喜多川海夢 その着せ替え人形は今日からラブドール①
うそ……ヤバッ……こんなん……ありえないし……。
どちゅっ!ごちゅッ❤️ぱんっ❤️ぱんぱんぱんっ❤️ズブブブッッ!!とある撮影スタジオ……。上品で洗練された内装は、予算に糸目をつけないラグジュアリーな品の数々が並べられてる。
気合の入り用が見て取れるどこか非日常的な雰囲気を漂わせるその空間には、その実、異様な空気が立ち込めていた。
換気が十分に行き届いていない。スタジオ内はすえた匂いが立ち込めており、とても人が作業を行えるような環境ではない。
お世辞にも撮影に適しているとは言い難い。そんな倒錯的な部屋の中心にて、二人の男女による淫行が繰り広げられていた。
卑猥な打擲音と、女の甲高い喘ぎが常に反響し、その行為の激しさを物語る。
「あ゛っあ゛っあ゛っ、ア゛ッアぁ~~~……!?ゃめッ……あ❤️う……ん……っ、ふぅーっ……ふぅーっ……んっ、ん……❤️」
カメラの中で女体が揺れる。
細身の身体ではあるが、女性だとアピールする肉付きはしっかりとついている。胸や尻は同年代の少女と比べても“食べ頃”な魅力に溢れた、メリハリのあるプロポーション。
ムッチムチな肉体を隠すことなく曝け出し、その中でも一際目を引く豊満な乳房。
ひと目でその道の関係者とわかるギャルメイク姿の金髪の美少女は、撮影用に設置された小道具のベッドに寝そべりながら、強制的に齎される快感に全身を打ち震わせていた。
スタッフの指示に合わせてポーズを変えさせながら痙攣し、ベッドが軋む。
この撮影の異様さも相まって、二人の行為は、控えめに言っても通常のそれとはあまりにも乖離していた。
男は仰向けになった少女に覆い被さり、獣宛らのピストンでさっきまで未使用だった、純潔なる乙女の証明を蹂躙せしめる。
レイプと言っても過言ではない風体。
合意もなく、拒否も許されない。無理矢理このような狂乱に付き合わされた少女……喜多川海夢はシーツをギュッと握りしめて、僅かながらも抵抗の意を見せていた。
少しでも組み敷く手の力が緩まれば、即座にここから逃げ出してやる……。そんな気概を感じさせる。
いつも溌剌とした輝きを見せる綺麗な瞳は、今では悲しみに澱む。普段の彼女からは考えられない嫌悪の眼光を、この撮影スタジオにいる全員に向けていた。
しかし、その行為にどれだけの意味があるかは定かではない。寧ろいい表情をすると、そんな悔しそうな一面にフラッシュを当てていく。
最高の被写体だ。嘲笑うように、竿役の男は海夢の両手首を掴んで頭上へと押し付ける。
犯しやすく、尚且つカメラに収まりやすい角度。指示無しの手慣れた動きで結合を強め、そのまま、より深く男根を捻じ込み……弱い場所に重たい一撃を喰らわせた。
ズンッ……!下腹部が隆起する。
「ん゛ゔぅ……!?」
重たい一撃に、二つの悲鳴が上がる。
ギシィ……!とベッドの軋む音。もう一つは被写体が歯を食いしばり、必死に声を噛み殺す音。
全身が跳ね、ブワリと長髪が舞う。汗の飛沫が上がる様は、扇状的な一枚を作り上げた。
よく見ると、不自然なほど右手を口元に寄せているのがわかる。恐らくは声を上げまいと、口を押さえ込んでいるのだろう。
それがより一層、この場面の悲劇性を醸し出す。マニアによく売れるだろう、スタッフの一人はそう口端を釣り上げた。
さぁ、どんどん撮っていこう。この狂乱の撮影を止める者は誰もいない。
頷く責任者からの無言のメッセージに、竿役の男優はニヤリと嗜虐的な笑みを深め、抽送はより激しさを増していく。
「いい絵が撮れたよ。やっぱり上手いね〜。君に依頼して正解だった。ところで、海夢ちゃんの感じどうよ?」
「うーん、最の高かな。前々から目をつけてただけあって、これまで食った雌の中で一番の上物だわぁ」
夢中でシャッターを切り続けるカメラマンは、満足げな声と共に男に尋ねる。
この撮影の立役者、竿役に抜擢された青年は肯定の意を返すと、恍惚に喉を震わせた。
ぶちゅっ❤️ドチュンッ!ずろろっ……ズンッ!!!その道のプロである男優が繰り出すピストン運動、『経験』から知っている雄にしか出来ない巧な腰使いが、純真な乙女を穢す。
