冒険者はつらいよ 冒険者歴10年選手の日常とエロス 作:みなぽん
アル ディーン 本編の主人公、年齢30歳 キャリア10年の冒険者。等級は10年かかってやっとシルバー片手剣と丸盾、半弓なども器用に使う。サバイバルや罠の解除にもたけていて、簡単な魔法も使える一言で言うと器用貧乏な男。
ミレーヌ エルフェンリート 年齢45歳 雪族で見た目はティーンエイジャーに見える。純白の髪の清楚系魔法騎士の彼女は一見すると清楚で優しい常識人だが愛刀雪月花から放つ剣技は凄まじい。攻撃魔法も使えるオールラウンドプレイヤー、アルとは古い付き合い。
「アルったらもっと私を頼っていいんだからね」「断ち切れ絶刀!雪月花!」
セルシア ミストラル 年齢81歳 エルフ族 銀の髪に、氷のように澄んだ瞳。小柄な体躯だが百発百中で獲物を射抜く弓の達人。優秀な兄弟たちのもとで育ったせいか自己肯定感が極めて低い。すぐに卑屈になっていじける癖がある。
「私の矢には正義を貫く力がある」「私はグループのお荷物ですから、邪魔になったら捨てて行ってください」
メイベル・リングベル。年齢20歳 リーキスト教団の聖導女 聖印の刻まれた杖を抱え、柔らかな雰囲気を纏っている娘。
回復系魔法を使う、性格的にも心優しく100%の癒し系。戒律に従順でアルへ寄せる恋心に罪悪感を感じている。
「慈悲深き地母神よこのものに癒しの光を!」「ああ、女神よお許しください。私はまた淫で邪な感情を」
リディア マーカス 冒険者ギルドの受付嬢 清楚で真面目なギルドのアイドル的存在。
「冒険者に大事な事は生き残ることです。無事のご帰還をお祈りしています。」
ヴァレリア・ラース 獣人種 31歳
フェンリルの血を宿す黒髪の女魔狼騎士。食欲旺盛な食いしん坊でグラマラスボディ!天真爛漫な性格で感情の爆発で強くなる。
基本的にいろんな欲望に対して貪欲なタイプ。強いフィジカルで巨大な鉄盾と長剣ツヴァイヘンダーを軽々と扱う重装歩兵
「お腹いっぱいになったから、私はとっても元気だゾ!(^ ^)こい!フェンリルの力見せてやる!」
リュミエール・ノクスフィリア、人間族、22歳 魔法使い
リシリオン王国の宮廷魔法使いであったが出奔。珍しい予知能力の使い手。
彼女は知っている。未来を予知する事が必ずしも幸福な未来を招かないことを。
彼女は、仲間を失いたくないばかりに時に自己犠牲的な行動に走ることがある。
「私は未来を選択することが怖いのです。大切な人、もう誰も失いたくないから。」
マルシル・チェル 15歳 ??? 雑用係
リュミエールが旅の途中に拾った身寄りのない少女。
彼女の亡き妹のマーガレットの面影がある。
「私はリュミエール様に拾っていただいた命、リュミエール様のためにこの命を捧げます。」
Roseliaタウンに、場違いなほど華やかな一行が入ってきたのは、昼下がりだった。
金糸のような長い金髪、磨き上げられたミスリルの鎧。
背には聖紋の刻まれた大剣を負い、歩くだけで人の視線を集める男。
エステバン・サンマルコス。
――自らを「勇者」と名乗る、ミスリル級冒険者。
「ほう……ここがRoseliaタウンか。田舎だな」
彼は鼻で笑い、周囲を見回した。
その言葉一つで、通りの空気がわずかに冷える。
勇者。
この世界において、それは単なる称号ではない。
王命を帯び、国の威信を背負い、冒険者ギルドでさえ無視できない“特権階級”だ。
ギルドのカウンターに立つリディアは、表情を崩さぬままも内心で警戒していた。
「……エステバン様。ご用件を伺います」
「簡単なことだ」
エステバンは、視線を店内に流した。
そして――止まる。
純白の髪の魔法騎士と、銀髪のエルフ弓使い。
「……ほう」
ミレーヌとセルシアだった。
「貴様ら、腕が立ちそうだな。それに見た目もなかなか俺の好みだ」
セルシアは、びくりと肩を震わせた。
「わ、私は……」
「黙れ。勇者に話しかけられたことを光栄に思え」
エステバンは王印の刻まれた書状を取り出し、無造作にカウンターへ叩きつけた。
