※この作品はR-18です。

ドロップ・アウト 僕達の青春   作:宇宙人と呼んで

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第7話

「君は、何を言ってるんだ?」

 

「だから、友達なりたいって……」

 

「違う、それは分かってる。分かりたくないけど……僕が心配しているのは君に全く危機感がないってことだ。相手は独占欲の塊みたいなもんだぞ?」

 

「うん、だからこそ面白いんじゃない」

 

「……どうかしてる」

 

 頭のネジが抜けているのは、やっぱり僕じゃなく彼女だと確信した。そんな心中を知ってか知らずか、彼女は立ち上がり僕を見下ろす。今回は人懐っこい甘えた子犬のような顔付き。

 

「……最近、ニュースとかではストーカーに殺されている女性だっているのは知ってる?」

 

「知ってるよ。これでも新聞はよく読む方だから」

 

「だったら、それがどんなに危険なことか位、理解しているだろ!」

 

 彼女は僕の剣幕を涼しい顔で受け流し、指先を僕に向けた。

 

「じゃあ、あなたは彼の何を知ってるの?」

 

「知りたくもない」

 

「ほら、まただ。君は考えることを止めてる」

 

 前回も言われたこの言葉に、僕は剣を強めた。

 

「なら、僕が今、導き出した答えを教えてやるよ。君は馬鹿だ。それか特殊な性癖でも持っている。どうだ?違うか?」

 

 彼女は、途端に笑い出すと、顔の前で両腕を使い、大きなバツを作った。

 

「外れだね。馬鹿って言われるのは間違いじゃないけど、特殊な性癖は持ち合わせてないよ」

 

 僕は鼻を鳴らし、煙草を灰皿に押し付ける。彼女の挑発するような面貌に対して言った。

 

「どうだかな。少なくとも、僕の周りには君のような奇特な人間はいないから、いまいち信用できない」

 

「なら、あたしと知り合えたあなたはラッキーじゃない。見解を広げるチャンスだよ」

 

「間違えた方向に見解を広げてどうする?」

 

「それも一つの見解だね」

 

 まるで、いたちごっこのように会話が先に進まない。黙ったままの僕に、彼女が不満そうに言う。

 

「友達を作ることがそんなにいけないこと?」

 

「違う!相手は選べと言っているんだ!いつしか、君のやりたい事にも影響が出る」

 

「それならそれで良いよ。それも一つの青春だし、普通の人を相手にしても面白くもなんともない」

 

 自らに及ぶ被害など度外視して、盲目的に享楽を求めていることが読み取れる言い回しに僕は絶句した。いや、だからこそ、彼女は道を踏み外しているのかもしれない。しかも、歩いているのは隣にある整備された道ではなく、常に崖が真横にある、そんな場所を危なげに散策しているみたいだ。風が吹いたら奈落へ落ちる。

 

「酔狂だね。僕には到底、理解できないよ」

 

「理解する気もないくせに」

 

「……何があろうと、僕は僕のやり方や考え方を貫くからな」

 

「うん、それで良いよ。なにも君があたしに合わせる必要はないから」

 

 僕達は並んで歩き始めた。案の定、秋葉原に降り注ぎだした雨は、僕の心境を現したように、静かな水面に石を叩き込んだような騒がしさだった。

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