何度も同じ動作を繰り返せば、女体は自然とそれに順応していく。張り詰めた抵抗を紐解く刺激に海夢は、先程までよりも幾分か身体の強張りを解き始めていた。
しかしそれは同時に、この行為に慣れ始めてしまったという証拠でもあるのだが……。
「マリンちゃんも、いいっしょ?」
「ふーっ……!ふーっ……!ほっ、おっ、おお……っ!気持ちよく、なんか……!ないィ……っし❤️」
峻烈な動作から、ゆっくりと女の領域を侵犯するストローク。一番奥に捩じ込まれた状態で、押し出されたように声と愛液を噴き出す海夢。
眼球がグリンッと上を向く。光は霞み、焦点が定まっていない。
それでもなお、彼女は耳元で囁かれた不快な問いを否定しようと必死に抵抗を見せるが……。それはこの状況において、男の興奮を増すスパイスでしかないのである。
ふふん♪と、鼻を鳴らす。更に深くまで腰を沈めると、届いてはいけない場所をグリグリと亀頭で刺激する。
本心の扉をこじ開けるかのように、無体を働く。
じっくりと性感を高めていけば、経験からして分かる。海夢が一番感じる場所が手に取るように、探り当てるとそこへ狙いを定め……。
「ッ……!?バカ……ダメ!それだけはヤメッッッ!!?ん、ひゅッ……ゔ……ぅうううぅ……っ❤️❤️❤️」
瞬間、海夢の腰がビクンっと大きく跳ねる。
ピンと伸ばされた脚が震え、爪先が丸まった。
引きちぎれんばかりにシーツへ爪を突き立て、腹の奥に注ぎ込まれていく熱い感覚に嗚咽を漏らす。
つい数時間前に会ったばかりの男の子種を無遠慮に中出しされる……。屈辱と絶望が渦巻く中で、しかし確かに存在する悦楽。
快感電流が脳髄を突き抜け、思考が散り散りになっていく。張りのある白く美しい肌はすっかり赤みがかかり、紅潮した頬に、蕩け切った瞳は愉悦の証し。
この男、女から雌を引き出すテクが上手すぎる。
激しいだけでない手際についに限界が来たのか、喜多川海夢の口から一際大きな嬌声が吐き出された。
それは悲鳴でもなければ怒りでもない。一分の隙もない女の悦び、法悦に屈服した雌が上げる歓喜の鳴き声に他ならない。
ビクッ……ビクビグッ……❤️痙攣を繰り返す女体から力が抜けていく。この反応からして、どうやらイッたようだ。
見かけによらずよく保ったほうだが、それもこの通り。
男優は、そんな哀れな少女の反応に合わせて腰を打ち付ける。それに合わせてカメラも回され、撮影はまだ始まったばかりだとでも言いたげに。
読者モデルの撮影日。訪れたとあるスタジオは、いつもと雰囲気が違っていた。
まず空気からして違う。足を踏み入れた瞬間から、妙な匂いが立ち込めている事に気づいた。キナ臭い香りってヤツだ。
現場に入って最初に聞かされたのは、今回は男女ペアによる撮影……と。
なんら珍しくない、モデル業ならよくある話にも思えるが……。その実態は、少し違った。
テーマも割と過激めで、別にあたし一人ってだけなら何も問題はなかった。
たださ、男と一緒っていうのが……。正直なところ、ちょっと抵抗があるって感じ。
撮影とは言え、ついさっ知り合った男とイチャついてるポーズ取ってくれとか……。以前までのあたしならそんな抵抗感とか薄かったと思うじゃん。
でも、うちには今ゴジョーくんがいるし。
絶賛しゅきぴに恋している身としては、提案された時、最初はどしようかと思ったんだけど……。給料の桁に目を奪われたのが運の尽きだった。
押しの強さに若干引いたけど、やっぱり最後の引き金になったのはコスプレの衣装代。
趣味に没頭してこそオタクの性というべきか。
コスにはとにかくお金がかかるし、金欠気味だし……。衣装を作ってくれるごじょーくんの負担もあるし……。ってな感じで、一度OKしたら話はとんとん拍子に進んで行った。
若干のシコりは残ってるものの、ここまできたんだし!と腹を括る。オタク魂が唸る。全ては推しの為、コスプレの為、ごじょーくんの為。
待っててねごじょーくん、コス代がっぽり稼いでくるから!