「王命だ。俺は王都へ向かう途中、未踏ダンジョンの調査を任されている。
人手が要る。――お前たち二人、同行しろ」
ミレーヌが一歩前に出た。
「悪いけど、私たちは既にパーティを組んでいるわ。リーダーの許可なしには――」
「関係ない」
言い切りだった。
「王命は、冒険者の契約よりも上位だ。
拒否すれば……反逆と見なされることもある!逆らうなら、お前のリーダーを反逆罪にかけてやる!」
ギルド内が、凍りつく。
誰も動かない。
誰も声を上げない。
それが“勇者”という存在の現実だった。
セルシアは、唇を噛みしめ、俯いた。
「……私は……従います……」
ミレーヌは、歯を食いしばった。
「……アルに、伝えて」
それだけをリディアに告げ、二人は連れて行かれた。
ダンジョンの中で、エステバンは“勇者”らしく振る舞った。
だがそれは、英雄譚に描かれるものとは程遠い。
「遅い!」「役立たず!」「回復はまだか!」
魔物の攻撃を前に、彼は後ろへ下がり、前衛を押し出す。
罠の確認もせず、ミレーヌに先行させる。
セルシアには、無理な射線を要求し、失敗すれば怒鳴りつけた。
「勇者様の盾になれるだけでもありがたいと思え」
それは、仲間ではなかった。
使い捨ての道具だった。
ミレーヌは歯を食いしばり、剣を振るい続けた。
セルシアは震えながらも、矢を放ち続けた。
(……アル……)
心の中で、二人は同じ名を呼んでいた。
やがて、ダンジョンの下層部へたどり着く。途中にあるセイフティーポイント、モンスターが現れない。冒険者たちの憩いの空間だ。
そこで、エステバンは野営を宣言した。
「さて……今夜は楽しもうか」
エステバンの目が暗闇の中で不気味に輝いた。焚火が揺れる。ダンジョン内の湿った空気が肌に張りつく中、彼の命令は容赦なく降り注ぐ。
「ミレーヌ、料理を作れ。セルシアは水を汲んでこい。さっさと動け、勇者様を待たせるな」
ミレーヌは黙ってインベントリから携帯糧食と鍋を取り出す。手がわずかに震えた。背後でセルシアの足音がかすかに響く。彼女の息づかいが不安を物語っていた。
料理はまずかった。当然だ。戦士であるミレーヌにとって簡素な温め直し程度が精一杯だ。それでもエステバンは文句を付けた。
「ふん、この程度か。まあ構わん。セルシア、酒だ。樽を割れ」
「……はい」
セルシアの指先が震える。斧を取り出す仕草さえ怯えに満ちていた。樽を割り、木杯に注ぐ。エステバンはそれを一気に飲み干すと、突然立ち上がった。酒気が臭った。
「おい、そこの白髪女。酌をしろ」
「……」
「聞こえんのか?耳までお飾りか?」
ミレーヌは無言で近づいた。エステバンの手が伸びてくる。腕を掴まれた瞬間、反射的に振り払いたくなった。だが――
「動くな」
冷たい声が彼女の動きを止めた。
「勇者様の命令を忘れたか?リーダーがどうなるか考えろ」
顔が青ざめる。アルの姿が脳裏をよぎる。その恐怖が抵抗力を奪った。エステバンの手が彼女の腰に回る。指が太ももを這う。ぞわりとした感触に吐き気が込み上げた。
「なかなかいい体つきじゃないか」エステバンは下品に笑った。「これなら俺の趣味に合うぜ」
「やめ……ッ」
「黙れと言ったはずだ」
頬を打たれる。衝撃で後ろによろけた。セルシアが小さく悲鳴を上げる。エステバンは構わず彼女を引き寄せると、胸元の装甲を外し始めた。
「や……ダメ……アルが……!」
「あぁん?あの弱小パーティのリーダーがか?ハッ!奴なんざいつでも潰せる。ミスリル級とシルバーの差を見せつけてやるさ」
金属の留め金が外れる音が異様に大きく響く。夜風が彼女の肌を撫でた。エステバンの手が直接乳房に触れる。乱暴な愛撫。痛みと屈辱にミレーヌは唇を噛みしめた。
「セルシアちゃんは、こいつの次だ。いつでも突っ込めるように待ってろ。」
一方セルシアは命令され水辺で体を清めさせられた後、全裸のまま焚火の前に座らされていた。そして彼女の見ている前でミレーヌが陵辱されていた。
「さすが雪族、綺麗な肌じゃねぇか」エステバンが嘲笑う。「乳も尻も十分だ。ほら、口を開けろ」
