

 

 あの日・・・。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 あの日、あの時、俺は決意した。

 最初設定した時から、そんな設定がある事すら忘れていた。

 

 そう、【自爆攻撃】だ。

 自分も死んでしまう攻撃に、何の意味があるのだろう?

 そもそも、この状況でちゃんと発動するのか?

 HP全解放なのかな?って思っていた。

 HP1だけ残して大爆発なんて、割と有りがちな話だ。

 今のこの状況、AMF(アンチマジックフィールド)だとするなら、これも発動しない可能性が高い。

 

 それでも、試してみるべきだろう。

 成功しても、失敗しても、こんな事するのはこれっきりだ。

 

「レナ。夢で逢おうな・・・」

 

 最後にそう、言い残し、俺は念じた。

 

『自爆攻撃‼️』

 

 そして俺たちは光に包まれた。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

その頃、キザマ村自宅。

 

 フィナ「何?アレ」

 

 テテ「オーゾの町の方角!?凄い光り!爆発?」

 

 アイ「主様の反応もオーゾの町よ?」

 

 ミミ「兄々!?」

 

 フィナ「ウコムの町に行くって言ってた。お兄ちゃんがオーゾの町に行く筈無い!」

 

 テテ「何かあったんだ!」

 

 アイ「行きましょう!ミミちゃん。馬車を!」

 

 ミミ「爺々の所だね?行ってくる!」

 

 

 

オーゾの町。広場。

 

 

 アイ「何なの?一体」

 

 ほぼ広場を中心に、大きな爆発跡が広がる。

 

 フィナ「お兄ちゃ~ん!」

 

 ミミ「居た。兄々!?」

 

 爆心地に俺達を見つけた。

 

 テテ「旦那様?レナちゃん!」

 

 アイがすぐさま駆けつけ、容態を診て、

 

「二人共、まだ息が有る!すぐ万金丹を!レナにも!」

 

 アイは自分の持っている薬を俺に飲ませ、

 フィナも自分の持つ薬をレナに飲ませる。

 

 遠くの物陰から誰かが見ている様な気配がするが、誰も寄って来ない。

 俺の自爆攻撃のお陰でAMFの術師も倒したのだろう。

 この中でAMFの無い状態の、俺のパーティー四人に立ち向かおう、なんて命知らずはこの町には居まい。

 

 俺達は、このおぞましい町から、何の抵抗にも遭わずに脱出出来た。

 

 

 キザマ村の村長にだけ、別れを告げた。

 

 

 ノサヨ村ではコスヤさんに、この邦を離れる事を告げ、この先、必要になるであろう、ファリーの助産師費用を渡した。

 

 ファリーには、

「ゴメン、もしかしたら、迷惑を掛ける事になるかも知れない」

 

「大丈夫よ。私に勝てる奴なんて、そうは居ないわ」

 

「時々、逢いに来るよ」

 

「あんまり、無理しないで?」

 

 お腹を愛おしく、そっと撫で、

「君も体に気を付けて」

 

 ・・・・・・。

 

 しばらく見つめ合ったあと、少し長い、キス。

 

 この時だけは、誰も、何も言わなかった。

 

 また少し、長い抱擁。

 

「ほら、もう行って」

 

 俺の体を名残惜しそうに、でも決意を込めて引き離す。

 

「どこか、落ち着いたら連絡するよ」

 

「うん、待ってる」

 

「じゃ」

 

 

 ファリーとコスヤさんはずっと見送ってくれていた。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 そこから俺達はまた馬車の旅だ。

 今度はノサヨまでよりもずっと長い旅。

 それも宛の無い旅だ。

 

 とにかく、西へ、南へ。

 

 ここも北半球のどこかなら、南の方が暖かいだろう。

 

 ずっと旅を続けてたどり着く。

 ここは南の楽園。

 今そう思っているだけで、実は色々大変な事はあるのかも知れない。

 

 ただ、今はこの幸せを噛みしめよう。

 

 5人の美女があられもない姿で、キャッキャウフフに水遊びしている。

 

 俺の名を呼び、手を振る。

 

 答えて手を振り返す。

 

 

 ・・・そろそろかな?

 

 ずっとこうしていたいが、そうもいかない。

 

 日が陰ってきた。

 

「お~い。そろそろ帰るぞ~」

 

「は~い。それじゃ着替えますので、兄様も準備お願いしますね~」

 

「はいよ~」

 

 男性用更衣室は遠い。

 

 服を着替えるぐらいは差程、時間は掛からないが、行って戻って来るのに時間が掛かった。

 

 戻ると、みんな、着替え終わって待っていてくれた。

 

 同じ服、ヘッドドレス。

 黒基調の、家事メイドが着る様な、この砂浜には若干、似つかわしく無い様なドレスに、白いレースのフリフリヒラヒラのあしらわれたエプロン。

 

 いわゆる、メイド服だ。

 

 チョー可愛い。

 

 俺の愛娘が着たら何だって可愛いが、これは特別だ。

 

 そんな超絶可愛いメイドさんが、俺を迎えてこんな事、言ってくれたら、もう何も言う事は無い。

 

 

「「「「「お帰りなさいませ、ご主人様♥️」」」」」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー 完 ーーーーーーーーーー

 




本当の最終回。

最後まで、お読み下さり、ありがとうございました。



最後になりましたが、誤字報告をくださった方々、遅くなりましたがお礼を申し上げます。
ありがとうございました。
つい今さっきまで誤字報告の見方を知らなかったもので・・・。
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