RIO。本名、リオ・ロリンズ・タチバナ。
ラスベガスのカジノ「ハワードリゾート」が誇る敏腕ディーラーだ。ディーラーであった母に憧れ、彼女もまた、ディーラーとして働いていた。
ある日、とある青年がやってきた。 その日の彼は勝ちに勝ちを重ね、最後の1回に選んだブラックジャック。人生を賭けた大勝負。もしも青年が勝ってしまったならばハワードリゾートがいくつも買えてしまう程の金額。そんな勝負に……
「嘘……そんな……」
それでは約束、守ってもらいますよ、オーナーさん。
恰幅のよいオーナーの言葉が止まる。あまりにも大きすぎる勝負の為、オーナールームというどうやっても不正ができない場所で行った賭け事だった。 そのため、この部屋にはオーナーとわたし、そして彼しかいない。
「う、く……」
私より少しだけ年上の男性が淡々と言葉を紡ぐ。
彼女を身請け、させていただきます。料金は一括払いでよろしいですね?
もちろん、その代わり、身請金の条件の通り、わたしが今夜勝利した分の50%を返却いたします。そして25%を彼女個人に借金してもらい、24%はハワードリゾートに無利子で融資いたします。悪くない話でしょう?
彼の声だけはまるで現実感がなくただの環境音のように聞こえていました。最初に聞かされていた条件ではありましたが身請け?わたしを…?本当に何で…?
オーナーは力なくうなだれ、誓約書にサインをしました。 これでわたしはディーラーとしての職を失いました。
「すまん、リオ」
それから私はVIPルームに連れ込まれました。部屋までの廊下では、これからどうなっちゃうんだろう、という不安。わたし個人に膨大な借金を、なんてなんの恨みがあるのか、という怒り。あの人の目の怖さ、恐ろしさ。そこまで年も変わらないのにアレだけの勝負を乗り切る運への少しの憧れ、いろいろな感情がまぜこぜになって彼の後ろをただ歩いているしかできませんでした。
VIPルーム、2人きり。否応なく彼の声がそのまま認識できる状態になりました。
「リオ、これでキミのオーナーはボクだ。確認するが、先ほどの勝負の借金は2 億ドル。 キミに払える額ではない、ね?」
ゆったりとした口調でハッキリと絶望を突きつけてきます。2億ドルの借金を返すなんて……
「……」
「そこで提案だ、1つ条件をつけよう。 この条件を飲んでくれている間はキミに取り立ても何もしないし、危害を加えることもない」
その条件は、私のことをお嫁さんにする。という条件でした。
「お、お、お嫁さん……ですか。 どうして?」
聞いた瞬間に頭が真っ白になり、聞き返す時に軽く動揺してしまいました。 何故?どうして?
「一目惚れした。 キミのためなら全てを賭けていいと思ったんだ」
「えっ……ただ、そんなことだけ?」
「そうだよ、馬鹿だろ? 」
自分の資産で現金化できるものは全部使ったそうです。 持ってたものは会社の社長という立場と、彼の家で働いている方々への退職金。それ以外のもの全てを賭して勝負したというのです。
「まぁ、勝ったから金も残ったな、良かったよ」
ネクタイを緩め、ほら、見て。冷や汗ダラダラと言いながら笑う姿に先ほどまでの怖さは全くありませんでした。 まるで別人みたいな彼の姿に思わず問いかけてしまいました。
「負けたら、どうするつもりだったんですか?」
「縁が無かったとすっぱり諦めて、会社も信頼できるヤツに引き継いで0から出直すつもりだったよ。 これでも堅実に生きてきたんだからまたやれるさ」
たった一夜のギャンブルに、わたしは敗けたのです。
「それに……」
「それに……?」
「例えどんな敗け方をしてでも、キミの人生にボクを刻みたかった。 うん、そうだね。キミの人生にはボクという存在がいたという証がどうやってでもほしかった。 たとえそれで何もかも失うとしても、だ」
一つ一つ確認するように、自分の感情を言葉にしていく彼の姿に、頭の中はバカという言葉で埋め尽くされていました……でも
なぜか、お腹の奥がキュン、となるのがわかりました。
「正直なところ、借金を払えない、条件も飲めないというならボクの専属の秘書になってもらう。 365日24時間ずーっとそばにいてもらうし、GPS付きのチョーカーも付けさせてもらう。何年かけてでも口説き落とすし絶対に逃さない。 借金の利子率も法定ギリギリにさせてもらうよ」