勃起した陰茎が突き出された。悪臭が鼻をつく。嫌悪感で胃が収縮する。しかし命令には逆らえない。
「早くしろ」エステバンの声が低くなる。「次は股を開けと言ったらどうする?泣いてみせても無駄だぞ?」
「わかったわよ。しゃぶればいいんでしょ」
ミレーヌは目を閉じた。涙が溢れる。だがそれ以上に恐ろしいのはアルへの危害だった。覚悟を決め、震える唇を開く。
亀頭が触れる。生暖かい粘膜の感触に嘔吐感がこみ上げる。ゆっくりと咥え込む。舌が自動的に形を探る。
あまりの醜悪さに歯を立てそうになるのを必死で抑えた。
「んっ……」
喉奥を突かれ嗚咽が漏れた。それでもエステバンは腰を打ち付けてきた。髪を鷲掴みにされ上下運動を強要される。酸欠になりながらミレーヌは何度も意識が飛びかけた。
「ひひひきれいな顔でちんぽをしゃぶっている姿がたまらんな。ご褒美をくれてある。ありがたく思うんだな。」
「やだ、、やめて、、」
ミレーヌの腰が地面に押さえつけられた。
装甲は全て剥がされ、松明の明かりに白い肌が浮かぶ。エステバンは覆いかぶさりながら囁いた。
「抵抗すればリーダーの首が飛ぶぞ?」
「……くぅ……」
声が詰まった。アルの笑顔が脳裏にちらつく。彼を守るためならば耐えるしかない。
エステバンの指が秘所をまさぐる。潤っていないそこへ無理やりねじ込まれた。裂けるような痛みが走る。
「ひっ……!く……ッ」
「我慢しろ。すぐに慣れる」
容赦なく肉棒が侵入してきた。膣壁が悲鳴を上げる。結合部から血が滲むのがわかる。激しい抽送が始まる。打ち付けられる度に骨盤が揺れた。声を殺すために自分の拳を噛み締める。
剛直が膣内を行き来している。涙が滴る。奥までねじ込むような激しいピストンに息ができずに窒息寸前になると一旦離され、呼吸を整えさせられて再び突き込まれる。惨めな嗚咽が闇に溶けた。
「良い声だ」エステバンが哄笑する。「もっと泣き叫べ。勇者様の寵愛を受けられる名誉を噛みしめろ!」
ミレーヌは唇を引き結んだ。どれだけ苦しくても決して屈しない——そう自分に言い聞かせる。だが次第に体力が削られていく。
腰を掴むエステバンの腕が鉄のように重い。
「声出せよ。楽になるぞ?」
「……黙れ」
途切れた息の合間に罵倒が零れる。瞬間、平手打ちが頬を襲った。
「誰に向かって反抗してるんだ」
「ごめんなさ……」
「一般冒険者が俺様に抱いてもらっているんだぞ。感動しろ。涙を流して礼を言え!」
無茶苦茶な要求に思考が追いつかない。混乱の中でも体は勝手に反応する。擦り上げられ続けるうちに生理的な濡れが増していく。羞恥で顔が燃える。
「んっ……くっ……!」
「おぉ?感じてきたな?」
「ちがう……違…う……」
「嘘つけ」
エステバンは嘲るように彼女を仰向けにし直し、太腿を持ち上げる。角度を変えられたことで新たな圧迫感が生まれた。子宮口を抉られるような衝撃が全身を貫く
ミレーヌの膝がエステバンの腰に絡みつく。無意識の動きだった。
「何だ?積極的になったか?偉いぞ」
エステバンの笑みが広がる。汗ばんだ胸板が密着する。荒い息遣いが耳朶を舐める。ミレーヌの瞼に熱いものが滲んだ。これが永遠に続くように感じた。
「お前のおまんこの中出ししてやるぞ。ありがたく思え。」ドビュッドビュッドビュッ
エステバンはミレーヌの乳房を鷲掴みしながら彼女の体の奥底に熱いものを解き放った。
「よし次ははお前だ!エルフちゃん」
ぐったりと横たわるミレーヌを蹴飛ばして、次はセルシアを抱き寄せる。
「ヒィイいいt、許してください!」
「その小動物みたいに、怯えた感じがレイプっぽくてたまらなくいいな!」
エステバンは彼女の手首を掴んで、無理矢理に唇を奪った。舌をねじ込み蹂躙する。
「やめてぇ……お願いします……やめて下さい……アルさん、助けて」セルシアは目に涙を溜めて懇願する。
「お前らのリーダーなんかよりも、俺の方が圧倒的に良い男だと言うことを示してやるよ。このちんぽでわからせてやる。」
セルシアは絶望的な表情で涙を流した。エステバンはその姿に嗜虐心を煽られる。