ありがとうございます!そう目を輝かせるだいしゅきな男の子の笑顔を想像し、意を決して撮影に臨むのだった。
……なのに、どうして……。
「あ゙ぅッ……ん゙ッ……❤️あっ、ぁっ、ゃっ……あんっ……また!ゃあ゛……!」
中出し———。一番深い場所で、抜かずにこれで三度目の膣内射精を迎えた。
あっつい……。溶けちゃうんじゃないかってくらいに熱い液体が注がれる。膣内のヒダ一枚一枚に染み渡るそいつの子種が、腹の奥を熱する感覚に眩暈がする。
イッたばかりのあそこ、敏感になりすぎてッ……。まるで蜂蜜のような粘り気を孕んだ精液が子宮の中に入り込む度、全身を駆け巡る快感が増長し、強制的な絶頂へと導かれた。
やだぁ……気持ち悪い……。ドロっとした嫌なのが、ネバネバってお腹の中にへばりついてくる。
もう、訳わかんない。
最初は順調だったのに、次第に監督から出される指示が過激になっていって……。そしたら、相手役の人も急に豹変し出した。
常に視界に映りこんでくる、この最低のクズ男。顔が良くても、中身でこんな不快になるんだ……。ハラー映画よりも目を逸らしたくなる笑みを浮かべて、めっちゃ腰振りながら話しかけてくる。
「いや〜、海夢ちゃん意外とガード硬いからさぁ。でも、ちょっと強引に行けば、案外イケるもんだね」
女の大事なところを好き放題に荒しておいて、いけしゃあしゃあと……。無遠慮にあたしの身体を弄びながら、ナカに出したり身体にぶっかけたりで散々精液を吐き出している。
「しかもバージンとかめっちゃアガる〜。 俺のテクと海夢ちゃんの相性がバッチシ合っちゃってさぁ、気持ちいいっしょ?」
「ふぅーっ……ふぅーっ……!は?んなわけねーだろ……っ!この、クズ!最低……!」
こんなやつに、あたしの初めてが……っ。
初めてだったのに……ごじょーくん……。
初めての人は、ごじょーくんにって……思ってたのに……こんなクズ野郎じゃなくて……!なけなしの理性を総動員させつつ、なんとか必死に抗議するも男達は全く聞く耳を持ってくれない。
それどころか、腰の動きがまた速くッッッ……!まだイッたばかりでヒクヒク痙攣しているのに……ぁ、ダメ……ダメ、ダメッ、ダメッ……❤️
「や、やだぁ……!お願いっ、イッてるから!い、今動かれたら……またイッちゃ……!」
「イカせんだよ、それが醍醐味だろうが……!」
最低、本当にごじょーくんと同じ性別なのか疑いたくなる。
ダメって言ってるじゃん。なのに、こいつはまるで聞く耳を持ってくれず、泣いてる女を見てさらに興奮を覚えたのか、生ハメに熱が入り出して……!
