「不安じゃない奴なんていない。誰でも抱えているもんだろ!」
僕は、つい怒鳴ってしまった。いや、ここはがなりたてて正解だ。そもそも僕は、彼女と話しをしに来たのではなく、否定する為、要は喧嘩をしにきたんだ。
「大体、君のやりたいことってのはなんだ!僕にこれだけ言ったんだから、さぞかしご立派なことなんだろうな!」
「そんなに高尚なものでもないよ。あたしみたいなはみ出しものが、やりたいことなんて誰でもやってきたことだから」
はみ出しものだという自覚はあったようだ。彼女は平然と、僕を見据えてきた。その視線を僕は正面から受け止めるしかなく、だからこそ負けないように腹に力を込めて訊いた。
「だったら聞かせてくれないか?君のやりたいことをさ」
彼女が寂しそうに眉を下げた、そんなふうに見えたからかもしれないが、一瞬、時が止まった気がした。当然、止まることなんかない。彼女の背後にあるミリタリー専門店は閉店の時間を迎えたようで、明かりが一斉に消された。道行く人影も少ない裏通り、そんな場所で彼女は、一拍おいて、昂然と控えめな胸を張った。
「青春がしたい」
「……青春?」
「そう!青春!」
彼女は大きく両腕を左右に広げる。まるで、今にも駆け出してしまいそうだ。
「あたしは、こんな変わり者だからね。仲良しグループなんてのには入れなかったんだよ。きっとその場所を壊されるって分かってたんだろうね」
賢いよねみんな、と彼女は言った。素直に僕もそう考えた。仲良しグループなんてのは必然的に生まれるものの中で、最も自然な形だ。同じ趣味の者が集まり、遊び、楽しみ、友情ってやつを育んでいく。僕だって学生時代にはそんな友達もいなかったとは言えない。
それでも彼女が同じ学校にいたならば、僕も拒絶してしまうだろう。想像してほしい。信号が青に変わった瞬間、数百人規模で人が行き交う渋谷のスクランブル交差点、その中心に赤になっても動かずに、じっ、と明後日の方向を眺めている女がいたらどう思うだろう。
きっとそんな心境に似ているんじゃないだろうか。関わりたくない。彼女は声のトーンを抑える。
「でもね、残念な事に一人じゃ出来ないんだよね……やっぱり誰かと一緒じゃないと結局は一人相撲じゃない?」
人生経験ってのが乏しい僕にも、この時点で次に彼女が口にすることを察することが出来た。そして、その予想通り、彼女はこう言葉にした。
「だからね?あたしと友達になってくれませんか?」
スクランブル交差点って渋谷が一番有名だったよなって思って動画見たら、恐ろしくなってしまったw
やっぱり日本ってマナーがいいねw