「いやぁ!離してっ!」
「大人しくしろ」
強引に口を塞ぐ。唾液が零れる。抵抗する力を奪われた彼女は為す術もなく犯されていく。小さな肢体を蹂躙される様は哀れ極まりない。
「ほら、足を開け、俺に触られておまんこ濡らしてるんじゃねーのか?」
エステバンはメス堕ちの禁呪をセルシアに刻み込む。強制的にセックスに応じる体に追い込むためだ。彼の唇が耳元で囁く。
「気持ちいいだろう?」
「……違う……こんな……汚い……」
「認めろ。お前は快楽に溺れているんだ」
セルシアの体が痙攣する。意思とは裏腹に腰が動く。膣壁が収縮してオスの肉棒を締め付ける。
「あっ……いや……だめ……」
「イキそうなんだろ?いいぞ、思いっきりイケよ!」
「やだやらぁ、いぐぅっ」
絶頂へと追い込まれる感覚に戦慄する。だが止められない。最後の一撃でセルシアは果てた。同時に大量の精液が流し込まれる。
「ふふ、まだまだ終わらないからな。二人とも可愛がってやる」
エステバンは満足げに微笑むと再び動き始める。何度も繰り返される行為にセルシアの意識は朦朧としていった。
Roseliaタウンの夜は、いつもより重かった。
宿屋の一室。
灯りを落とした室内に、沈黙が垂れ込めている。
断片的ではあるが、ダンジョンに向かった。エステバンたちの様子が他のものから伝えられていた。ミレーヌとセルシアが奴隷のように扱われていたことが、、。
最初に沈黙を破ったのは、ヴァレリアだった。
「ねえ、アル。あれ……本気で、許すつもり?」
声は低く、怒りが押し殺されている。
“あの男”――エステバン・サンマルコスの顔が、全員の脳裏に浮かんでいた。
王命を盾に、ミレーヌとセルシアを強引に連れ出し、
戦場では盾のように使い、命令口調で罵声を浴びせる。
そして、噂では、ダンジョンに同行した女性冒険者に夜伽を申しつけるらしい。
やつは冒険者ではない。
人を使い潰すことに慣れた、ただの権力者だ。
「許すわけないだろ」
アルは即答した。
感情を抑えた声だったが、その目は冷えていた。
「でも、正面からやったら終わりだ。
“勇者”を傷つけたってだけで、俺たちは全員お縄だ」
メイベルが静かに言った
「人を虐げる者には、必ず報いが……」
沈黙のしていたリュミエールが口を開く
「今回だけでは終わらない。次は、もっと弱い人。もっと、逃げ場のない人」
アルは立ち上がり、地図をテーブルに広げる。
「じゃあ、やるしかない」
「殺っちゃうの?」
ヴァレリアが問う。
「殺さない」
アルはきっぱりと言った。
「殺したら、俺たちの負けだ。勇者に逆らった悪党で終わる」
彼は地図の一点を指差す。
「でもな……冒険者がダンジョンで怪我するのは、日常だ」
リュミエールふっと口元に微笑を浮かべた。
「……なるほど」
メイベルも、ゆっくり振り向く。
「事故……ですね……」
「しかも」
アルは視線を上げ、仲間たちを見回す。
「俺たちが、モンスターに化ける、さらにモンスターに襲われ、怪我をした勇者様を助けたのが、俺たちだったら?」
ヴァレリアが、獣のように笑った。
「あははマッチポンプだけど最高に気持ちいいね、それ」
リュミエールは、少しだけ躊躇い、それから頷いた。
「…私の…幻覚魔法で皆さんの姿を、モンスターに偽装して、あいつを袋叩きにする」
全員の視線が、アルに集まる。
彼は、短く息を吐いた。
「決まりだ」
「勇者様には――」
アルの声は、冷静で、容赦がなかった。
「冒険者の現実を、たっぷり教えてやろう」
ダンジョン深層――
空気は湿り、魔力の澱が濃く溜まっていた。
「……来る」
アルの低い声に、全員が頷く。
リュミエールは杖を掲げ、静かに詠唱を始めた。
「――虚像よ、恐怖の皮を被り、現実に爪を立てなさい」
彼女の得意とする高位幻覚魔法。
それは単なる目眩ましではない。
五感に直接干渉し、“本人がそう信じ込む限り”現実と区別がつかない。
通路の奥から、
獣の咆哮、骨の擦れる音、ぬめる足音が一斉に湧き上がった。
巨大な多腕の魔獣。
群れを成す骸骨兵。
天井を這う無数の影。