脳裏に浮かぶのは、さっきされたばかりの射精……。中も外もマーキングされて、これ以上ないくらい全身ねとねとでえっちなあたし。
「あ!やめ、やめてぇ……っ!ぃ、いゃぁ……!やだっ、やだぁぁぁ!ごじょーくん助け———」
声は届かないし助けも来ない。もう一度熱いのが吐き出され始めた時、あたしの視界は真っ白に染まり出した……。
———ッ!?!?!?あ゛……熱いのが、流れ込んでくるぅ……!イったばっかりなのに、またイカされてッッッ……身体の力が抜けて……イグ❤️
朦朧とした意識でシーツへと沈み込む。
またイカされた……。声も、自分のものとは思えないぐらい……ごめん。ほんと、ムリかも……!何時間も続くレイプに、もう、我慢の限界だった。
これ以上されたら本当におかしくなっちゃう。そんな予感がして……でも、もう止められなくて。あたしは……ぁ、また射精された❤️
中出ししながらまだ動いてる❤️あたし半分意識トんでるのにっ、ダメッ……いやっ、イクッッッッッッ———〜〜〜〜❤️❤️❤️
大きく跳ねて痙攣する身体。弛緩した口からだらしなく舌を垂らしながら、何度も何度も絶頂に押し上げられてしまう。
「あ゛〜……射精る射精る、めっちゃ射精る……!もうホンット最高、俺ら体の相性良すぎね?これまで喰ってきた雌の中で一番だわ」
絶頂の余韻に浸る暇もない。
もう何も考えられない。涙と涎でぐちゃぐちゃになった顔を晒しながら、それすらもカメラに収められていく。
地獄の撮影スタジオ。
惨劇は、まだ始まったばかりである。
ーーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー
———数週間後。
「あ、やっほー!ごじょー君こんなところで会うなんて奇遇ぅ〜」
「き、喜多川さん……?」
それは互いに予期せぬ出会いだった。
最近知り合った気になるクラスメイトと、道端でばったり鉢合わせた。そんな青春の一ページ。
人形作りの材料が切れたことで、急遽買い出しに行くことになった。その帰り道の出来事であった。
学校も終わって放課後、もう夜と言える時間帯。
まさか、こんな所で喜多川さんに会えるなんて……。彼女も予期していなかったのだろう。新菜の顔を見るや目を丸くした後、人懐っこい笑みを浮かべて気安く声を掛けてきた。
周囲の目もある中、まるで気にすることなく名前を口に出す。割と驚いた表情を見せているが、それでも顔がいいと絵になる可憐さにドキッとしてしまう。
もう日が落ちきり光の灯りだした街角で、喜多川海夢の存在感はその美貌も相まって浮き立って見えた。
腰近くまで伸びる艶やかな長い金髪に、淡いピンクがかった茶色の瞳。
スレンダーな体型ながら、そのシルエットは女性らしい丸みを帯びた美しい曲線を描く。
人形めいた造作、容姿端麗なだけでなく気さくで明るい。誰とでも打ち解けるような愛嬌と溌剌としている魅力に、自然と人は惹きつけられる。
かくいう五条新菜自身も例外ではない。
喜多川海夢という少女に心惹かれた一人であるからして、こうして偶然出会えることに何か特別なものを感じずにはいられなかった。
つい最近、コスプレ衣装の製作という名目で友達になったクラスの人気者。
日も暮れて、街灯が照らす道のなかで一人歩いていた五条新菜を目ざとく見つけたのが海夢だった。
視界に収めた瞬間、端正な顔立ちは満面の笑みへと変わり駆け寄ってきた。
にこやかに話しかけるその表情は、さも偶然友達を見つけて嬉しいというような印象を与えてくる。
まるで人懐っこい犬が尻尾を振っているような……。そんなイメージを想起させる、明るく無邪気な笑顔。
しかし距離が無くなるに連れて、次第に新菜の心中は穏やかではなくなっていった。
本来ならば同じように喜んでいたであろうが……。その笑みはどこか、いつもと雰囲気が異なる感じがして。
