盗賊の三人に囲まれた。
左からLv22、Lv18、Lv20だ。
とにかく先手を取る!
左の男に一目散にダッシュし、袈裟懸けに切り伏せ、返す刀ですぐ隣後ろの男もろとも腹を突き刺す。
前側の男の腹を蹴り剣を引き抜き、後ろで傍観を決め込んでいた首魁に肉薄する。
完全に油断していた首魁は慌てて剣を構えようとするが、もう遅い!
首魁の脇をすり抜けながら、胴を切り裂いた。
デュランダル凄過ぎ!
首魁は装備ごと真っ二つに切り割られ、血の海に沈んだ。
あと前に四人、後ろに三人!
前にいるのは、首魁のすぐ右横に控えていた副官ぽいLv39、三人並んで襲おうとしていた一番右端のLv20、最後列の二人Lv13、Lv8の四人。
後ろにいるのは、俺達の前に先回りしてきたLv11、Lv14、Lv21の三人だ。
正直、もう各個撃破は出来ないだろう。残り全員束になって襲い掛かってくる筈だ。
こっちも気力、体力、集中力全て限界に近い。
とにかくレベルの高い奴から片付ける!右横に転身し、Lv20を一刀のもと切り伏せ、レベルの高い副官ぽいLv39に切り掛かると持っていた鋼鉄のファルシオンで受け止められた。
奇襲に成功したLv45とLv40のボスならともかく、普通に盗賊Lv39なら明らかに今の俺よりは強いのだ。何とか戦えているのはデュランダルのお陰だ。
だからといってここで引き下がれるかってんだ。
といってもレベルの差は歴然、こっちは満身創痍。
今更ではあるが、迷宮の中の行き止まりの所で籠城作戦にした方が良かったんじゃないか?
狭い通路内での少人数との戦闘を繰り返せば、何とかなったかも。
いや、限定空間で火を放たれ、炙り出されればイチコロだ。
戦いながらある程度MP吸収していけば、馬車へのワープが途中で切れずに皆、渡り切れたかも知れない。
いやいや、それだと時間が掛かりすぎて馬車が行ってしまっている。
どの道、詰んでいた。
だからといって、ここで諦められるかよ!
押し切るんだ!
とにかく、ガンガン打ち込むが悉く受け止められ、往なされ、かわされた。
やがて完全に見切られ、剣を弾き飛ばされた。
距離を取られたらどうしようもない。
何とか組み付こうとした所、後頭部に激痛が走った。
俺は前屈みに跪く。
後ろの男たちが持っていた棍棒か何かで殴られたんだ。
必死で意識を保とうとしたが、頭上からファルシオンが振り下ろされる!
「危ない!」
誰かが俺の上に覆い被さった。
振り下ろされた剣は途中で止まる事もなく、俺の背中を赤く染めた。生温かいぬめっとした感触が広がる。
俺の背中に覆い被さったのは珠実だった。
後ろの男達の更に後ろにいた珠実が飛び出してきたんだ。
「タマミ!珠実さん!」
俺は自分の体を捻って珠実の体を抱きしめ、珠実の右手を握りしめた。
珠実はもう虫の息だった。
「しっかり!しっかりしろ!」
「コホ、ごほっ」
もう助からないのは分かったが、叫ばずにはいられない。
「タマミ!珠実!」
珠実は何か喋ろうとして口を動かしている。
「何?何だって?!」
「・・・クター再設・・・は絶た・・・外さな・で・・・」
良く聞き取れない。
どんどん声が小さくなっていく。
「何?何が言いたいんだ!」
「あの世で待っているとよ!」
もう一度副官のファルシオンが大きく振りかぶられる。