――すべて、幻とアル達が化けた姿
だが。
「……チッ、雑魚か」
さすがはミスリル級。膨大な戦闘経験がある。
「くだらん!」
大剣が閃き、幻の魔獣をまとめて薙ぎ払う。
衝撃波が通路を揺らし、現実の岩壁が砕け散った。
圧倒的な力。
単純な正面戦闘なら、勝ち目はない。
――だが、アルは笑わなかった。
「想定通りだ」
アルが地面に短剣を突き立てる。
カチリ、と乾いた音。
次の瞬間、床が崩れた。
「なっ――!?」
それは罠だった。
古いダンジョンの構造を利用し、あらかじめ仕込んでいた落とし穴。
エステバンは反射的に踏みとどまるが、
着地した先は、ぬめる粘液に覆われた狭所。
――スライムの巣。
「クソッ、離れろ!汚れるだろうが!」
苛立ちと焦り。
そこへ、幻覚が“追い打ち”をかける。
周囲の壁から、魔物が這い出す。
天井が迫り、逃げ道が閉ざされる感覚。
「やめろ……来るな……!」
ヴァレリアが鉄盾を叩きつけ、通路を封鎖する。
ミレーヌとセルシアもアル達の企みを見抜いて協力する。
ミレーヌが悲鳴をあげて逃げまどう。そして密かに氷結魔法で足場を“わずかに”不安定にした。
セルシアの矢が、わざと外れた位置に突き刺さる。
音だけが、恐怖を増幅させる。
そして――アル。
「今だ」
彼は、勇者の動揺を突いた。
膝。
鎧の継ぎ目。
重装ゆえに避けられない死角。
短剣が、深く突き刺さる。
「ぐあああああああっ!!」
エステバンは叫び、転げ回った。
血が混じり、幻想のスライムが蠢く。
デビルウルフの姿をした
ヴァレリアがエステバンをツヴァイヘンダーで打ちのめす!
エステバンにはそれが魔物の攻撃にしか見えない
無数の魔物に囲まれ、
逃げ場がなく、
食い殺される恐怖、修羅場を何度も何度も見せつける。
「助けてくれ!死にたくない!
勇者だぞ!俺は勇者なんだぞぉぉぉ!!」
泣き叫ぶ声は、もはや英雄のものではなかった。
十分な“恐怖”を与えた後。そこに現れたのは――
武器を構え、息を整えた救援者たちだった。
「……大丈夫ですか?」
アルは、心配そうな顔で声をかける。
エステバンは、震えながら縋りついた。
「た、助けてくれ……魔物が……」
「もういませんよ」
メイベルが優しく回復魔法をかける。
しかし、あくまで最小限で死なない程度に。
リュミエールは、静かに告げた。
「危険なダンジョンでしたね。
もし私たちが偶然通りかからなければ……」
エステバンは、何度も頷いた。
「か、感謝する……報酬はいくらでも……」
アルは、申し訳なさそうに首を振る。
「王命の任務中に重傷……
治療費、装備の修理費、それに、同行させられた冒険者への補償も必要ですね」
静かに、数字を積み上げる。
結果――
勇者は、あり得ない額の報酬契約に自分で署名した。
ダンジョンを出る頃、
エステバンは担架の上で、目を伏せていた。
「……もう、勇者なんて……」
誰も答えなかった。
アルたちは、ミレーヌとセルシアを無事に連れ戻し、
報酬袋の重さを確かめながら、静かに街へ戻る。
勇者は討たれていない。
だが――
英雄の仮面は、完全に剥がれ落ちていた。
勇者エステバンは翌朝、早くに人目を避けるようにして、Roseliaタウンから去っていった。
エピローグ
エステバンが引き払った翌日。
アル達は、勇者からせしめた大金で温泉宿を貸し切りにし、朝までどんちゃん騒ぎをしていた。
「いぇーい!勇者からぶんどった金で飲むビールは最高だぜぇ!」
アルが景気良くジョッキをあけ、顔を真っ赤にしてはしゃぐ。
ミレーヌもヴァレリアも、同じような調子だった。
セルシアですら顔をほころばせてはしゃいでいた。
「あははは!アル、飲みすぎだよー」とヴァレリア。
宴が大いに盛り上がった後で
ミレーヌが、そっと席を立つ。セルシアもそれに続いた。
そして二人は部屋を出ていくが、その後ろ姿は明らかに不自然だった。
しばらくして――アルも席を立つ。
アルは素知らぬふりをするが、彼女たちの意図を察していた。
そして彼は宿の寝室に入る。月明かりの下には美しい2人の女性の裸体があった。