それもスリリングでいいね、と笑う姿に少し私も笑ってしまい……
「で、どうかな…キミの選択は?」
その日、私はカジノ併設のホテルで全てのハジメテを奪われました。お口も、胸も、前も、後ろも。全て念入りに…
旦那様に全てを愛していただいて、あの人の
そんな旦那様とわたしの、とある1日です。
「旦那様、朝ですよ〜」
今日は旦那様もわたしもお仕事はお休みです。 でも、放っておくとお昼まで起きてこないこともしばしばあるので、執事のハリーさんやメイドのアンナさんから「奥方様よりお願いします」とだいたい言われます。
ディーラーを辞めてからは旦那様のお仕事のお手伝いをしています。旦那様専属の秘書兼多少の経理で、職場の方々からは仕事が早いと評判だったりします。 まぁ旦那様がわたしの評判を聞くとその日はスゴいので、結局は一番初めに言われたような24時間そばに居る状態に近いですね♥スーツだって安くないんですから程々にして欲しいです♥
そんなことを考えながら、シーツにくるまっている彼のほっぺに口づけをし、その後彼の口を啄みます。
「ほーら♥起きて下さい♥あなたの墜とした女神ですよ…」
やっぱりクサいですね、このフレーズ。 ならば♥
「はぁむ♥チュッ…♥あなたのお嫁さんですよ……♥はやく起き…キャッ♥」
リゾートで働いていたころより大きくなった胸を鷲掴みにされ、そのままベッドに体制を入れ替えられてしまいました。
結局、2人で寝室から出るのに6回もイッてしまい、さらに2時間かかりました♥ 旦那様は一度しか満足していただけてないので精進です、ね♥
寝室の横に併設しているバスルームでシャワーを交代で浴び(覗きはメッ、です)2人でリビングに降りていくと、朝のタスクを終えた後なのかゆったりした雰囲気でコーヒーを飲んでいる執事のハリーさんがいました。
「おはよう、ハリー」
なんでもなかったように声をかけた彼のほうを一瞥し、
「旦那様、朝から
「……はい、申し訳ありません」
そして、私の目をしっかりと見て、
「奥方様、起こす際には
「……ごめんなさい」
「アンナは外に出てもらっております、寝室はお二人で後始末をなさるように」
「「……はい」」
「昼食も無駄になるかと思った為準備しておりませんがいかがなさいますか?」
「あー、ボクがやるよ。 リオはごめん……
「はい。 あ、ハリーさんお昼は……」
「アンナともう済ませております。 この後も彼女に手伝いを頼まれておりますので少々出払います」
「なんだよ、デートか?」
「節度ある付き合いですよ、
「もう、からかわないの」
お昼ご飯はニホン風のピラフ(ヤキメシというらしいです)でした。 ニホンに長い間住んでいた旦那様にとっては定番らしく、彼が作る場合大体はヤキメシかアゲソバ、またはドンブリモノと言うライスの上に具材の乗せたものが大体で、ミソスープかインスタントのカップスープが横につけられます。
今日は、私が寝室の後始末をしている時間もかからずに出来上がり、ちょっとお待たせしちゃったみたいです。
正直なところ、わたしは料理はサンドイッチくらいしか作れないので、台所担当は旦那様、それ以外は2人で、といった割り振りとなります。ハリーさんもアンナさんもいないときに私が台所に立つと、後ろから……いえ、ここでは辞めておきましょう。
ヤキメシのシュリンプを食みながら、旦那様の顔を見ます……こんなに穏やかな関係になれるとは思いませんでした。 かつて憧れたディーラーに未練がないわけではないですが、
「…ん?なに見てるの?」
「……いーえ、なんでもありません。 あなたにディーラーを引退させられた時のことを思い出してました」
「……悪かったとは思うけど」
「あんな格好他のヤツに見せたくない、だもんね」
「……飯食べた後覚えてろよ」
「はーい♥」
お昼も片付けも終わり、仕事も休みの昼下がり。 お屋敷の中では2人きり。 お出かけするには少し出遅れてしまったので今日は……♥
「リオ、行くよ」
「はい♥♥」
防音室の前に掛けてある札を使用中に裏返して、旦那様の腕にしなだれかかりながら2人で入っていきました♥
続く
後半はエロパートです。