更に、彼女の傍にはもう一人の人物の姿が見受けられた。それが何よりも同調を遮った。
「こんな所で会うとかマジ偶然!あ、その袋……もしかしてごじょー君も買い物?」
そんな新菜の心境など知る由もなく、笑顔をそのままに、高めの女の子らしい声質。
此方の心にするりと染み込むよう語りかける声色は、聞く者全てに奇妙な高揚感さえ抱かせる。
落ち着きのなさゆえに軽快に身を揺らし、その豊満な胸が目の前で大きく弾む。
スカートから覗く太ももと腰つきは肉感的でありながらもスリムで、モデルのようなスタイルの良さを見せつけてくるようだ。
耐性のない童貞なら三秒と持たずに虜にされるだろう。相変わらず他者との距離の詰め方が過剰で、気軽に話しかけてくる。
目の前まで来ると、にんまりとした上目遣い。それはどこか、小悪魔めいた印象を受けるもの。
いつもはそんな彼女のイジワルにドキッとするものの、事この状況においてはその限りではない。
「喜多川さん、奇遇ですね……。その……」
一瞬口籠る。
人形や衣装作り以外では口下手な自分が恨めしい。こんな時ぐらいはっきり尋ねるぐらいできれば……。隣に視線をやれば、そのプレッシャーにも納得がいくだろう。
この緊張は、彼女の隣に堂々と立つ男の存在に起因していた。彼を視界に収めた瞬間の印象は、とにかく強烈であった。
「えっとその方———」
「海夢、こいつ誰?」
絞り出した声は容易に遮られる。
それもかなりキツめの口調で、だ。
五条新菜は、その問いかけを聞いてより焦燥感に駆られた。彼の声音には気さくな軽さなど皆無であり、ヒシヒシと伝わってくる威圧的なプレッシャーがズシリとのしかかる。
コミュニケーション能力の低さもあるが……それだけではない。単純に、この男個人に対する恐怖心のようなものが新菜の口を重くさせた。
スラリとした長身のシルエット、モデルのように長い手足。同じぐらいの背丈でありながらも、見下ろされて圧迫感を受ける錯覚に陥る。
顔立ちも整った金髪のイケメン。細まった瞼から覗く瞳は、凡そ初対面の人間に向けていいものではない。
人の目を惹きつけるワイルドな風体。しかしそんな印象を一瞬で覆すような、邪魔者を見るような鈍い光が垣間見える。
怠そうに発せられた声からは性格の不透明さを表しており、それがよりキツい印象を匂わせていた。
細まった瞳に射抜かれる。
抑えているようだが、滲み出る不快感に鳥肌が立ちそう……。そんな青ざめる新菜の様子を見かねたのか、海夢がフォローを入れてきた。
ぐるりと踵を返し、頰がこれでもかというほど膨らませる。先程までとは打って変わって不機嫌な表情になると、彼の脇腹を肘で小突いた。
「ちょっとー、言い方キツくない?ってか、前に話したよね。ごじょー君だよ、ごじょー君。あたしにコス衣装作ってくれてる」
「あぁ〜……そういや、そんな話してたっけか」
興味なさげな返事。じろりと見下すような目。
そこに何の感情もこもっていないのは明らか。軽薄そのものな態度から察するに、どうやら本当に忘れていたらしい。
言外に反省や改めるつもりはないと言っているようなもの。その態度がまた気に障ったのか、海夢はムッと眉を顰める。
しかしすぐに表情を和らげると、改めて新菜に向き直り、両手を合わせて満面の笑みを浮かべた。
「ごめんね〜、ごじょーくん。この人だいたいこんな感じだから。同じ読モでね、前の撮影で一緒になって知り合ったんだ〜」
「そ、そうなんですか」
海夢は新菜が気後れしている事を察したのか、間に入る形で話を進めてくれた。
しかし、そうは言われても……。この感じの悪い男との関係性がはっきりとしない以上、どう反応すればいいのかわからない。
初対面の人間に対しての雑な扱い、咎める相方の言葉さえ流す無頓着さも相まってそう判断を下すのは致し方ないと言えよう。
