※この作品はR-18です。

ドロップ・アウト 僕達の青春   作:宇宙人と呼んで

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第2話

 福原は、大儀そうに顔を伏せる。さっきとはうってかわった態度だが、そこはさほど気にならなかった。

 

「はぐらかしてはいないとは思うけどな。いや、単純に気付いていないのか?」

 

 まあ良いか、と首を振り、福原は腰の位置を変えて楽な姿勢をとったかと思うと、ポケットから手帳を取り出し、なにかを書き込み、四つ折りのそれを僕に渡すと急に立ち上がった。何事かと見上げている僕を横目に、福原は迷いなく玄関へと歩いていく。

 

「......何してる?」

 

「何って......帰るんだよ」

 

「ちょっと待て、意味が分からない。なんでこんなタイミングなんだ?」

 

 福原が振り返ろうとしたが、何かに気付いたのか、その動きを止めた。

 ちょうど、シャワーの音が止まり、彼女が脱衣場に出た所のみたいだ。背中を向けたまま、福原は捲し立てるように早口になる。

 

「そこに、俺の番号を書いてる。明日、連絡をくれ。その時に続きを話す」

 

 彼女がいない内に出て行くのはどうかと思うが、その提案には僕も賛成だ。きっと、僕らには落ち着いて話をする機会が必要なんだろう。頬に、チクリ、と傷みが走る。今日はいろんな事がありすぎた。

 

「分かった。明日は、仕事がある。合流するのは、夜中になるけど良いか?」

 

「ああ、大丈夫だ」

 

「それと、明日一日は彼女に近づくな。彼女は、僕が連れていく」

 

 了解の意味だろう。福原は静かに首を縦に動かし、そっと玄関を閉じる。同時に、タオルで髪を拭いながら脱衣場から彼女が現れた。しきりに部屋を見回している。

 

「福原君は?」

 

 タオルを首に掛け、彼女は冷蔵庫を開けた。中から発泡酒を二本とり、一本を僕に渡した。缶を傾けて、中身をあおるたびに動く喉が、すごくセクシーに見えた。僕は目を逸らして、開けたままにしていた窓を閉めた。

 

「帰ったよ。君に一言もなかったのは悪いと思ったけどね。明日、また会う約束はしてある」

 

 番号が書いた手紙を彼女に渡すが、特に関心がなさそうに彼女が受け取る。

 

「ふーーん、そう......」

 

「やけにあっさりしてるね。もっと食い付くかと思ってた」

 

「明日、また会えるんでしょ?なら、良いじゃない」

 

 彼女がベッドに座った。長い黒髪の先がシーツを着いて、小さな染みを作る。そんな細かいところが気になるほど、潔癖症なつもりはないけど、それだけ彼女が気になっているという表れなのだろうか。

 秋に漂う空のような、ほんのり赤い彼女の肌は、すごく魅力的だった。

 

「番号は僕が持っておくけど、良いかな?」

 

「うん、それで良いよ。明日、連絡してあげて」

 

「了解、でだ。君はどうする?帰るか?」

 

「こんな雨の中、渉君は帰れなんて言うんだ?」

 

 彼女がいたずらな笑みを浮かべた。僕は首を振って答え、ベッドから布団を一枚だけ下ろした。薄いけれど、くるまって寝れば充分だろう。さすがに、二日間もなにもない状態で眠るのは辛い。僕が風邪をひくかどうかは、別問題だ。




くっそ、なんだこの拭えない違和感は……w
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