現実世界の事、ゲームの様な入り口、気付けばあの森の中に居た事も、ボーナスポイントも何もかもだ。
彼女は俺の話を一切遮る事無く、ずっと真剣に聞いてくれた。
「確かに信じ難い事ばかりだが、」
俺が何か言い掛けるのを手で制し、
「こちらに来るまでの話を一旦肯定してしまえば、特に矛盾はなさそうだ。ま、最初の無茶苦茶な話を受け入れられれば、な」
そう言って、更に付け足す。
「嘘を言った所で特にメリットもなさそうだし、貴方が作り話をしているとは思えない」
「信じてくれるの?」
「話を、ではない。貴方を、だ」
「ありがとう。ほんとにありがとう」
そう言っていつの間にか彼女の両手を握りしめていた。
彼女は照れくさそうに任務だからな。と言った。
お腹がぐうと鳴った。
色々話したからな。
彼女は笑いながら、「昼食にしよう」と言い、
彼女のお腹もぐうと鳴った。
二人して笑い合った。
「騎士団内には食堂もあるが、せっかくだから外に行こう」
彼女はそう言うと、門外の番兵に何か言い、大きなリュックを三つ受け取り、すたすたと歩いていった。
「それ、何?」
「色々、な。貴方も二つ、持って」
リュック二つを持たされた。
「九人分だからな。貴方の戦利品だ」
そう言って騎士団本部外門の目の前の店に入っていった。
「ちょっと待って、どういう事?」
何やら剣やブーツなんかがぎっしり入っている。
「ここは武器屋兼、防具屋だ。騎士団の御用達でな」
「盗賊の装備品は討伐した者の物となる。
だから、これ等は貴方の物。という訳だ。我々が倒した分は騎士団が頂くがな。一番良いものだけ残して後は売って金にしてしまえばいい。
そうだな、これ、これとこれ、後はこれ、かな」
すぐに鋼鉄の剣、革の鎧、革の手甲、革のブーツを残して、
「親父さん、売却だ」
「これはこれは隊長殿、いらっしゃいませ。今日は売却ですかな」
と、店の奥から気の良さそうな感じのいいおじさんが出てきた。
「そうだ、ああいや、こちらの御仁が売却だ」
さっき選んだ物を避けてカウンターに並べる。
「そうですか、では拝見致します。
・・・う~ん。あまり手入れをされていませんね」
割とはっきり言うなぁ、この人。
「まあ、そう言うな、盗賊の置き土産だ」
こっちも明け透けだ。
しばらくじっくり見た後、
「ざっと7万。と言いたい所ですが、盗賊討伐のお祝いとして9万1000ナールで如何でしょうか?」
「それでお願いします」
後ろで美人が手を叩いて喜んでいる。
はしゃぎすぎだって。飛び跳ねてるし。
俺も心の中でガッツポーズしたけど。
店を出る時、
「ほんとに三割アップしたな。親父さん、気付いてなかったぞ」
「本当にねぇ。でも良かったんだろうか?」
「いいさ、どうせそれ以上の値で売るんだから」
と言いながら彼女は既に道の向こうを見ている。
「次こそ昼飯だな。こっちだ。こないだ新しい店が出来たばかりで一度行ってみたかったんだ」
そう言う彼女は現実世界のギャルそのものだった。
こちらで食べる最初の食事だ。
そもそもあっちの流行りモノにも疎い俺が異世界の食い物について分かる筈が無い。
「何食べる?」
と聞かれても文字さえ読めない。
全て彼女にお任せし、店の内外を色々見回した。
完全にオノボリサンである。
でも彼女が隣で美味しそうにBLTサンド(ポイもの)をかぶり付いているのを見ているだけで、何故か心が落ち着いた。
ここでこの街や、周辺地理などを聞いた。
あくまで簡単なイメージで。という事だが。
PCのキーボードをイメージし、
3️⃣(右下↘️。以降、略)の位置が今居るミシフの街。
6️⃣・9️⃣の位置に皇都。
5️⃣の位置にオーゾの町。
8️⃣の位置に盗賊がアジトにしていた森山。
4️⃣の位置にウコムの町。
1️⃣の位置にキザマの村。
7️⃣の位置に旧オメガの村。(廃村らしい)
そんな一辺に言われても覚えられませんよ、騎士様。
食べながら隊長の傍らに置いているリュックについて聞いてみた。そちらにも武防具が入っているみたいだった。
「そっちは何が入ってるの?剣とか見えるけど」
「これか?後で迷宮に行ってみようと思ってね。武器と防具を持ってきたんだ」
「迷宮?この街にもあるの?」
「ああ、騎士団の訓練によく行くんだ」
「へぇ。でも、装備にしては軽装過ぎない?」
「大丈夫。一層くらいなら平気よ」
「あ、そ」
と言っても、ガントレットと・・・革のニーハイブーツは装備品か。今額に付けているのはフェロニエールか?
「貴方はさっき選んだ物の試着、試し斬りね。装備は勝手にフィットするから問題ないと思うけど」
「ずっと不思議だったんだけど、装備って勝手にフィットするようになってるの?」
あ、と少し驚いて、すぐに
「そうか。知らないんだな。鍛冶師が作った装備は魔法が掛かっていて装着者の体型に合わせてフィットするようになっているの」
「そうなんだ」
「あ、忘れない内に渡しておこ。これ、討伐した盗賊に掛けられていた、懸賞金。12万ナール」
「そんなに?」
「結構派手にやってたみたいだからね」
「さて、そろそろいいか。ちょっくら行ってみる?」
軽いなぁ・・・てか、絶対このタイミング狙ってたよね。
ええ、俺が奢らせて頂きましたとも。