どう見ても、五条新菜の知る喜多川海夢と相容れない人物。そんな人が喜多川さんと何を……?人の友好関係に口を挟むほど野暮ではないつもりだが、それでも不安を禁じ得ない。
人のプライベートには口出ししないし、そもそもそんな権利もないと弁えているつもりだ。しかし、それはあくまで友人としての視点であり、その関係に男という要素が加わるなら別だ。
頭の中で、突然現れた男が喜多川海夢を連れ去って行くイメージが繰り返し浮かんで仕方がない。
そう考えてしまうのも仕方ないことと言えるだろう。
そんな新菜の心など露ほども知らずか、
「んじゃあ、俺達は用事あるんで。これにて」
「ぁ……ちょっと❤️」
「ッ……!」
男は、海夢の腰に腕を回し抱き寄せると、新菜に見せつけるように頰へ口付けた。その行為に思わず息を呑む。
まるで自分の所有物だと言わんばかりに堂々と、横抱きに抱えるその様はいっそ手馴れたもので、彼女からも嫌がる様子はない……。細いウエストに腕を回す男の暴挙を咎めるどころか、寧ろ喜んで受け入れている。
女性なら誰もが嫌がりそうな行為を……。目にした事実に思わず息を吞む。
そんな茫然と佇む新菜を無視して、男は彼女との密着度を維持したそのままの状態で歩き出す。
歩幅を相手に合わせない、強引に引っ張るような自分本位なエスコート。その勢いにつんのめりそうになりながらも、海夢もついていく。
「……じゃあね、ごじょーくん」
そして去り際に一言。
彼にだけ分かるようウィンクを飛ばすも、それに反応を返す余裕などなかった。
新菜を置いて去っていく二人を見ながら、呆然と立ち尽くす。あの男の顔が頭にこびりついて離れない。去り際に見せた男の笑みは、まるで新菜を嘲笑うかのように歪んでいた……。
「喜多川さん……」
取り残された五条新菜は、その後ろ姿が人混みに消えるまで見送ると、一人、帰路につくのだった。
「なにSOS出してんの?つーか、あんなので気付くわけねーだろ。あいつ鈍そうだし」
「そういう言い方、やめろし……さっきの態度も……マジ最悪なんだけど……」
「しっかし、あれがお前の言ってたごじょーくん?聞いてた印象と全然違うな。パッとしねーし、盛り過ぎだろ」
いつものラブホへと向かう男女。
一見仲睦まじいカップルだが、どうやら違うようだ。しかし傍から見ればその印象を受けるだろうことは否定できない。
並んで歩く二人の距離感は異様な程近く、立ち止まるとこれ見よがしに頰にキスまでする始末だ。
そんな様子で新菜を追い越す際など……。男はわざと見える位置で海夢の胸を揉んだりもしていた。
こんな上物に手を出してないとか信じられねぇ〜と、当てつけで。
何度彼女が感情を爆発させようとしたかは、言うまでもないだろう。大好きな男の子の前でしたやり取りに心臓がキュッと痛みが走る。
こんな奴と一緒に夜の街を歩いている姿なんて、一番見られたくなかったのに……。それでも、彼を見た瞬間衝動が抑えられなかった。
一縷の望みを持って……。それが気に食わないのか、彼は海夢の耳元に顔を近づけると囁くように呟いた。侵犯する声は低く、耳にしただけでゾクッと全身が総毛立つ色気があった。
「あいつ見た途端に俺の手から離れやがって……。決めた、今夜は朝までコースな」
「ダメッ……今日は……ヤバい日だから……ひぅッ❤️」
「イ・ク・ん・だ・よ。お前に拒否権とかねーから。さもねーと、撮影の写真ネットにばら撒くぞ」
「……死ね」
おねがい、気付いて……ごじょーくん……。
あたしこのままじゃ……こいつに……っ❤️
喜多川海夢はめっちゃ好きなキャラなので、多分まだ続くと思います
※此方側の機能に問題が起きた為、挿絵を削除しました
これからは文章のみとなります
大変申し訳ございません